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2014年3月18日火曜日

3/14 文科省の沖縄県竹富町に対する「是正指導」を許すな!

■3/16の『東京新聞』の記事をはじめ、3/14、3./5とこの問題について、各新聞は文科省の「是正指導」批判の記事を載せ、社説で反対意見を述べています。

Image沖縄

◆竹丁町教育委員会への「是正要求」に対する抗議・撤回を求める 声明

                                                                                                      2014年3月15日
文部科学大臣
 下 村 博 文 様
                                            子どもと教科書を考える八重山地区住民の会
                                            共同代表 仲山忠亨 村田栄正 内原英忠 波平長吉 江川三津恵
                                                           登野原武 大仲康文 黒島精耕 島袋憲一 慶田城久
                                                                                                                   (公印省略)
                                            竹富町の子どもたちに真理を教える教科書の採択を求める町民の会
                                                                 世話人代表   仲村 貞子     (公印省略)
                                            住民の視点で教科書を選ぶ会
                                                               共同代表   新垣重雄  川上博久 (公印省略)

   竹丁町教育委員会への不当な「是正要求」に抗議し、撤回を求める

 3月14日、文部科学大臣は、25文科初第1375号において 竹富町教育委員会に対し「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律の規定に基づく事務の執行について(是正の要求)」を発出した。

 文部科学大臣は、竹富町教育委員会(以下竹富町教委という)に無償措置法の規定に違反しているとして、昨年10月18日に沖縄県教育委員会(以下県教委という)に対し同様の是正要求指示を行ったが、県教委が是正の要求を行わないままに新年度が迫ってきたことから、地方自治法第245条の5第4項の規定に基づき、当該違反を是正するために必要な措置を講ずることを求めている。また、県教委に対しても、同日、今回の是正要求を踏まえ、竹富町教委に対する適切な指導に当たるよう通知した。
 しかし、竹富町の教科書採択は、下記に述べるように竹富町教委に何ら暇庇も法令違反もなく、今回の「是正要求」は、地方教育行政への不当な強権的介入を重ねるものであり、教育の自主性を侵害し、教育の中央集権化を招くものである。よって、今回の是正要求に強く抗議し、直ちに撤回するよう要請する。

                         記

 文科省はこの間、竹富町教委に対し、八重山採択地区協議会(以下協議会という)の「答申と規約に従ってまとめられた協議の結果」に従うよう求めてきたが、この「協議の結果」は、あくまで答申として「育鵬社版」を選定したのであって、竹富町教委はこの答申に拘束されないことは、これまでの文科省見解からも明白である。2011年8月31日、規約に基づき協議会役員会で再協議が行われるが、多数決で竹富町教委に対し、答申通りの採択を要請した。竹富町教委は9月2日、再度「育鵬社版」を不採択とし、協議会に対し再協議を求めた。ところが、協議会会長は8月31日で協議会の業務は終了したと竹富町教委からの要請を拒否したのである。そこで、三市町教育委員長が協議し、文科省、県教委の指導助言のもと、同年9月8日に三市町教育委員会合意のうえで、三市町教育委員全員による協議(以下9.8協議という)が行われ、新たに「東京書籍版」を有効に採択した。この「東京書籍版」採択こそが無償措置法第13条第4項に基づく協議の結果であった。ところが、石垣市、与那国町の両教育委員会教育長の「無効」との通知を受け、中川正春文科相(当時)は「協議は整っていない」(同年9月13日)との判断を示し、その後「石垣市、与那国町は無償給付の対象、竹富町は対象外」(同年10月27日)との見解を示した。このことが、一本化のための協議を拒否する協議会会長(石垣市教育長)や与那国町教育長にお墨付きを与えることとなり、採択地区内一本化の協議を困難にさせ、中断させたのである。その上、自民党政権発足後の2013年3月1日義家弘介文科大臣政務官は、竹富町教委に根拠のない「育鵬社版」の採択を迫り、県教委へも竹富町が「育鵬社版」を採択するよう指導を要請した。さらに、文科大臣は、強権的に同年10月18日、県教委に対し是正要求指示を行った。これらのことが、いっそう三市町教委の新たな協議を阻害し、問題を混乱させている。文科省は、本年1月21日付の県教委からの照会事項への回答で「文科省としても、沖縄県教育委員会の指導の下、三市町の主体的な話し合いによって本件が解決されることを否定するものではないが、……文部科学省として繰り返し指導を行うなどの対応をしてきたにもかかわらず、来年度使用教科書についても、同一の教科書の採択に至らなかったことから今回の是正の要求の指示に至ったものである」と述べている。しかし、文科省が行った指導は、竹富町に対してのみの強権的なものであり、同一になっていない、同一の教科書採択のための協議を拒否する石垣市、与那国町に対しては「同一の教科書の採択を行うよう」な指導は行っていない。このことが三市町教委の主体的な解決を阻害してきた最大の原因となっている。
 また、文科省は、これまで教科書の採択権限は各教育委員会にあるとの立場に立っており、竹富町教委の上記教科書採択についても、「地方公共団体が自ら教科書を購入し、生徒に無償供与することまで法令上禁止されていない」(2011年10月26日、中川正春文科大臣の衆院文部科学委員会での答弁)と表明してきた。文科省自身、竹富町教委の教科書採択行為に違法な点や不適正な点がないことを認めてきたのである。現在、竹富町においては、無償給付の対象外とされたために、住民らの寄付による「東京書籍版」が生徒に無償で配布されており、何ら混乱も不都合も起きていない。かえって、この是正要求そのものが教育現場に混乱を引き起こしている。
 なぜ、三市町教委が異なる採択になったのか。これまで、こんなことは一度もなかった。それは、採択地区協議会会長らが「育鵬社版」選定で恣意的に規約改正や選定の方法を改定してきたことにある。調査員が推薦せず、マイナス評価の多い最低評価の「育鵬社版」が選定答申されたからである。石垣市教委でも意見が分かれ、多数決により「育鵬社版」を採択、竹富町教委では答申を受け入れることはできないと全員で「育鵬社版」を不採択に、調査員の推薦のある「東京書籍版」を採択したのである。協議して同一の教科書を採択することが無償措置法の求めるものであり、協議する際に必要な見地は、何よりも教科書を使う学校現場の意見である。政府も1996年の閣議決定において、「将来は、学校単位の採択の方向を提示」、国際的にはILO・ユネスコの「教員の地位に関する勧告」第61条に「教員は、生徒に最も適した教具および方法を判断する資格を特に有しているので、承認された計画の枠内で、かつ、教育当局の援助を受けて、教材の選択および使用、教科書の選択ならびに教育方法の適用にあたって、不可欠の役割を与えられるものとする」と示している。この見地で、三市町教委が改めて協議をし、同一の教科書を採択することが、地教行法、無償措置法2つの法律に合致する解決の道である。

 以上の経過から、竹富町教委には何ら法律違反はなく、文科省の「(三市町教委の)協議は整っていない」としながら「石垣市、与那国町は無償給付の対象、竹富町は対象外」という措置こそ無償措置法に反しており、是正すべきである。共同採択における無償給付の要件は、答申に従うことでないことは、全国の事例からも明らかである。同一であることが要件である。竹富町教委が無償措置法に違反しているというなら、石垣市教委、与那国町教委も違反していることになる。9.8協議が無効というなら、三市町教育委員会が、改めて、同一の教科書を採択するために協議を行うことが法の求める対応である。
 文科大臣の今回の「是正要求」は、これまでの文科省の不条理な措置を顧みず、国が市町村に対し直接「是正要求」を出す最初の事例となった。教育行政において、最も相応しくない強権をもって国が地方教育行政に対する度重なる介入は断じて許されるものではない。強く抗議するとともに、直ちに撤回することを要請する。                                                  以  上