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2015年1月21日水曜日

1/ 16 東京「君が代」第三次訴訟 地裁判決 累積加重処分取り消しと損害賠償請求棄却の不当判決

1月16日(金)、東京「君が代」第三次訴訟の地裁判決がありました。近藤さんからの報告をアップします。

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◆減給・停職処分26名・31件を取り消す 東京「君が代」三次訴訟地裁判決

1月16日、東京「君が代」裁判第三次訴訟(平成22年(行ウ)第94号 懲戒処分取消等請求事件)の東京地裁判決がありました。東京地裁民事11部佐々木宗啓裁判長は、最高裁判決を踏襲して、「裁量権の逸脱・濫用」として26名・31件の減給・停職処分を取り消しました。しかし、戒告処分の取り消し及び精神的苦痛に対する損害賠償請求を棄却しました。

<判決の主な内容>
 ①減給・停職処分の取り消し 計26名・31件 :
  (内枠:減給1月20件、減給3月件、減給6月7件、停職1月1件、停職3月1件)
  *複数の懲戒処分を受けている原告があり、原告数と件数は一致しない。
 ②戒告処分の取消請求を棄却。
 ③国家賠償請求(精神的苦痛に対する損害賠償請求)を棄却。

判決日には、原告・弁護団・支援者ら約70人が、弁護士会館から裁判所まで行進し、裁判所前の支援者が大きな拍手を送り、励ましてくれました。当日は、130名を超える人が集まり、地裁の大法廷(定員98名)が満杯になりました。せっかく並んだのに、傍聴抽選に外れた人には、お詫び申し上げます。

判決後、地裁前で「一部勝訴」「減給・停職は違法」「31件の処分取消し」の垂れ幕が出されました。しかし、最高裁判決通り「通達を違憲とはいえない」として戒告処分を容認したことに対して失望の声も広がりました。

その後、日比谷図書文化館で報告集会を開催し、判決内容について各弁護士から説明がありました。また、3時から平行して司法記者クラブで記者会見を行いました。

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◆職務命令は「違憲とは言えない」 戒告処分を容認

原告(50名)は、2010年3月の提訴以来、卒・入学式などで「君が代」斉唱時の起立・斉唱、ピアノ伴奏などを処分を振りかざして強制する10・23通達とそれに基づく校長の職務命令は、憲法、教育基本法に違反すること、戒告を含む全ての処分が取り消されるべきこと、を主張して東京地裁で約4年間闘ってきました。

この間、「一次訴訟」の最高裁判決(2012年1月)、「二次訴訟」の最高裁判決(2013年9月)が出されました。

これらの最高裁判決の特徴は、次の通りです。

①校長の職務命令は思想・良心の自由(憲法19条)を「間接的に制約」するが、「違憲とは言えない」としたこと。
②戒告処分を容認したこと。
③「戒告を超えてより重い減給以上の処分を選択することについては,本件事案の性質等を踏まえた慎重な考慮が必要」「処分が重きに失し、社会観念上著しく妥当を欠き、懲戒権者の裁量権の範囲を超え、違法」として減給・停職処分を取り消した。しかし全く不当にも「秩序の維持」の観点から、過去の行動などを理由にNさんの停職3ヶ月の処分を容認(2012年1月16日 最高裁判決)したこと。
④機械的な累積加重処分は「裁量権の逸脱・濫用」であるとして否定した。

原告団は、最高裁判決からの前進を目指して闘ってきましたが、今回の東京地裁判決は、最高裁判決の枠組みを出ることなく、起立する所作は、国際儀礼、慣習で、一般的な社会常識的行為の範疇にある儀礼的所作」「思想・良心の自由の間接的制約となるが、制約を許容できる程度の必要性、合理性がある」ので「憲法19条違反とはいえない」として、戒告処分を容認したこと、学習指導要領の国旗国歌条項を根拠に本件通達、同実施指針が、教師の専門職上の自由を侵害しないとするなど、都教委側の主張に「配慮」した判決となっています。

●被処分者の会HPに判決全文、声明文を速報掲載しましたので、詳しくはそちらをご覧ください。
   ↓
http://www7a.biglobe.ne.jp/~hishobunshanokai/

◆原告団、都教委の双方が高裁に控訴する見込み 闘いの舞台は東京高裁へ

原告団は、原告団臨時総会を開催して、違憲判断と戒告を含む全ての処分の取り消しを求め、控訴して勝利するまで粘 り強く闘いを継続する予定です。

◆三次訴訟判決を受けての都教委要請行動
日時・場所 1月21日(水)
       17時15分 都庁第1庁舎1Fロビー集合
       17 時30分~ 同庁舎25F105会議室
 ●卒業式に向けて、「職務命令出すな、処分するな」の要請書も提出します。

◆以下の裁判の傍聴をお願いします。
★東京「再雇用拒否」第三次訴訟第5回口頭弁論
(東京地裁民事19部。原告3名。2011年再雇用拒否の損害賠償請求。)
 2015年1月22日(木)9時30分 傍聴希望者集合(抽選なし・先着順) 
  10時 開廷 東京地裁527号(定員42名)

★再雇用拒否撤回第二次訴訟・最終弁論(結審)→いよいよ結審!
(東京地裁民事36部、原告23名。07・08・09年再雇用拒否の損害賠償請求。)
 2015年2月9日(月)13時30分 傍聴希望者集合(抽選なし・先着順) 
  14時 開廷  東京地裁103号(大法廷、定員98名)
  報告集会:ハロー貸会議室虎ノ門3F(案内あり)

★東京「君が代」裁判第四次訴訟第4回口頭弁論
(東京地裁民事11部。2010~13年処分取消請求、原告14名)
 2015年2月20日(金)
  15時30分 傍聴希望者集合(抽選未定 裁判所前で案内あり) 
  16時 開廷 東京地裁527号(定員42名) 
  報告集会:ハロー貸会議室虎ノ門3F(案内あり)

◆1/17 朝日新聞報道

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2015年1月14日水曜日

緊急のお知らせ! 1/ 16 東京「君が代」裁判三次訴訟判決に結集を!

◆東京「君が代」裁判第三次訴訟の判決・言い渡し
 被処分者の会・近藤徹さんからアピールが寄せられましたのでアップします。

・卒業式・入学式などで「日の丸・君が代」を強制する東京都教育委員会通達(2003年10月23日付通達、以下10・23通達)によってこれまで延べ463名の教職員が懲戒処分を受けています。

・これに関して、2007年~2009年に周年行事・卒業式、入学式で処分された都立学校教職員(原告50名)の処分取消を求めた事件(東京「君が代」裁判・三次訴訟)で今週の1月16日(金)に東京地裁で判決が言い渡されます(東京地裁民事11部・佐々木宗啓裁判長)。

この訴訟は、減給処分(1名)を取り消した2012年1月16日の「一次訴訟」の最高裁判決、減給・停職処分(21名・22件)を取り消した2013年9月6日の「二次訴訟」の最高裁判決に続く「三次訴訟」です。

皆さんの傍聴・支援をお願いいたします。当日、12時15分より、弁護士会館から裁判所まで行進しますので参加して下さい(当日の行動の詳細は下にあります)。

●東京「君が代」裁判第三次訴訟
<主な請求事項>
 1.懲戒処分(戒告、減給、停職)の取り消し 2.精神的苦痛に対する損害賠償(1件55万円)
 *2007年3月~2009年5月までの周年行事・卒業式・入学式に係わる懲戒処分取消請求。

<原告数> 50名(都立高校、都立特別支援学校 現・元教職員)

<懲戒処分内訳(件数)> *複数の懲戒処分を受けている原告があり、原告数と件数は一致しない。
 戒告   25件
 減給1月 20件  減給3月 2件  減給6月 7件
 停職1月  1件  停職3月 1件
*仮に最高裁判決通り減給・停職処分(26名・31件)が取り消されれば、1件の訴訟としては、過去最大の処分取消数になる。

<傍聴締め切り>1月16日(金)
  12時15分 原告・支援者弁護士会館集合→裁判所へ行進
  12時50分 傍聴整理券交付〆切 
  13時10分 開廷
  東京地裁103号(大法廷定員98名)
  *早めにお出で下さい。旗出しがあるので傍聴抽選に外れた方も裁判所前でお待ちください。

<報告集会> 
 千代田区立日比谷図書文化館(日比谷公園内)  14時30分(予定)

  ●記者会見 15時 司法記者クラブ(裁判所2F)

◆三次訴訟判決を受けての都教委要請行動に参加してください!!

★判決を受けての都教委要請行動
日時・場所 1月21日(水)17時15分 都庁第1庁舎1Fロビー集合
              17 時30分~ 同庁舎10F105会議室
卒業式に向けて、「職務命令出すな、処分するな」の要請書も提出します。

◆以下の裁判の傍聴を予定しておいて下さい。
★東京「再雇用拒否」第三次訴訟第4回口頭弁論
(東京地裁民事19部。原告3名。2011年再雇用拒否の損害賠償請求。)
 2015年1月22日(木)
 9時30分 傍聴希望者集合(抽選なし・先着順) 10時 開廷 地裁527号法廷

★再雇用拒否撤回第二次訴訟・最終弁論(結審)→いよいよ結審!
(東京地裁民事36部、原告23名。07・08・09年再雇用拒否の損害賠償請求。)
 2015年2月9日(月)
 13時30分 傍聴希望者集合(先着順) 14時 開廷 地裁103号法廷
  報告集会:ハロー貸会議室虎ノ門3F(案内あり)

★東京「君が代」裁判第四次訴訟第4回口頭弁論
(東京地裁民事11部。2010~13年処分取消請求、原告14名)
 2015年2月20日(金)15時30分 傍聴希望者集合(抽選未定) 
  16時 開廷 地裁527号法廷(定員42名) 
  報告集会:ハロー貸会議室虎ノ門3F(案内あり)

2015年1月12日月曜日

2015年1/ 8  都教委定例会傍聴記 根津さんの報告

●根津公子の都教委傍聴記(2015.1.8)

<質問への回答がなくても議案に賛成するのはなぜ? >

 

 ◆2015年第1回定例会

竹花、山口教育委員は欠席だったが、その理由は今日も明らかにされなかった。

公開議案は 1.「東京都立学校の管理運営に関する規則の一部を改正する規則の制定について」、 
      2.「第三次東京都子供読書活動推進計画中間まとめについて」。                                                                                                                                    公開議案iには今日も教員の懲戒処分が4件、報告にも教員の懲戒処分(件数不明)が上がっていた。

1.について。教育委員会が行う教科書採択の対象は、現行では文科省検定済教科書・文科省著作教科書であるが、新たにその対象に、教科書が発行されていない各教科・科目の主たる教材(教科用図書=現行では準教科書)を加える。そのために、「東京都立学校の管理運営に関する規則」第19条を「改正」するというもの。

全文 レイバーネットにアップしてあります。
 http://www.labornetjp.org/news/2015/0108nezu

2015年1月11日日曜日

2/8 総決起集会にご賛同・ご参加ください。

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都教委の防災訓練に名を借りた自衛隊隊内訓練の推進を暴くブックレット(9)

「8、銃剣道による自衛隊へのこどもたちの取り込みは許されない!」
                中川信明(練馬教育問題交流会)

<国体で出場する高校生の「銃剣道」>
 「2013年、東京で国民体育大会(・・)が開催されました。・・・練馬区総合体育館においては、銃剣道が行われました。銃剣道は、銃剣を模した木銃で突き合う競技で、『成年男子の部』と『少年男子の部』が行われました。・・『成年男子の部』の選手というのは自衛隊員なのです。
 一方、『少年の部』は、高校生たちが参加しました。たとえば、東京都代表の選手たちは、都立光丘高校2名と都立北豊島工業高校1名で構成されていました。
 しかし、都立光丘高校には銃剣道部はありません。出場の2名は剣道部の部員であり、 1年生の時から、元自衛隊員から指導を受けていたようです。
 宿泊防災訓練と同様、ここでも都立高校生徒と自衛隊の接触がはかられているのです。」

<戦技として発展した銃剣道>
 「銃剣道は、・・『左胸部』と『のど』を突いて勝敗を競う武道です。つまり、相手を疑似的に死に至らせた方が勝利ということなのです。・・
  銃剣道のルーツをたどりますと、明治初頭に陸軍戸山学校で戦技として編み出されたことが明白になっています。(「銃剣術」と呼ばれた)・・・」

 「銃剣自体はアジア太平洋戦争における白兵戦や民衆虐殺に大いに利用され、それゆえ銃剣術は戦後GHQによって禁止されました。・・ しかし、その後、銃剣道と名を改めて、自衛隊によって復活させられます。
 ・・『昭和31年、旧陸軍戸山学校出身者が中心となり、全日本銃剣道連盟が発足しました。陸海軍を問わず、旧軍で盛んに行われた銃剣術が自衛隊で訓練採用され、普通科部隊を中心に、銃剣道の訓練が始められました。・・」

 「さらに、銃剣道は自衛隊内にとどまらず、スポーツの装いが施され、1973年には全日本銃剣道連盟の日本体育協会加盟が承認され、1980年から国体の正式種目となりました。しかしながら、いまだに競技人口の約8割は現役もしくは元自衛隊員で・・・国体『成年男子部』では、選手も監督も審判も、リハーサル大会では場内アナウンスまでもが自衛隊員であるという状況でした。」

 「もちろん、自衛隊内の訓練として銃剣道は続けられ、インターネットで『銃剣道』を検索するとユーチューブ・・・剣道大会の映像を観ることができます。そして自衛隊においては、銃剣道の他に『銃剣格闘』という本物の銃剣を使用した訓練も行われています(2008年以降は、新格闘・武装技術という名称に代わっているようですが) ・・」

<自衛隊のリクルートの一環として子どもや高校生を指導>
 「・・自衛隊駐屯地内の道場やスポーツ少年団で、子どもたちは銃剣道を指導されています。
 小学生には銃剣道の前段階として短剣道も教えられております。・・」                      「高校生は国体で『少年男子の部』に出場し、東京都代表は都立高校生でした。一方、同時に出場した神奈川の代表は横浜修悠館高校の生徒でした。ところが、彼らはすべて同校通信制に所属する陸上自衛隊高等工科学校の生徒、つまり少年自衛官でした。・・・このような銃剣道の試合は、普通の高校生と少年自衛官が同じ土俵に立つ場でもあるのです。」

 「そして、銃剣道を広めていくために、その『戦技色』隠しに必死です。たとえば、 国体のパンフレットやHPには、銃剣道の由来として次のように書かれています。
 『銃剣道は、わが国の伝統的古武道の一つである槍(やり)の突き技を源流とした武道です』と。
 ・・陸軍で生まれ戦技として発展してきたことは、銃剣道連盟関係者自身が明らかにしているところです。・・・」

 「そして2012年より中学校の武道必修化を文科省が決定し実施しています。今のところ、武道は『柔道、剣道、相撲』の内一つが原則ですが、『なぎなたなど他の武道』も選択してよいことになっています。
 『その他』の武道の中には、銃剣道も含まれています。・・・銃剣道が、武道科目として中学校に採用されることを絶対に許してはなりません。」

<高校生の取り込み(リクルート)を許してはならない>
 「・・今回、都立大島高校の生徒たちを防災訓練のため送り出そうとしている、陸上自衛隊武山駐屯地には、前述の陸上自衛隊高等工科学校があります。
 おそらく、この防災訓練中には、同校生と大島高校生徒の交流も企てられるのではないでしょうか(・・・)。訓練内容よりもこのような同年代の高校生同士の交流が、 リクルートのためにも役立つのかもしれません。・・」

 「銃剣道にしろ、防災訓練にしろ、『軍事色』『戦争色』を隠した上での、子どもたち・高校生の取り込み(リクルート)策なのです。しかし、実際の自衛隊は、集団的自衛権容認や特定秘密保護法の施行によって、
水面下で『軍事化』『戦時下』が進行しています。・・その矛盾をしっかり見すえつつ、反対運動をより一層強めていかなければなりません。」
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ここでは、戦後禁止された「銃剣術」がその後「銃剣道」と名をかえ復活し、連盟を立ち上げ(1956年)、日本体育協会にも加盟(1973年)し、国体の正式種目(1980年)となり、小中高校生、とりわけ中高生の間に浸透させられている状況が述べられています。

そうして、最後に結論が述べられています。
この結論は、現在進行してる実際の状況を的確に言い表していると思います。

以上で、パンフの紹介は終わりですが、改めて、現政府は、「国益」と称して、世界中に進出している現代の財閥=独占資本の利益のために、青少年に再び銃を持たせ戦場に送ろうとしていることが明らかになったと思います。つまり、若者が再び悲惨な侵略戦争にかり出されようとしています。

したがって、「教え子を(あるいは若者を)再び戦場に送るな!」というスローガンは、けっして過去のものではありません。まさに今こそ、高く掲げるべき時だと言えるでしょう。

都教委の防災訓練に名を借りた自衛隊隊内訓練の推進を暴くブックレット(8)

 「7、東京都総合防災訓練とこれへの児童・生徒の参加」です。
    (米軍・自衛隊参加の東京都総合防災訓練に反対する実行委員会)

<ビッグレスキュー東京」を覚えていますか>(略)

<形を変えながら続けられる東京都総合防災訓練>

 「・・ビッグレスキュー以降、毎年、都内各地でこの総合防災訓練が 行われてきています。        2001年に八王子・立川、2002年に練馬、 2003年に日野、2004年に荒川・墨田・台東、2005年に町田、 2006年に足立、2007年に昭島・福生など、2008年に中央・江東、 2009年に調布市・世田谷区、2010年に文京区、2011年に小金井・小平など、 2012年に目黒区、2013年にあきる野市、そして2014年は杉並区という具合です。
 ・・以前は9月第一週の土曜日、現在では8月の最週の土曜に・・ 。訓練の中身は帰宅困難者訓(・・)・・道路啓開訓練(・・)・・ヘリコプター支援(・・)・・木造建築物密集地域(・・)など・・・・自らを守る自助や、地域の住民やボランティアなどの地域の助け合いで守るという共助を強め、公助の色彩を弱める方向に進んでいるようです。

 ・・自衛隊の参加は陸・海・空の三自衛隊員が7100人参加をした2000年の総合防災訓練と比べると2014年の総合防災訓練は約300名参加と自衛隊の参加人数は減りました。これは2004年に国民保護法を含む武力攻撃事態対処関連三法案が成立し、国民保護法名目での訓練を行えるようになったり、2012年に23区で陸上自衛隊の災害対処訓練ができるといったように、東京都総合防災訓練という形ではなくても自衛隊が訓練に参加できるようになったからではないかと分析しています。それにも関わらず自衛隊が・・参加するのには、 2006年から米軍が参加するなど、東京都総合防災訓練でしか実現できない面があるからだと思われます。
 このような米軍・自衛隊参加の総合防災訓練に反対するために、毎年、実行委員会を立ち上げ、東京都や会場の自治体に対しての行政交渉、訓練当日の監視行動(・・)、抗議情宣とデモ活動、報告パンフレット作りなどに取り組んできました。・・」

<東京都総合防災訓練への児童・生徒の参加>

 「・・児童や生徒の参加に関しては都立高校の生徒の参加が中心であり、市区町村の小学生や中学生の参加はそれほど多くありません。・・・・・なぜ小学生や中学生の参加が都立高校と比べると少ないのかは推測が入りますが、防災訓練の日程や概要が固まり、各区市町村教育委員会から各小学校や中学校に依頼をするころにはすでに学校行事等の予定が入っており、動かせないという事情があると思われます。・・」

<児童・生徒、高校生の参加の形態>

 「・・2012年の目黒区では、区内小学生120人、区内中学生120人の参加を予定していたのですが、実際の参加者としては小学生87人、中学生42人にとどまっています。・・・
 ・・・都立高校の生徒の参加は常に一定数あります。・・・小学生・中学生参加の場合より意思疎通がしやすいという要素があげられます。 また東京都が改正教育基本法に基づく『ボランティア活動など社会奉仕体験活動』 を積極的に進めており、2007年すべての都立高校必修として奉仕という教科が作られた影響は大きいのではないでしょうか。」

<トリアージ訓練は軍事訓練の一環>

 「・・2010年の文京区の場合、都立小白川高校・中等教育学校がトリアージ訓練の会場として使われ157名の生徒が『ボランティア活動など社会奉仕体験』活動の一環として参加しました。・・トリアージは大事故や大規模災害など多数の傷病者が 発生した際において、救助の順序を決めるため、傷病者が医療資源を超えてしまう野戦病院において行われてきており、軍事色が極めて強いものです。
 会場には陸上自衛隊第一後方支援連帯の看板を付けた大きなテントが張られるなど、さながら野戦病院のような雰囲気の中、傷病者として特殊メークを施された上、重傷や軽傷などけがの程度を著すトリアージタグをつけて担架で運ばれる様子は一種異様な光景でした。・・・」

<自治体独自の私立学校への協力依頼>(略)

<自衛隊の本質と児童・生徒との関わり>

 「・・集団的自衛権行使の閣議決定により、海外での戦闘行為によって自衛隊員が殺し、また殺される状況に突入したといわざるをえません。
  そのような状況下で自衛隊員の募集はこれまでと違う困難さが出てくることになります。それを補う機会として東京都総合防災訓練を通じてのリクルート活動に力を入れる可能性があると考えられます。
  現在の東京都総合防災訓練でも各自衛隊がテントを出し、防災とは直接関係ないパンフレットや勧誘チラシを配布しています。展示場所で子どもに対して迷彩服を試着しての記念写真を撮るなど自衛隊の好感度アップの宣伝等もなされています。
 東京都防災訓練でもらったチラシが元で自衛隊に入隊し、戦死したりする状況が今後おきるかもしれません。」
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ここでは「総合防災訓練」なるものが、単なる地震や火災などのためのものではなく、戦前の防空訓練にも匹敵するようなものになっていることがわかります。
とくに、自衛隊の参加により、「戦争を前提とした訓練」になっていることが容易に見て取れます。
したがって、児童・生徒の参加を見ても高校生が中心になっています。同時にこの機会が自衛隊の宣伝と募集活動に使われています。

昨年7月1日の「集団的自衛権行使容認」の閣議決定は、「積極的平和主義」の名のもとでの「戦争容認」の決定であったことがよくわかります。

次回は、「8、銃剣道による自衛隊へのこどもたちの取り込みは許されない!」、です。

2015年1月10日土曜日

都教委の防災訓練に名を借りた自衛隊隊内訓練の推進を暴くブックレット(7)

「6、都立大島高校の『宿泊防災訓練』」です。


 2014年は都立大島高校が自衛隊施設での宿泊防災訓練を実施することになりました。
・・・4月28日付、・・校長名で『申込書』が提出されています。・・この『申込書』の中で、校長は、大島の災害の際に、『自衛隊等の国の機関の行動は町中の人が感謝している』 ことを示しています。・・・

ここで問題なのは、
(1)大島の災害復興に貢献したのは自衛隊だけではありません。消防署員や警察官等も大きな役割をたしています。ところがここでは自衛隊のみが強調されています。
(2)・・校長は、学校が災害時に避難場所になるだろうことを前提に自衛隊との連携の 役割を生徒にめ、その訓練をする趣旨のことを書いています。・・
  このように考えるならば、大島高校の自衛隊駐屯地での訓練は、その目的が曖昧であるだけでなく、むしろ違うところにその目的があると考えるべきです。(永井栄俊)

<自衛隊駐屯地での「宿泊防災訓練」を阻止するためにー大島高校をめぐる動きを中心に>    種田和敏(自衛隊をウオッチする市民の会事務局長・弁護士)

・東京新聞が大島高校の自衛隊訓練を報道
  「2014年7月10日の東京新聞の夕刊に、都教委(短縮)の定例会において、大島高校の2年生33人が2014年11月26日から28日までの二泊三日の日程で、陸上自衛隊武山駐屯地(神奈川県横須賀市)において、宿泊防災訓練を行うことの発表を報じました。・・」

・田無工業高校の自衛隊訓練の延長線上に大島高校の訓練もある
「・・田無高高校での宿泊訓練で明らかになったことは、同訓練が防災訓練とは名ばかりで、実態は自衛隊の広報活動の一環であり、特に対象が高校生であることからして、
 募集広報活動の色彩が強いものであるということです。・・また、訓練の内容においても、通常の防災訓練で行われる救急救命技術の教示などはわずかに限られ、消防学校では取得できる救急救命の資格も得ることができません。
 他方、更新訓練やベッドメイク、非常呼集など、通常の隊内生活体験で実施されるメニューもそのまま残った状態で実施されました。・・・
 ・・このような実態を目のあたりにし、・・・自衛隊の基地の中で、高校生を招き入れて、しかも希望者に限定するのではなく、学校行事の一環として参加を強制する、この訓練を許すわけにはいきません。」

・八月に大島町で自衛隊での防災訓練について講演
 「・・そんな折、大島町の中でも具体的な動きがあり、これまでの訓練の概要も含め、 今後どのような運動をするべきかを考える上で、まずは学習会をしたいという要望が当会に寄せられました。
 そこで私・種田が、2014年8月24日午後、大島で講演をすることになりました。
講演には50名近くの方が集まりました。人口約8000人の島ですが、集客は予想よりも多く、この問題に対する関心の高さをうかがわせました。・・」

・大島町民からは反対運動の提起がだされた
 「講演後の質疑応答では、当初主催者の方からは大島の人はおとなしい人が多いから、何も質問がでないかもしれないというお話がありましたが、ふたをあければ正反対でした。
『私も』『私も』という勢いで、予定時間を大幅に超えて質疑応答が続きました。
 特に印象的だったのは、自分たちの立場で、今、何ができるのか、何をすべきなのかを真剣に考えているからこそ出る質問が多かったことです。
訓練のおかしさに気づき、自衛隊には震災での感謝の念もあるものの、おかしなことにはおかしいと言おうという気概が強く感じられました。
 最終的には、『校長に電話をしよう』、『校長にみんなで面談の申し入れをしよう』、などと具体的な行動提起になっていました。・・
 やはり、地元の声は大切です。地元が声を上げなければ大島高校の校長にも声は届かないでしょう。地元が声をあげれば、その声を教育委員会も校長も無視できないでしょう。そして、地元、生徒、保護者が一体となって『おかしい』と声をあげ、それを支援する人の輪がいろいろなところで広がれば、理不尽なことを阻止できると思います。
・・高校生を自衛隊の基地で泊まらせたからといって、戦争に子どもを行かせることに直結するわけではないという意見もあるでしょう。
 しかし、戦争の足音は大きくなってこれはまずいという段階に至れば、すぐに止められるような代物ではありません。・・・
 なお、大島からの報告によると、住民の皆さんが大島高校の校長に対し、各種アプローチで自衛隊と連携した宿泊訓練をやめるよう働きかけた結果、同校長は、今年度(2014年度)については実施が決定しているので、いまになってやめることはできないが、来年度(2015年度)については、自衛隊と連携した宿泊訓練はやらないと職員会議で公式に表明したとのことです。・・」
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ここでは、大島における住民たちの反対運動が述べてあります。そして、「おとなしい」と思われていた大島の人たちが、次々に声を上げたことが述べられています。
これは決して例外ではないと思います。歴史ではこういうことはよく起こります。人間はそれほど変わりはありません。いつの時代でも、またどの国・地域でも、人民大衆こそ歴史を動かす原動力であり、主人公なのだと思います。

次回は、「7、東京都総合防災訓練とこれへの児童・生徒の参加」です。

6、都立大島高校の『宿泊防災訓練』です。

 「2014年は都立大島高校が自衛隊施設での宿泊防災訓練を実施することになりました。

都教委の防災訓練に名を借りた自衛隊隊内訓練の推進を暴くブックレット(6)

■あけましておめでとうございます。今年はあらゆる意味で大変な年になります。安倍内閣を許さず、都教委を許さず闘いましょう。

自衛隊での宿泊訓練パンフの続きです。

「5、沸き上がる自衛隊の「宿泊防災訓練」への抗議・反対運動の取り組み」
   (ここでは三つの団体の取り組みが紹介されています。)

<「自衛隊をウォッチする市民の会」の取り組み>
 ・有志59名で東京都に監査請求を行った。
  「2014年7月25日、東京都監査委員に対し、都教委(短縮)が自衛隊と連携して、2013年7月に都立田  無工業高校の生徒をして陸上自衛隊朝霞駐屯地で二泊三日の宿泊防災訓練を実施したことに関し、防災 訓練とは名ばかりで、実態は自衛隊の広報活動ひいては募集広報であるので、不当かつ違法だとして、
 都教委が同訓練に支出した費用の返還を求めて、住民監査を申し立てました。
  これに対し、東京都監査委員会は、不当かつ違法だとする理由が具体的でないし、客観的でもないとして、却下する決定を行いました。」

 ・監査請求「却下」は違法である。
  「・・『却下』は請求の要件をみたしていない場合に行われるもの・・しかし、一般的に不当・違法だとする 理由が具体的かつ客観的であるという点が住民監査請求の要件に挙げられてはいないため、今回の却下 決定は違法です。
  ・・請求者に権利として認められている意見陳述の機会や証拠の提出といった手続きを経なければ、そも そも判断できないものであります。それにもかかわらず、今回はそれらの手続きも一切経ていません。・・」
  「・・今回の『却下』決定に対する異議申し立ては、裁判所に住民訴訟を提訴するこ  としか途はありま せん。しかし、当会は運動的にみて、この時期に裁判を起こすより  も、さらなる世論換起をうながして、  直近で予定されている大島高校の武山駐屯地で  の宿泊訓練に対する反対運動の声を強めていくこと  が、平和憲法を護り、決して子ど  もたちを戦場に送らない歩に資すると判断しました。」

<都教委包囲首都圏ネットワークの取り組み>
 ・学校への抗議行動を開始しました。
  「2013年9月17日に学校に出向いて抗議の申し入れ・・・、10月2日に学校宛の『公開質問書』を提出して 話し合いを要求・・
  この件も含めた都教委の攻撃に対する抗議ならびに闘いの方針提起の集会(「もう黙っていられない10・ 27集会」)を開催・・」

 ・田無工業高校の校長に自衛隊訓練中止を迫る
  「11月19日、・・学校を訪れ、校長と話し合ったのは7人。池上信行校長(同席・  経営企画室長)が対  応しました。当日は、すでに提出していた『質問書』に対する『回答』とともに、二時間近く意見を交わしまし た。 ・・しかし校長は、『自衛隊がなぜ問題なのか全く理解できない』し、『整列、行進』なども常々学校で もやっているものだから、『なぜいけないのか』というだけでした。せいぜいが『非常呼集』が軍隊用語をい うなら、今後検討すると答えただけで、まさに『糠にくぎ』の状態でありました。
  ・・田無工業高校は、11月23日にあきる野市で開催された東京都防災訓練に、遠方にもかかわらず特例 的に参加を許され、生徒たちは、またしても『避難経路』を示す地域のジオラマ展示などに再動員されまし た。・・
  ・・私たちは、・・その後も学校説明会や卒業式にあわせて校門前でのビラまきを続けました。しかし今年 (2014年)2月、・・二年生全員を対象に、・・(BumBでの)  ・・自衛隊指導による宿泊訓練を強行しまし た。」

<ふぇみん婦人民主クラブの取り組み>
 ・新聞報道で知り、ただちに行動
  「・・新聞報道を見た私たちは、ただちに防衛省と都教委に抗議文を出しました。
  都教委からの回答を受け、再度の請願書と質問書をだし、直接面会の申し入れも行いました。今回の都 立大島高校の場合を含め、これまでに四回の請願書をだしています。また、教育系労組、市民団体やマス コミにもその旨を知らせ、取り組みを要請してきました。」

 ・語り継がれてきた戦争体験と平和への思い
  「ふぇみん婦人民主クラブは、敗戦の翌年の1946年に結成され、平和問題を柱に女性の人権、環境危  機などの活動に取り組み、新聞『ふぇみん』を発行し続け今日に至  っています。・・・
  この7月1日に、集団的自衛権行使容認の閣議決定が行われたことに対して、ふぇみん定例句会で『集  団的自衛権 また若ものを 死地へと煽る』と、その胸の内を詠んでいました。」

 ・「防災訓練」の名のもとで行われていること
  「2000年9月、石原都知事(当時)は『ビッグレスキュー東京2000~首都を救え~』 と題した総合防災訓 練を自衛隊7000人以上の参加で行ったのです。
  この時、多勢の迷彩服の自衛隊員が銀座の街にあふれました。そして、四丁目の交差点を『首都の防  衛を担う』役割を持つとされる陸上自衛隊第一師団(練馬駐屯地所属)の装甲車が走り抜ける光景を見ま した。・・」

 「2014年3月5日号の『ふぇみん』には、『フィリピンを襲った台風の災害支援に1000人の自衛隊が派遣され たが、支援に乗じて比・日・米三軍による軍事演習も同時に行った』とあります。・・・自衛隊の主任務は国 家の防衛ということになっており、・・・災害支援はあくまでも付随的な任務という位置づけ・・・『防災訓練』 『災害支援』でも、『軍事組織』という本来の役割が顔をだしがちなことには注意が必要ではないでしょう   か?」

なぜ自衛隊?都教委の回答が示すもの
 「都教委は『なぜ連続して自衛隊を訓練場所に選ぶのか』との私たちの質問に『災害発 生時に中核的な役割を担うから』と答えています。
 さらに『なぜ駐屯地で行うのか』には『自衛隊員から防災に係わる知識や技術を体験的 に学ぶだけでなく、集団での規律やルールを学び・・・』と回答しました。
 『訓練の評価は?』の回答にも『集団の秩序とリーダーシップの在り方について学習し た。このことはまさに災害復旧の中心となって活動した自衛隊員から指導を受けたから こそできたものといえる』と述べました。
  このように都教委は、この防災訓練で『集団行動』を重視しているのです。これはかつての軍国主義教育でみられたことと変わりません。・・・
  『自衛隊は都教委側からの働きかけで宿泊防災訓練を行ったと聞くが、これが事実だ とすれば教育の政治的中立性をみずから逸脱したものと考えるがどうか』 の質問には、 ・・『インフラが壊滅した状態でも、物資や燃料等を独自に調達し、その能力を大いに 発揮し、被災者住民から感謝されたことは周知の事実である。
 災害発生時に中核的役割を担う自衛隊から、生徒が学ぶことは有意義である』と、あたかも自衛隊の宣伝隊のような回答ぶりでした。
  しかし、自衛官の自殺は一般公務員の1・5倍と高いことが伝えられています。・・・・こうした事実を、都教委はどう受け止めているのでしょうか。・・
 『日の丸・君が代』の強制に始まる都教委の思想・信条を侵害するふるまいは、今も記憶に新しいものです。そして今回、自衛隊への急接近にも広範な市民による注視と批判は不可欠だと思います。」
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このように、反対行動が起きる中で、
前回の「彼らの真の狙い」と同時に、今回の<・なぜ自衛隊? 都教委の回答が示すもの>に見られるように、都教委が「防災訓練」の名目の下に、自衛隊での「宿泊防災訓練」を正当化している、 こともよくわかります。
行き着くところ、自衛隊における全都立高校の「宿泊訓練」であり、学校における「自衛隊員による指導と訓練」、ということさえ否定できません。

次回は、「6、都立大島高校の『宿泊防災訓練』」です。