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2013年7月31日水曜日

6/29 都高教の「教科書採択」への不当介入抗議声明

■東京都高等学校教職員組合の声明です。

Image2都高教

神奈川教科書問題での高嶋伸欣さんからの情報

■神奈川県教委が校長を呼んで実教出版の日本史教科書のす選定を変更するように求めた件

◆高嶋さんからの情報と、高嶋さんの県教委への要請文

★県教委に呼ばれた校長が、教員会議の場で「その記述が県教委の見解とちがう」し、「もし採択をすれば街宣車が学校に押しかけて来る恐れがある」などの理由を挙げて、選定を変更するように求められたと説明をしたそうです。

「街宣車云々」という理由づけは、昨年の都教委の論法と同じですが、暴力に屈服するようにと公的機関の教委自身が圧力を加えているのですから、神奈川県教委もここまで堕落したのか、という思いです。

それに、そのように言われて言い返した様子のない校長のありようも情けない限りです。強いものであれば理不尽なものであっても簡単に屈してしまうような校長や教委に、いじめを防げるはずもなく、学校で子供や生徒は守られているのだろうか、と心配になります。

このような校長であれば、配慮は無用で、教委のいいなりになった場合は、教委と共に校長を被告とする裁判を用意しても良いとさえ思えます。

ともあれ、まだ神奈川県内では、各高校と県教委との閒でやり取りが続いている途中ですから、県教委への抗議行動など、できるところからの取り組みが必要と思います。
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神奈川県教委
教育局 指導部 高校教育指導課へのお問い合わせフォーム
https://cgi.pref.kanagawa.jp/ques/questionnaire.php?openid=1268466511&check

◆高嶋伸欣さんが提出した要請

実教版歴史教科書の問題で、神奈川県教委は、各高校にこれを選定しないように働きかけはしないでください。それは、教育現場の取り組みを否定するものであり、教育内容に介入するものです。

県教委に呼ばれた校長が、会議の場で「その記述が県教委の見解とちがう」し、「もし採択をすれば街宣車が学校に押しかけて来る恐れがある」などの理由を挙げて、選定を変更するように求められたとうかがっています。

「街宣車云々」という理由づけは、暴力に屈服するようにと公的機関の教委自身が圧力を加えている事となります。それは「街宣車」の側を後押しするものとなります。このことを即刻取り消してください。
そして、各学校の教科書選定を尊重することを明らかにし、各学校に通知してください。
そうでないと、神奈川県教委もここまで堕落したのかと、私は判断せざるを得ません。
回答をお願いします。

◆東京新聞7月29日の報道

Image2神奈川

2013年7月30日火曜日

7/27「赤旗」土曜版記事 「 原告団と弁護士の記者会見」

■7月27日の記者会見については、最高裁要請行動の報告にも触れられていました。
そこでの澤藤弁護士の意見について、若干異議ありの意見が、Wさんから出されましたのでアップします。

◆赤旗記事の紹介
<東京の「君が代」裁判、処分取り消し 新手たに25人30件、確定 原告団・弁護団が会見>という記事が載りました。その中では、次のような記述がありました。

 「同原告団によると、東京「君が代」裁判2次訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷は12日、原告・被告双方の上告受理申し立てに対する不受理決定を出しました。
 これによって同訴訟の原告62人のうち21人、22件の減給・停職処分を取り消し、戒告処分を適法とした東京高裁の判断が確定しました。ほかにも同種の複数の裁判で4人、8件の減給・停職処分の取り消しが確定しました。

 弁護団の澤藤統一郎副団長は「都教育委員会のやっていたことは違法だということが確定した意味は極めて大きい。都教委はどう責任をとるんだというのが私たちの気持ちだ」と語りました。」

▼Wさんの、澤藤弁護士の意見への異議
 「確かに、多くの方の減給・停職処分が取り消される見通しになったことは前進でしょう。しかし、根津さんの停職処分は取り消されません。また、田中聡史さんもこの春、戒告を超える「減給10分の1、1ヶ月」の処分を二回受けています。
 しかも、「戒告処分を適法とした東京高裁の判断が確定しました」とありますので、澤藤さんのように単純に、「都教育委員会のやっていたことは違法だということが確定した意味は極めて大きい。」とは言えないでしょう。

 むしろ、戒告であれ処分を適法としていることが問題なのです。なぜなら都教委は、実教出版教科書排除でも、それを最大限利用しているではありませんか。

「日の丸・君が代」強制は単に教職員個人の「思想・良心の自由」が問題なのではなく、本質的には「教え子を再び戦場に送る」かどうかが、教職員に問われている問題なのだと思います。
 ということは、たとえ処分がなくなっても、生徒全員がほとんど何の疑問も持たなくなれば、それは戦前の二の舞ということになるでしょうから。

7/26 最高裁要請行動報告大法廷を開き、口頭弁論を行い、十分に審理を尽くせ!

■7月26日(金)午後、被処分の会の呼びかけで、2回目の最高裁に要請行動を行いました。その報告がさんから寄せられまし たのでアップします。

◆最高裁要請行動
★最高裁に係属していた6件の君が代関連裁判のうち、河原井さんの国賠請求は上告棄却の通知が来て(7月16日勝訴確定)、残りの5件はすべて9月上旬に判決期日が指定されました。
 9月5日(木)第1小法廷
  14:00~ 東京小中「君が代」裁判
  15:30~ 近藤順一さん累積加重処分取消裁判
 9月6日(金)第2小法廷
  14:00~ 東京「君が代」裁判第2次訴訟
  15:30~ 米山さん処分取消請求&非常勤教員合格取消撤回訴訟
 9月10日(火)第3小法廷
  14:00~ 都障労組04年処分取消請求訴訟
期日指定された5件は、いずれも高裁判決が確定してしまいそうですが、あくまで大法廷を開いて、口頭弁論を行い、十分に審理を尽くして、憲法判断を行うよう、最高裁に対して求め続けなければなりません。

◆司法記者クラブでの記者会見
★この日は、それに先だって午前中に、司法記者クラブで、東京「君が代」裁判2次訴訟の原告団と弁護団による、記者会見が行われました。
 期日指定が9月6日に入ったことと、そのことは22件21人というこれまでにない規模の処分取消が確定したことも意味するなどを、予告の意味も兼ねてレクチャーするものでした。
 9社が参加して活発な質問も出ましたが、翌日(7/27)即記事にしてくれたのは『しんぶん赤旗』1紙でした。

◆午後からは、最高裁判所東門前に


★上告中の5件のうち3件の裁判の原告とそれを支援する教育関係者・一般市民が、40人近く集まりました。学校が夏休みに入ったこともあり、休暇を取って参加した現職教員の姿も目立ちました。

その中から、最高裁の中には、17名が入りました。
最初に被処分者の会が集めた「司法の良心を示す判決を要請します」という署名用紙の束が、岩木俊一被処分者の会共同代表から提出されました。
 団体署名70筆(累計151筆)
 個人署名2867筆(累計7529筆)
次に、近藤徹被処分者の会事務局長から、要請の主旨が述べられました。

★続いて、4人の上告人による4通の要請文が、読み上げて提出されました。
○都立高Aさん:都教委が、最高裁判決を口実として、教科書採択に介入したり、再発防止研修を強化してきていることのおかしさを訴え、改めて2次訴訟で公正な判決がなされるよう要請しました。
○都立高Bさん:最高裁判決を曲解した都教委による再発防止研修の精神的苦痛から受講者を解放することと、国際人権を裁判規範として適用することの2点を要請しました。
○都立高Cさん:減給処分が取り消されても、主任教諭に合格しても取り消されたり、3年の担任に持ち上がれずに外されたり、職務上の不利益が厳然と存在し、生徒にとっての教育環境も悪化していることを訴えました。
○特別支援学校Dさん:「10.23通達」は「日の丸・君が代」の強制と言うより、子どもたちの自発的な活動や、学校の教育活動への干渉・強制であり、教育の本質が変えられたことを訴えました。

★この後、4名の参加者から意見表明がありました。
○区立中Eさん:裁判所が、十分な審理を尽くさないまま、分断判決を出し続け差別が固定化していくことの問題性。
○都立高Fさん:授業内容が週案でチェックされ、自由闊達な教育ができにくくなっている教育現場の実態を、裁判所は知って欲しい。
○都立高Gさん:生徒のために自己犠牲を払っている真摯な教員の努力を冷笑するような歪んだ世の中に、裁判所まで流されるな。国際社会の笑いものになる。
○都立高Hさん:これまでの判決は曲解やつまみ食いを許す余地のある判決で、最高裁判決の権威が揺らいでいるのではないか。

★30分の規定の時間はあっという間に過ぎてしまいました。
ただ一人で応接する首席訟廷書記官補佐は、メモを取りながら聞いていましたが、期日指定があったとは言え、1ヶ月に1回の貴重な機会に思いを込めた一人一人の発言や要請書を、しっかりと裁判官に伝えて欲しいものです。 

8月にも、最高裁要請行動が予定されています。
 8月26日(月)14:30~
 「『日の丸・君が代』問題等全国学習・交流集会実行委員会」の呼びかけ
 8月29日(木)14:00~
 「『日の丸・君が代』不当処分撤回を求める被処分者の会」の呼びかけ
最後まで、あきらめずに、最高裁の門を叩き続けましょう。

2013年7月28日日曜日

7/26 神奈川高教組の「教科書選定の公正性の確保を求める声明」

◆教科書選定の公正性の確保を求める声明    2013年7月26日

  神奈川県教育委員会は7月24日、実教出版の日本史教科書「高校日本史A」「高校日本史B」を選定した県立高等学校長に対して、「再考を依頼」した。これは、前日開催された教育委員会委員協議会において、教育委員から同教科書の採択について疑義が 出されたことで、教育委員会事務局が不採択の可能性があると判断したことによる。

  各学校は、教科書選定会議において、「使用希望教科書」を選定し、7月10日までに教育長に提出している。「使用希望教科書」は、公正の確保が徹底されるなか、学校目標や教科目標等をふまえ、学校・生徒の実状に則した「最適」なものが選定されている。 したがって、県教委による「再考」の「依頼」は、学校における公正かつ慎重な選定に対する不当介入であり、断じて容認できるものではない。

  神高教は、県教委に対して、「使用希望教科書」の「再考」の「依頼」に断固抗議し、各学校への不当な「依頼」を即時撤回することを強く求める。 各学校においては、引き続き、生徒の学習権を保障する視点から、不当な圧力に屈せず、公正かつ慎重に検討され、学校・生徒の実状に則した「最適」な教科書が選定されるべきだとかんがえる。

2013年7月26日金曜日

高校教科書採択問題についての髙嶋伸欣さんのコメント

■高嶋さんからコメントが寄せられましたので紹介します。

◆髙嶋伸欣です。
 高校の教科書採択で、学校現場からの選定結果が各教育委員会に報告され、今月後半から来月にかけて教育委員会で採択の議決がされる段階になってきたところで、昨年の東京都と横浜市に加えて大阪府と大阪市で、実教版「「高校日本史A(日A302)」と「高校日本史B(日B304)」を学校が選んでも、教委で変更させようとしている動きが表面化してきています。

さらに、本日になって、神奈川県立高校でも、上記の教科書を選んだ高校の校長たちが次々に教委から働き掛けを受けて校内で担当教員に再検討を要請しているなどの動きのあることが、判明しました。  

 東京都と横浜市は昨年からですが、大阪府・市と神奈川県は今年になってという点で、教委の側に大きな弱点があります。以下の各点を各地の皆さんに参考にしていただければ幸いです。

1.まず教委が問題にしているのは、上記の教科書のどの部分の記述かを、確認して下さい。予想されるのは、東京と同じ「日の丸・君が代」の強制に関する記述の部分ですので、そのことを前提にすると、以下のような問題点が指摘できます。

2.最大の問題点は、この「日の丸・君が代」の強制に関する記述が上記のAとBの教科書では、同一だということです。ところが、上記Aの教科書は2011年度の検定にすでに合格していて、昨年夏の教科書採択の対象になっていました。ですから、東京都と横浜市の教委は昨年から、水面下で採択妨害の行動をし、それが露見して抗議に晒されているのです。  
 その一方で、その他の教委はこのAの教科書(日A305)については何も問題にしていませんでした。それなのに、今年になって新たに登場したB(日B305)だけでなく、A(日A305)まで問題にしているのは、明らかに矛盾しています。行政として、不統一です。

 今年の行動が適切であると言うのであれば、同じ記述のある教科書について何も行動をしなかった昨年は、怠慢だったという責任問題で追及が可能です。

3.さらに、昨年の採択で何も問題にされることなく(日A305)の採択が認められた高校では、すでに今年の4月から同書で生徒たちが、学習を始めています。それなのに、教委が同書での学習は不適切という判断を突如として表明し始めたことになります。生徒により良い学習環境を整るという教委の本来の役割を、教委自ら侵害する行為を強行しつうあるといことの責任追及もするべきです。

4.さらに、生徒は自分たちがないがしろにされたと気付いて、事情説明を教師に求める可能性があります。その場合に備える意味でも、校長や担当教師が安易に教委の意向に合わせることは禁物です。教委に説明のため学校に来るように要求し、生徒に対して謝罪させるぐらいまで迫っても良いはずです。

5.次に、昨年度の採択では問題なしとしたのに今年度は問題ありとして校長などに対する行政行為を教委がしたことは、行政権限に関する法規の恣意的、便宜的な解釈であり、さらに恣意的、便宜的な運用にあたるもの(つまり、気まぐれな法規解釈と運用であるということ)で、それは職権濫用で違法であるという判例が、すでに存在しています。
 その法的論理で文部省を沈黙させたのは、第3次家永教科書裁判の東京高裁判決(川上裁判長、1993・10・20)です。この論理によって、争点となっていた8件の検定事例の内の3件を違法検定であると、川上裁判長は認定しました。文部省(当時)はこの論理に全く反論できず、上告を断念しています。家永氏が残り5件についても違法性の認定を求めた上告審で、最高裁の判決では、さらにもう1件を違法と認定した判決を、1997年8月29日に出し、家永訴訟は国側の敗訴で終わっているのです。

 今からすれば古い判決ですが、教育行政における行政権力の気ままで不統一、不公正な行使や運用に対して、大きな規制効果を持つ判決です。今回のケースにもこの判決を当てはめることができると私は考えています。

6.上記の問題点を教育委員会に対して突きつけるためにも、昨年の採択で(日A305)が県内の高校で実際にどれだけ希望してその通りに認められているかのデーターを把握しておくと、効果的です。できれば、同書を使用中の生徒数も把握しておきたいところです。

 この情報収集については、上手な方法を工夫してみて下さい。また情報が判明した時には、公表して共有化を図って下さい。

7.次に、さらに教育委員会に迫る方法としては、仮に今年度の採択で教委の指導、圧力などで上記の2冊から別のものに変更されたことが判明した場合、それは上記5で指摘した違法な行政権限の行使によったものであるとする主張が可能になりますから、2014年度の授業開始に向けた教師が使用する教科書の購入のための公費支出、さらには教師用の指導書の購入のための公費支出に対する異議申し立て=監査請求が可能になります。

 監査請求で主張が認められないことになったときは、請求者は住民訴訟を起こす原告資格を持つことになっていますので、法廷で関係者の責任を追及することも可能になります。そうした住民訴訟の前例が神奈川県にはすでにあって、全国でも参考にされています。

8. そうした監査請求や住民訴訟が起こされた場合、教委は校長が別の教科書に選定を変更したので、それを承認したにすぎないとして、責任を校長に転嫁する可能性が強くあります。校長が訴訟で被告にされないようにするためにも校長や担当教師はあくまでも最初の採択希望の変更に応じないようにすることが必要です。
 校長たちが孤立しないように、支援の取り組みを工夫して事例の情報交換などもしましょう。

9.さらに、小・中学校の教科書は無償ですが高校では有償で、保護者が購入しています。その保護者がこうした不公正で違法な教委の権限行使によって決められたことに納得できないとして、異議申し立てをすることも考えられます。前例がほとんどないことですが、教委のこうした違法行為自体が前例のないものですから、前例の有無は問題にならないはずです。保護者の教育権と責任をめぐる形で、国や教委の権限を強化する方向にある最近の教育行政の適否に対する議論の一つの場面にもなりそうです。

10、長期的な展望からの提案ですが、上記7や9の件で具体的な行動が起こされた場合、広く社会全体にその行動の意味を伝える取り組みをすることが、同じような行動をする教委の出現を防ぐことにもなります。
 それに、記者会見などを通じてマスコミなどでの報道があれば、「広く社会に知られている事柄であれば教科書に記述しても良い」という検定の条件を満たすことになります。そうなれば、次の検定に提出する教科書に今回のことを、ありのまま記述することが可能になります。すでに、高校の教科書には、教科書問題が多数記述されています。今回の件が記述された時、時には大人以上の正義感を示す高校生が、どのように教委を評価するか、教室での審判を教委に覚悟させましょう。

11、学校での授業の具体的な内容の最終的な決定をする権限、教育課程(カリキュラム)の最終決定権は学校現場にあります。このことを、文科省も認めています。その権限と表裏の不可分の関係にあるのが教科書採択権です。
 世界の民主主義国家で、教師の採択権を認めていない国は、国定教科書の場合以外では、日本だけです。それでも、これまでは高校の場合は学校の希望通りにするという運用でかろうじて教師の採択権が犯される状況を出現させないように教育関係者たちが暗黙の共通認識で対応して、事なきを得ていたのです。
 それが、「つくる会」の出現を機に、教育委員会に採択権があるとの建前論を振りかざす勢力に政治家が同調し、事態を大きく変えてここまで混乱を広げてきたことになります。

12.神奈川県の場合、県議会で改定教育基本法の主旨に相応しい教科書の採択を求める請願(?)が採択されていたので、こうした事態が予想されたとも言われますが、それが排除の根拠とされたのであれば、これまた県教委は恣意的、便宜的な解釈で権限の行使に踏み切ったことになります。

13. 改定教育基本法の趣旨により相応しい教科書の採択を求める請願等に対しては、改定学校教育法の高校教育の目標を定めた第51条に「健全な批判力の育成」が明記されていることを指摘することも、効果的ではないかと思います。

  以上、とりあえずの個人的なメモとしてまとめました。それぞれの地域での取り組みに何か役立つものがあれば幸いです。
 文責はすべて髙嶋にあります。 転載、拡散は自由です

7/25 都庁ビラ撒きと都教委定例会傍聴報告

■7月25日(木)、都庁ビラ撒きと都教委定例会傍聴行動がありました。渡部さんの報告です。

◆7/25チラシ撒き
<河原井さん根津さんらの「君が代」解雇をさせない会>の都庁前早朝チラシ撒き(9名参加) ※チラシの内容は、・実教出版教科書排除が大阪でも/ ・7月11日の都教委定例会傍聴記

★都庁職員の受け取りが悪くなっていることでした。最近、板橋特別支援学校などでも校長が職員に対し、「チラシを受け取るな」というような事を言っていますが、そのようなことが都庁でも起きているのかと感じるほどでした。或いは、無関心、自己規制、それとも批判者に対する敵対でしょうか。

★最近読んだ『ルポ 貧困大国アメリカⅡ』(堤未果著)という本には、次のような部分がありました。それは、アメリカ社会の後追いをしている日本社会の私たちに対する警告かもしれません。
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  医療破産したある女性は、取材の中で私に言った。 「一番こわいものはテロリストでも大不況でもなく、
 いつの間にか私たちがいろいろなことに疑問を持つのをやめ、 気づいた時には声すら自由に出せない社会が作られてしまうことの方かもしれません。」
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◆都教委定例委員会を傍聴
 ★本日の傍聴者は、来年度の教科書採択(・都立の中学校、・中等教育学校、・特別支援学校(小、中)の)があったせいか、普段より多く19名でした。

 傍聴券配布のときに小さな番号札を渡され、その順番に名前などを書かされました。
傍聴席には全て大きな番号札(初めて)が置いてあり、そこに座らされました。(誰がどこに座ったかがわかるように)しかも私たち傍聴人(10名づつ2列)の後ろには監視の職員が10名陣取っていました。

★定例会開始早々、木村孟教育委員長は、7月11日のときにAさんが都教委を批判したことで退場を命じたことをあげ、そういうことをした場合には、注意2回目には退場させると言いました。 当然、何人かが、「都教委がおかしなことをやるからそうなるんだ」と声を上げました。木村委員長はさっそく「静かにしなさい!」と大声を上げました。

★教科書の採択については、
 ・都立中学校及び中等学校の「社会(歴史的分野)(公民的分野)」は全て<育鵬社>
 ・特別支援学校(中)も、(聴覚障害)(肢体不自由・病弱)の学校については、「社会(歴史的分野)」は<育鵬社>でした。

全く「自由主義史観」に偏った採択です。しかも都教委はこの事務局提案を全く論議もないまま決定しました。 傍聴席からは不満の声が上がりました。すると木村委員長は又しても「静かにしなさい!」と大声。

★その後、「報告事項」に移り、
 ・都立高校入学者選抜制度の改善の検討
 ・学校におけるアレルギー疾患対策対策
などが報告され、最後に「請願について」と「回答」という文書が示されました。
 「請願について」というのは、都教委が実教出版を排除する「見解」(6月27日)を決議したことに対して出されたこの間の「請願など」をまとめたものでした。

それによると、<陳情等(団体要請)>は26件 (いずれも「見解」の議決に抗議し撤回を求めるもの)(7/24提出の「抗議声明」もこの中に入っていると情報課の係長が私たちに言いました)
<都民の声>は73件 うち、70件が「見解」への反対意見、3件が「見解」への賛成意見
要するに、圧倒的に反対意見が多いのです!!

★そのうちから、
(1)都教委の高校教科書採択妨害を許さない実行委員会(7月9日)
(2)都立高校のいまを考える全都連絡会(7月11日)   
のものが全文紹介され、その要約が以下のようにまとめてありました。
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<請願事項>
  教科書の採択においては、現場の教員の意見が最大限、尊重されるべきである。都立高校でも、従来、学校での選定結果に沿った採択がなされてきた。議決した見解によらず、従来の採択をしてもらいたい。
 (1)2013年6月27日に議決した「平成26年度使用都立高等学校用教科書についての見解」を撤回すること。
 (2)東京都教育委員会ならびに教育委員各位は、当該議決の誤りを認め、都民ならびに関係者に謝罪し、同様の誤りを二度と繰り返さない意思を表明すること。
 (3)この請願について、直近の教育委員会において協議し、都教委および教育委員各位の見解を文書で示すこと。
<請願の理由>
 (1)教育委員会という教育行政機関が自らの考え方と異なるからとして特定教科書を排除することは、検定制度の趣旨に反する。
   また、行政機関の考え方と異なる考え方を小供に触れさせないようにすることは、学習権の侵害である。
 (2)扶桑社等の教科書採択の際に、都教育委員は「検定に合格した教科書は全て採択の対象となる」と説明してきた。今回の「見解」は従来の都教育委員会の考え方と異なるものである。
 (3)実教出版の教科書は、検定に合格し、合法的に教科書として出版されている。一地方教育委員会が自らの考え方と異なるからとして、採択を排除する法的根拠は存在しない。これは出版・言論の自由の侵害である。
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次に、都教委の「回答」は以下のようなものでした。
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  都立学校の教科書の採択権は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第23条第6号の規定により東京都教育委員会(以下「都教育委員会という。)にあります。
  都教育委員会は、各都立学校において、最も適切な教科書が使用されるようにしなければならない責任を有しており、教科書の採択は、採択権者である都教育委員会が、その責任と権限において、適正かつ公正に行う必要があります。
  平成24年1月16日の最高裁判決において、国歌斉唱時の起立斉唱等を教員に求めた校長の職務命令は合憲と認められており、実教出版株式会社の「高校日本史A]及び「高校日本史B」にある「一部の自治体で公務員への強制の動きがある。」との記述は、国旗掲揚・国歌斉唱は、児童・生徒の模範となるべき教員の責務であるとする都教育委員会の考え方と異なるものであり、都立高等学校で使用する教科書としては適切でないと考えます。
  こうしたことから、平成25年6月27日、採択権者である都教育委員会は、委員総意の下、「平成26年度使用都立高等学校(都立中等学校の後期課程及び都立特別支援学校の高等部を含む。)用教科書についての見解」を議決したものです。
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★これを木村孟教育委員長が読み上げ、教育委員たちに「異論ございませんね」というようなことを言い、確認しました。

これが「報告事項」として取り扱われた事自体おかしなことです。

★そこで、傍聴者のBさんは、「論議してないじゃないか!」、「委員は意見を出せ!」、
「最高裁判決(「一部の自治体で公務員への強制の事実がある」と述べている)を無視するものではないか!」、というように抗議すると、木村委員長は彼に対し「退場」を命じ、彼は退場させられました。

 また、傍聴者のCさんも、この回答のいい加減さに業を煮やし、「(実教出版教科書に書いてあることは)事実だ!」と大声で抗議しました。すると木村委員長は今度はCさんにも「退場」を命じ、Cさんも退場させられました。

★その後、竹花委員は、そこにいたマスコミ各社に向けて(?)、「マスコミでは都教委が『介入』したと書いているところもあるが、採択権は都教委にあるのだから、介入には当たらない」というようなことを述べました。しかし、介入より何より、多くの人々は特定の教科書を権力的を笠に着て排除したことを問題にしているのです。

★会議終了、退出時、「実教社出版の教科書排除はやってはならないことを都教委はやった。都教委は生徒たちに事実・真実を知られるのが怖いのだ。これのどこが公正なのだ。あなたたちは生徒たちをどこに連れて行こうとしているのだ。恥を知れ!恥を知れ!恥を知れ!」と抗議の声がでました。
 職員らは私それを制止しようとしましたが、傍聴者の多くもそれぞれ声を上げ抗議しました。
 根津さんは、昨日都教委に出した抗議声明などを教育委員(とりわけ山口委員と乙武委員)に示し、「ここに置いておくので読んでください」と強く要求しました。
 この「騒ぎ」は、部屋を出されてからもしばらく続きました。

いくら、傍聴のあり方を規制しようと、傍聴者を退場をさせようと、警備体制を強化しようと、都教委がおかしなことをやればやるほど、人々の反発は収まらず、強まるだけなのです。(退場者は前回の1名から2名に増えたのです)

また、今回指導課から「請願について」が出され、件数、請願内容が直接会議に提出されました。これは初めてです。今までは、年に2回くらい、まとめて件数だけが教育委員に知らされるだけでした。
 ようやく私たちの声が少し反映されるようになったのでしょうか。これが新たな反撃の一歩になればと思います。

2013年7月25日木曜日

大阪市教委の高校教科書採択動向

■大阪市の高校教科書採択に関する動向が、「大阪の会」の伊賀さんから寄せられましたのでアップします。。

◆大阪市教委「採択の基本方針、採択の仕組みを確認」 

 7月23日、高校教科書採択に関わって、大阪市教育委員会議が開催され、採択の基本方針、採択の仕組みを確認した後、各高校からの「答申書」が教育委員に手渡されました。最終的な採択は、7月30日に行われることになりました。

 審議の中では、橋下市長の肝いりの公募教育委員である大森不二雄委員は、「選定調査会、答申は文科省の出している法令には規定されていない。」「従って、答申の法的性格から言えば、教育委員会が答申に縛られることはない。」「答申は教育委員会が適切な判断をするための補助。答申とは違う判断をすることに問題はない。」と何度も、教育委員会が「答申」に縛られないことを確認していました。

 7月上旬に行われた教育委員協議会(教育委員による闇会議)の場では、ある教育委員から実教出版の問題点を指摘する発言があったと言われていますので、今回の大森委員の発言は、7月30日の教育委員会議で実教出版を選定した「答申」を教育委員会の判断で覆すための布石だと考えられます。

 また、今年の大阪市立高校の教科書採択は、橋下市長の意向もあり以下の3点で採択制度の変更が行われました。①各学校での調査研究で保護者・生徒の意見を取り入れる。②学校協議会の意見も取り入れる。③昨年まで「答申」では選定した教科書1社を明記していたが、今年度は次点の教科書も記載し、選定した教科書との比較を記述する。
 特に③は、教育委員会が各学校の「答申」を無視して採択変更をしやすく方向に作用するものです。

 戦後、高校の教科書採択において、学校で選定した教科書が教育委員会議で覆されたのは1度しかありません。昨年、横浜市教委で実教出版が採択変更され大きな問題となったのでした。
 なぜ、戦後一貫して高校では、学校採択(学校が選定した教科書を教育委員会で採択)が行われてきたのでしょうか。高校は、教育目標や教育課程、生徒の実態などが小中学校以上に各学校ごとに違い、教科内容も専門性が高い。従って、教科書採択には専門性を有する学校現場の声が優先されることは教育の条理から言っても当然のことです。
  教育委員会が、現場から上がってきた「答申」を覆すのであれば、それぞれの学校の状況を踏えた相当の理由が必要なことは明らかです。しかし、教育委員は、約200冊ある全ての高校教科書を読んで、どれがその学校に最も適しているのか検討し、採択することなど現実的に不可能です。教育委員に全ての教科書が手わたされることさへ出来ていないのが実態なのではないでしょうか。そのような状況で、教育委員が現場からの「答申」を否定することなど、出来るはずがありません。
 教育条理から言っても、教育委員による教科書調査研究の実態から言っても、これまで学校採択が行われてきたのです。

 大阪市教育委員会は、7月30日教育委員会議で、各学校からの「答申」を覆し、採択変更するならば、戦後高校教科書採択で定着していた教育条理を完全に覆す暴挙と言うほかありません。是非とも、7月30日までに、大阪市教育委員会に対して、各学校からの「答申」を尊重して採択を行うように要求してください。

要請先

大阪市教育委員会 総務部総務課 企画グループ
TEL06-6208-9013  FAX06-6202-7052

7/24 都教委(教育情報課)へ要請行動 解雇させない会

■7月24日(水)、「河原井さん根津さんらの『君が代』解雇をさせない会」は都教委(教育情報課)への要請行動を行いました。(9名参加)

◆教育情報課の変質 要請を引き延ばし、誠実さがない態度
★この要請行動は、以前はなかった教育情報課による繰り返しの「内容確認」により、申し込んでから4週間後に実現したものでした。
 このことについては、最初に会から、「10年間やっているが、これまではアポをとると一週間以内に連絡が来た。しかし今回当初2週間後までにという回答だった。なぜ4週間もかかるのか」と追求がなされました。

★すると波田課長は、「何度も内容を確認するためにファックスを送っていた」と答え、内容次第では応じないと言わんばかりの回答をしてきました。
 しかし、教育情報課はこれまで要請内容に対し一切回答をすることはありませんでした。最近でも、内容を告げてもなんら回答を用意するわけでもありません。ただ受け付けて、「当該所管に伝える」だけなのです。
さらに、要請は教育行政に関することに決まっているのです。なのに、なぜ前もって内容をしつこく知る必要があるのでしょうか。

★そうして答えなければ要請行動にも応じないという姿勢です。これは明らかに、要請行動に対するこれまで以上の制約であり、嫌がらせに他なりません。(これまでは、電話で「要請したい」というだけで、すぐ担当者が会場を用意してくれ、電話で連絡してくれました)
 しかし、波田課長は自己を正当化するだけで話になりません。

★本日の要請は、
 1.田中聡史さんへの「取材報告」と校長による事情聴取への抗議と質問
 2.都教委の実教出版・高校教科書についての「見解」に対する抗議声明
についてでした。

1.については、波田課長は、「これまでも報告してもらっていた」と述べました。、
 これに対し、根津さんは、「これまで三桁にのぼる取材を受けたが一件も聞かれていない」と述べ、同席していた米山さんも「記事に載ったが一度も受けていない」と述べました。

★そして追求すると、波田課長は、「昨年9月4日と今年1月15日に行われた校長会全体会で、『職務上のものなら勤務時間外であってもあげて下さい』と話した」、と述べました。
 これは「君が代」処分に対する最高裁判決を踏まえ、被処分者の全ての言動を調査し加重処分を正当化するためか、内部告発があった場合の予防措置としか考えられません。
要するに「取材報告」は、昨年から具体的に動き出したとみるのが正しいでしょう。

★根津さんからは、「では、これまで私に関する『取材報告』があがっているのか調査して下さい」という質問が出されました。これについては、波田課長は「調査します」と述べました。

2.については、「声明」では、都教委のチェック項目
 ・北朝鮮による拉致問題の扱い、
 ・我が国の領域をめぐる問題の扱い、
 ・国旗・国歌の扱い、
 ・一次エネルギー及び再生可能エネルギーの扱い、
 ・オリンピック・パラリンピックの扱い、
も紹介され、「なんと政治的な項目だろう。教科書会社から見れば、まるで、都教委によって思想チェックを受けているような内容だ」と述べられています。

★今回の問題については、(都教委は)「自分達に都合の悪い事実の記述がある実教出版日本史教科書を排除することを決定し、各学校の選択の自由を奪い、自分たちの思想の強制を強引に推し進めるという、決してやってはならないことに踏み込んでしまった」
と強く都教委を批判しています。

参加者からも、・「これは独裁国家と同じ。権力を傘に圧力をかけている。信じられない。どういう子どもに育って欲しいのか。国際的にも日本の現在の動きへの批判が高まっている。まるで、頭隠して尻隠さずのような人間が育つだろう」
 ・「見解の撤回を要求する」
 ・「国際社会から批判される」
 ・「都教委は生徒たちに真実を知られるのを恐れているのだろう」
といった批判が出されました。

★今回の要請に対し、教育情報課は「4週間後あたりに回答します」と言いました。
 そこで、こちらが、「明日(7月25日)は都教委定例会です。それに間に合わせるように進めてくれ」と言うと、「今日中に処理して連絡(ファックス)します」と言いいました。(しかし、まだ現在連絡(ファックス)は来ていないようです。)
 情報課は当初要請に対して、「二項目ですから30分で」などと述べていましたが、結局90分やることになりました。ここにも彼らのいい加減さが現れています。

2013年7月23日火曜日

7/21 参議院選挙の結果について

 ■参院選の結果についての渡部さんのコメントです。

◆参院戦の結果

 前哨戦となった都議選(6月23日)に現れた傾向を再現するようなものでした。つまり、1.自民党の圧勝、2.共産党の躍進、3.民主党の惨敗、4.投票率の下落、5.その他(下の方に書きます)などです。

まず、以下に獲得議席数・投票率を書いておきます。略
 投票率 52.61%(前回より5.31%下落)

★ここではまず第一に、「3.民主党の惨敗」から見てみたいと思います。その大きな原因は、民主党政権が公約違反を繰り返したからでしょう。
・鳩山内閣の時には「普天間基地の県外移設」の公約を裏切りました。
・菅内閣の時には「4年間は消費税を上げない」とした公約を破り、引き上げに言及(3年前の参院選で大敗)、公約にもなかったTPP参加を打ち出しました。
・野田内閣の時には消費税引き上げを表明し、大飯原発を再稼働させました。
 (また日中関係悪化の原因となった尖閣諸島国有化をしました。)
つまり、「普天間」「消費税」「TPP」「尖閣」などの基本的な問題で、自民党と同じ立場に立つことになったのです。これでは民主党に対する信頼は当然なくなります。

★したがって、「1.自民党の圧勝」は、この裏返しのようなものです。結局、多くの人々は民主党に愛想をつかし、大規模な金融緩和で人為的な市場を作り出すアベノミックス(それは貧富の差の拡大と新たな恐慌に行き着くが)に目くらましされて、自民党に投票したと思われます。

★また、今回の選挙結果について日本経団連会長は「(自民党)圧勝という結果で、うれしい限りだ」と露骨に述べています。原発再稼働・輸出、規制緩和、TPP(いずれも独占への市場作り)を進める自民党に、いかに独占資本が力を入れていたかもわかります。

★これに対し「2.共産党の躍進」は、多くの人々は現実の生活の苦しさから、公約が労働者・人民の立場に近い共産党に期待をよせ、共産党の躍進となったと思います。
実際、この間も
 ・生活保護受給者が215万人、
 ・非正規労働者の割合が38.2%、2042万人、
 ・最低賃金が生活保護を下回るのが11都道府県、
などのニュースが流れています。

★結局、1. 2.は都議選同様、この間の日本社会の階級対立の強まりを表していると言えます。この「階級対立」という言葉は、分かりやすく言えば、<会社の利潤(それは会社純利益、銀行利子、株主配当、地代などに配分される)>と<労働者の賃金>は
反比例するということであり、その反比例の度合いが大きくなっているということです。

★アメリカの例で言えば、7月18日には、アメリカのデトロイト市が破綻し、多くの市民が苦しんでいますが、ニューヨーク株式市場では株価が最高値になっており、CEO(最高経営責任者)らが数十億円もの報酬を得ているという具合です。日本のブラック企業も分かりやすいですね。
 そこから、民主党をはじめとする中間的な政党はどうしても存在感が薄くなります。

★「4.投票率の下落」について言えば、
 ・既成政党に飽き足らない人々が増えている
 ・多くの党が与党化してしまい争点が明確でない、ということが考えられますが、
 ・選挙結果は約半数の有権者の意思表示に過ぎない、とも言えます。(それは日本社会の半面の話です)。

★「5.その他」、についてです。
 ・その一つは、沖縄選挙区(1人区)で、「普天間辺野古移設反対」の糸数慶子(沖縄社会大衆党)さんが自民党候補を破ったことです。これは自民党・日米両政府に対し大きな打撃を与えたと言えるでしょう。
 ・もう一つは、東京で、脱原発の山本太郎氏(無所属)が当選を果たしたことです。
  これは、これまでの維新などの流れとは全く違った流れからの勝利で、たとえ一人であってもその影響力は決して小さくはないと思います。
 ・三つ目は、維新がある程度議席をとったことです。石原は「ほぼ満足のいく成果を得た」と述べました。これはあれだけ従軍慰安婦問題が騒がれたので、彼としてもかなり議席数が減ると思っていたのでしょう。
  しかし橋下は、選挙期間中一貫して、マスコミへの責任転嫁、問題のすり替え、言い訳け、開き直り、の選挙運動を展開しました。
  その結果、石原らが考えていたより維新は落ち込みませんでした。このことは、この間日本社会に排外的なイデオロギーが強くなっている、ことを表したものだと思います。彼らは、今後安倍政権に対し、右から圧力をかける危険な存在になるでしょう。したがって、引き続き水に落ちた〇を叩かなければ、人々はひどい目にあうでしょう。

★こうした情勢の中、反動の嵐に立ち向かうため、『8・25全国学習交流集会』の準備が取り組まれています。 
 ▼全国から集う!全国で闘う!
  第4回「日の丸・君が代」問題等2013全国学習交流会 8月25日(日)・26日(月)
 25日(日)  学習交流集会( 夜 交流集会)
 26日(月)  文科省交渉・ 最高裁要請行動
 <場所> 日比谷図書文化館地下ホール
 <内容> 8/25(日〉
       ・学習際交流集会
        10時 開場
        10時20分~ 12時30分
          Ⅰ 関東からの報告
          Ⅱ 全国からの報告
        13時 30分~16時 30分
          Ⅲ  討論
           ・「日の丸・君が代」問題等の状況と反対の闘い、等
      ・交流集会 日比谷グリーンサロン
        17時00分~19時30分
        8 /26 (月)
         ・文科省交渉  10時 衆議院第2議員会館前集合
         ・最高裁要請行動 予定
 <資料代> 500円
 <主催>「日の丸・君が代」問題等全国学習・交流集会実行委員会
「熱き夏 迎えて涼し 百日紅」

2013年7月20日土曜日

7/17 『琉球新報』、『東京新聞』報道と髙嶋伸欣さんのコメント 実教出版・日本史教科書採択問題

◆琉球新報と東京新聞(共同通信配信)

Image2琉新東京 

◆高嶋伸欣さんのコメント

 大阪府教育委員会が実教版日本史教科書の記述についての「見解」を管内の府立高校長たちに送りつけ、採択に干渉している件について、「朝日新聞」だけでなく、共同通信の配信記事が17日の地方紙の朝刊に掲載されていました。

 私はその記事を沖縄で読み、記事の終わりに近い部分で<既に複数校が実教出版の教科書を選ぶと伝えているが、不採択にはしない考えだ>とあることに注目しましたので、そのことを先般のメールで紹介した次第です。

 その後に、「神戸新聞」にほぼ同じ記事が掲載されていたことも教えていただきました。また「東京新聞」にも掲載されているとの指摘もいただきました。ただ残念なことに、「東京」の場合は、後半部分の13行が削除されていて、そのために上記の注目部分が読者には伝えられていませんでした。この部分は都教委との相違点としての意味があると思われるだけに「東京」のデスクの判断が惜しまれます。沖縄などの地方紙がほぼ全文を掲載するほどの関心を表明しているのですから。

 ところで、このように、東京だけでなく大阪府、さらには大阪市の教育委員会までがこの教科書について採択妨害の不当行為の動きをしつつあることが、次々と報道される事態になると、「社会的に広く知られたできごとであるとして、教科書に記述出来る」条件が整うことになります。次の教科書検定に提出する際に各社の教科書がこの件を書くのは当然という状況にするためにも、各教委への抗議の声を全国から集中させ、それらを公表していきましょう。

2013年7月19日金曜日

大阪府教委も高校教科書選定に不当な介入 続いて大阪市教委も

■大阪府教委の教科書選定に対する不当な介入についての大阪・伊賀さんの報告です。更に、大阪市教委の動向についての続報です。

◆大阪府教委が、東京都教委と全く同様の高校教科書選定への不当介入を行いました。
東京都教委の前代未聞の介入を大阪でも進めるものです。

★7月9日、府教委は、来年度の教科書の「選定にあたり注意していただきたいことが生起している」として、府立学校校長・准校長に「見解」を発表し送付しました。

この「見解」では、実教出版社の「日本史A(日A302)」「日本史B(日B304)」の一部分の記述を取り上げ、「府教育委員会はこの記述は一面的なものであると考えます。」とし、その理由として「学習指導要領の趣旨や、平成24年1月16日の最高裁判決で、国歌斉唱時の起立斉唱等を教員に求めた校長の職務命令が合憲であると認められたことに、全く言及がないこと」をあげています。

★府教委が問題としている記述は、「…国旗・国歌法をめぐっては、日の丸・君が代がアジアに対する侵略戦争ではたした役割とともに、思想・良心の自由、とりわけ内心の自由をどう保護するかが議論となった。政府は、この法律によって国民に国旗掲揚、国歌斉唱などを強制するものではないことを国会審議で明らかにした。しかし一部の自治体で公務員への強制の動きがある」という部分です。

これは、6月27日に東京都教委が「見解」として「都教委の考え方と異なる」「都立高校などで使用することは望ましくない」として校長に周知したことと全く同じ動きです。
これは、教科書選定に対する不当な圧力であると同時に、「日の丸・君が代」強制そのものです。

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◆大阪府教委の「見解」に続いて、今度は、橋下市長の大阪市でも、危険な動きが起こっていることがわかりました。やっぱりという感じです。

★7月の大阪市教育委員協議会で、突如、教育委員会ら今年の高校教科書採択に関して異論が出たようです。発言の詳細はつかめていませんが、どうやら実教出版を問題視する発言だったようです。

★大阪市教委は、大阪府教委のように、直接校長に圧力をかける「見解」などは出していませんので、各校の教科書選定では、実教出版も含まれているようです。
昨年の採択では、実教出版日本史Aを4校、日本史Bを2校が実教出版でした。

★大阪市教委は7月30日の教育委員会議で、各校から上がってきた教科書を採択する予定です。
市教委事務局の話では、採択変更が起こる可能性もあるとのことでした。察するに、実教出版を選定していた学校に対して、教育委員会の「権限と責任」を振りかざし、採択変更をし、別の出版社を採択する可能性が出てきたと言うことです。

校長に圧力をかけ、実教を学校選定段階から排除しようとする東京都教委や大阪府教委とは違い、教育委員会の責任で採択変更を迫ろうとする暴挙です。

★これまで高校教科書採択は学校採択を基本としており、戦後の長い歴史の中で学校採択を覆した教育委員会は、昨年の横浜市教委だけです。
大阪市教委は、昨年の横浜市教委にならい、学校採択の基本を覆そうとしている可能性があります。

時間は7月30日までしかありません。
是非とも、大阪市教委に対して、「各学校からの教科書選定を尊重するように」要求してください。

要請先
大阪市教育委員会 総務部総務課 企画グループ
TEL06-6208-9013  FAX06-6202-7052

7/10東京新聞報道  都教委の教科書不適切議決

  ■7月9日(火)、都教委の高校教教科書採択に対する不当な介入に対して、30団体が抗議文を都教委に提出しました。それについての東京新の報道と参加した青木茂雄さんの報告をアップします。

◆東京新聞  30団体 撤回求め請願(見出し

Image2教科書

◆青木さんからの報告 都教委による高校教科書採択妨害を許さない!  抗議文提出と記者会見
 ★ 実教出版の高校日本史の教科書を排除しようとする、6月27日の東京都の定例教育委員会の異例で不当な「決定」に対して、学校関係者や市民団体の間に怒りと抗議の声が高まっている。7月9日(火)午後1時すぎ、都庁第2庁舎30階の教育情報課で、教科書ネット21をはじめ、出版労連、被処分者の会や予防訴訟をひきつぐ会などの諸団体が、都教委に対する抗議文を提出した。波田課長が対応し、所管課に届ると約束した。続いて、個々の教育委員にも手渡すようにと要請したが、これについては確約を避けた。 

★続けて、午後2時から都庁第1庁舎6階の都庁記者クラプにおいて記者会見が行われた。教科書ネットから、高嶋伸欣さんと俵義文さん、歴史教育者協議会から石山久男さんが発言し、学校現場からSさんが発言した。
 高嶋さんは「ありえないこと、あってはならないことがおこっている」と警鐘をならした。俵さんは、今回の都教委のとった対応は教育基本法が禁止している「不当な支配」であり、このことは実教出版だけでなくどの教科書でも起こり得ることだ、と述べた。Sさんは、現場は大変に当惑している。現在実教出版の日本史教科書を使っている学校は今後の都教委の対応に大きな不安をもっいてる、と述べた。
  7月末までに各学校からの教科書選定書が都教委に提出され、8月末までに教育委員会で採択が「決定」される。都教委に抗議と要請を集中しよう。
 都教委 教育情報課 FAX 03-5388-1726
         教育長      FAX  03-5388-1725

2013年7月17日水曜日

「停職処分」に対する賠償請求訴訟に勝利した河原井さんのチラシ

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お知らせ 東京「君が代」裁判二次訴訟 最高裁判決日9/6に指定

■東京「君が代」裁判二次訴の上告(上告人62名)に対して、最高裁第2小法廷は、判決言い渡し期日を9月6日(金)14時 に指定してきました。近藤徹さんからの報告をアップします。

◆裁判・判決日指定について
 最高裁は、①当方の上告事件(違憲判断を求める)について判決言渡し期日を20
13年9月6日(金)14時に指定し、②当方及び都側、双方の上告受理申立事件(裁量権逸脱濫用)は不受理とする、というものです。

▼弁論を開かず判決=憲法判断を変更せず 
 上告事件について、弁論を開かず法廷で判決言い渡しをするということは、「君が代」斉唱時の起立斉唱を求める職務命令が、思想・良心の自由に対する「間接的制約」があるとしたものの「違憲とはいえない」とした東京「君が代」裁判一次訴訟(上告人162名)の1・16最高裁判決(2012年)の多数意見を踏襲しつつも新たな反対意見又は補足意見があると思われます。その点で注目されます。

▼東京都の裁量権逸脱・濫用=減給・停職処分取り消しが確定
 最高裁は、当方の「戒告処分も違法」の申立と都側の「減給・停職処分は適法」の申立の両方を不受理としました。
 双方の上告受理申立を不受理としたということは、1・16最高裁判決(2012年)を踏襲して、戒告処分(46件 減給と重なる3件)を容認したものの都教委の機械的な累積加重処分が「裁量権の範囲を超え、違法」として減給21件・停職1件、計22件(21名)の処分を取り消した東京高裁判決(2012年10月)が確定したということです。

 いずれにせよ、2003年10・23通達以来、450名の教職員を処分してきた都教委の処分が、「違法」であることが確定します。私たちは、都教委の「違法」行為を許さず、徹底的に追及していきます。

●東京「君が代」裁判弁護団副団長澤藤統一郎弁護士より(拡散希望)
 最高裁での処分取消確定について、都教委の責任追及の声をあげることが大切だと思います。その趣旨のブログを書きましたので、ご参考にしてください。できれば、拡散してください。
 ↓
http://article9.jp/wordpress/?p=777

◆最高裁が続々と判決日指定―10・23通達関連の最高裁上告事件
 今回最高裁は、現在最高裁に係属している10・23通達関連の6件の事件について、続々と判決日を指定しています(下記一覧表参照)。2011年5月~7月の9件の最高裁判決、2012年1月~2月の4件の最高裁判決に続く6件の同種事件での最高裁判決となります。

 なお、河原井さんの停職1月に伴う損害賠償事件で、最高裁第2小法廷は、都側の上告を不受理として河原井さんの高裁判決=勝訴(損害賠償30万円)が確定しました。(河原井さんは高裁差し戻し審で勝訴し都側のみが上告していました。)

<最高裁係属中の10・23通達関連事件> *被処分者の会HPに一覧表あり
第1小法廷 東京小中「君が代」裁判(04・05処分取消 上告人10名)
       →9月5日 14時に判決期日指定。
        近藤順一さん07~10年処分取消訴訟
        →9月5日 15時30分に判決期日指定
第2小法廷 東京「君が代」裁判二次訴訟(05・06年処分取消 上告人62名)
       →9月6日 14時に判決期日指定。
      米山さん08年処分取消請求・非常勤教員合格取消撤回訴訟
       →9月6日 15時30分に判決期日指定 

第3小法廷 都障労組04年処分取消請求訴訟
        →9月10日 14時 

◆東京「君が代」裁判二次訴訟第2回最高裁要請行動(7月26日)に来て下さい!
 最高裁の動きが風雲急を告げる中、私たちは、粘り強く最高裁に要請を集中しま
す。あと2回、第2回要請行動(7月26日)、第3回要請行動(8月下旬を予定)
を行います。9月6日の判決日まで残された時間は僅かです。皆さん来て下さい。

7月26日(金)
 13時45分 最高裁東門集合(地下鉄永田町4番出口徒歩7分。青山通りの坂を
下り信号前左が最高裁南門。最高裁のフェンス沿いに右へ行くと東門あり。)
  14時~14時30分 要請
*最高裁要請署名第2次分の提出も兼ねています。

◆2013年卒業式処分の2回目の再発防止研修抗議・支援行動報告
 6月27日ONさん(都立K高校)、7月11日OTさん(都立M高校)、7月12日HYさん(都立A工業高校)、7月16日KBさん(都立T高校))の再発防止研修がありました。炎天下、30名を超える仲間が早朝から研修場所の都教職員研修センター前に集まり都教委への抗議と被処分者の激励を行いました。
今後とも、該当者を孤立させず、思いを共有し、支援する行動にお集まりください。

●今後の再発防止研修(2回目)抗議行動と当日の時程 入学式被処分者
8月16日(金)KWさん(都立O高校)
9月10日(火)YMさん(都立O高校)
9月17日(火)TNさん(I特別支援学校)
 場所:都教職員研修センター前(JR水道橋東口、都立工芸高校隣)
 時間:9時集合・行動開始
    9時20分該当者(受講者)入場、激励行動
    11時30分頃(予定)研修終了後、該当者激励行動 
<いずれの日も同じ場所・時間です。>
*呼びかけ:被処分者の会

東京「君が代」裁判二次訴訟の最高裁要請署名(ダウンロード可)にご協力を。
最高裁判決全文、高裁判決全文、各種声明文、行動予定、資料等入手可能。

2013年7月16日火曜日

7/9 田中聡史さん支援で板橋特別支援学校でチラシ撒きと校長への申し入れ行動

■7月9日(火)、この日は「君が代」不起立で処分を受けた田中聡史さんに対し、都教委が訪問しての2回目の「再発防止研修」の日。
 河原井・根津らの「君が代」解雇をさせない会は、板橋特別支援学校への行動を行った。なお、「解雇をさせない会」は事前に都教委を訪問して「再発防止研修」の中止を求めた。私たちの他に、板橋で活動されている地域の会の人たちも、チラシ配りをされていた。根津さんからの報告をアップします。

◆7/9の行動
★7時少し過ぎから、出勤する教職員にチラシを配った。「ありがとうございます」「ご苦労様です」とことばを返してくれる人が何人かいる。チラシまきが定着してきたのかと思う。

★チラシを撒いた後、校長に会いに行く。
 前日の8日に校長宛に「再発防止研修の中止を求める」要請書をファックス送信し、面会をしたい旨経営企画室長に電話で伝えていたが、「まったく会う意志はない」というひどい対応であった。
(町田教組元委員長の菊岡さんの報告参照)
 対応に当たった経営企画室長に、「こちらはいつでも出向くので校長の都合のよい日時を連絡してほしい」と告げて引き上げた。その後、連絡はない。
粘り強く繰り返していくしかないと思う。

★「不起立前後の態度等」がよくなければ、「戒告を超える重い処分」をしてもいい、と読める昨年1月の最高裁判決。都教委は不起立を続ける田中さんをそれに引っかけるつもりだ。そうさせないために、大勢の人が見ているぞ!と、都教委にわからせていく闘いを続けて行こう。(根津)

◆町田教組菊岡元委員長の報告
★7月9日(火)、「君が代」不起立処分を受けた田中さんに2回目の都教委による再発防止研修が行われた。
 研修とは、辞典に「知識・技能を確実に身につけるため、特別な勉強や実習をすること」とある。だが、都教委がやっているのは、辞典の語義ですらない、単なる「見せしめ、拷問」だ。都教委の拷問に抗議するため、板橋特別支援学校に行った。

★憲法・法律は、市民が守るより、権力者が暴走しないように定められたものだ。公務員・教員も権力の末端だから、教育公務員の田中さんが、遵守すべき憲法にのっとり不起立をしたのは当然のこと。憲法・法律を守ろうとしない輩が、自分の非を覆い隠すために、「研修」などと言っている。とんでもない話である。

★ビラを配 っていると、副校長と主幹が監視のためだろうか、出てきた。副校長は、「前回、校門のところに皆さんがいて、ものものしい雰囲気だったから、重度の子が、ここから登校できなくなってしまった。ちゃんと記録してますよ」と言ってきた。普通なら、少々普段と違う雰囲気でも、職員の顔を見て安心させられるものだ。この副校長は、その子から顔を見ただけで安心できるほどの信頼は得られていないらしい。そのことに何も感じていない様子なので、あえて黙っていた。

★「君が代」を強制した、おどろおどろしい入学式に会場を見て入場できなかった子もわたしは見てきた。入学式ではよく会場外の受付担当を命じられ、やってきたから、そういう子を見てきたのだ。教員として 恥ずかしいことだが、わたしの声かけも信頼を得るにいたらず、入学式の写真にも入れなかった子が何人かいた。(2003年の10・23通達以前は、椅子をまるく並べ、在校生の作品で装飾した温かい雰囲気だった。以前の会場なら、参加できなかった子も安心して入れたかもしれない。)

★都教委もどこの校長もそうだが、抗議に出かけて行って、「君が代」強制の正当性の主張を彼らから一回も聞いたことがない。

 この日、根津さんが校長への面談を求めたが、「会わない」と経営企画室長が伝えてきた。理由を尋ねると、「会う意思がない」。「会う意思がない」というのは、問題ではないですか、と指摘すると、「公務(研究授業)があって会えない」。公務が終わるまで待ちましょう、といっても「会わない」。公立学校の訪問者の対応として、こんな礼を欠いた応対は、わたしが勤めた36年間したことがない。こういう校長、事務方にこそ再発防止研修をし、市民が訪ねてきた時の応 接をしっかり身につけてほしい。
 都教委の拷問は3時からだそうで、残念ながら、その抗議には参加出来なかった。

★憲法を順守しようとしない都教委、差別発言を繰り返した石原前知事、失言で世界に恥を晒した現知事にこそ防止研修が必要だ。時間はかかるだろうが、こうした違法公務員たちに粘り強く市民として防止研修を行わせていきたい

2013年7月15日月曜日

7/8 第2次採用拒否撤回裁判第14回弁論行われる

■7月8日(月)午後1時30分から東京地裁103号法廷にて、第2次採用拒否裁判
第14回弁論が行われた。傍聴者は80名を越え、傍聴席はほぼ埋まった。(原告 青木茂雄 報告)

◆裁判の報告
★この裁判は、2007、8、9年に定年退職後の非常勤教員等への再雇用を、卒業式・入学式での「不起立」による懲戒処分を理由に拒否された24名の原告によって、2009年9月29日に提訴された裁判であり、これまでの3年10カ月の間に13回の口頭弁論が行われてきた。前回の第13回(6月20日)からいよいよ証人尋問に入った。
  第12回弁論までは裁判官一人で訴訟指揮を執っていたが(第11回までは渡邊弘裁判長、第12回から竹田光広裁判長)、前回から通常の3名の合議体(右陪席・松田敦子裁判官、左陪席吉川健治裁判官)となった。

★第14回口頭弁論では2人の原告(Kさん・Tさん)の証人尋問が行われた。
  Kさんは、自分が教師になろうとしたのは、出身校の都立高校の自由な教育方針と自由な校風に共鳴したからだった、「君が代」は天皇賛美の歌で国民主権にふさわしくない、教師としての良心を後世にまで伝えなければならない、と自己の信念を切々と述べた。また、当日の不起立にいたるまでの緊張と精神的かつ身体的に被った苦痛を訴えた。
 都教委側は反対尋問で、学習指導要領にもとづく「国旗・国歌の指導」についてしつこく追及してきたが、Kさんは「一般的な質問には答えられない」と軽妙にかわした。
★続いて証言台に立ったTさんは、10・23通達以前の、生徒も参加して創意工夫に富んだ感動的な卒業式の実態を克明に証言した。とくに対面式の卒業式では、保護者と卒業生が涙ながらに言葉の交わし合いが行われたこともあった、と述べた。傍聴席からも「うんうん」とうなずきが漏れた。
 都教委側はまたしても学習指導要領の「国旗・国歌の指導」について執拗に問うてきたが、Tさんはこの「指導」の要求は学校に対するものであって個々の教師に対するものではないと反論した。

★都教委側は、「国旗・国歌の指導を怠る教師」を裁判官の前で印象づけようとしたが、この目論見を2人の原告は見事にはねのけた。
 Kさん・Tさん両者とも、最後に裁判長と陪席の裁判官が詳しく質問した。この裁判に対する裁判所の関心の大きさを示すものである。

★原告の尋問これにて一旦は終了し、この後は学者証人の意見書を巡ってのやりとりが焦点となる。学者証人の尋問が行われるかどうかは、どれだけ裁判の論点に裁判所が注目しているかの試金石となる。
  弁論の全体が終了したのは午後5時近くであった。その後、弁護士会館で報告集会が行われ、約50名が参加した。Tさんは、学校が主体的に編成する教育課程と教育内容に対して都教委が強制的に介入することがそもそも問題だと述べ、加えて原告の被った金銭的な損害も膨大なものになると強調した。
 最後に、田中弁護団長が「最高裁判決以来、情勢が変わっていることはない、今回の尋問は成功した、今後の焦点は学者の意見書だ。良いものにしたい。」と結んだ。

7/12 都の賠償責任確定についての河原井さんの勝利のコメント

■一連の裁判を闘い、賠償請求で、最高裁で勝訴した河原井さんからコメントが届きましたのでアップします。

◆河原井さんの決意とコメント
 後続裁判にも影響大である。この判決を都教委に迫り、『破壊的な教育改革』の見直しを求めていく。同時に学校現場・教育現場に活かしていく。全国の仲間たちは喜びを分かち合っている。これをさらなる抵抗のエネルギーにしていきたい。

(1)行政訴訟において処分取消だけではなく、行政の過失を認定して損害賠償を認めさせ、慰謝料を支払わせたこと。後続裁判への影響は大きい。


(2)都教委の過失を認定するにあたり、「憲法上の思想・良心の自由との関係で微妙な問題があること」「自らの歴史観または世界観等に対する問題であること」を判示しているは大きな弾みになり、今後に活かせる。


(3)最高裁で門前払いになっている「教育の自由」「教育問題」をやっと引きだすことができた。判決文で「教育とは何か」「学校とは何か」にふれている。
 判決文「…教諭と児童との人格的触れあいは、教育活動に欠かすことの出来ないもの     である。」 
 今後、創意工夫しながらすべての処分の取り消しと10・23通達の違憲・違法性を明らかにすることを目指していきたい。

2013年7月13日土曜日

7/13 朝日新聞報道 「都の賠償責任確定」 河原井純子さんの停職裁判勝訴!!

■河原井純子さん(元養護学校教諭)は2006年の「君が代」不起立で停職1ケ月の処分を受けました。2012年1月16日の最高裁判決は、「減給以上の懲戒処分の選択には慎重な考慮が必要」として停職処分を取り消し、賠償責任の判断について、東京高裁に差し戻しました。
 2012年11月7日の差し戻し審の高裁判決は「賠償30万円の支払い」を東京都に命じたため、東京都が上告したが、最高裁は7月12日付で、東京都の上告を棄却し、河原井さんへの30万円の賠償命令が決定しました。

◆「君が代不起立訴訟で初」(サブ見出し) 朝日新聞 2013.7.13朝刊

河原井

近藤順一さんの『ニュース』第162号 最高裁判所の法廷日時決定

 

■近藤順一さんは「日の丸・君が代」累積加重処分取消裁判」を上告していましだか、最高裁判所の判決日程が決まりました。

◆最高裁第1小法廷、判決日決定!!
 9月5日(木)15:30~
 *双方の上告受理申立(裁量権逸脱濫用の適用)==>不受理
 *原告(近藤)の上告申立(憲法判断)→ 判決言い渡し

▽小法廷での弁論無き判決・上告棄却 →憲法判断、第一・二波不当判決踏襲の可能性
★要請していた大法廷への回付もなく、弁論も開かないで判決を下そうとしているこ
とに強く抗議する。
 高裁判決(2/26)から六ヶ月あまりでのスピード判決。まともに審理したのかどうかさえ疑う。このままでは第一波(2011)、第二波(2012)最高裁判決、即ち「10.23通達」・職務命令は合憲合法という不当判決が維持され、上告棄却となる可能性が大である。その枠内での“行政による不当な介入への牽制”が理由として語られるかもしれないが、それでは極めて不十分である。
 教科書採択問題での都教委の不当介入、被処分者に対する不当な「再発防止研修」の強化などは、最高裁不当判決をバックにしている。行政の横暴にお墨付きを与えている。これを変更させるため、早急に最高裁への要請、少なくとも弁論を開けの声を届けたい。このままでは司法の責任を果たしているとはいえない。

▽裁量権逸脱濫用について不受理 →戒告是認の可能性

★都側と原告双方の上告受理申立を不受理とした。減給1月・減給6月・停職1月の取消は維持される可能性があるが、累積加重処分の出発である不当な戒告が是認される。これは他の裁判や学校現場での処分発令にも多大の影響を及ぼす。こちらも弁論を開いて「当不当」を慎重に審理させなければならない。
 最高裁に対して慎重は審理、公正な判決を要請する!!
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▽今後の予定 報道
*東京「君が代」裁判3次訴訟地裁口頭弁論8/2(金)10:00第527号
*河原井・根津処分取消訴訟 地裁口頭弁論8/19(月)13:30第527号
*「授業してたのに処分」事件地裁弁論9/5(木)10:30 第530号
*東京小中「君が代」裁判 最高裁判決9/5(木)14:00 第1小法廷
*累積加重処分取消裁判 最高裁判決 9/5(木)15:30 第1小法廷

2013年7月3日水曜日

都教委包囲・首都圏ネットの声明 都教委の暴挙に断固抗議する!

   東京都教育委員会は6月27日の定例会において、今年の高校教科書採択の対象となる日本史教科書のうち実教出版の「高校日本史A」及び「高校日本史B」を“不適切”とする異例の「見解」を「議決」した。新聞報道によると委員から一言も発言がなかったという。
 その「理由」としているのが、「都教委と異なる考え方」が記載されていたからだという。何という狭い了見であろうか。「異なる考え方」の比較考量・相互討論を保障するのが学校教育である。学校教育法51条には、高校教育の目標として「個性の確立に努めるとともに、社会について広く深い理解と健全な批判力を養い」とある。今回の都教委の行為は学校教育法51条違反である。また、当該教科書は「事実」を記載したも
のであって、「考え方」を述べたものではない。都教委の今回の行為は、「事実」を隠蔽し、封殺するものであって、言論弾圧に等しいものであり、まさしく暴挙以外のなにものでもない。
 また、高校教科書の採択については、学校毎に選定委員会が設置されており、それぞれの学校の実情に応じた教科書の選定が、しかるべき手続きを経て行われている。今回の都教委の行為はその選定過程に対して不当な圧力をかけるものである。これは、まさ教育基本法16条が禁止している「不当な支配」そのものである。
  検定を通過した教科書の選定・採択の過程の中から、特定の種類の教科書をあらかじめ締め出すことは、地方教育行政の組織及び運営に関する法律23条6号の教科書採択権の濫用であり、商取引の観点から言っても公正さが疑われる。

 このように様々な観点から問題点が指摘される今回の都教委の「議決」に対して、委員から一言も意見が出なかったことは、個々の教育委員の「教育、学術及び文化に対する識見」を疑わせるものであり、東京都の教育に対する信頼を失わせるものである。 

都教委に抗議のFAXを!

東京都教育委員会 FAX 03-5320-6755(閉鎖中?)
東京都教育長      FAX  03-5388-1725  
教育情報課        FAX 03-5388-1726

2013年7月2日火曜日

■6月27日(木)に出された「見解」に対する渡部さんの見解です。

★この都教委の見解は、
①具体的に実教出版の教科書の記述が取り上げられ
②都教委は、2012年1月16日の最高裁判決を踏まえて「入学式、卒業式においては、国旗掲揚及び国歌斉唱について」(1月24日)を議決したことが述べられ、
③実教出版の、「一部の自治体で公務員への強制の動きがある。」という記述は都教委の「考え方と異なるものである」として、
④実教出版の教科書は、都立高校での使用は「適切ではないと考える」、としている。

★ここには、
 ア、段階を画した行政権力(都教委)による露骨な教育への介入
 イ、教科書検定済み教科書に対し露骨に「適切ではない」としている
 ウ、特定の会社の教科書を具体的にターゲットにしている
 エ、最高裁判決を否定し、開き直っている
 オ、現在起きている従軍慰安婦問題とも関連している
などといった問題があるだろう。 

★しかしここでは、以下、特に「エ」について述べたい。
○2011年5月以来、最高裁判決では、都教委による「日・君」強制・処分についてその異常性が指摘されてきた。

○そして、2012年1月16日の最高裁判決では、「戒告を超えてより重い減給以上の処分をするには慎重な考慮が必要だ」とし、戒告を超える減給・停職は取り消された。
(ただし、不当にも根津さんの停職は取り消されなかった)

○また、2012年2月9日の最高裁判決では、都教委の進める加重処分に対し、批判的な3人の「補足意見」と宮川裁判長の「反対意見」が付け加えられた。

・そのうち、桜井裁判官の「補足意見」では、次のようなことが述べられている。
 「単なる不起立行為等に対するこのような反復継続的かつ累積加重的な懲戒処分の課し方は、これまでの他の地方公共自治体や他の職務命令違反等の場合には例を見ない、ものであり、その点で極めて特殊な例であるといってよい。」

・宮川裁判長の「反対意見」では、次のようなことが述べられている。
 「国旗及び国歌に関する法律と学習指導要領は教職員に起立斉唱行為等を職務命令として強制することの根拠となるものではない。・・
 上告人らが本件職務命令に服することなく起立せず斉唱しないという行為は上告人らの精神的自由に関わるものとして、憲法上保障されなければならない。」
 「全国的には不起立行為等に対する懲戒処分が行われているのは東京都のほかごく少数の地域にあうぎないことがうかがわれる。
 この事実に、私は、教育の場において教育者の精神の自由を尊重するという、自由な民主主義社会にとっては至極当然のことが維持されているものとして、希望の灯りを見る。」

○2012年11月7日には、東京高裁での戻し控訴審判決があった。
 (2012年1月16日に最高裁で停職が取り消された裁判の)。
そこでは、<停職1月の処分>に対し、
 ・「裁量範囲を超えるものとして違法」、
 ・「処分により・・被った精神的苦痛に対する慰謝料は、30万円とするのが相当」、とされた。
 この判決では、特に「日の丸・君が代」法制化時(1999年)の政府答弁が大きな判断材料とされていた。

★判決文では、次のような組立てで政府答弁が詳しく紹介されていた。
 (ア)国旗・国歌の法制化の意義について
 (イ)法制化による、今後の学校における指導について
 (ウ)児童・生徒の内心の自由との関係について
 (エ)指導に係る教職員の職務と内心の自由との関係について
 (オ)教職員への職務命令や処分について

★その上で判決文では以下のように述べていた。
 「国会では、教員の職務上の責務については変更は加えられないこと、処分は、問題となる行為の性質、対応、結果、影響等を総合的に考慮し適切に判断すべきこと、処分は、万やむを得ないときに行われるべきことが答弁されていたのであるから、機械的、一律的な加重は慎重であることが要請されていたということができる。・・不起立行為に対して戒告、減給から停職処分へと機械的、一律的に加重していくことは、教員が2,3年間不起立をすることにより、それだけで停職処分を受けることとなるのであり、
 その結果、自己の歴史観ないし世界観に忠実な教員にとっては、不利益の増大を受忍するか、自らの信条を捨てるかの選択を迫られる状況に追いやられることも考慮すべきである。」

 「停職処分を選択した都教委の判断は、停職期間の長短にかかわらず 処分の選択が重きに失するものとして社会観念上著しく妥当性を欠き、上記停職処分は懲戒権者としての裁量権の範囲を超えるものとして違法である。この違法は、停職処分を取り消すべき違法であるのみならず、不起立行為の性質、実質的影響、停職処分の不利益に対する考慮が尽くされていないという意味で職務上通常尽くすべき注意義務に違反しているというべきであり、国家賠償法上も違法である。」

 以上のように、実教出版の記述はこれらの判決を踏まえてのものであったと考えられるのである。

★要するに、都教委は、2012年1月16日以降の最高裁判決や差し戻し高裁判決で、繰り返し、その「強制の動き」が批判されているのである。

 にもかかわらず、都教委は、上記記述のうち、「一部の自治体で公務員への強制の動きがある。」は、「入学式、卒業式等においては、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導することが、学習指導要領に示されており、このことを適正に実施することは、児童・生徒の模範となるべき教員の責務である。」とする都教育委員会の考え方と異なるものである。
 …と述べているのである。

これは他でもなく、都教委は、最高裁判決を否定し、開きなおっっているとしか言いようがない。

 彼らは「見解」の中で、自分たちに都合の良いところだけをとらえ、<最高裁判決で、国歌斉唱時の起立斉唱等を教員に求めた校長の職務命令が合憲であるとみとめられたことを踏まえ>、などといっているが、実際には、最高裁判決を公然と否定しているのである。

また、「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」という、事実や判決に基づいて実教出版が記述したことに対し、「考え方が異なる」として否定するのは、「強制・侵略」の事実を、「強制・侵略ではなかった、それは考え方が異なる」として正当化するのと同じである。

それは、生徒たちから事実・真実を蔽い隠し、自分たち(都教委)に都合のよい「考え方」だけを生徒たちに注入することである。(これを洗脳という。)

要するに、都教委は、事実・判決を通して生徒たちから批判されることを極度に恐れているのである。

資料  都教委の「都立学校用の教科書にいての通知と見解

Image2通知

Image都教委付

都教委の実教出版日本史教科書排除の「見解」と校長への通知に断固抗議する!

■既報の通り、6月27日の都教委の実教出版日本史教科書採択妨害の「見解」、各学校長への通知」について、同「見解」の根拠が、当原告団が一方の当事者である1・16最高裁判決(2012年)なので、見過ごすことはできません。下記の抗議声明を出しました。ご活用ください。(転載歓迎です。)

◆都教委による特定の教科書排除の見解に抗議する声明

 東京都教育委員会(以下、都教委)は6月27日、教育委員会定例会で「平成26年度使用都立高等学校(都立中等教育学校の後期課程及び都立特別支援学校の高等部を含む。)用教科書についての見解」(以下、「見解」)を「委員総意の下・・・確認」し、同日各都立学校長宛に「この議決に基づいて教科書を採択していきます」として、「このことを踏まえ、・・・適正に教科書を選定」するよう通知した(以下、「通知」)。更に、都教委は、「指摘した教科書を選定した場合は、最終的に都教委が不採択とすることもありうる」(「毎日新聞」2013年6月27日夕刊)といって、この教科書を選定しないよう強要している。

 「見解」は、実教出版の教科書『高校日本史A』『高校日本史B』の「国旗・国歌法」に関する「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」との記述が、「都教育委員会の考え方と異なるものである」とし、この2つの教科書は「都立高等学校等において使用することは適切ではない」と決めつけている。その根拠として、2012年1月16日の最高裁判決で「国歌斉唱時の起立斉唱を求めた校長の職務命令が合憲であることが認められたこと」をあげている。

 私たち東京「君が代」裁判原告団は、同最高裁判決の一審原告らが所属する一方の当事者であり、都教委の最高裁判決に関する主張と「見解」に基づく教科書採択への不当な介入を決して看過することができない。

 最高裁判決は、「本件職務命令が憲法19条(注 思想・良心の自由)に違反するとはいえない」としたものの、「国旗及び国歌に対する敬意の表明」であるので「思想及び良心の自由についての間接的な制約となる面がある」としている。
 また、戒告処分を容認したものの、減給以上の処分については、「戒告を超えてより重い減給以上の処分を選択することについては,本件事案の性質等を踏まえた慎重な考慮が必要」と判示し、「処分が重きに失し、社会観念上著しく妥当を欠き、懲戒権者の裁量権の範囲を超え、違法」として減給1ヶ月の懲戒処分を取り消したのである(別件訴訟で停職1月の懲戒処分も取り消す)。
 それまでの都教委の1回目の不起立等で戒告、2、3回目減給、4回目以上停職、の一律・機械的な累積加重処分が断罪されたのである。
 宮川光治裁判官は、職務命令が違憲・違法で戒告を含む全ての処分が取り消されるべきとの反対意見を述べており、櫻井龍子裁判官は補足意見で、「不起立と懲戒処分の繰り返しが行われていく事態が教育現場の在り方として容認されるものでない・・・。教育の現場においてこのような紛争が繰り返される状態を一日も早く解消し、これまでにも増して自由で闊達な教育が実施されていくことが切に望まれるところであり、全ての関係者によってそのための具体的方策と努力が真摯かつ速やかに尽くされていく必要がある。」との補足意見を述べているのである。

 以上を見れば、都教委が最高裁判決の全体の趣旨をことさらねじ曲げ、自己に都合良い部分だけを取り出し、これを根拠に実教出版の教科書を「適切でない」としているのは明らかである。

 そもそも同教科書は、文部科学省の検定済みのものであり、都教委の「考え方と異なる」として排除することは、文科省の検定さえ否定する「二重検定」に他ならない。
 この「見解」と校長への「通知」は、都教委による学校現場への不法・不当な支配介入であり、絶対に許されるものではない。教科書の選定は、学校の教育課程編成権に属するものであり、「見解」と「通知」はこれに乱暴に介入するものである。旭川学力テスト事件最高裁大法廷判決(1976年5月21日)や現教育基本法第16条等に反する「教育不当な支配」そのものであり、現行の教科書採択制度にも反する不当な介入である。
 しかも、都教委定例会での「見解」の議決に際し、全く発言もせず賛成した教育委員の責任は、極めて重大である。
 また、教科書の採択にあたっては、直接教科書を用いて日々の教育活動をしている学校現場の意向を最大限尊重しなければならないのはいうまでもない。

 都教委の今回の行為は、単に教科書採択の問題にとどまらず、憲法が保障している、言論・出版の自由、学問の自由を否定する憲法違反の行為である。更に重大なことに、「考え方が異なる」として排除することは、多様な価値観を否定し、都教委が認める特定の考え方のみを生徒たちに注入しようという意図が明白であり、教育における民主主義的原則への挑戦である。

 加えて、実教出版の教科書の記述は「強制の動き」のある自治体を特定していないのに、これを理由に実教出版の日本史教科書を排除する「見解」は、都教委が「日の丸・君が代」の強制を行っていることを自ら認めたことになる。
 実際、入学式・卒業式等で「日の丸・君が代」の起立・斉唱等を強制する都教委の10・23通達(2003年)に従わないことで、これまで延べ450人もの東京都の公立学校の教職員が懲戒処分を受けている。これこそ「強制」そのものである。

 私たちは、都教委の教科書採択への不当な介入に抗議し、「見解」と校長への「通知」の撤回を求めると共に、広範な人々と手を携えて、「日の丸・君が代」強制を断じて許さず、不当処分撤回まで闘い抜くことを改めて表明する。

2013年7月1日
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会・東京「君が代」裁判原告団
  共同代表 岩木 俊一  星野 直之