お知らせ

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2013年9月30日月曜日

都教委包囲ネットは 都立田無工業高校の自衛隊体験入隊に抗議します。

■自衛隊と東京都教育委員会は都立田無高校の校長とタイアップして、去る7月26日~28日まで、自衛隊朝霞駐屯地で、防災訓練を口実に自衛隊体験入隊を実行しました。
 自衛隊朝霞駐屯地を日々監視している練馬の住民団体はこのときの様子をウオッチしています。
 都教委包囲ネットとしても東京都に情報開示請求したり、各方面から事情を聞いて全容をつかみつつあります。

 この体験入隊は、安倍政権の9条改憲・集団的自衛権行使容認の解釈の変更・国防軍とも連動していくものです。また、憲法改悪のための国民投票にむけて、投票年齢が18歳になる動きとも連動しています。別の言い方をすれば、かつての「軍事教練」への道を開くものでもあると言っても言い過ぎではないでしょう。
 都教委包囲ネットは9月17日に田無工業高校に対して、抗議し、申し入れをしてきました。これから順次、この問題を明らかにしていきます。

◆7月24日の東京新聞報道 都立田無工高 自衛隊で宿泊防災訓練

Image2東京

◆9月17日に出した都教委包囲ネットの申し入れ書

Image2田無申し入れ

2013年9月29日日曜日

9/26 琉球新報報道 玉津教育長不信任 可決

Image2玉津

9/20 琉球新報報道 沖縄・石垣市議会で、石垣市教委長「平和教育」の否定発言

■9/19日の石垣市議会で、石垣市教育長・玉津博克さんは「平和教育は戦争の悲惨さを強調する教育になっている。その教育の弊害は、戦争に対する嫌悪感から派生する思考停止と言える」と述べました。この発言は、石垣市、沖縄県で大きな問題になりました。

★玉津教育長は、八重山地域に育鵬社公民教科書を導入し、それに反対する竹富町の東京書籍の使用については無償配布にしない措置をとっている人です。

★言うまでもなく、石垣市は尖閣領有・自衛隊の島嶼防衛の渦中にあるところです。沖縄戦の悲惨、戦争の悲惨は、沖縄県でも玉津教育長のような言葉をもって否定されていくということです。

◆9/20 琉球新報報道
「石垣市教育長 戦争の悲惨さ強調「弊害」

Image2流新

9/21  朝日新聞「天声人語」 口パク問題

Image1天声人語

2013年9月27日金曜日

9/20  朝日新聞記事 実教出版教科書問題で埼玉県教育長辞意

■実教出版の「日本史教科書」採択で「条件付き採択」を決めた埼玉県で、教育長の辞意問題が発生してます。思想・表現への弾圧です。

Image2埼玉

9/6  産経新聞報道 実教出版教科書 兵庫県教委も条件付き採択

■大阪の伊賀さんからの情報です。

★実教日本史の国旗・国歌記述を問題視し、不採択をくわだてたり、採択したとしても「条件」をつけて今後教育内容に介入することを宣言する教育委員会が東京や神奈川、横浜、埼玉、大阪府・市はだけでなく兵庫県でもあることがわかりました。各地でこのような事態が進行している可能性がありあります。是非、情報を集めてください。

◆「 国旗、国歌で「強制の動きがある」実教出版の日本史教科書、兵庫県教委も条件付き採択 」(見出し)    2013.9.6 11:59 産経

 教職員の国旗掲揚、国歌斉唱について「強制の動きがある」と記した実教出版(東京)の高校日本史教科書について、兵庫県教委は、各校で補足説明を付けることなどを条件に、採択することを決めた。10校が使用を希望していた。
 採択されたのは同社の「高校日本史A」。県教委は「入学式や卒業式などで国旗を掲揚し、国歌を斉唱することは学習指導要領に基づいたものであり、適切であることを丁寧に指導すること」などを補足説明の内容として通知した。
 実教出版の教科書をめぐっては、大阪府教委が各校で指導の際に補足説明を付けることなどを条件に採択。埼玉県教委も採択したが、東京都教委と神奈川県教委は採択せず、都府県教委で判断が分かれた。
 兵庫県教委ではこれまで、教科書採択は県教育長の専決事項とする慣例だったが、大阪府教委などでの議論を受けて、定例の教育委員会で協議した。

9/25 毎日新聞大阪報道 府立学校教員 減給処分の取り消し求め提訴

 9月24日、府率学校教員で、今年の3月の「君が代」不起立で減給処分を受けた奥野さんは不当処分取消の裁判を起こしました。その報告が田中直子さん(「奥野さんを支える叫ぶ石の会」)から寄せられましたのでアップします。

◆提訴について
★9月24日(火)、奥野さんは、減給処分取り消しを求めて大阪地裁に提訴しました。16:30の提訴と17:00から約40分間の記者会見には、重村弁護士・宮沢弁護士・小谷弁護士、そして30人近い支援者の皆さんが立ち会ってくださいました。
また、毎日放送、朝日放送、NHK、読売テレビ、関西テレビ、計5社のテレビカメラが入りました。記者会見には11人の記者が出席。朝日新聞の記者を中心に、職務命令違反とされていることの内容、教育基本条例との関係など、高い関心のうかがわれる質問が出ていました。

★訴状の説明は重村弁護士が担当してくださり、奥野さんは、誠実な人柄のにじみ出る話しぶりで、なぜ自分は起立できないのかということなどを訴えました。
質問からの流れで、斉唱チェックに対するZAZAと大阪ネットの抗議声明について説明できたのもよかったと思います。
10月末から11月上旬の間に第一回公判が開かれる見込みです。
今後ともご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

◆毎日新聞 9/25

Image2j毎日

2013年9月26日木曜日

9/19毎日新聞記事に対する中原徹・大阪府教育庁のブログ記事

■中原大阪府教育長は自身の「中原徹のブログ」で、毎日深部の記事を批判しています。

◆中原徹のブログ記事

★毎日新聞の方は、「またか・・・」という気持ちです。しかも、この記事を一面に持ってくる編集の意図がよく理解できません。

大阪では、公務員が卒業式・入学式で起立し斉唱する条例が成立し、これを教育委員会の職務命令で執行してきました。これまでも、公務員の斉唱を目視で確認するような指示が府教委から学校長に出されていましたが、ことさらに歌っているかを凝視するのは気持ちの悪いことですし、大多数の府民の皆さんからすれば、「ことさらに歌っているかを凝視して欲しいのでは全くない。誠意をもって卒業式・入学式に臨む姿勢・態度が公務員から見られればよい」ということなのだと思います。
それゆえ、9月に入学式がある府立高校に対して、斉唱の確認は「公務員として誠意ある態度か否か」という観点で行うことを9月4日に伝えました。同日、すべての府立学校長が集まる場がありましたので、その席でもその趣旨を説明させていただきました。

★府民の皆さんからすれば、少し起立するのが遅れたとか、起立の姿勢が悪いとか、どの程度の大きな声で歌っているだとか、どれだけ口を動かしているかという点に関心があるわけではなく、厳粛な卒業式等で真摯な態度・姿勢を公務員が見せているかという点を重視されるのだと思います。
例えば、感極まって歌えていない場面があったからといって、それを見た生徒や保護者の方々が「誠意がない」とは決して思わないと考えます。ことさらに歌っているかを凝視するのではなく、全体を見渡したときに、明らかに「誠意がない」姿勢や態度を示す公務員がいるかどうかを確認するのが趣旨であると、全学校長に対し、上記の例などを示しながら説明しました。
これが9月4日の出来事です。その後、約2週間経過した17日(一昨日)、共同通信の記者さんから別件の取材を受けた時に、上記の起立斉唱の話になりました。それをその記者さんが18日(昨日)に配信しました。この配信を受けた毎日新聞の記者さんが、私に何の取材もなしに、記事を書き、一面で取り上げました。どうして取材をしなかったのですかと本日尋ねると、昨日私が出張でいなかったから、ということですが、9月4日にすべての学校長に伝えていますので、いくらでも取材の時間はあったはずです。また、昨日取材の依頼もありませんでした。

★以前校長時代にブログでも書きました(http://ameblo.jp/nakahara-toru/entry-11248551587.html
)ように、国旗国歌については、感情的になる方も少なくないので、学校長にも十分趣旨を理解いただき、合理的な対応をしていただきと思い、時間を取って全学校長に説明させていただきました。
9月4日以降、現場から、「教育長の説明がおかしい、よく分からない」という声は聞いておらず、現場の学校長の理解は得られていると認識しています。実際に、起立斉唱をしない公務員は、卒業式ごとに10名程度ですから、全体からすると、ごくごくわずかです。
条例が好きか嫌いか、個人の考えは別として、公務員としての任務を果たされている先生がほとんどすべての中で、私としては、この件は重要論点ではなく、他に、児童生徒の安心・安全を図る環境作り、学力の向上・進路保障、支援学校の整備、英語教育の発展など、府民の皆さんが期待なさる事項に力を注いで行きたいと考えております。国旗・国歌などイデオロギーに関わる度合いが強い項目についても、以前のブログで書きましたように、バランスよく生徒に情報を与え、自分で”思考”していただく教育(正解がひとつでない問題に触れる機会を増やす教育)を目指しています。
今回の斉唱の取扱いは、非公開の会議で、教育委員で話し合って決めた結果です。行政機関である教育委員会が、適式に成立した条例を執行するのは当然ですし、この職務命令は最高裁でも合憲とされています。

★おそらく、毎日新聞社は、そもそもこの条例が嫌いなのだと思いますし、最高裁の判決にも異論があるのでしょう・・・しかし、条例が嫌いなのであれば条例を作った議会に文句を言うべきであるし、判決に異論があるならばそれを批判されたらよいと思います。しかし、9月4日以降何の取材もせずに、共同通信の配信をベースに一面記事を掲載するという仕事の仕方には大いに改善の余地があると思います。
ネットの普及により新聞の売れ行きが落ちてきていると言われる中、新聞を読むメリットとして、「記事の位置(編集)をみて新聞社がそれぞれのニュースにどの程度の重要度を見出しているかが分かる」という点があげられると聞きますが、今回の2社の一面記事を見て、各新聞社の考え方・仕事の仕方を学びました。

9/19 大阪毎日新聞報道 <君が代斉唱>教職員の口元「確認を」 大阪府教委が通知

■大阪府教委は9月4日付で、「君が代」を起立斉唱しているか、管理職がきちんと確認し、報告せよという通知を出していました。

◆毎日新聞・大阪  9月19日(木)7時10分配信

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2013年9月19日木曜日

9/17 田中さんへの再発防止研修に抗議と激励

■9月17日(火)、田中さんへの再発防止研修が行われました。近藤順一さんからの報告です。

◆被処分者<連続減給1月>に対して「服務事故再発防止研修」強行

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★9月17日、都教委は水道橋教職員研修センターにて不当な「研修」を実施した。入学式、卒業式の不起立に対する減給1月処分に伴うもの。今日もセンター前はものものしい警戒態勢が採られた。これに抗議し、思想転向の「研修」を中止することを求めるシュプレヒコールがあがった。

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田中さん、「研修」に向かう

★最高裁判決は減給以上の処分を容認している。9/5の判決でも「日の丸・君が代」強制する「職務命令合憲」という<憲法判断・不当判決>を基本に「過去の処分歴等」「不起立前後の態度」により減給・停職処分を是認した。直接儀式自体を混乱させるものでなくても、規律・秩序を維持し警告する意味で職務命令を発し重い処分を課すことを認めている。改憲案として「公益及び公の秩序」が提示されているのに符合する。
 東京都人事委が停職1月を減給1月に変更した事案も提訴されている。学校現場の
減給処分発令と共に、減給処分は一つの争点となっている。

◆田中さん自身からの報告
 9月17日、今年度3回目の研修センターでの「服務事故」再発防止研修が行われました。
今回は「服務事故」再発防止研修のまとめとして、9時半から11時半まで、教育経営課長の服務指導と研修報告書の記入、研修部長の訓話という順で行われました。

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田中さん、「研修」から戻る

 昨年同様、研修報告書の最後の「今回の研修を通して、二度と服務事故を起こさないという決意ができた。」という項目にチェックを迫られたり、この項目と同様の旨を回答するよう口頭で質問されたりしましたが、私は「命令が思想及び良心の自由に反した場合には、再び「服務事故」とされる事態はあり得る。」と答え、控えめではありますが非転向を表明しました。

研修センター前には約60人の方が、研修への抗議と私への激励のために集まってくださいました。大変ありがとうございました。

9/19 信濃毎日新聞電子版報道2種 大阪口元監視の府教委通知

◆信濃毎日新聞
■「君が代斉唱、口元監視を正式通知 大阪府教育委員会 」(見出し)
  9月19日(木)02:06

 大阪府教育委員会が全府立学校に対し、教職員が入学式や卒業式で実際に国歌斉唱しているかを教頭ら管理職が目視して確認し、校長が府教委に報告するよう求める通知を出していたことが18日分かった。府立高校長時代に教職員の口の動きをチェックして議論を呼んだ中原徹教育長の意向を踏まえた。

 「口元監視」は当時、教育委員の一部が行き過ぎだと指摘する一方、中原氏は「起立斉唱の職務命令に従っただけだ」と反論していた。正式な通知としたことで議論が再燃する可能性もある。

 府教委によると、通知は今月4日付。教育振興室長名で府立高138校、支援学校31校の計169校に出された。

■「君が代斉唱の目視確認は当然 大阪知事、府教委を評価 」(見出し)
 9月19日(木)11:50

 大阪府の松井一郎知事は19日、府教育委員会が全府立学校に対し、教職員が入学式や卒業式で国歌を斉唱しているかどうかを、管理職が目視で確認するよう通知したことに関し「教育公務員として、規則にのっとった行動をするのは当然だ。それをチェックするのが府教委の役割だ」と評価した。

 通知は府立高校長時代に教職員の口の動きをチェックして議論を呼んだ中原徹教育長の意向を踏まえ、府教委が作成。「(校長が)教職員の起立と斉唱をそれぞれ現認する。現認については、目視により教頭・事務長が行う」と明記した。

2013年9月17日火曜日

9/12 東京都教育委員会定例会傍聴報告 体罰に甘い委員の体質

■9月12日の定例会を傍聴した。委員会は木村委員長の、「議事妨害があれば、退場を命じる。法的措置をとる」との宣言で始まった。根津さんからの報告です。

◆会議の内容 (ここでは特に体罰問題を報告)
★議題には懲戒処分案件が教職員12件、都教委職員1件と記載。この件数の多さは何なんだろうと思っていたら、今朝の東京新聞が「体罰60回、昼食抜き40キロ走 … 153教職員を処分」の見出しで報じた。

 報告事項は東京教師養成塾に「特別支援学校コース」を新設、江東地区第二養護学校(仮称)の開港予定年度の延期(有害物資地や悪臭の発生のため)、「体罰根絶に向けた総合的な対策について」等7件の報告がなされた。最後の「体罰根絶に向けた総合的な対策について」を紹介する。

★大阪桜ノ宮高校で顧問教員から体罰を受け、生徒が自殺した事件を受け、都教委は実態調査を行った。4月11日に「体罰の実態把握(第一次報告)」、5月23日にその最終報告があって、今回、部活動等のあり方検討委員会報告が示された。昨日の処分もその結果だとのこと(東京新聞)。

★報告は、「体罰を行った教員の約60%が一時的な感情により、約40%が体罰を指導の手段とする誤った認識により、体罰を行った」という(実態把握調査より)。これに対し、「教員の意識改革」を最大の課題と位置づけ、どういう行為が体罰なのか、あるいは行き過ぎた指導なのかのガイドラインを示し、「暴力・暴言しない、させない、許さない」取り組みをあげている。「校長のマネジメントの強化」「Good Coach賞の創設」には頷くことはできないが、全体としては是認できるものであった。 

★さて、ガイドラインを巡って2人の委員から発言があった(竹花委員は欠席、乙武委員はこの件では発言なし)。内館委員:「私のところに教員から手紙が来た。教育委員会にわかってほしいことがある。生徒の態度があまりにひどい。何かあれば、『教育委員会に言いつけてやる』と生徒は言う。唾を吐く生徒を教員が蹴る。授業のチャイムが鳴っても教室に入らない生徒の首根っこをつかむ。これがいけないというなら、教員はどうしどうしたらいいのか、という手紙に、私は何も言えなかった。」 山口委員:「報告書はよくまとまっていると思う。しかし、これによって教員が萎縮してしまうのではないかと危惧する。暴言は今までの習慣なので、いっぺんにただすのは難しい。徐々にただしていくことだろう。また、上級生、下級生という部員同士の指導による暴言等についても今後検討してほしい。」(いずれも趣旨)

「私は何も言えなかった」「教員が萎縮してしまうのではないか」との2人の発言を聞いて、何と甘いこと、体罰容認に通ずる意識ではないかと思った。現状是認では、体罰根絶は不可能だ。学校教育法11条は体罰禁止を謳っているが、体罰が無くならない現実は、それを如実に物語る。当の教員も、体罰容認の中で教育を受け、生活してきたのだから、根絶のためには意識して、一切の体罰・暴力をしない、させない、許さないことに尽きる。体罰・暴力は、理を尽くしての指導放棄であることを認識すべきだ。

★私は長いこと中学校教員をしてきて、体罰という暴力を受けた子どもたちが、身体が大きくなった時に暴力を再生産する現実を目の当たりにしてきた。山口委員が言う「部員同士の…暴言」もその一つである。教員による体罰・暴力が一掃されたら、社会の暴力は極端に減るはずだ。さらに、力による支配から脱却し、論議して決定する社会になると思うのだ。

★なお、今日は定例会に先立ち、4月11日の竹花発言が議事録にないことについての質問書を教育情報課に提出してきた。

「体罰の実態把握(第一次報告)」の折、竹花委員が「(部活動での:筆者補足)死ね、殺す、出て行け、という強い発言、…今くらいのことは精査しなくていい。こんなのは指導の範疇だ」と発言したのを、傍聴していた私は聞いたのだった。あまりに驚き、すぐにメモを取り、閉会後、一緒に傍聴した3人の友人に確かめて、3人とも「間違いない」ということだった。この発言の最中、山口委員が大きく頷いた姿が脳裏に焼き付いている8月になって、この日の議事録が都教委のホームページにアップされていることに気づき、読んだところ、この発言がない。これはいったいどういうことか。それを知りたくて、質問書を教育委員長、教育長、総務部定例会担当者宛に、1週間以内に回答をほしい旨伝え、提出してきた。

2013年9月13日金曜日

9/9 最高裁判決を受けての都教委要請行動の報告「違法」な処分に対して反省・謝罪、都教委での審議、回答を要求

■9月9日、被処分者の会・東京「君が代」裁判原告団は、9月6日の最高裁判決を受けて早速都教委要請行動を実施しました。要請には被処分者の会・原告団の当事者・原告、弁護士2名、支援者等26名が参加しました。都教委側は、教育庁総務部教育情報課長が対応しました。被処分者の会の近藤徹さんの報告です。

◆都教委への要請行動
 まず、被処分者の会・原告団から都教委への請願書を手交し(資料として最高裁判決全文、原告団・弁護団声明も渡す)、請願の趣旨を補足説明し、弁護団からの発言がありました。この中で最高裁判決を受けての新しい要求として、「最高裁が『違法』とした減給・停職処分を行ったことの責任の所在を明らかにして、謝罪せよ」「教育委員会で請願書を配付し、審議の上回答せよ」と強く迫りました。弁護団からは、鬼丸かおる最高裁裁判官の補足意見をも踏まえて、「戒告処分も無条件で認めた判決ではない」「鬼丸裁判官の補足意見は都教委に反省・改善を求めている」「違法行為の責任を取れ」など厳しい追及がありました。

◆教育情報課長 都教委定例会で審議どころか請願書の配付すら明言せず
 不誠実な対応に怒り爆発
 これに対して教育情報課長は、「請願処理規則に基づいて適正に処理する」「所管課にメモを付して伝える」「教育委員会には半年に1回報告する」と繰り返すだけで、9月12日、9月26日に予定されている都教委定例会での「審議」の約束をしないばかりか、請願文・資料を配付して「報告する」ことすら明言せず、憲法で保障された請願権の侵害に対して参加した原告らの怒りが爆発し、要請時間は予定を大きく超えてしまいました。

私たちは、これからも「違法行為」を働いた都教委の責任を厳しく追及し、あくまでも謝罪を求めます。そのため都議会などへの働きかけも強めて、「日の丸・君が代」強制が象徴する東京の異常な教育行政を変えるために闘います。

東京オリンピックを契機にナショナリズムを煽り、自民党の憲法草案での「国旗・国歌の尊重義務」の明記とも相まって、「日の丸・君が代」強制が強化されることが懸念されます。このような流れを許さず、頑張ります。

◆本日都教委に提出した被処分者の会・原告団の請願書
請 願 書         2013年9月9日
東京都教育委員会  教育委員長 木村孟 殿/ 教育長  比留間英人 殿
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会/ 東京「君が代」裁判原告団
 代表者 岩木 俊一

<請願事項>

1.最高裁判決で「懲戒権者の裁量権の範囲を超え、違法」とされた減給・停職処分を行ったことを真摯に反省し、原告らに謝罪すること。
2.10・23通達に基づく校長の職務命令違反を理由とした過去の全ての懲戒分を即時撤回すること。
3.今後、最高裁判決で「思想及び良心の自由」を「制約する」とされた職務命令違反を理由としたいかなる懲戒処分も行わないこと。
4.職務命令違反を理由に減給・停職処分などの累積加重処分を行わないこと
5.10・23通達に基づく校長の職務命令を発出しないこと。
6.10・23通達を撤回すること。
7.10・23通達に係わって懲戒処分を受けた教職員を対象とした「服務事故再発防止研修」を行わないこと。
8.問題の解決のために都教育庁関係部署(人事部職員課、指導部指導企画課、指導部高等学校教育指導課、教職員研修センター研修部教育経営課など)の責任ある職員と被処分者の会・同弁護団との話し合いの場を早期に設定すること。
9.以上を検討するにあたり、本請願書及び2012年1月16日及び2013年9月6日の最高裁判決全文を教育委員会で配付し、判決について慎重に検討、議論し、回答すること。

<請願の趣旨>

1.卒業式・入学式等で「日の丸・君が代」を強制する東京都教育委員会の10・23通達(2003年)とそれに基づく校長の職務命令により、2013年4月までに懲戒処分を受けた教職員は延べ450名にのぼります。

2.2011年5月以後の一連の最高裁判決は、起立斉唱行為が、「思想及び良心の自由」の「間接的制約」であることを認め、それを踏まえた2012年1月16日の最高裁判決は、減給以上の処分については、「戒告を超えてより重い減給以上の処分を選択することについては,本件事案の性質等を踏まえた慎重な考慮が必要」「処分が重きに失し、社会観念上著しく妥当を欠き、懲戒権者の裁量権の範囲を超え、違法」として減給1ヶ月の懲戒処分を取り消しました。最高裁が、都教委による従来の累積加重処分に一定の歯止めをかけたのです。
また、1・16最高裁判決は決して無条件で戒告処分を認めたものではなく、「裁量権の範囲内における当不当の問題として論ずる余地がある」と述べており、宮川光治裁判官は反対意見で「戒告処分でも重きに過ぎ、社会通念上著しく妥当性を欠き、裁量権の逸脱・濫用にあたる」としています。

3.ところが、都教委は、2013年3月の卒業式、4月の入学式で1名(特別支援学校教員)に減給10分の1・1月の懲戒処分を発令しました。これは、最高裁判決の趣旨をねじ曲げ、ないがしろにするもので断じて許すことはできません。

4.2013年9月6日の最高裁判決(第2小法廷 鬼丸かおる裁判長)は、上告人らの請求を棄却したものの、鬼丸かおる裁判官は補足意見において、「個人の思想及び良心の自由は憲法19条の保障するところであるから、その命令の不服従が国旗国歌に関する個人の歴史観や世界観に基づき真摯になされている場合には、命令不服従に対する不利益処分は、慎重な衡量的配慮が求められるというべきである」として,「当該不利益処分を課することが裁量権の濫用あるいは逸脱となることもあり得る」と判断して、戒告処分であっても「裁量権の逸脱濫用」として取り消される場合があることを示しています。
 また、同裁判官は、都教委に対し「謙抑的な対応が教育現場における状況の改善に資するものというべき」とも述べており、教育行政による硬直的な処分に対して反省と改善を求めています。(別紙「平成25年(行ツ)第140号 判決」参照)

5.上記最高裁判決(9月6日)に先立ち、都側の上告受理申立が不受理となったことで減給処分21件、停職処分1件を取り消した東京高裁判決が確定しています。他の訴訟を含めると30件もの減給処分・停職処分の取り消しが確定しています。また、都立障害児学校(当時)教員の停職1月の懲戒処分取り消しに伴い東京高裁に差し戻しになっていた国賠請求事件でも都側の上告が棄却になり損害賠償を認めた東京高裁判決が確定しています。

6.東京都教育委員会が、最高裁判決で「懲戒権者の裁量権の範囲を超え、違法」とされた減給・停職処分を行ったことは、教育行政として重大な責任が問われる許し難い行為です。その責任の所在を都民に明らかにして、謝罪しなければなりません。

7.鬼丸かおる裁判官の補足意見にもあるように、今、「教育現場における状況の改善」が求められています。問題の解決のために、都教育庁の責任ある職員と被処分者の会・同弁護団との話し合いの場を早期に設定することが必要です。

8.これまで私たちの請願・要請・申し入れなどが教育委員全員に伝わることがありませんでした。今回の請願を期に、10・23通達に係わる諸問題について同委員会で真摯かつ慎重に議論し、これまでの教育行政及び10・23通達を見直すことを強く求めます。

2013年9月12日木曜日

9/6 東京「君が代」裁判(第二次訴訟)最高裁判決 “都教委の職務命令・懲戒処分は「合憲」”の不当判決

■9月6日(金)午後2時、最高裁判所第2小法廷で、東京「君が代」裁判(第二次訴訟)の上告審の判決があった。最高裁南門前には、12時過ぎから原告や支援者が集まり、傍聴希望者は110名に達し、傍聴券の倍率は2倍半を越えた。(青木茂雄)

◆裁判について
★第2小法廷の裁判官は、鬼丸かおる、千葉勝美、小貫芳信の3名。判決主文は、「本件上告を棄却する。上告費用は上告人らの負担とする。」が全文であって、裁判長が読み上げるのに要した時間はわずか10秒足らず。別途に渡された書面による判決文には、鬼丸かおる裁判官の「補足意見」が1件付け加えられたのみであった。

★東京「君が代」裁判(第2次訴訟)は、2005年と2006年の被処分者が提起したもので、原告数は62名に達し、処分取り消しの裁判としては一次訴訟の162名に次ぐ大規模な裁判である。2011年7月の東京地裁判決では原告側全面敗訴であったが、12年の「1.16判決」後の2012年10月の高裁判決では、職務命令の違憲・違法及び戒告処分の取り消しは認められなかったが、減給21件・停職1件、合計22件・21名については取り消しが決定された。1.16最高裁判決の“職務命令と懲戒処分は合憲・合法だが、「機械的な」加重処分は裁量権の逸脱である”という判旨をそのまま承けた「一部勝訴」の判決であった。
 高裁判決後、原告団はただちに上告と上告受理申立を行った(「憲法違反」の請求は上告申立、「法律違反」等の請求は上告受理申立、都教委も反対の立場から上告受理申立を行った)。上告と同時に、最高裁への要請署名活動を始め、短い期間であったが、10,530筆の個人署名と197筆の団体署名を集め、提出した。
★判決に先立って「上告受理申立」についてはすでに7月12日に原告側・都教委側双方について「不受理」の決定があり、かつ弁論が開かれなかったところから、新たな憲法判断をしないと見られ、1.減給・停職処分の取り消しの確定、2.②憲法判断については従来のとおり、が予想されていた。
 結果はほぼ予測の通りであり、“都教委の職務命令・懲戒処分は「合憲・合法」”の不当判決であるが、一部についてだけは原告の訴えを認めるという、一部勝訴の形をとった。 
⑧同じく説明2

★判決後、近くの貸会議室で報告集会があり、約100名が参加した。弁護団からは主として鬼丸「補足意見」どう評価するかについての発言と解説があった。弁護団の最後に澤藤事務局長が「残念だがここでは終わらない。これからも運動を続けて行く。我々は憲法を守る闘いの最前線にいる」と結んだ。
 最後に原告から何名かが立ち、口々に「ここで闘いを止めるわけにはいかない」と訴
えた。
                ◇     ◇     ◇ 
▼判決文は「主文」に続いて、判決の「理由」を示した。
1.憲法19条違反について
「「原審」の適法に確定した事実関係の下において、本件職務命令が憲法19条に違反
するものではないことは、当裁判所最高裁大法廷判決(これまでの判例、略)の趣旨に
徴して明らかである。所論の点に関する原審の判断は、正当として是認することができ
る。論旨は採用することができない。」
2.その余の上告理由について
「論旨は、違憲をいうが、その実質は事実誤認若しくは単なる法令違反をいうもの又は
その前提を欠くものであって、民訴法312条1項及び2項に規定する事由のいずれに
も該当しない。」 
  

                       ◇     ◇     ◇
★毎回決まり切ったこの種の文章には、いくつかのキーワードがある。まず、「所論」とは、裁判における争点であり、下級審の判決で争点として整理したものをさすと考えられる。「論旨」は、上告人の行った上告理由をさす。「論旨は採用することができない」つまり上告を棄却するということである。
★次は、「事実関係」である。これは、「「原審」の適法に確定した事実関係」のことであり、最高裁は原則として事実審理を行わないから、原審つまり高裁判決の判定した「事実関係」以外に「事実」は存在しないことになる。ここに、最高裁判決のからくりがある。つまり、「論旨は、違憲をいうが、その実質は事実誤認若しくは単なる法令違反をいうもの」というくだりの持つ意味である。
★二次訴訟の上告理由における憲法判断の請求は、19条(思想・良心の自由)のほかに1条(国民主権)、13条(個人の尊重)、20条(信教の自由)、23条(学問の自由)、26条(教育を受ける権利)も加えられていたがそれらはすべて「事実誤認若しくは単なる法令違反」として退けられてしまった。
 注意すべきなのは、「その余の上告理由」として棄却された憲法判断は単なる棄却ではなく、「事実誤認」として棄却されたことである。
  原審つまり高裁判決と連動した最高裁の「適法に確定した事実関係」のからくりを読み解き、究明していくことが今後の法廷での闘いには不可欠である。
 権力・都教委による“思想・良心の自由”“教育の自由”の侵害は「事実誤認」どころか、まぎれもない事実であ る。

⑯報告集会は平河町KDビル
                        ◇     ◇     ◇
▼鬼丸かおる裁判官の「補足意見」
 鬼丸判事の800字余りの「補足意見」は、今回の一連の最高裁判決の中では唯一のものである。従来の「補足意見」の継続のゼスチュアとも見られ、とくに新しいものではないが、いくつか注目点はある。
 まず、思想・良心の「間接的制約」の可能性に言及し、不利益処分にあたっては「真摯」さに対する「慎重な」配慮を求めた(裏読みすれば、「真摯」でなければ「慎重な」配慮は必要ない、とも読めるが)。
★求められる「慎重な衡量的な配慮」としては、「1.当該教諭の国旗国歌に関する思想についての従前からの表明の有無、2.不服従の態様、程度、3.不服従による式典や生徒への影響の内容、程度、4.当該職務命令の必要性と代替措置配慮の有無、5.不利益処分が当該教諭や生徒に与える影響度、6.当該職務命令や不利益処分がされるに至った経緯」をあげている。
  従来の補足意見が都教委・教員双方に自制を求めたものも散見される中、鬼丸補足意見はもっぱら都教委側に「これらの事情に配慮した謙抑的配慮」を求めている点が注目される。
 また、上記6点を逸すれば、機械的な累積加重処分ではなくても「裁量権の濫用となることもあり得る」としていることも注目されよう。

2013年9月11日水曜日

9/10 最高裁(第3小法廷) 不当判決言い渡される都障労組3人組裁判

■9月10日(火)、午後、都障労組3人(河原井減給1ケ月、減給6ケ月、丸子・三輪戒告)の処分撤回に対する最高裁判決がありました。河原井さんからの報告です。

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◆判決について
<主文>
 本件上告を棄却する。上告費用は上告人らの負担とする。

<主文>
1.控訴人河原井純子の控訴に基づき、原判決中、同控訴人関係部分を次の通り変更する。
(1)東京都教育委員会が、控訴人河原井純子に対し、平成16年5月25日付け及び平成17年3月31日付けで行った処分をいずれも取り消す。
(2)控訴人河原井純子のその余の請求を棄却する。
2.控訴人三輪範子及び控訴人丸子勉の各控訴をいずれも棄却する。
3.控訴費用は、第1、第2審を通じ、控訴人河原井純子と被控訴人との間に生じた部分はこれを2分し、その1を同控訴人が、その余を被控訴人の負担とし、控訴人三輪範子及び控訴人丸子勉と被控訴人との間に生じた部分は同控訴人らの各負担とする。

★これにより2012年1.16最高裁判決の枠組みで出されていた高裁判決(2012.6.27)が確定した。

★憲法19条に違反していない理由として最高裁第一波判決(2011.5~2011.6)が列挙されていた。
 わたくしが渾身のちからを入れて主張した「教育の自由・論争的主題」については門前払いであった。どう打破するかは今後の課題である。

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▼最高裁第三波判決終わる
★9.5~9.6の最高裁判決各2件、9.10の私たちの判決と、どの裁判も法廷での判決言い渡しは「本件上告を棄却する。上告費用は控訴人らの負担とする」で、まるでテープレコーダーが作動されているようであった。傍聴席から「もっと説明せよ」「人を集めておいて誠意がない!」「判決理由を伝えて」等々の声が飛び交った。裁判が、もっと具体的にわかりやすいものになっていくように動いていきたいと痛感する。
 判決文も高校の二次訴訟の判決文には鬼丸かおる裁判官の補足意見(命令不服従に対する不利益処分に求められる慎重な配慮として1~6点判示)があっただけで、あとの4件の裁判については「コピー判決」であった。主張も証拠もまるで違うものを十把ひとからげである許すことのできない暴挙である。

▼やつばり、決してあきらめずに!!
★判決が言い渡されてもあきらめずに8月29日に最後の「最高裁要請行動(4回目)をした。第一小法廷から第三小法廷の訴訟団が係属法廷を越えてともに要請を続行したことは意義深かったと思う。
 私たちの、要請は(1).2003年10.23通達の白紙撤回、(2)すべての処分の取り消し、(3)大法廷で弁論する、であった。

★ これからも「決してあきらめず」である。「婚外子」裁判が私たちの背中をグッーと押す。憲法判断のその日まで決してあきらめない。

2013年9月10日火曜日

9/6 米山さん 最高裁判決 上告棄却

■9月6日15時30分より、米山良江さんの「08年処分取消請求・非常勤教員合格取消撤回訴訟」の最高裁判決(第二小法廷)がありました。米山さんを支援する会からの報告です。

◆判決の内容
★14時からは高校の東京「君が代」裁判二次訴訟(62名)の判決(第二小法廷)があり、そこでは、鬼丸かおる判事の個別意見が付与されたことが報告されていたのですが、米山裁判では、前日の東京教組10人の判決、近藤順一判決と同じく、A4裏表1枚の判決でした。
 裁判長が「本件上告を棄却する。上告費用は上告人の負担とする」と言うやいなや5人の裁判官は、自動扉が開き、奧に消えました。このやり方に怒った傍聴人が「どうして理由を言わないんだ!」と抗議したのは当然でした。
 裁判所前で簡単な報告集会があり、その後記者会見が行われました。

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★高橋弁護士は「米山裁判は、戒告処分を理由に非常勤教員採用取消という、停年退職後の5年間の『生活の安定』を奪うことの不当性を訴えたもの。最高裁は1・16判決で減給や停職処分の取り消しを都教委に命じたのだから、この件についても、当然、そうした過度の不利益についての判断をなすべきなのに看過してすり抜けた。これは明らかに矛盾だ」と判決を批判しました。
 憲法19条違反という論点について、憲法判断をすべきだった。こういう判決の積み重ねによって憲法の形骸化が一層の進む」と言いました。

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★米山さんは「非常勤教員の合格・採用取消」は年金受給とかかわり、高齢者雇用の安定ということと結びついている。都教委が「君が代」不起立者を排除し非常勤教員に採用しないという点を最高裁は法にかけて判断すべきなのに、まず、不採用の結論があることが問題だ。でも闘いをつなげてこれからも闘っていく」と言いました。

2013年9月9日月曜日

9/6 東京「君が代」裁判二次訴訟最高裁判決

■9月6日(金)、最高裁の判決がありました。最高裁には、原告・支援者ら120名ほどが集まり、傍聴抽選の倍率は3倍になり、中に入れない人も多数出ました。抽選に外れた人も含めて大勢の人が、判決の「旗出し」、報告集会など4時間にわたる行動を共にしていただき、心より御礼申し上げます!
 近藤徹さんからの報告です。

◆職務命令は「違憲ではない」 1・16最高裁判決の枠組みを踏襲
 減給・停職処分は取消

★本日9月6日、東京「君が代」裁判二次訴訟(上告人62名)の最高裁判決がありました。最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)は、10・23通達(2003年)とそれに基づく校長の職務命令が、違憲違法であり、戒告処分の取消を求めた一審原告らの上告を棄却しました。

<主文> 本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。

なお、最高裁が都側・原告側双方の上告受理申立を不受理としたことで、「裁量権の範囲を超え、違法」として22件(減給処分21件、停職処分1件)・21名の処分のを取り消した東京高裁判決(2012年10月)は既に確定しています。
<旗出しの文言> 
一部勝訴、22件の処分を取り消し、減給処分は違法、停職処分は違法

⑤判決

★昨年1月16日の最高裁判決を踏襲して、10・23通達とそれに基づく校長の職務命令が、「憲法19条に違反するものでない」とし、戒告処分を容認したのは、極めて不当です。

なお、今回の判決で注目されていた裁判官の個別意見では、鬼丸かおる裁判官が新たに評価に値する補足意見を述べており、救われる思いです。

★鬼丸かおる裁判官は補足意見において,「個人の思想及び良心の自由は憲法19条の保障するところであるから、その命令の不服従が国旗国歌に関する個人の歴史観や世界観に基づき真摯になされている場合には、命令不服従に対する不利益処分は、慎重な衡量的配慮が求められるというべきである」として,「当該不利益処分を課することが裁量権の濫用あるいは逸脱となることもあり得る」と判断している。これは、戒告処分であっても「裁量権の逸脱濫用」として取り消される場合があることを示唆したものである。
 また,同裁判官は、都教委に対し「謙抑的な対応が教育現場における状況の改善に資するものというべき」とも述べており,これは,教育行政による硬直的な処分に対して反省と改善を求めたものというべきである。(原告団・弁護団声明より)

⑭報告集会にて

◆これまでの支援に感謝します。勝利するまで闘いを継続します。

★これまで、私たちは、全力を挙げて最高裁要請署名、要請行動に取り組んできました。3回の最高裁要請行動(毎回30~40名参加)を実施し、私たちの思いを最高裁に伝えて来ました。その真摯な思いが鬼丸裁判官の補足意見に反映したとすれば、嬉しいのですが・・・

なお、最高裁要請署名は、短期間で個人署名10,530筆、団体署名197筆を集めることができました(9月5日最終第4次分提出)。1筆1筆に民主主義・人権を守らねばとの市民の願いが込められています。ご協力に感謝しています。

★さて、闘いはこれで終わったわけではありません。東京「君が代」裁判三次訴訟(原
告50名)、「授業してたのに処分事件」(再発防止研修未受講事件 原告1名)は東京地裁に係属しており、東京都人事委員会審理(22件・請求人17名)も闘われています。

私たちは、最高裁裁判官の反対意見、補足意見が生かされ、やがて最高裁全体の多数意見となり、違憲判断と全ての処分の取消が実現する日まで着実に闘い続けます。これからも絶大なるご支援をお願いいたします。

◆最高裁判決を受けて 9・9都教委要請行動に参加を!
本日の最高裁判決を受けて都教委要請を行います。「違法」な減給・停職処分を行った都教委の責任を徹底的に追及し、謝罪を求めます。最高裁判決の都教委による歪曲・無視を許さず、都教育委員会へ請願書を提出します。

9月9日(月)都教委要請行動
*報道関係者の取材歓迎!
 15時45分都庁第2庁舎1Fロビー集合
 16時~要請(同庁舎10F203会議室)
 *予備日 9月10日(火)急に9日が中止になった場合に備えて

◆<緊急>残る2名の再発防止研修抗議・該当者支援行動へ!「イジメ研修」をやめろ!

都教委は、3月卒業式・4月入学式処分された教職員を対象に2回目の「服務事故再発防止研修」を発令し、これまで卒業式処分者3名、入学式処分者2名の「研修」を強行しました。
 9月に残る入学式処分者2名に対象の「研修」が行われようとしています。

「思想及び良心の自由」に従って行動した教職員に「反省・転向」を強要する「違憲・違法」な「弾圧・イジメ」の研修に抗議する現地行動に参加しましょう。被処分者の会が呼びかける抗議・支援行動へ来て下さい。

★再発防止研修(2回目)抗議行動と当日の時程★ 
 9月10日(火)    YMさん(都立O高校)
 9月17日(火)    TNさん(I特別支援学校)

 場所:都教職員研修センター前
 (JR水道橋東口、都営水道橋、都立工芸高校隣)
 時間:9時集合・行動開始→この時間に来てください。
    9時20分該当者(受講者)入場、激励行動
    11時30分頃(予定)研修終了後、該当者激励行動 
 *呼びかけ:被処分者の会

<いずれの日も同じ場所・時間です。>

被処分者の会HP <速報>9・6最高裁判決全文、声明文掲載。
10・19集会チラシ、判決文、各種声明文、行動予定、資料等入手可能。

2013年9月7日土曜日

9/5 近藤順一さんの裁判への最高裁不当判決

■「日の丸・君が代」累積加重処分取消裁判ニュース174号をアップします。

D近藤

★9月5日(木)「日の丸・君が代」処分(戒告から停職まで)累積加重処分取消裁判の最高裁(第1小法廷)判決がありました。これまでのご支援、傍聴に心から感謝します。

◆判決:上告棄却、憲法判断・不当判決
 裁判官は次のようにいいました。
「開廷します。 主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人の負担とする。
 これで、閉廷します。」

記者会見近藤

★ 横田第一小法廷裁判長の声が流れて終了した。以下四人の裁判官(櫻井・金築・白
木・山浦)は無言で消えた。その「理由」は旭川学テ判決などによって「本件職務命令が憲法19条に違反するものでない」とした。2011年の最高裁判決を参照せよ、と言う。
最高裁は自らが下した判決が、教育現場への教育介入、不当処分にいかに拍車をかけているかに無頓着である。そして、国政での政治状況に追随して判決を書いているようである。特に重視すべきは「裁判官全員一致の意見」としていることである。
行政処分され、司法判断でも処分是認されたことを重く受けとめる。自由や人権よりも、儀式における「秩序・規律」を優先させる。
この現実を広く国民に訴え「倍返し」の反撃を強めなければならない。

2013年9月6日金曜日

9/5 「君が代」処分 最高裁不当判決弾劾

■9月5日(木)、14時から、東京小中「君が代」不起立10人裁判の最高裁判決の言い渡し日でした。
 13時過ぎには最高裁前に傍聴希望者が並びました。抽選になり、第一小法廷で、全く無味乾燥の、怒りしかわかない判決が「言い渡され」ました。
 10人の上告人の一人である根津さんからの報告です。

傍聴で並ぶ

傍聴

◆最高裁判決
★開廷すると、金築裁判長が「主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人らの負担とする」とだけ言い、傍聴席から「理由くらい言え」と野次が沸き起こる中、5人の裁判官は退廷して行きました。所要時間はものの1分でした。

秋山

★昨年10月25日に出された控訴審判決は、2012・1・16最高裁判決に倣って、2人の減給処分を取り消し、戒告及び根津の減給6ヶ月、停職1ヶ月処分を適法としました。
 きょうの最高裁判決は、わかっていたことでしたが、その控訴審判決がそのまま維持されたということです。

★判決文を見て、裁判官たちのいい加減さに怒りが倍加しました。
「1.上告理由のうち憲法19条違反を言う部分について」と題し、「原審の適法に確定した事実関係の下において、本件職務命令が憲法19条に違反するものでないことは、当裁判所大法廷判決の趣旨に徴して明らかというべきである。」

「2.その余の上告理由について」と題し、「論旨は、違憲及び理由の不備をいうが、その実質は事実誤認若しくは単なる法令違反をいうもの又はその前提を欠くものであって」「よって、裁判官全員一致の意見で、主文の通り判決する。」たったのこれだけ。
補足意見も反対意見もありませんでした。

★昨年2月に退官した宮川裁判官(すべての処分を取り消すべきとの反対意見)に代
わって就任した弁護士出身の山浦善樹裁判官は自己の意見を表明しませんでした。誠
実さの微塵も感じられません。

記者

★その後、記者会見を行いましたが、出席した大手報道の記者は北海道新聞とNHK
くらい。私に見落としがあったかもしれませんが、とにかく、記者の数は非常に少数でした。報道機関にとって「日の丸・君が代」は過去の事柄なのでしょう。

★会見で吉峯弁護士は、「起立斉唱行為が思想及び良心の自由の間接的な制約となることを認めつつ、思想及び良心の問題を『必要性及び合理性』という緩い基準で、しかも何の説明もせずに用い、判断することは憲法学会ではありえないこと。厳格な基準を用いることが通説だ。司法が政府に追随するがゆえに、結論先にありきの判決なのだ。」と批判しました。
 私の処分を適法としたことについては、「何度も処分をされたということは、何度も良心を貫いたということ」と断言しました。

 吉峯弁護士に続いて、原告団長のAさん、根津、減給処分取消となったMさんが発言。

★私は、過去の処分歴・不起立前後の態度等を取り上げて秩序判断をした1・16最判は、処分者側にフリーハンドで累積加重処分をしてよいとのお墨付きを与えた。
最判から1年後の今春、すでに不起立4回の田中聡史さんに減給処分を出した現実は、それを実証していることを指摘しました。

▼レイバーネットの記事をぜひお読みください。

小中裁判
http://www.labornetjp.org/news/2013/0905shasin

近藤裁判
http://www.labornetjp.org/news/2013/0905kondo

2013年9月4日水曜日

9/5、9/6 『君が代』処分 最高裁判決

■結集して下さい。
○1時間前に、傍聴整理券交付
○40分前に整理券交付締め切り→抽選

★9/5(木) 14:00 第1小法廷
 東京小中「君が代」裁判(10名)
★9/5(木) 15:30 第1小法廷
 累積加重処分取消裁判(1名) 

★9/6(金) 14:00 第2小法廷
 東京「君が代」裁判二次訴訟(62名)
★9/6(金) 15:30 第2小法廷
 08年処分取消請求・非常勤教員合格取消撤回訴訟(1名)

★9/10(火) 14:00 第3小法廷
 都障労組04年処分取消請求訴訟(3名)

2013年9月3日火曜日

近藤順一さんの『ニュース』(第173号)です。

■「日の丸・君が代」累積加重処分取消裁判 上告人 近藤順一さんはは9/5に最高裁判決を迎えます。近藤さんからのアピールです。

◆第三波最高裁判決(2013/9)にあたって
これまでのご支援に心から感謝します。
<改めて「日の丸・君が代」強制に反対する意味を考える>

▼「日の丸・君が代」問題の現段階の意義は何か:
 教職員の処分・弾圧を通して学校教育への介入、教育破壊が進められている。現在、介入と処分は教育内容全般、全国化の様相を呈している。その意味では国民的な闘いはこれからである。
 延べ450件の処分と裁判闘争が続けられている。私もまたその小さな一部分であるが、その総体は関東大震災・朝鮮人中国人虐殺90年,学徒出陣70年、戦後68年、「10・23通達」10年、3・11から2年半における抵抗の到達点である。

▼対外的意味は:
 再び排外主義的ナショナリズムに屈服しないことは、戦後の日本の教員の世界の人々に対する約束だったのかもしれない。
 歴史認識や自虐史観とも関係するが、ともかくアジアの人々は、日本の若者が再び銃を持って来ないでほしい、ということだろう。国際貢献や自衛、価値観(人権など)を名目とする武力行使が警戒されている。

▼世代論的な意味では:
 団塊世代など「侵略者二世」は、侵略戦争の事実を直接きかされてきた。その記憶の中継者にならなければならない。それが広義の教育かもしれない。「日の丸・君が代」問題は、戦前と戦後の連続性を断ち切り、戦後責任を果たす契機となっている。

▼勝利と敗北について:
 憲法判断においての焦点は教育の自由にある。一審判決では「国の教育統制機能」を認めている。今回の最高裁判決では、旭川学テ判決を後退させ、教員の教授の自由を一層制限するかもしれない。
 いずれにしろ、まだ10年足らずであり、数十年、百年単位で歴史的評価は下されるのかもしれない。今、特に重要なのは、敗北の形をはっきり見せることだ。戦後教育史上に突出した教職員弾圧と教育介入の客観的評価は長いスパーンで下されるだろう。
この裁判闘争自体を教材化する若い教員が現れるかもしれない。
最高裁要請署名にご協力、ありがとうございました。

◆最高裁判決 9月5日(木) 
  近藤順一 07~10年処分取消訴訟・最高裁判決
   14:30 傍聴整理券交付開始(最高裁南門)
   14:50 整理券交付〆切(その後、抽選)
   15時30分判決(第1小法廷)
最高裁への行き方:地下鉄(半蔵門線・有楽町線・南北線)
永田町駅・4番出口 徒歩5分
   *16:30 記者会見(予定)

2013年9月2日月曜日

8/30 田中聡史さんへの服務事故再発防止研修抗議

■「君が代」不起立した田中聡史さん(都立板橋特別支援学校)に対し、都教委は8月
30日に「服務事故再発防止研修」を強行しました。それに対する抗議行動を行いました。根津さんのが報告をアップします。

写真付きの報告を佐々木さんがされています。
http://www.labornetjp.org/news/2013/0830shasin

◆都教委が学校に押しかけての「再発防止研修」をやめろ!行動報告

★8月30日、田中聡史さん(板橋特別支援学校教員)に対し、都教委管理主事3人が学校に押しかけての「再発防止研修」4回の4回目。
 2011年入学式以降「君が代」不起立処分をされ続け、今春の卒業式・入学式ともに減
給1ヶ月処分にされた田中さんは、この他に都教職員研修センターに呼び出されて3回、校長によるものが12回、計19回の「再発防止研修」を受けさせられます。思想の転向強要を19回もやられるのです。

★昨年、最高裁判決が「戒告を超えるより重い処分を選択する時には慎重な考慮が必要」としつつ、「不起立前後の態度等」がよくなければ(=不起立が止まらなければ)「戒告を超える重い処分」をしてもいいと判じたことを悪用し、都教委は判決直後に「再発防止研修」の内容、日数を改悪しました。
そして、わずか1年にしてこの春、田中さんに対し減給1ヶ月処分を出しました。

この先、都教委は徹底して不起立を続ける者に対しては、「教員不適格」として分限免職処分を狙っているのではないかと危機感を抱きます。田中さんを分限免職にさせない! 市民のその声を都教委にきっちり届け、分限免職を阻止せねばと考え、私たちは今日、板橋特別支援学校前で行動をしました。

★河原井・根津らの「君が代」解雇をさせない会、地域と学校を結ぶ板橋の会、都教委包囲ネットのメンバー15人が参加しました。

 7時15分、出勤する教職員に解雇をさせない会と板橋の会がそれぞれ用意したチラシを配布。受け取りはかなり良かったです。
8時半、主幹2人が門を閉めにやってきたので、私は校長に用事のあることを告げ、敷地に足を入れました。経営企画室(=一昔前までは事務室と言った)受付に行くまでの間、主幹は「事前のアポがない。校長の許可なく入れば不法侵入」「学校関係者以外は立ち入り禁止」を繰り返しましたが、「通常の受付は経営企画室でしょう」と言うと、それには反論できずじまい。

ビデオ

★経営企画室の前には「待っていました」とばかりに副校長が立ちはだかっていて、私たち(4人)を見るや、主幹と同じセリフを繰り返しました。経営企画室の受付の扉に手をかけると、施錠されていました。校長の指示によるのだということでした。でも、「訪問者は通常受付を通ることになっているのに、それをさせないというのはおかしいではないか」と訴えると、室長は窓口の戸を開けてくれました。

★私たちは室長に校長への要請文を渡し、回答を求めたい旨を話し、校長の回答を訊きに行った室長を待ちました。
その間、副校長は何度も「警察に通報する」と言い、傍らにいる主幹の一人に私たちを撮影するよう指示しました。カメラを持つ主幹の手は震えて見えました。
指示で動かされる人間の、自己の良心を失っていく初期の段階と感じました。結局前回と同じく、副校長のことばは私たちへの脅しだったようで、警察は来ませんでしたが。

★しばらくして校長の回答を受けて室長が戻ってきました。
回答は、「2つ(の団体)に回答はない」というものでしたが、そこで粘るのは止め、応対してくれた室長にお礼を言って、門の外に出ました。

経営室長 
★9時をかなり回っても、都教委指導主事3人の姿が玄関に現れません。
「再発防止研修」開始予定の10時少し前に、田中さんが校長室に向かう姿が見えました。ということは、指導主事は玄関以外から校舎に入ったということ? 一体全体どういうこと? 指導主事の判断で?それとも“上司”の判断で? 恥ずかしい行為がなぜとれてしまうのか、理解できません。

 田中さんが取り囲まれ思想の転向を迫られている1時間、私たちは、「『日の丸・君が代』の強制を許さない。処分を許さない」「都教委は『再発防止研修』をやめろ」とシュプレヒコールをし、都教委を監視している私たちの存在をわからせようとしました。

D激励

★11時、校長室を出た田中さんの姿が見えました。『再発防止研修』は終了したのだと分かった私たちの次の関心は、指導主事はどこから帰るのか。どこで待ったら会えるか、ということでした。

5分後、北側に一つある出入口(給食関係の)付近で見ていた私たちの一人が、「職員が靴を持って行った」と叫びました。
その直後、校長・副校長に見送られて3人の指導主事が玄関から出てきたので、その靴は3人のうちの一人の靴だったのでしょうか。
私たちは3人のところに抗議に行きました。
前回と同じ指導主事3人でした。
 「田中さん一人を取り囲んで、今日は何をしたか、説明してください」
「公務でしたことなのだから、あなた方には市民に対し説明責任があるでしょう」
「あなた方には仕事に対する誇りや、良心がないのですか」等々、聞きましたが、3人は都教委のマニュアルどおり、≪目を合わせない、答えない≫に終始。

★駅までの5分ほどの時間では訊きたいこと、伝えたいことが残ったままだったので、私を含む3人は電車で都教職員研修センターのある水道橋駅まで同行しました。高島平駅で電車を待つ時間、そこにいた人たちは私たちの声にこちらを見ます。そこで私はその人たちに事情を説明。すると、何人かの人は大きく頷いてくれました。

 電車に乗ってからは、「都教委のやっていることは拷問だ。拷問は国際的には禁止されているのを知っていますか」などの問いかけも。3人は目を下に向けたままでした。

 しかし、「あなた方3人は良心をなくしたようですが、都教委・研修センターの人の中にも良心を捨てきれなかった人がいますよね。再発防止研修の時に、私たちの監視役で立っていた方が自殺をされたと聞きました。その人は良心を捨てきれなかったのでしょう。私はその方を覚えています。私たちが声をかけると、目を動かして動揺を隠しきれなかった方ですものね」と言うと、男性指導主事はこの時には掟を破って声を発しました。「そんなこと知らない。誰ですか」。
 この指導主事のことばを聞いて、都教委にとって不名誉な“自殺”は、隠し通す、あるいは揉み消すということなのかと、ぞっとしました。

★3人ともが水道橋で下車しましたが、3人ともが都教職員研修センターに勤務するのではなく、新宿の都庁が勤務地である指導主事や、板橋特別支援学校を管轄する池袋の西武支援センター支部が勤務地である指導主事もいたはずです。ということは、これから3人で今日の報告書の作成をするのだろうか。情報開示請求をしてみよう。

★9月17日(火)には、田中さんを都教職員研修センターに呼び出しての最後の「再
発防止研修」が強行される予定です。どうぞ、抗議の声をあげて下さいますように。

2013年9月1日日曜日

8/30 緊急の大阪府教育委員会議と要請行動 実教出版もふくめ、学校の選定どおりに採択を決定

■8月30日(金)午前9時から大阪府教育委員会議が開かれ、そこでは高校教科書採択が行われました。
 大阪の教職員たちは急きょ、朝8時から大阪府庁別館前に集まって、要請行動をしました。約30名の人たちが集まりました。数名は傍聴することができました。
 行動への参加者たちは炎天下にもかかわらず、終始集会とシュプレヒコールで傍聴者を励まし、府教委に対しては抗議と要請を繰り返しました。
 審議中、中原教育長の横暴ぶりに対して傍聴者は強く怒りの抗議をしました。ところが、府教委は傍聴者に退場を命ずるという暴挙もおこないました。
大阪の伊賀さんからの報告です。

◆府教委での教科書採択にかかわる審議の内容
★府教委は当初高校教科書の採択にかかわる審議には30分しかかけない予定でしたが、実際には審議が紛糾し、休憩をはさんで2時間あまりの時間をかけました。
中原教育長は「府教委に採択権がある」ことを何度も強調し、実教出版の日本史教科書を選定した9校の決定を強引に覆そうとしましたが、教育委員から「現場の選定を覆すことは大変ハードルが高い」とか「現場の意見を尊重したい」などの意見があいつぎ、結果的には実教出版もふくめ、学校の選定どおりに採択されることになりました。

★しかし、実教教科書の使用にあたっては「条件」がつけられました。
これは実教教科書の「日の君」に関する記述を実質上覆すための措置です。今後実教を採択した学校に対して、府教委の「日の君」強制や処分を正当化するための補助教材を強制したり、教員の授業内容を監視したりすることを前提にしているということです。
今後、実教を採択した学校に対しては、維新の会をはじめとする右派勢力によるいやがらせ、介入などが激しくなることも予想されます。

★また、昨年、今回の実教を採択した高校が5校ありました。
そこでは、すでに今年から実教が使用されています。今回の教育委員会議配付資料には「課題のある教科書のうち、昨年度以前に採択されており、現在使われている教科書の扱いについて」検討課題にあがっています。
 8月21日に大阪の会で府教委と「応接」したときにも、それらの学校への対応を考えているとの回答でした。
 今後、昨年実教を採択した学校への圧力に対しても監視をしていく必要があります。

★また中原教育長は、実教を選定した学校は他にもあったが、府教委の指導によって他社の教科書に変更した高校が複数あったことを明らかにし、今後はますます学校をしめつけ、来年は実教の採択をゼロにする意向を示しました。
 具体的には、昨年実教を採択し、今年も実教を続けて採択しようとしていた学校に対して、校長が教科会に圧力をかけ実教を外させたとい言う事例もありました。このような事例がどれぐらいあったのか、どのような圧力がかけられたのか、調べていく必要もあります。

■もう一つ、重大な事態の進行
 教科書問題で、もうひとつ重大な事態が進行しています。
★大阪の進学校1校の3年で旧課程の明成社版が採択されていました。
この明成社版は、2002年に検定合格したもので、それ以降多少内容の追加がされているようですがここ10年くらいの新しい情報が、極めて薄い教科書です。年表さえついていないものです。
 3年生は来年度から新課程の教科書を採択しますので、この明成社版を使用できるのは1年だけでになります。極めて政治的な採択としか思えません。今後採択の経過等を調べ、何ができるのか知恵を絞りたいと思います。

8/20 神奈川県教委への抗議文

■8月20日、「公正な教科書採択を求める(神奈川)県民の会等は神奈川県教委にたいして、高校日本史教科書採択撤回の要求・抗議文を提出しました。紹介します。

神奈川県教育委員会  
教育委員長 具志堅幸司 様
教育長 藤井良一 様
  県教委による「高校日本史」教科書採択への不当な介入と「採択決定」の撤回を要求する(抗議文)
……憲法に保障された学問の自由、言論の自由、思想・良心の自由、表現の自由、国民の教育権を踏みにじる暴挙は許されない……

 神奈川県教育委員会は、事務局及び教育長による各学校の教科書採択への不当な介入を行い、実教出版の「高校日本史」教科書を排除し、本日、「採択決定」を強行しました。これは、学校の教育課程編成権への不当な介入であり、憲法、教育基本法に違反するものです。

 7月23日、神奈川県教育委員会事務局と藤井良一教育長らは、臨時教育委員会後の「委員協議会」で、「(実教出版の高校日本史の)記述は、県教委の指導と相いれない部分がある」と複数の教育委員が発言したことを理由に、学校が希望しても不採択になる可能性が高いと判断し、学校側に使用希望の「再考」の名の見直しを求めることを独断で決定しました。

 翌7月24日開かれた県立学校・学校経営研究協議会の終了後、実教出版「高校日本史」教科書を希望する該当校27校の校長を残し(1校は欠席のため電話で指示。計28校)、県教委事務局は、「公開の教育委員会で不採択になる可能性もあり、学校名が公になって混乱を招く。場合によっては、街宣車がくる可能性がある。」と発言し、校長に希望教科書の「再考」を求めました。これにより、各該当校で、事務局の発言と同趣旨の内容を理由として、「再考」の名のもとに希望教科書の「変更」が行われました。

 また、8月6日の臨時教育委員会では、「公正な教科書採択を求める県民の会」の学校現場の混乱を指摘する陳述に対して、河野真理子教育委員が「複数の課題が提供されましたので、(教育現場で起こっていることの)事実確認をして対応したいと思います。」と言明しました。しかし、県教育委員会は、その学校現場の「事実確認の調査」を実施せず、最終決定を行いました。
 具志堅幸司委員長は、「8月20日の教育委員会で当該教科書を採択した時に様々な問題が出てくる可能性を考えると、今回の判断は良かったと言う風には思っています。
最終決定というのは、教育委員会が採択権者ですので、それは不当だとは思っていません。」と今回の事務局及び教育長の介入を擁護しています。しかし、県教育委員会事務局及び教育長が、県教育委員会の正式な決定を経ることなく、各学校の自主的な教育課程の編成権を侵害し、実質的に学校教育への不当な介入を行ったことは、決して許されるものではありません。具志堅委員長の発言は、教育委員会の信頼を大きく損なうものであり、その責任は重大です。
 教科書は、「主たる教材」(教科書の発行に関する臨時措置法2条1項)として各教科の教育指導の基本となるものです。そして、教育とは、「教師と子どもとの間の直接の人格的接触を通じ、子どもの個性に応じて弾力的に行われることをその本質とするから」(最高裁大法廷1976年5月21日判決)、教科書の選定に当たっては、実際にそれを使用して授業を行う教師たちの教育現場の意向が最も強く反映されるべきです。
 教育委員会が問題であると指摘している、実教出版の「高校日本史A(日A302)」「高校日本史B(日B304)」の国旗・国歌についての記述部分「しかし、一部の自治体で公務員への強制の動きがある。」との箇所は、国旗国歌法が制定された過去の一時期、卒業式・入学式における国旗・国歌の扱いについて、服務として当然のことと見るか思想良心の自由を妨げる強制と見るかをめぐって熾烈な争いがあったことを踏まえ、検定の際、文部科学省からの要望で書き加えられたものです。それを踏まえて、文部科学省は、実教出版の教科書を検定教科書として認定しました。
 したがって、これを問題視するのは、恣意的な政治的判断と言わざるを得ず、県教育委員会が越権的に教科書の二重検定を行ったことになります。
 今回の教育委員会による学校教育現場への介入は、教育委員会の職務権限を逸脱するものであり、教育基本法16条の禁ずる「不当な支配」に当たります。

  文部科学省は、毎年、各都道府県に対して、教科書採択に関わる「通知」を出しています。併せて「地方自治に基づいて、県民が各都道府県での教科書採択の手続きや内容についての説明を求めていくことや県教育委員会は採択手続き等が県民に十分納得が得られるどうかの説明が求められています。」として、文部科学省は県教育委員会に対し、採択手続きの公開性・納得性を求めています。
  今回、県教育委員会は、公開の7月23日の教育委員会での審議を避け、非公開の「委員協議会」で、議題にないにもかかわらず、教育委員の発言だけをもとに、教育委員会の正式な手続きを経ることなく、校長に「再考」を求めるという前代未聞の不当な介入を行いました。これは、採択手続きの公開性という点でも極めて問題です。
 また、県教育委員会は校長への「再考依頼」の事実経過を自ら明らかにしようとせず、これを正当化したことは、生徒・保護者・教師などを含め多くの県民の納得性を得られるものではありません。

 さらに、県教育委員会は、7月24日に各学校の校長に伝えた「再考依頼」の根拠として、
① 実教出版の希望をする学校が方針を変えずに、不採択となった場合、敢えて「県教委は各校名を公表する」。
② 県教育委員会は、「不採択になると校名が明らかになり、その学校に様々な団体が来て混乱が起こる。また、場合によっては街宣車が学校にやってくる。」
と説明しています。
  たとえ学校名が明らかになり、その学校に外部団体が何らかの圧力をかけた場合、その外部団体の行為は、明らかに学校に対する威力業務妨害であり、生徒や教職員に対しての脅迫となります。
 県教育委員会の本務は、威力業務妨害や脅迫的手法に屈して、「再考」を求めることではありません。生徒、教職員、学校を守るために行動することこそ本来の責務なのではないでしょうか。

 教員は専門職として、教科書の採択に不可欠な役割を与えられるのは当然であり、ILO・ユネスコ勧告『教員の地位に関する勧告』(1966.10.5)では、「教育職は専門職としての職務の遂行にあたって学問上の自由を享受すべきである。教員は生徒に最も適した教材および方法を判断するための格別の資格を認められたものであるから、…教材の選択と採用、教科書の選択、教育方法の適用などについて不可欠な役割を与えられるべきである。」(61項)とされ、「教科書の選定にあたって教員が『主要な役割』を担うことは、国際的な標準であり、日本政府や地方教育委員会も尊重すべきもの」と強調しています。また、『旭川学テ最高裁判決』(1976.5/21最高裁大法廷)では、「子どもの教育は、教育を施す者の支配的権能ではなく、何よりもまず、子どもの学習をする権利に対応し、その充足をはかりうる立場にある者の責務に属するものとしてとらえられているのである。」とされています。
 県教育委員会は、憲法及び教育基本法の理念に基づき、「再考」により排除した希望教科書の採択決定を「撤回」すべきです。
 学校教育への不当かつ暴力的な政治的介入を行い、非常事態とも言える学校現場の混乱を起こし、生徒・保護者・教職員さらには県民に対する背信行為を行ったことの責任をとるべきです。
  もし、神奈川県教育委員会が今回の「採択決定」を撤回しないときは、神奈川県教育委員会委員長具志堅幸司氏及び教育長藤井良一氏に対して、今回の教育現場の混乱と教育委員会の信頼を大きく失墜させた事への責任をとり、辞任することを要求いたします。
  2013年8月20日  
    公正な教科書採択を求める県民の会
   「日の丸・君が代」の強制に反対し、学校に「思想・良心の自由」を実現する会
        教科書・市民フォーラム
        神奈川県教育運動連絡センター
        教育行政研究会
        請願賛同者一同