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2014年12月31日水曜日

都教委の防災訓練に名を借りた自衛隊隊内訓練の推進を暴くブックレット(5)

自衛隊での宿泊訓練パンフの続きです。

『高校生をリクルートする自衛隊・自衛隊の手法を取り入れる教育行政』から。
(編集委員会発行、800円+税、(株)同時代社、電話03-3261-3149、FAX03-3261-3237)

「4、都立田無工業高校二回目の自衛隊との『宿泊防災訓練』」

(「田無工業高校は、朝霞駐屯地での宿泊防災訓練につづいて、翌2014年2月3日(月)~5日(水)にも、『夢の島・東京スポーツ文化館(BumB)で、宿泊防災訓練を行いました。)

 「(2013年)7月は運動部員の34名でしたが、2月は二学年生のすべてが対象になりました。実際には155名が参加予定で、そのうち約140名ほどの参加でした。」

<半強制的な「参加同意書>
 「このBumBでの訓練の場合、保護者に向けられた『参加同意書』が特別でした。……不参加の場合にその理由を書く欄が非常に大きく枠が設けられています。
 つまり、不参加に〇をつけにくい条件になっているのです。そして『同意』が前提とされています。・・・7月の訓練では『参加申込書』となっており、不参加理由を書く欄も無いことがわかります。
 ・・それにもかかわらず十名以上が不参加であったことは、生徒・保護者の中にかなり疑問を持った人が多かったといえるのではないでしょうか。・・」

<費用はすべて都教委が負担することの疑問>
 「もう一つおおきな疑問は、生徒の食費も含めすべて都教委側が負担していることの疑問です。・・
 都教委がBumBに支払った総額は236万2720円になっています。その内訳は、施設使用料等が131万1820円であり、一般需要費として103万1220円の支払いが報告されています。そしてその総額は『教育費』の名目として処理されています。
 ところが、この一般需要費と同じ金額の『生徒食事代として』と書かれたBumB発行の領収書が存在しているのです。
 都教委は2014年度予算として、『防災訓練』の名目で8300万円を計上しています。なぜ、BumBでの防災訓練がこの費用として処理されないのかが疑問です。

<黒塗りと目隠しの防災訓練への疑問>
 「次に掲載しますのは、西田昭司さん(憲法を教育に生かす西東京jの会)のBumB(・・)の防災訓練のレポートです。
 西田さんは、都教委に取材申し込み手続きをして、BumBを取材しました。ところが、会場入口の窓には全て目隠しが貼られ、外部と完全に遮断された隠された訓練でした。・・
 ・・BumBでの防災訓練を都教委に開示請求したところ、生徒・保護者に配布された公明性の高い『しおり』は各所が黒塗りで埋められています。この黒塗りの部分を透かしてみますと『自衛隊』の文字が見えます。自衛隊の訓練は隠さなければならないことのようです。」

<夢の島・東京スポーツ文化館(BumB)の「宿泊防災訓練」レポート>
(これも詳細なレポートですので、基本的な内容に絞って紹介します。抜けているところがあるかもしれませんが、ご容赦を)

(1日目・2013年2月3日)
 ・・・・
 10時10分 BumBのメインアリーナで開校 (教育委員会、自衛隊、学校長が各挨拶、生徒代表も挨拶)
 10時30分 自衛隊の講話「自衛隊の災害派遣活動等について」 ・ガラス戸目隠し・監視の中での取材
 10時30分過ぎに、都教委職員がわれわれを受付場所からメインアリーナの観客席に案内した。観客席入       口までぴったり離れず、われわれにっくっついて「案内」した。メインアリーナ観客席入口の所に        あるガラスというガラスに全部内側から白い紙を貼り、ガムテープで留め、アリーナ内が見えない       ようにしてあった。・・・また、メインアリーナの一階、生徒や教職員の入口には、白いシーツを         張ったついたてが三枚立ててあり、中が見えないようになっていた。・・

    ・自衛官による「防災訓練」の指導
 13時から 自衛官の話が始まり、準備体操・ストレッチが行われた。・・・それから大きく二つのグループに       分かれた(・・「復命書」では、生徒は四グループに分かれたことになっている。A・Bグループが        止血法・三角巾法の実習。

 C・Dグループが応急担架搬送)
 16時から、説明指導者が交代して生徒たちに教えた。・・ 最後は生徒全員整列して座った。自衛隊員が      一列で行進し生徒達の前に並び、静止、敬礼した。前に並んだのは迷彩服を着た者が10人(全員      右腕に広報の腕章)、 背中に黄色字で「防衛省」と書かれた黒いジャンパーの者が2人の12人。
      そして脇の方にカメラを胸に提げ、迷彩服を着た隊員が1人、合計自衛隊員は13人だった。
 18時に実習終了。諸注意のあと生徒たちはカギを受け取り、宿泊室に散った。

(2日目・2月4日) ・昨日の実習の復習が行われた。(詳細は略します) 16時実習終了。
 16時30分から DVD上映
      「前のスクリーンに、『3・11』と大きな文字が映されていて、副題として『東日本大震災 激震と大      津波の記録』と書かれていた。その下に項目が3つ書かれていた。
   ①激震と大津波の記録
   ②震災後50日間の記録 復興への歩み
   ③ノーカット盤気仙沼を襲った大津波の記録映像
 17時50分 終了。 最後の頃に『制作KHB東日本放送、映像提供陸上自衛隊東北方面隊、映像協力        ABC朝日放送」と出てきた。前半部分では宮城県知事が3~4回出てきた。 真ん中後半くらいに     「仙台空港の滑走路が1500メートル確保されるようになると、米軍の大型輸送機が発着し『トモダチ     作戦』で本格的な物資輸送が始まった」 「自衛隊も・・・」として、米軍大型輸送機の発着映像が映     され、自衛隊の活動が映像で流された。

・取材しての感想
 訓練の内容は、要約すれば、①毛布を使った担架作成と、②三角巾の使い方の二つである。
 これだけのために宿泊までして、自衛隊から学ばなければならない理由などないと感じた。 
 自衛隊の宣伝、自衛隊を身近なものにすることが真の目的ではないだろうか。
 また、「リーダーの大切さ」ということに教育上の問題を感じた。
 「リーダーだけが指示を出し、他のみんなはついて行く」ということでよいのだろうか。
 ・・・・・大災害のような特殊な状態に置かれたときは・・「それぞれが、それぞれの置かれた
 状況を判断して最善の行動を選択すること」ができるようにすることが大切であり、 

 それこそが教育の課題だと思う。振り返って自分の現役(中学校教員)の頃の避難訓練を考えたとき、「マニュアルに従わせる」ものだったなあと反省させられている。

(3日目・2月5日)
 略しますが、9時30分から11時30分頃まで行われたと思われる「最終講話」は藤本一雄(千葉科学大学危険管理学部准教授)他によるもので、「内容は、①ハインリッヒの法則、②リスクマネージメントの7つのポイント、③ヒューマンエラー等、学問的な内容で、生徒にはレベルが高いものだった。」と
 述べてあります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この中で、<半強制的な「参加同意書>、<費用はすべて都教委が負担・・>
<黒塗りと目隠しの防災訓練・・>
などを読めば、いかに都教委が、今後多くの高校生を「自衛隊による宿泊訓練」に参加させようと力を入れているか、ということがよくわかるでしょう。しかも、でいるだけ秘密裏に事を進めようとしています。

また、<・・・「宿泊防災訓練」レポート>の「取材しての感想」にあるように、「宿泊防災訓練」の真の目的は、やはり、自衛隊の宣伝であり、自衛隊(「軍隊」)を生徒たちに身近なものにすること、でしょう。

次回は、
「5、沸き上がる自衛隊の「宿泊防災訓練」への抗議・反対運動の取り組み」

都教委の防災訓練に名を借りた自衛隊隊内訓練の推進を暴くブックレット(4)

自衛隊での宿泊訓練パンフの続きです。

『高校生をリクルートする自衛隊・自衛隊の手法を取り入れる教育行政』から。
(編集委員会発行、800円+税、(株)同時代社、電話03-3261-3149、FAX03-3261-3237)

「3、自衛隊駐屯地で行われた高校生の『防災訓練』」

<都教委が直前まで隠してきた駐屯地での訓練>
(都立田無工業高校の自衛隊駐屯地での「宿泊防災訓練」(2013年7月26~28日)が明らかになったのは、その2日まえの7月24日の『東京新聞』夕刊によってでした。)

 「(記事では)東京都教育委員会が『当初、詳細公表せず』の見出しで、都教委が詳細をひた隠しにしてきた事実を報道しました。・・・・反対運動で、中止にならないための手立てであっことが推測されます。」

「翌年2月3~5日も朝霞駐屯地で計画され、対象は「二学年」となっていたのです。

 その後、都民などからの反対運動等の影響もあり、2月の訓練は夢の島の東京スポーツ文化館(BumB)に変更されたようです。
 反対運動は、練馬平和委員会、婦人民主クラブや都教委包囲・首都圏ネットなど、多数にのぼりました。」

<都教委をあげての取り組みであった田無工業の自衛隊との訓練>

 「この田無工業高校の自衛隊訓練は異例でありました。東京都教育委員会からの参加者があまりにも多いのです。生徒34人に対して引率教員が6人(校長、副校長を含む)も
多すぎるのですが、都教委からも6人の指導主事が参加しました。そのうちの2人は課長でした。
 ・・同時に、駐屯地では「生徒よりも多い自衛隊員が指導にあたったという記録があります。」
 「さらに驚かされたのは、2月のBumBでの宿泊訓練でありました。ここには教員が17人参加し、都教委からは16人も参加しました。その中には都教委の金子指導部長も参加しているのです。・・・参加課長の一人は教育改革関連の課長でした。」

<ドキュメント 東京都立田無工業高校生の朝霞駐屯地での三日間>
 (これは練馬平和委員会の坂本茂さんによるきわめて詳細な報告です。ここでは基本的な内容などを紹介するにとどめます)。
  ・実施要領(略)
  ・自衛隊の命令書と田無工業高校の「復命書」から見た三日間のスケジュール
  (7月26日)
   8時     田無工業高校へ参加者全員集合
   8時15分  冨士自動車の大型バスで学校出発
   10時35分~45分 着隊式 研修棟 戦闘服の隊員と生徒は学校作業着に着替え
         [着隊式] 教育庁が実施した宿泊防災訓練の開始に伴う様式で、全般的な進行は教育            庁が 実施した。
         東京地本としては、その式に引き続き要員の紹介や隊内生活体験の全般について生活上          の注意事項を説明した。・・
   10時45分~12時 躾・基本教練  研修棟 
         [躾] 衛生管理としての手洗いの励行、ハンカチの携行、食事の注意事項として配膳の要          領、食堂での並び方、物品愛護として備え付け物品の扱い、清掃の要領、入浴場所のタオ          ルで体を拭くとか入浴要領・・・
         [基本教練]
          朝霞駐屯地での隊内生活体験についても誰でもが実施する隊内生活体験の団体生活で           必要な基本的動作の教示を行った、具体的には整列、方向転換右向け右とか、隊列を組           んだ移動の要領、これらの動作を指示するための号令について教示したもの。
   12時~13時 昼食・休憩 陸曹食堂から弁当受領  研修棟
   13時~15時 基本教練 北グラウンド (「復命書」は基本教練を基本的な生活と表現)
   15時~17時 東部方面衛生隊担当教育(AEDなど)  研修棟
   17時   終礼
   17時15分~45分 夕食(弁当)・入浴:第3浴場まで移動も行進訓練(「復命書」 は徒歩で移動・・)
   17時45分~18時25分  入浴
   18時25分~19時25分  身辺整理(10人部屋に扇風機一個、クーラーは21時に消える)
   19時25分~20時  着隊指導(ベッドメーキング、点呼要領)(「復命書」は着隊指導を課外学習と表                現)
   20時~21時  教育内容の復習・ディスカッション(リーダーに求められるものは何か)
   21時から    清掃
   21時40分   日夕点呼(軍事用語)
   22時      消灯・就寝

 (7月27日) (略)

 (7月28日)
   5時  「非常呼集」
      (「復命書」は非常呼集と明記し、敵襲など緊急の事態に備えた非常対応の軍事用語を使用し、       「命令書」はなぜか避難呼集と使い分けた)
       [避難呼集]震災は起こるかわからない特性から、生徒たちが予期しない起床前の朝5時に呼集       をかけさせていただいた。学生のリーダーの指示のもと冷静な行動および班員の掌握、健康状       態を確認する体験をしていただいた。
   5時15分  人員掌握・報告
   5時15分~6時 班毎に駐屯地内行進
   6時~7時 朝食・洗面
   7時~8時25分 清掃 氷受領(熱中症対策)
   8時30分  朝礼 外来隊舎礼場
   8時40分~50分  応急担架、止血・包帯法  北グラウンド
   11時30分から12時  離隊式  陸曹食堂
      [離隊式] 教育庁が実施した宿泊防災訓練が終了にともなう行事。
           全般的な進行については教育庁が実施した。地本は修了証と記念品の授与をした。
           「復命書」は離隊式を閉校式と表現している。
   12時~13時  昼食・休憩  お土産購入
      [お土産購入] 最終日の休憩時間に駐屯地内の売店を利用できる時間を東京地本が計画した         が、当日時間が取れなかったと(ので?)利用できなかった。
   13時   勤務員全員で見送り。

   13時15分  「復命書」は大型バス(東京都の観光バス)で宿舎前を出発
   14時50分  学校着、解団式、校長の言葉や諸注意の訓示
   15時15分  解散、行事終了


 <田無工業高校生への自衛隊訓練 監視レポート (略)>
  (これは、7月28日早朝より昼過ぎまで、朝霞駐屯地のフェンスの外からの監視レポートです。
   分単位と言ってもいいくらいの監視レポートです。その中で特徴的なのは、自衛隊と都教委や教員が監   視されていることに非常に気を使っていることです)

 <都立高校の防災訓練に関する防衛省への質問と回答>
  「約一年後の2014年7月29日(火)、自衛隊をウオッチする市民の会は
  防衛省に都立高校の防災訓練に関する要請行動を行い、諸点について回答を得た。

  回答者は自衛隊東京地方協力本部渉外応報室長の滝澤健二3等陸佐である。
  この回答は重要なのでここに掲載する。私(パンフ筆者)も感じていることだが、

  自衛隊側は防災訓練ではなく、自衛隊の『職業体験』と位置づけていることがわかる。」

  (回答)から
  「隊内生活体験のことをむこう(教育庁)は防災訓練と言っているが、
   うち(地本)は隊内生活体験だ。それを踏まえて内容を調整している。・・・」

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結局、「防災訓練」とは名ばかりの自衛隊における「隊内生活体験」なのであり、実質的な「体験入隊」とも言えるものなのです。つまり、自衛隊のリクルート活動の重要な一環と言えるでしょう。

多くの若者には非正規労働しかないような状況の下、このような形で、自衛隊のリクルート活動が強化されつつあります。こうした動きを放置すれば、行き着く先、新たな侵略戦争への若者の動員ということになるでしょう。

次回は、「4、都立田無工業高校二回目の自衛隊との『宿泊防災訓練』」です。

2014年12月29日月曜日

都教委の防災訓練に名を借りた自衛隊隊内訓練の推進を暴くブックレット(3)

自衛隊での宿泊訓練に関するパンフの続きです。

『高校生をリクルートする自衛隊・自衛隊の手法を取り入れる教育行政』から。
(編集委員会発行、800円+税、(株)同時代社、電話03-3261-3149、FAX03-3261-3237)

Image1自衛隊

「2、『防災訓練』の名のもとに、教育現場に入り込む自衛隊」

<宿泊を伴う防災訓練は韓国の「徴兵制」がモデル>
 (石原都政時代の2012年に都教委の中に「教育再生・東京円卓会議」が設置される。

 第三回会議(2012年4月11日)で宿泊訓練を伴う防災訓練が提案される。
 その席上石原は、「教育は刷り込みだ」と述べ、次のようにも述べている。)
 「韓国じゃないけれども、二年間はやっぱり兵役、警察、最低限、海外協力隊みたいな所に組織的な奉仕運動の体験をさせたらいいと思うんですね。」
 (これを受けて、当時の猪瀬副知事は次のように述べている。)
 「・・・防災隣組の一つの一環で。高校生に、とにかく体育館に泊まらせると。クーラーの効かない体育館に泊まらせるということを、今年やります。」

<徴兵制につながる「一週間程度の宿泊防災訓練>
 (改悪教育基本法による「教育振興基本計画」の「体験学習・読書活動」の項に)
 「全国の小学校・中学校・高等学校において、自然体験活動や集団宿泊訓練、職場体験活動、奉仕体験活動、文化芸術体験活動といった様々な体験活動を行う機会の提供について関係府省が連携して推進する。」
  (これを踏まえた『東京都教育ビジョン』(2013年4月)には)
 「・・・発災時に近隣住民の安全を支える実践力のある人材を計画的に育成するため、 全都立高校において関係機関や地域と連携した一泊二日の宿泊訓練や、防災に関する体験活動を行い、『自助』『共助』の精神と実践力を兼ね備えた人材を育成する取り組みを推進する」、とあります。
 また、「都立高校改革推進計画」では「一週間程度の宿泊訓練などにとりくむ」
 となっており、パンフ筆者は「これは準徴兵制につながるのでは」と述べています。

<拡大する自衛隊との連携校>
 (2012年から全都立高校で一泊二日の宿泊防災訓練がはじまる。)
 「179校で、自校の体育館で『発生時を想定した避難生活の疑似体験(・・)』を実施しました。体育館で備蓄米を食べての生活を行いました。
 ・・この年すでに4校が自衛隊と連携し、自衛隊員を招いて講演を行っています。
 ・・12校が『防災教育推進校』として指定・・・」「2013年度推進校は15校に拡大しました。この中に・・・朝霞駐屯地で訓練を行った都立田無工業高校も入っています。」
 「2014年度は、特別支援学校にも防災訓練を義務付けています。そして全都立高校に『防災活動支援隊』の結成を義務づけています。・・自衛隊での防災訓練では、提出した名簿はそのまま自衛隊のリクルートの対象になっています。」

<学校がファシズムの拠点になりかねない『防災活動支援隊』の存在>
 「都教委の出している防災教育の『要項』の中で特徴的なのは、生徒の中で『防災活動支援隊』(・・)の存在です。・・
 2014年度は全ての都立高校で結成が義務付けられています。・・生徒会やクラス代表などで結成することが例示されており、そして、自校の災害時の生徒リーダーになることが要請されています。・・・生徒会に代わって生徒のリーダーとして作られるのがこの『支援隊』なのです。
 民主的で自主的な組織に代わり、規律と統制の生徒組織が意図されています。・・ 
 ・・学校がファシズムの訓練の場になりかねません。
 また、この『支援隊』は、地域との防災活動のリーダーになることが期待されています。
 ・・・金子指導部長は(都議会文教委員会(2013・11・27)で)、
 『(災害派遣の)活動は、防衛の際にも求められるものであり、
 自衛隊の所掌事務である防衛に含まれるというものでございます』と述べています。」
次回は、「3、自衛隊駐屯地で行われた高校生の『防災訓練』」です。

都教委の防災訓練に名を借りた自衛隊隊内訓練の推進を暴くブックレット(2)

  『高校生をリクルートする自衛隊・自衛隊の手法を取り入れる教育行政』
(編集委員会発行、800円+税、(株)同時代社、電話03-3261-3149、FAX03-3261-3237)
から、「1、高校生に届く自衛隊からの手紙」の紹介です。
  (写真、資料などもありますが割愛させていただきます)

<全国の71%の自治体が住民基本台帳を(の?)提供に協力>という項目があり、
その中では、
 「2014年10月6日付けの『東京新聞』一面は、自衛官募集の個人情報について、
 『全国の1742市町村・特別区のうち、約71%にあたる1229市町村・特別区が積極的に情報提供していたことがわかった』と伝えています」と述べられ、
 「一般企業の社員募集活動で自治体の協力を得て募集活動を行うことはありえないことです。・・・特に、まだ在学中の高校生に自衛官募集のパンフがダイレクトメールされるのは、教育の立場からするならば許されないことです」と指摘されています。

<自衛隊と教育との連携が進んでいる>という項目では、
 「2014年の東京大学五月祭で自衛隊のブースがだされました。公然とした自衛官の募集が東京大学構内で行われているのです。……自衛隊のブースが出されるということは、大学当局や学生自治会に許可を得なければなりません。
 つまり、それを教授会や学生自治会が許可をしたという事実が重要だと思います。・・……特に東京大学が、暴力的で政治的な価値観を体現する自衛隊をその構内に受け入れたのは、『学問の府』の放棄といえます。それは同時に政治的な圧力が大学や教育の場に強まっているという側面の反映でもあります。」 
と述べられています。

<自衛隊では現場体験のプログラムを準備>という項目では、
 「自衛隊駐屯地(陸軍)は全国に156ヶ所もあります。
 その駐屯地で小・中学生の『職場体験』が頻繁に行われています。名目は『総合学習』の一環としての『職場体験授業』です。このために、防衛省は、総合学習の案内を出しています。これは『「総合的な学習の時間」(文部科学省所管)への協力の内容』という文書です。」
 そこには、自衛隊で実施する以下のようなプログラムの内容が示されています。
 「部隊見学、隊内生活体験」
 「防衛問題・自衛隊に関する説明」
 「手旗、結索(ロープワーキング)」
 「隊内見学及び装備品などの見学」
 「訓練の見学、艦艇見学(体験航海を含む)」
 「自衛隊車両等の体験搭乗」
 「防衛省・自衛隊に関するビデオの上映、隊員との懇談」
そして、「この自衛隊のプログラムは自衛隊の広報・宣伝でしかないことです」と指摘されています。

<全国で実施されている自衛隊への「職場体験」>という項目では、
 「この『職場体験』は2000年より全国の小中学校で実施されてきています。
 ……現在では累計で数千件を超えていると推定されます。……自衛隊を応援し取材しているあるHPでは、『職場体験』のレポートとして、自衛隊員と中学生が格闘の練習をし、ナイフで人を刺す方法までも体験させる画像が掲載されています(ナイフはゴム製だとしていますが)。などのことが紹介されています。

<職場体験の実際>という項目では、
 「2014年6月に自衛隊駐屯地に中学生7人を引率した東京の中学校の先生によれば、駐屯地の室内でNBC(核・生物・化学)兵器対応防毒マスクの装着や行軍の訓練を実施したとのことでした。そして東条英機の写真のある資料館を見学し、最後に、自衛隊のパンフレットを渡されたとのことでした。」
 「2013年6月では、中学生が陸上自衛隊三宿駐屯地へ4名、多摩地区の中学校の生徒4名が練馬駐屯地へ、同じく文京区の中学生5名が練馬駐屯地へ職場体験を行いました。
……12月には都立町田総合高校生40人も職場体験しています。」

そして<自衛隊「職場体験」に対する抗議行動とその影響>という項目もあり、
そこでは次のような例が紹介されています。
 「2008年には、富山市内の中学校が砺波市の陸上自衛隊駐屯地で職場体験を実施したことに対して、県内で市民運動がおこり、教育委員会に対して抗議活動を行っています。」
 「2014年7月15日、広島県尾道市で寺本真一、魚谷さとる、岡野長寿の三人の市議が 教育長に対して、……自衛隊の『職場体験』中止の申し入れをしました。」
 「2014年10月には、長野県で県の憲法擁護連合や教職員組合が県教育委員会に
 対して中学生の『職場体験』に対して抗議活動を行っています。」
さらに、
 「ここで特に取り上げたいのは、2013年11月26日に、新潟県上越市の労組などの三団体が直江津市の中学校を訪れ校長に抗議文(・・)を手渡した件についてです。
 ……これを報じたタウン紙のHPには空前のアクセスがありました。
 一時期いわゆる『炎上』の状態になったのです。……その書き込みの内容を見てみますと同じ人物が何度も何度も同じ文面を送信している様子をうかがい知ることができます。
……(書き込みの内容は略)……これらの書き込みを見てみますと、第一に自衛隊に異議を唱える人物を『反日思想だ』とか『在日だ』『帰化人だ』などと排外的な言辞で中傷していることです。・・・ 
 第二に、自衛隊への『職場体験』が職業選択の自由にあたるかどうかです。……自衛隊が、命を賭す職業であることが全く伝えられることなく、美化された職業としてだけ注入されるならば、これは『職業選択の自由』の範疇には入らないのではないでしょうか。

……教育が戦争や自衛隊が何であるかを正しく教えることなしに、美化された自衛隊観を抱き、自ら望んで戦場に行く人格を育てるならば、戦前の軍国主義教員と何ら変わるものではないといえます。」

次回は、「2、『防災訓練』の名のもとに、教育現場に入り込む自衛隊」です。

2014年12月26日金曜日

都教委の防災訓練に名を借りた自衛隊隊内訓練の推進を暴くブックレット

『高校生をリクルートする自衛隊・自衛隊の手法を取り入れる教育行政』
(編集委員会発行、800円+税、(株)同時代社、
 電話03-3261-3149、FAX03-3261-3237)

このパンフレットには、
現在の日本社会と日本の教育がどういうところまで来ているのか、がわかりやすく具体的にまとめてある。
そこで、今回から何回かに分けてその内容を紹介していきたい。

<全体の目次>
 はじめに 
 1、高校生に届く自衛隊からの手紙
 2、「防災訓練」の名のもとに、教育現場に入り込む自衛隊
 3、自衛隊駐屯地で行われた高校生の「防災訓練」
 4、都立田無工業高校二回目の自衛隊との「宿泊防災訓練」
 5、沸き上がる自衛隊の「宿泊防災訓練」への抗議・反対運動の取り組み
 6、都立大島高校の「宿泊防災訓練」
 7、東京都総合防災訓練とこれへの児童・生徒の参加
 8、銃剣道による自衛隊への子どもたちの取り組みは許されない!

今回はそのうち、「はじめに」の内容を簡単に紹介する。
ここでは、前後平和教育運動の出発点ともなった「教え子を再び戦場に送るな!」というスローガンから見た、現在の教育状況が簡潔に述べられている。そこからいつくか抜粋する。

*「日本が敗戦まもない1951年、日教組は第18回中央委員会で 不朽のスローガンとい われる『教え子を再び戦場に送るな』を採択しました。
 ・・・戦後70年を経過しようとする今日、教育現場では平和についての意識が
 希薄となり、むしろ戦争に向かう教育がためらいもなく現場に入り込んできています。 ・・・そして自衛隊への職場体験など、むしろ教育現場から自衛隊に児童・生徒を
 送り込んでいるのです。・・
*今日の状況を見ますと3・11の東日本大震災が教育現場を大きく変える誘因となっています。
 為政者は、防災訓練の必要性を強調し、教育課題の中心におこうとしています。
 もちろん自然災害に備える教育は必要ですが、しかし実態は『被災地で活躍する自衛隊』を美化して、児童・生徒に刷り込ませる教育が進められているのです。・・・
・・・平和に対して最も敏感であった教育現場は、今や、戦前のように『軍人さんは偉いのだ』という意識を児童・生徒に刷り込む場となっているのです。
・・・2014年7月1日、安倍内閣は『集団的自衛権』行使についての閣議決定を行いました。
 ところがその翌日の2日に、全国の高校三年生(一部で中学三年生)に自衛官募集のパンフレットがダイレクトメールで届けられました。このことは、『集団的自衛権』の実体化が教育現場に向けられていることを示しています。・・
・・・特に、全国で幅広く行われている小・中学生の自衛隊への職場体験は、むしろ教育現場から積極的に要望が出され実施されてきています。
 ある自衛隊駐屯地の職場体験では、中学生に護身用だという建前でゴム製のナイフで人の殺し方まで教えているのです。・・
 ・・・擬似「戦争体験」というべきものです。また、全国各地の自衛隊地方協力本部の
 HPでは、子どもたちが戦車に乗った写真などで溢れています。・・・
 ・・・私たちはこうした状況に警鐘を鳴らすものです。・・・」

※次回は、「1、高校生に届く自衛隊からの手紙」である。

2014年12月15日月曜日

12/ 11 都教委定例会傍聴記 根津さんの報告

12月11日(木)に行われた東京都教育委員会定例会の「根津公子の都教委傍聴記です。

◆根津公子の都教委傍聴記
教育委員は議題について事前に勉強してこないの?

●選挙での若者の低投票率に対し、政治教育が必要との声もある。
特定の政治思想を植え付けることにはならないよう注意して、子どもが政治を身近に感じるために、議員を授業補助者として招くことはできるか」(乙武教育委員)との質問に、担当の人事部長の回答を遮るようにして比留間教育長が「中立性が損なわれないよう、校長が教育委員会と連絡を取り合って決めるので、それは
できる」と応答した。「特定の政治思想」かどうかを判断するのは、実質教育委員会だ。都教委の判断一つでどんな解釈も成立する怖さがある。

●今日の議題にも教員等の懲戒処分案件が議案に2件、報告に1件上がっていた。11日夜の段階では、都教委のHPにはアップされていない。

公開議題は、議題が①「東京都立学校設置条例の一部を改正する条例の立案依頼外1件について」、報告が②「学校教育活動における外部人材等の活用状況について」のみ。今日の所要時間もたったの30分。

 ①は、南多摩、三鷹中等教育学校(=中高一貫校。中高一貫校には中学校併設型中高一貫校と中等教育学校がある)が2010年度に開校したのに伴い、南多摩高校、三鷹高校は2013年度から募集を停止し、今年度の3年生の卒業を以って閉校となる。そこで、条例からこの2校を外すという内容だった。

 その説明が事務方からなされた後、木村委員長の口から出た質問には呆れた。「いつから中等教育学校になるのか」ということだったからだ。事務方の回答は当然ながら、「平成22年度から始まっています」であった。(以下略)

全文
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http://www.labornetjp.org/news/2014/1211nezu

2014年12月11日木曜日

12/8 新採一年目で解雇された教員の「処分取り消し」訴訟 勝利判決

12月8日、Yさんの「初任者研修で不当な評価を受け、分限免職処分された」ことに対する「分限免職取り消し」裁判で、東京地裁は・古久保裁判長は「都教委の処分は違法」の判決を下した。

Image2初任者研修

2014年12月8日月曜日

「都立大島高校の自衛隊武山駐屯地での防災訓練」についての大島高校長への公開質問と回答

東京都立大島高校は2014年11月26日から28日まで、神奈川県の三浦半島にある自衛隊竹山駐屯地において、「防衛省自衛隊東京地方協力本部と連携した宿泊防災訓練」を行いました。これは、宿泊防災訓練に名を借りた、事実上の自衛隊内の隊内訓練以外の何ものでもありません。
 都教委包囲首都圏ネットワークは、に反対する立場から、都立大島高校の校長に対して公開質問状を送付しました。11月15日付で送付された回答書をここに公開いたします。

都立大島高校における「防衛省自衛隊東京地方協力本部と連携した宿泊防災訓練」に関
する公開質問書に対する東京都立大島高等学校校長からの回答
                                                                                                          (2014年11月15日)
1.「宿泊防災訓練」の意義について
(1)貴校ではこれまでに「宿泊防災訓練」としてどのようなことを行ってきましたか。それに対するどのような反省の上に、今回の「防衛省自衛隊東京地方協力本部と連携した宿泊防災訓練」(以下「本件宿泊防災訓練」と略)の計画がつくられたのですか。

《回答》土砂災害後の避難指定要請の経験、防災訓練を通して幅広く総合的に判断でき
る人材育成を重点に計画。

(2)宿泊防災訓練を自衛隊駐屯地で行うことの教育的意味をどのように考えていますか。    「災害時の総防災技術訓練」の場所が「防衛省の関係施設」、特に「防衛省(自衛隊)」でなければならない理由は何ですか。「更なる救急救命に係わる技術向上目指す」のであるならば日本赤十字社でも15歳以上を対象にした災害で必要とされる救急法の講習が受講できます。なぜ「防衛省(自衛隊)」でなければならないのでしょうか。防衛省は、市民団体の質問に対して当宿泊訓練は「防災訓練」ではなくあくまでも「隊内訓練」であると回答しています。

《回答》土砂災害後の人命救助、インフラ復旧などで自衛隊の救援や支援を受けた町として、自衛隊の搬送法や救援、防災に関する知識、技術を得るために有効な手段とて考えた。

(3)「本件宿泊防災訓練」の教育課程上の位置付けは何ですか。

《回答》特別活動

(4)「本件宿泊防災訓練」は都立大島高校の学校行事として行われるそうですが、学
校の教育目標とどのような関連があると考えていますか。

《回答》教育目標の五訓(誠実・敬愛・勇気・自尊・自主)に結ぴつく。

(5)自衛隊は「我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする」(自衛隊法3条「自衛隊の任務」)ものです。その組織は「災害救助」のために編成されたものではなく、防衛予算は世界5位の、事実上の軍隊に相当するものです。
 日本国憲法は9条において「戦力(つまり軍隊)の不保持」を定めており、自衛隊が合憲か否かについては諸説のあるところです。また、教育基本法1条は、「平和で民主的な国家及び社会の形成者」としての国民の育成を教育の目的と定めています。
 以上の条規と事実に照らして考えるならば、公立の学校で、自衛隊駐屯地内で「防災訓練」だけでなく事実上の軍隊としての「隊内生活」の行われる「本件宿泊防災訓練」を計画・実施することは、違憲・違法の疑いが生じる可能性も十分に考えられますが、この点についてはどうお考えですか。

《回答》校長として回答する立場にない。

2.「本件宿泊防災訓練」の計画及び実施について
(6)「本件宿泊防災訓練」は2014年4月時点での「年間行事計画」の中に記載されていましたか。もし、記載されていなかったとすれば、どのような理由で年度途中に新たに加えられたのですか。また、学校内(教員・生徒・保護者)での理解は得られているのですか。教育課程の変更であるから、事前に生徒・保護者にも知らせるべきではないのですか。

《回答》都教委の事業を校長が必要と判断。宿泊防災訓練の決定後に教育課程変更をし、生徒と保護者に説明を行った。

(7)校長ご自身にお尋ねします。自衛隊施設での「宿泊防災訓練」の実施の構想と計画は、誰がどこで立てたものですか。校長ご自身、この計画立案に携わったのですか。
 「本件宿泊防災訓練」を学校が最終責任を負うべき学校行事と考えているのですか。それとも都教委の事業の一環と考えているのですか。

《回答》2の内容を都教委に依頼、要望し、本校に決定後、都教委と調整した。

(8)「本件宿泊防災訓練」の実施にあたっては都教委からどのような指示と指導を受けたのですか。

《回答》本校の防災教育に必要な内容を学校から要望した。

(9)交通費や宿泊費、食事代などはそれぞれ誰が負担するのですか。

《回答》受益者負担の無いことを申請時に申し添えている。

(10)「本件宿泊防災訓練」の日程や具体的な行動計画は学校が独自に作成したものですか。それとも自衛隊側から提供されたものに基づいて作成されたものですか。

《回答》2の内容に関する知識、技術について要望したものである。

(11)「防災講話」や「グループ学習」等は計画の中に入っていますか。入っているとしたら誰が担当し、誰の責任に おいて行われるものですか。その内容を把握していますか。また、防災技術の指導の実態をどれだけ把握していますか。昨年の田無工業高校で行われた際には、防災訓練とは直接に関係のない「集合・行進」がもっぱら行われました。

《回答》10の内容について確認中。

(12)「訓練」とは謳っていますが、生徒を自衛隊での「隊内生活」に丸投げしたことになりませんか。「訓練」行動の最中にもし事故や不具合が生じた場合は、責任は学校にあるのですか、自衛隊にあるのですか。

《回答》移動教室と同様に考えている。

(13)不参加者はどのような扱いになるのですか。不利益にならないような配慮はなされているのですか。

《回答》学校に登校して学習する。

(14)自衛隊側には参加生徒の個人情報をどれだけ提供するのですか。提供した場合それの取扱いについては自衛隊側とどのような確認をとりましたか。

《回答》個人情報の扱いは調整中。

(15)引率する教員及び及び都教委側の職員の予定人数はそれぞれ何名ですか。

《回答》学校職員から引率者を人選する。都教委の人数については、直接、確認してほしい。