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2019年8月2日金曜日

<教育の国家支配はゴメンダ!>のつづき

<教育の国家支配はゴメンダ!(2)で、「スマートスクール推進校」になっている
         都立高校の教員(女性)からの報告


東京都の教育現場からの報告で、都立高校教員のKさんは<都立高校の現状>とKさんに対して3年後には再任用しないの事前通告攻撃がなされていることを報告しました。
現在どこまで教育現場がひどい状態になっているか、また「君が代」不起立者に対する処分がいかに苛酷なものになっているか、がよくわかると思います。
これが安倍政権下での「悪夢」でなくて何でしょうか。
是非読んで頂きたいと思います。また、転送・転載も歓迎です。
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都立高校の教員のKです。
私は2004年と2013年、2016年に処分されました。予防訴訟、君が代裁判2次訴訟の原告でした。それから君が代裁判4次訴訟の原告でした。それからもう一つ君が代裁判5次訴訟の原告になります。

「10・23通達」が発せられてから16年目の都立高校はどのようになってきたのかを簡単にお話し、そして今年の卒業式の状況として、私に起こったことをお話ししたいと思います。
先ほど世取山先生のお話を聞いて、私が日頃思っていることがいろいろあって、すごく胸に突き刺さりました。

私の学校は「スマートスクール推進校」になっておりまして、まさにスマホを指ではじくようなことをやる授業が推進されているんです。私には言いませんけけども、他の教員にはIC器具を使った授業、スマートフォンを使った授業をするようにと校長が言っているそうです。
その「スマートスクール推進校」に関しては、教員はみな反対していました。全員が反対していましたけれど、校長が勝手に決めて導入しました。導入された今でもみんなこんなことは意味がないと思っています。ですけれども、リクルートのサプリをいろんなところで利用して、たとえば夏休みの宿題とか朝学習に使ったりとか授業のときにスマートフォンを使って、ゲームのような形で、生徒に学習させるとかをさせています。
私はそういうのをみるにつけ、ほんとにこんなことでいいんだろうか、まさに教育の〇〇化、これからの教育が本当に心配だなーと常に思っています。こういうことも「10・23通達」以降、校長が思うままのことができるようになったからだと思います。

新学期の終業式がおとといありましたけれども、その日に文化祭実行委員の生徒と話していたら「先生たちも長時間労働が大変らしいじゃん」と言ってきました。それで私が「よく知っているね。ニュースとかにも出されているからね」と言ったら、「いやそうじゃなくて、今日プリントで配らたから」と生徒が言うんですね。「学校閉庁日」、今年度から本格的に導入されたんですけれども、その説明が全部に配られたらしいです。
長時間労働を解消するための方策として、鳴り物入りで導入されたものなんですけれども、
学校の「閉庁日」なんて、都立高校の教員にとってはなんの意味もないと思います。
夏休みとか冬休みに何日か休暇をとる自由はまだあります。いつ休めなんて、そんなこと強制されたくないと思います。教員の長時間労働解消とか働き方改革などと盛んに言われていますけれども、業務を縮小するための方策はなにも示されていません。
6月末から夏休みまでの時期は成績処理とか、私は文化祭の準備などで息つく暇もない忙しさでした。最近、体力の衰えを感じていますけれども、私だけでじゃなく、私の職場でも、職員室で咳込んでいる教員がすごくたくさんいます。

ただでさえ忙しいのに、6月末頃から「ストレスチェック」とか、「日常業務の自己点検表」とか、「スマホやITを使った授業をしているかどうかのアンケート」とか、「退屈防止チェックとシート」とか、「個人情報取り扱い自己点検票」などというようなアンケート類が学校にいくと毎日のように机の上に置いてあるんです。
私の周りで、副校長が「ナニナニ先生ストレスチェックまだですよ」とか声をかけているんです。教員は「そういうふうに副校長にせかされるのがストレスなんですよ」と言って、副校長も「私も先生たちにせかすのがストレスなんですよ」とか言っているんですけれど、実際副校長も私たちも大変です。
体罰防止に至っては校長室に全員呼び出されて、「体罰してませんね」とか確認されていますが全く意味がないです。「体罰してます」なんて言うわけがない。「見た」なんて言うわけはない。

それに加えて、6月26日の職員会議では、「7月5日までにイーランニングをやってください」というお達しがありました。「イーランニング」と言うのはタイムスで行う研修で、
5年くらい前から始まったんですけれども、最初は量も少なかったんですが、だんだん多くなってきて、今年は決まっている回答をみながらやったとしても1時間以上かかるというようなものすごい量になっています。記述まであって、なんでこんな忙しい時期に
こんなことをやらせるのかって、みんなすごく怒ってました。
私は自力で毎年やっているんですけれども、自力で取り組んでいる教員は多分とても少ないと思います。でも自力で回答を見ながらやっても1時間以上かかる。こんな無駄なことをやらせるということにホントに頭に来ます。
都高教もこれはまずいと思って要請をし、校長会も動いて、8月9日まで期間が延長されたんですけれども、その通知が来たのは当初の期限である7月5日なんですね。ほとんどの人が副校長にせかされてやり終えていましたので、まったく意味がありませんでした。

また、成績会議の日には体罰防止とかいろんなことに対する校内研修が長時間行われたため、会議は5時までに終わりませんでした。ホントに無意味な雑用が多すぎるんです。
先日は若い教員が「週案」とか、「学力スタンダード」とか、「自己申告書」とか、無意味な雑用が多すぎるとぼやいていましたけれども、ホントにこういう無意味なことばかりをやらされ続けると、教員の心の中のとっても大切な何かを傷つけていくんじゃないかと私は心配してます。

再任用の件
私は今年から再任用で働いています。いろんな問題があって、都立高校が大好きで、定年後5年間は再任用として働き続けたいと思っていました。
1月24日に再任用が決まったということを校長から25日の朝、言われたんですけれどもその日の午後、朝とは打って変わった暗い表情をした校長が私のところにやってきて、「大事な話があるので校長室に来てほしい」と言ったんです。校長室に行くと校長が「事前通告」を見せました。
「事前通告」を読むと、前日の夜の10時に人事部から送られてきたメールは、文書を該当者に渡してはいけない。校長の言葉で伝えるように。という指示があったそうです。
校長はあまりにもひどいと思って、「こんなこと自分の言葉で伝えることはできない、この文書をこのまま読み上げていいか」という確認を都教委にとったそうです。それで校長はこの文書をゆっくりと読み上げて私に書き写させてくれました。


この「事前通告」の内容を簡単に言うと、年金支給開始年齢に達するまでは都労連との合意があるために採用するけれども、そのあとは平成28年3月に処分されているから任期を更新しないし、非常勤教員にも採用しないというものです。
耳を疑いました。あまりの衝撃で呆然としました。2016年3月の卒業式で、国歌斉唱に起立しなかったために3回目の処分を受けて、十分不利益を受けているのに、定年後の職まで奪われてしまうのか、それはあまりにもひどいと思いました。何よりも大好きないまの学校にあと3年しかいられないと思うと悲しくてたまりませんでした。仕事が無くなったらどうやって生活していけばいいんだろうっていうことも考えました。1年更新再任用・非常勤教員の採用についても3年後は採用しない、ということを事前に通告するという点でも極めて不当だと思います。

校長も「ひどいよ。怒っていいよ」と言っていました。職場会でもみんなにこのことを話しました。「あまりにもショックで言葉が出なかった」「心が凍り付くようだった」「ひどすぎる。私にできることがあれば力になる」といろんな人が声をかけてくれました。
そして「これはKさんだけの問題じゃないから」と職場決議もあげてくれました。
組合にも要請したり、弁護士たちにも相談したりしていますけれども、まだいい解決策は見つかっていません。


でも私は、まだまだ生徒に伝えたいことがいっぱいありますし、授業でいろいろなとを生徒たちに伝え、いろいろのことを考えさせる、そういうことを、生徒と一緒にやっていきたいと思いますので、これから5年間は教員でいたいなーと思いますので、みなさんにも力を貸してほしいなーと思います。

今年の卒業式、初めて卒業式での不起立者がいませんでした。ですけれども、「10・23通達」の問題が終わったわけではありません。
いま都立高校で一番問題だなーと思うのは、生徒に対する強制が進んでいることですです。
2008年から多くの学校で、卒入学式の進行表に、不起立の生徒がいたら近寄って起立を促す、という文言が入れられるようになって、1昨年度からは卒入学式の進行表の中に生徒の不起立にたいする対応が書かれていないと司会は起立してない生徒がいた場合、「ご起立ください」という文言を入れるように都教委から強い指導を受けるようになって、
この文言がないと受理してもらえないとなりました。これは生徒に対する明らかな強制だと思います。


私たちが闘っていかないとどんどんどんどん強まっていきます。これからも生徒のための卒業式をとりもどすため、自由な学校をとりもどすために、闘いを続けていきたいと思います。皆さんもともに一緒に闘いましょう。

2019年8月1日木曜日

第9回「日の丸・君が代」問題等全国学習・交流集会 つづき

『第9回「日の丸・君が代」問題等全国学習・交流集会』
    ~教育の国家支配はゴメンダ!~

の続報です。

講演の後、
 ①<報告(Ⅰ)東京の闘い>(4人)
 (昼休み:ジョニーHさんのミニライブ)
 ②<特別報告 広島の闘い>(2人)

③<報告(Ⅱ)大阪の闘い>(8人)



④<報告(Ⅲ)全国から>(4人+メッセージなど2)
⑤<報告(Ⅳ)市民・諸団体から>(9人)
というように多彩な発言が相次ぎました。
いずれも現在の「日の丸・君が代」強制とそれを取り巻く
様々な問題(いずれも大変厳しい)の報告でした。
凡て紹介したいのですが、それはとても無理なので、以下に幾つか或いその項目を紹介します。
①では「東京の学校現場」として、 「スマートスクール推進校」になっている都立高校の教員からの報告がありました。ICTを使っての授業が、全員反対したにも関わらず、校長がトップダウンで導入しておきながら、「ストレスチェック」などのアンケートをやらせていることなど、バカバカしいことが次々に要求され、職場では不満が渦巻いているということでした。(これは後ほど、テープを起こし報告したいと思います)

②では、かつて「平和教育」が盛んだった広島では文部省による「是正指導」で「平和教育」が弾圧され、「日の丸・君が代」が強制されるようになりました。そして、教組も十分闘えなくなったが、最近有志7名の呼びかけで、「改憲・戦争阻止!教え子を再び戦場に送らない!広島教職員100人声明」というものを出したところ、それだけの数の教職員が賛同したこと、「君が代」不起立者に対する差別的な人事や仕事の振り分け(卒業式ではいつも駐車場係り)が起きていること、などが報告されました。


















③では、大阪から以下の報告がありました。




































 ・2019年大阪での卒・入学式等の現状
 ・戒告処分取消し訴訟 原告7名による行動提訴について
 ・2017年大阪府の再任用拒否 国賠訴訟報告
 ・信教の自由と合理的配慮(被処分者から)
 ・戒告処分取消請求・人事委員会闘争 今秋裁決
  「天皇退位を祝う」児童朝礼の校長に面談を要請
 ・校長への郵便物受け取り拒否行為について
 ・「君が代」不起立を唯一の理由としての
  再任用合格取り消し許さない裁判、上告棄却を許さない
 ・自由にものを言えない空気が充満している学校

④では神奈川から、
 「日の丸・君が代」強制、「元号強制」、
 「生徒の個人情報の取り扱い問題」、
 「文科省:の新時代の学びを支える先端技術活用推進方策
 (最終まとめ 2019・06・25)」
 「神奈川における生徒の個人情報取り扱いに関する交渉」についての報告がありました。
 福岡からは、
 情勢と諸闘争についての報告があり、「学校現場での闘い」のところでは、<校務支援システム>で児童生徒の情報がすべて教育委員会のサーバーに集約されていること、<土曜日授業、夏休み短縮、小学校の午前中5時間授業>などに対し、<我々と共に闘う議員の獲得>や<学習会の街頭宣伝行動>、などが報告されました。

⑤では、以下に紹介するような報告がありました。
 ・自衛隊・大東大学学園祭問題(板橋区議・五十嵐やす子さん)
 ・天皇代替わり(靖国・天皇制問題情報センター・中川信明さん)
 ・地方議会で起きていること(あきるの市議・辻よし子さん)
   ここでは「君が代」不起立の市議に対する
   さまざまな圧力と、それに抗する闘いが述べられました。
 ・道徳教科化をどう受け止めるか(多摩教組委員長・宮沢弘道さん)
 ・朝鮮学校無償化排除問題(同連絡会共同代表・長谷川和男さん)
 ・五輪副読本裁判(原告の方)
 ・生徒による自治委員会運動(日本自治委員会・平松けんじさん)
   平松さんは「The Interschool Journal」を出しています。検索すれば出てきます。
 ・「ひのきみ」全国ネットワークからのアピール(小野さん)

ご覧のように、集会ではきわめて多彩な報告が行われ、「改元・代替わり」で天皇制が強化されようとする困難な情勢下、全国各地で「闘いの火を消すな」と、それぞれの持ち場で闘いを堅持している方々、また新たな闘いを作り出している方々、がいる事がわかりました。

集会では最後に、
・「特別決議 憲法を無視した大阪市立泉尾北小学校での
  『新天皇即位記念児童朝礼』に抗議する!
  小田村直昌校長は、子どもたちと保護者に謝罪を行え!」

・「『日の丸・君が代』問題等全国学習・交流集会決議」を採択し、
銀座・数寄屋橋デモ(90名参加)を行いました。



















全国のみなさん!
世の中が暗くなればなるほど、「闘いの火」の光は遠くまで届くことになります。「明けない夜はない」のです。ともに連帯して、闘いを発展させましょう!!

7/21 第9回「日の丸・君が代」問題等全国学習・交流集会

7月21日(日)参院選の日、東京・日比谷図書文化館で、東京と大阪の教職員が中心に
『第9回「日の丸・君が代」問題等全国学習・交流集会』
    ~教育の国家支配はゴメンダ!~
が開かれた。(124名参加)

新潟大の世取山(よどりやま)洋介さんが「『日の丸・君が代』と子どもの良心形成」という講演を行った。


















講演内容は大変具体的で豊富なものであった。しかしここでは、残念ながらその全体を紹介できないので、まず、講演レジュメにあるその骨子を以下に紹介する。
<1、安倍第2次政権における教育再生実行改革>
 (ア)「人材育成」に基づく国民の「統合と排除」
 (イ)その展開(1)行政組織、学校体系、学校組織の改革
 (ウ)その展開(2)教育内容改革
 (エ)その展開(3)「生徒指導」
 (オ)展開の全体的特徴
 (カ)この流れのもとにあって学校で起きていること
    ①学校 ②教師 ③子ども
 <2、「日の丸・君が代」問題の位置づけの変化
 (ア)競争的環境の中で競争を行う階層的学校づくりの手段
 (イ)陳腐化した教育の中で「光り輝く筋」(?)としての国家への
    帰属意識・忠誠意識の涵養の手段という新しい位置づけ
 (ウ)道徳の「特別教科化」にもかかわらず「共同体」イメージの
    ねつ造が進んでいないからこそ、イメージねつ造と
    日の丸・君が代の利用が進むはず
 (エ)「日の丸・君が代」の位置づけの変化
  <3、子どもの非宗教的良心形成と教師・学校>
 (ア)外界に関する認識の統合+自らの行動を律する価値体系
 (イ)ではこのような連続体はどのようにして形成されうるのか?
 (ウ)国連への説得活動の現段階
 (エ)以上のような教師と学校を再構築するという課題と
    連動させながら「日の丸・君が代」強制ないしは
    政治的利用の反対という活動の重要性
そうして、<おわりに>のところでは以下のようにまとめられていた。
 ・「教師への『日の丸・君が代』強制は、子どもへの強制に帰着する」という当初から確認されていたテーゼが正しいということがわかったということ。
 ・「日の丸・君が代」問題の意味を市民に広く理解してもらうには、教育とはそもそも何なのかということを理解してもらうことがポイントに。
いずれの項目も、最新の具体的な例を紹介して講演されたので日本の教育が現在いかにおかしな方向に向かっているかがよく理解できた。
その中で、
<1、安倍第2次政権における教育再生実行改革>
(カ)この流れのもとにあって学校で起きていること
 のところでは、以下のような項目で説明された。
  ①学校
   1、責任の範囲の人格の全面的発達から「学力」形成への縮減
   2、フラットな協働的組織から階層的な上位下達的組織へ
  ②教師
   1、本務である「教育」の授業への縮減
    (授業準備も自主研修も総労働時間の中に組み入れられていないのでなお顕著)
   2、本務である「教育」の一環としての「生活指導」は規則制定と
     罰の機械的用に縮減(ゼロトレランス)
  ③子ども
    1、自分のことを全対としてわかってくれている大人が学校には不在
   2、陳腐化した授業を受けることだけが学校に行くことの意味

結局、子どもたちにとって学校は、「陳腐化した授業を受けることだけが学校に行くことの意味」となってきているのだ。
教員や生徒たちの自主的創造的な活動がことごとく潰されつつあるのだ。
学校はきわめてつまらないものになりつつあるという事だ。
それは、教職員の処分を背景に行われる全国一律の儀式的な「日の丸・君が代」強制の卒・入学式の導入が始まりでもあったといえる。
そして「陳腐化した授業」は、どのようにしてできたのかについては、その上にある
(ウ)その展開(2)教育内容改革の①のところに次のように述べてある。
「2018年学習指導要領による全国的最低水準の維持のための統制から、方法にまでおよぶ全面的な統制へ。方法改革を梃子にした教育の規格化・陳腐化(アクティブラーニングとICT活用による子ども・教師の相互的関係に基づく授業の排除)。」
まさに最新の技術を用いて、「陳腐化した授業」が行われるようになっているのである。

次回(各地の現場からの報告)につづく。