お知らせ

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2015年2月17日火曜日

都教委包囲ネット「2.8総決起集会」開催される

 2015年2月8日(日)午後1時30分より、南阿佐ケ谷の杉並区立産業商工会館において、《「日の丸・君が代」強制反対!10・23通達と懲戒処分を撤回せよ!2.8総決起集会》が開催され、140名が結集して成功した。

包囲全体
(1) 毎年2月初旬の日曜日に行われてきた都教委包囲ネットの卒業式前総決起集会は、今年で11回目を数えている。10・23通達直後の2005年の集会には参加者が800名を越えるほどの盛り上がりをみせた。その後も継続して続けられ、今年で11回目を迎えた。
 「日の丸・君が代」の強制の意味は、愛国主義的イデオロギーの生徒への注入であると同時に教育内容への権力的な介入の本格的な開始である。10・23通達から11年が経過した現在、そのことがより一層明らかとなってきている。
 安倍政権のもとで、戦後の教育制度が根底から覆されようとしている現在、都教委の暴走はさらに突出してきている。そういう中でも、卒入学式における現場の教職員の不服従の闘いは現在も継続されている。被処分者の総計は東京全体で累計で463名に達している。そういう現場の闘いに連帯し、支援することを目的として、毎年この時節に開催されてきている。

▼斎藤貴男さんの講演

斎藤

 主催者側からの挨拶と情勢報告の後に、“反骨のジャーナリスト”斎藤貴男さんの講演「戦争のできる国家へ 安倍政権の正体」は、50分にわたる熱演であった。斎藤さんは、「イスラム国」による今回の人質事件に言及しつつ、①安倍政権のもとで「平和」の意味が変質しつつあること、つまり多国籍企業が海外で自由な経済活動が保障されることが「平和」であること、

②それを可能とするための軍事的な展開が必要とされるようになった、つまり単にアメリカの属国であるという理由からだけではなく、日本には日本なりの戦争をしたい理由が生じている、

③いわゆる「アベノミックス」では、金融政策・財政出動・雇用破壊に次いでインフラシステムの輸出を図っている、この典型が原発のユニットごとの輸出であり、そのための現地での軍事力を必要とするようになっている。経済同友会は安全保障に関して「自衛」や「国益」などの再定義の必要を論じている。海外の資産を守ること、また自由貿易体制を守ることががすなわち「広義の国益」であり、これを守ることがすなわち「自衛」である、と安全保障の概念を変えるべきであると2013年に提言している。このような事態に現在立ち至っていると力説した。斎藤さんは続けて、

④朝日新聞バッシングは現代の「白虹(はっこう)事件」であると述べ、最後に戦後民主主義はどれだけ本物であったかが現在問われているとして、弱者や切り捨てられている「地方」との連帯を呼びかけて講演を終了した。
                                                ▼現場からの報告

(2) 次は現場の報告である。まず、義務制の現場から、多摩教組のOさん。10・23通達の時にはまだ余裕があったが、現在は子どもも教員も疲れ切っている。
授業が学習指導要領の通りに行われているかの点検があり、月に2回は土曜授業がある。一学期の終了日が7月20日なのは全体の半数ぐらい。試験問題は持ち帰りできず、遅くまで残って採点、学期末の成績処理のために毎夜遅くまで残っている。オリンピックのためか、1年からスポーツテストをやっている。また、道徳地区公開講座では文科省や教委のつくった資料を使わなくてはならない。いま、教育現場は統括校長→校長→副校長→主幹→主任教諭→教諭、等々と幾重にもランク付けされている。その中で校長や同僚教員らのパワハラが横行している。教員たちはただ黙っている。職員会議も沈黙、教員には議論をする場が全く無い。こういうのが現在の学校現場である。

 高校の現場からは、退職教員のNさんが、新採教員の不採用裁判について、一審の勝訴と今後の見通しについて述べた。また、最近新採教員の正式職員不採用件数が増加する傾向にあること、校長の中には正式採用を停止させることを「業績」と考えているものもいる、とのこと。条件付き採用者で、正式採用にならなかった者の数は、2012年度の98名をピークに高止まりしているが、条件付き採用者の中に占める比率からすると近年増加の傾向がある。この中で多いのが年度途中の自主退職者であり、次に多いのが正式採用「不可」である。2013年度で見ると、正式採用にならなかった者の比率は2.90%であるが、これは全国平均の1.18%に比べると倍以上であり、東京都では新採期間が事実上の選別期間となっていることを意味している。
                                                                続いて、現職教員のIさんが、同僚Oさんが生徒との携帯電話でのメールのやりとりを都教委に咎められ、何と懲戒免職されたこと、そのことを抗議して同僚全員が署名をして校長に申し入れをしたが、都教委は頑として聞かず、裁判に訴えてその結果、執行停止の仮処分を勝ち取ったが、これに対して都教委は職場復帰をさせるどころか、研修センターに勤務を命じた。現在、懲戒免職取消しの裁判に訴えて東京地裁で係争中であるとのこと。これは都教委によるパワハラである。命じているのが東部学校支援センターの人事部のS室長とS主事である。2006年に発足したこの組織は当初の予想の通り、学校現場を「支援」するどころか学校の教育活動の阻害物、パワハラ役人の巣窟と化している。このIさんを始めとするOさん支援の闘いに立ち上がっている現場の教員に対し、都教委は教科の全員を強制異動の対象にするなど卑劣な報復を行っ
ている。
                                                                 続いて、I特別支援校のTさんが、度重なる不起立処分による減給処分や「再発防止研修」攻撃の中で、今年も卒業式(3月19日)を迎えていることを述べた。その緊張感など現在の心境を淡々と冷静に語っていることが印象的であった。
                                                               次に、都立大島高校における自衛隊駐屯地での宿泊防災訓練反対の取り組みが元都立高校教員の永井さんから報告された。2014年11月25日に大島を出発し、その日の午後は職場見学にあてた後、26日から2泊3日で三浦半島の武山駐屯地で「訓練」(隊内訓練)を行った。10月20日に保護者会が開催されたが保護者の中から質問や反対意見が続出して校長は対応に追われていたとのことである。結果、参加者は第2学年35名中わずか16名。校長は不参加者に対して何度も働きかけたが、結果は変わらなかった。当日は都教委から金子一彦指導部長、藤井大輔指導部高校教育改革担当課長など計6名が見学し、それと教員側とを合わせると生徒の数と大差が無く、異様な光景で、ただ「集合・行進・解散」がとめどもなく繰り返され、とても“防災訓練”とは言えたしろものではなかったようである。しかし、自衛隊との連携は宿泊防災
訓練だけではなく、今後も様々な形で執拗に都教委は追求してくると思われる。とくに都立高校でも2016年から始められる「教科道徳・奉仕」が要注意だ。この問題については、ブックレット『高校生をリクルートする自衛隊・自衛隊の手法を取り入れる教育行政』(同時代社発行、800円)を緊急出版した。ぜひご一読いただきたい。

(3) 東京では10・23通達以降、不起立等による被処分者の数が累計で延べ463名にも達している。人事委員会審理や処分撤回などの裁判も現在進行中である。その状況について被処分者の会事務局からの報告が次にあった。
 東京の処分撤回の裁判は、第一次訴訟と第二次訴訟の最高裁判決では憲法判断では残念ながら敗れたが、①「間接的制約」と、②減給以上の機械的な処分は裁量権の逸脱が勝ち取られた。処分撤回三次訴訟は1月16日に東京地裁判決があった。最高裁判決を踏襲して、残念ながら減給・停職処分については、
26名31件が取り消され、1件の訴訟としては過去最大の処分取り消し数となった。しかし、きわめて不当なことに都教委はこのうち5名について控訴という分断を行った。また、減給処分の取消しになった現職教員9名に対して都教委は再処分という暴挙に出ると思われる。裁量権を逸脱したことに対してはもちろん一切の謝罪も行っていない。被処分者の会は今後も闘いを続けていく、と力づよく結んだ。

D青木   ところで、中教審は道徳の教科化を認める答申を行ったが、これを受けて文科省は2月4日に学習指導要領の改訂案を発表した。それに対する意見公募が2月4日から3月5日までの間行われている。「道徳教科化NO!」の声を一通でも多く、文科省にとどけようではないか。文科省のパプコメ用のFAXは
03-6734-4900。
 「道徳」の時間の現状について八王子の義務制の現場からMさんが報告した。文科省は2014年4月に全国の小・中学校全校に『私たちの道徳』を配布した。多くの学校では夏休み前に生徒に配布し、「宿題」として9月に回収していた。また、現場の教師は道徳の研修会に参加させられている。文科省の通知文には次のようにある。「本教材は学校に備え置くのではなく、児童生徒が家庭に持ち帰って家庭や地域等での活用できるように、対象児童生徒一人一人に確実に配布してくださいますよう重ねてお願いします。」家庭や地域社会をも国による国民教化の対象にされようとしている。これが道徳の教科化の現状だ。


(4) 次に、破防法組対法に反対する共同行動からの連帯の挨拶があった。日露戦争の時に、東条英機の父の東条英教は「学校は軍隊の母である」と言った。教育というものそのものの在り方を考えてみたい。今国会に上程されようとしている盗聴法の改定案でもそうだが、共謀罪でもとくに対象となる犯罪の拡大が重大な問題である。今は「反テロ」と言えば何でも通りそうな雰囲気である。なんとしてでも阻止したい。2月17日の12時から共謀罪阻止の院内集会がある。
                                                                2月20日の午後6時半より文京区民センターで「密告・盗聴反対集会」が開催される。 続いて大阪から大阪ネットワークの事務局から大阪の現状の報告と連帯のあいさつがあった。「君が代」起立斉唱命令に抗する闘いと裁判闘争が現在の最重要課題だが、それと同時に中原教育長の辞任要求がいま闘いの主要な課題である。署名運動と府教委に対する辞任要請行動を行っている。中原が辞めるまで続けるから今後も署名への協力をよろしくお願いする。


(5)  今年も卒業式のビラまき行動を積極的におこなっていきたい。今年で11回目になる。卒業式日程表をご覧になって、もしご協力願えたらよろしくおねがいしたい、との提起が都教委包囲ネットの事務局から行われた
  最後に、集会宣言が読み見上げられ、ビラまきや4月25日の道徳教科化に関する学習会への参加呼びかけも行われて、集会の幕が閉じられた。   (文責・青木)

2015年2月16日月曜日

2/12 都教委定例会傍聴記 根津公子さんより

●根津公子の都教委傍聴記
<刷り込み教育・エリート主義教育に突っ走る都教委>

021205

021201

高校で「人間と社会」という教科を新設するという。一言でいえば「道徳教育+キャリア教育」で、「道徳性を養い、判断基準(価値観)を高めることで、社会的現実に照らし、より良い生き方を主体的に選択し行動する力を育成する」ことを目標とする。「地域社会を築く」「人間関係を築く」「文化の多様性」など8つの単元につ
いて、テキストを読み、意見交換をしたうえで、奉仕活動・インターンシップ等の体験活動をする。考えさせることが大事、という。
来年度20校で試行し、再来年度から全都立高校で全面実施とのこと。
▼f全文はレイバーネットに載っています。ご覧ください。
 http://www.labornetjp.org/news/2015/0212nezu

2/9 再雇用拒否撤回第二次訴訟 東京地裁で結審

◆再雇用拒否撤回第二次訴訟が、2月9日、東京地裁で結審しました。その報告が近藤徹さんから寄せられていますのでアップします。

③報告集会(意見陳述原告より)

卒入学式での「君が代」斉唱時に起立しなかったことを唯一の理由として、2007年~09年の退職後の継続雇用(再雇用、非常勤教員など)の合格取り消されたり、採用を拒否された都立高校元教員25名が原告となり東京地裁に提訴して5年5ヶ月の歳月が経ちました。残念なことにこの間原告2名が亡くなりました(現在原告は22名)。

最終弁論が行われた東京地裁の大法廷(定員98名)には、多くの傍聴者がつめかけ、ほぼ満席となりました。終了後の報告集会の会場も椅子が足りなくなるほどの盛況でした。私も原告ですが、皆さんの暖かい傍聴支援に心から御礼申し上げます。

判決期日は、5月25日(月)13時30分、地裁103号法廷(大法廷 定員98名)に指定されました。私たちは、勝訴を確信しつつ、判決日を迎えたいと思います。そして、高裁・最高裁を展望して憲法と教育を守るため最後まで闘い抜きます。引き続き絶大なるご支援を!

◆原告2名、弁護士4名の渾身の意見陳述が法定内を圧倒!

傍聴者が原告・弁護士の意見陳述に静かに耳を傾ける中、意見陳述の迫力が法廷を圧倒しました。

原告の意見陳述は、都教委の採用拒否の理不尽さを告発し、東京の学校に生徒に寄り添う教育を取り戻そうという熱情にあふれたもので、感動を呼びました。Wさん、Nさんの意見陳述は、この問題の本質と原告の気持ち、教育に対する情熱を分かりやすく述べていますが、長くなりますのでWさんの意見陳述の全文を紹介します。

●原告Wさんの意見陳述(全文)

1、起立出来なかった理由
  原告のWと申します。体育の教員として37年間、授業はもちろん学級担任、教務主任、学年主任そして部活動指導と精一杯頑張ってきました。2007年3月、都立S高校を定年退職し、再雇用を希望しましたが、その3年前の卒業式で「君が代」斉唱時に起立しなかったことで、不採用となりました。
  私は国旗としての「日の丸」、国歌としての「君が代」を一概に否定するものではありません。しかし、「日の丸」に正対して起立し、「君が代」を斉唱する事を義務付け、従わない者は処分までして強制する都教委の姿勢に、私は同調することが出来ず、起立することが出来ませんでした。また、都教委が全ての都立学校に職員を派遣して、卒業式を監視するに至っては、まるで戦時中の学校に戻ったような感じすらしました。
  問題は、教職員に対する強制だけではありません。生徒の自主的活動にも影響が出ています。私が担任だった学年の卒業式においては、生徒たちがスライド上映を企画し、3カ月かけて完成させた力作も、上映するときに「日の丸」がスクリーンに隠れると言うだけの理由で、都教委の許可がおりませんでした。これが10.23通達後の卒業式です。誰のための卒業式なのでしょうか。

2、不採用が許されないこと
  私は、2004年3月の卒業式において、「君が代」斉唱時に座ったままでいたため、戒告処分を受けました。その後再発防止研修も受けました。再発防止研修のとき講師の方が「『君が代』斉唱時に起立しない行為を3回繰り返すと懲戒免職になる可能性がある」と言いました。起立しなかっただけで懲戒免職になるとは、信じられない発言でしたが、それを聴いて大変不安な気持ちになりました。懲戒免職になれば30年以上勤めた実績がゼロになり、退職金も出ません。それでは退職後の生活は成り立ちませんので、立つしかありませんでした。そして、再発防止研修後は退職までの3年間、周年行事を含め、7度の職務命令にすべて従い、起立しました。
  しかしながら、再雇用は不採用でした。再発防止研修を受けた事実や、再発防止研修後、7度の職務命令にすべて従った実績は考慮されなかったのです。この事から、「君が代」斉唱時に起立しなかったことが一度でもあると、その後、職務命令に全て従って起立しても、不採用になることが明らかになりました。
  業績評価や校長の推薦書も、無視されています。私は業績評価も推薦書の評価も共に総合Aの評価を受けています。校長は再雇用職員として十分勤まる人材として、私を推薦してくれました。しかし、それらも考慮されることはありませんでした。
  また、同じ戒告処分でありながら、「君が代」斉唱時の不起立以外の理由で戒告処分を受けた者との間に、公平性を欠いています。他の理由による戒告処分者は、ほぼ全員が採用されているのに対し、「君が代」を理由とする戒告処分者は、全員不採用になっています。「君が代」斉唱時に座っていたことは、戒告処分を受けた上に、さらに再雇用までも不採用にされなければならないほどの行為なのでしょうか。
  再雇用や非常勤の採否については、業績評価、推薦書、面接、などなどを総合的に判断して決めるのが、本来の姿であると思います。都教委はこれらの審査要件を全て無視して、立たなかったという一点のみで、不採用を決めました。この事は採用手続きにおける適正さ・公正さを著しく欠いており、許されることではないと思います。

3、不採用による損害
  私は再雇用される事を期待していました。時間的ゆとりのある再雇用職員の利点や、長い教員生活の経験を生かし、教材研究のほか教育相談や進路相談などにも取り組む気持ちでいました。
  しかし、不採用となり、その希望は叶えられませんでした。その空虚感による精神的苦痛は非常に大きなものでした。
  また経済的にも大きな損害を受けています。再雇用されて5年間勤務すると、1,000万円以上の収入が得られたはずでした。たった一度「君が代」斉唱時に、立たなかっただけでそれが全て失われました。卒業式の進行に何ら影響を与えることもなく、静かに座っていただけの行為が、1,000万円という代償に見合うものなのでしょうか。
  再雇用や非常勤の制度は、年金受給開始年齢が65歳まで引き上げられることを受けて、年金受給までの間の生活を守るための制度です。都教委はこの制度の目的や必要性を無視し、公正とは思えない理由によって、私たちを不採用としました。都教委の姿勢は、再雇用や非常勤制度の主旨に反するものであると共に、時代の要請にも逆行していると思います。
私たち原告は、採用されなかったことにより、多大な精神的苦痛や経済的損害を受けています。都教委の再雇用、非常勤の選考方法は著しく公正さを欠いており、私たちは全く納得出来ません。裁判所におかれましては、これらの事実を深く検証し公正なる判断を下して頂けるものと期待しております。宜しくお願い致します。

●原告Nさんの意見陳述(見出しと一部引用のみ)

被告都教委は職務命令違反が重大な非違行為であり、この1点で私達の採用を拒否したと主張しています。私は、「教育」というのは多様な立場や価値観が寛容されなければならないこと、そして被告の主張が誤りであることを,教育者としての経験から述べさせていただきます。

1 教員と校長・都教委の「教育」についての考え方の違い(Y君事件を通じて)
(1)Y君事件について
(2)校長の対応と職員会議での決定

2 「教育」についての考え方の違いと私の不起立
(1)職員会議の持つ重要な役割
(2)職員会議の決定を無視した校長の職務命令と私の不起立

3 職務命令体制は真の「教育」ではない(この部分は全文を引用)
「10.23通達」以降、都教委は、校長に対する業績評価や人事異動の権限を存分に使って、校長を都教委の意向に従わせています。また、職員会議における挙手禁止の通達が出された結果、職員会議はその役割を形骸化させられ、校長の権限と職務命令のみが優先されてきています。このように都教委は、現場の教員を自らの意に沿わせるよう職務命令体制を作り上げてきたのです。そして、通達→職務命令→懲戒処分→採用拒否という一連の仕組みが出来上がった結果、現場の教員は萎縮し、教育に対する情熱を失い、教員間の協働もなくなり、教育現場では何も言えない状態になっています。
2011年~12年にかけて出された卒入学式の懲戒処分事件に対する一連の最高裁判決では、卒入学式での職務命令は憲法に反しないという判断がなされました。しかし、一連の最高裁判決は、事実上、卒入学式の時だけでなく、日常的に出される職務命令体制をも追認することになりました。
その結果、今日の東京の教育現場では、職務命令体制の行き過ぎにより、管理職によるパワハラが横行する等、深刻な状態になっています。また、一人ひとりの児童生徒と向き合い寄り添うような「教育」は否定され、受験での合格数や学力調査の点数のみが重視されてきています。生徒に寄り添う教育を行なおうとしても、「一連の仕組み」によって定年後に再雇用されないという「脅し」を前にし、教員間の協働もなければ、到底そのような教育を実施してゆくことはできません。都立学校の現場は、真の「教育」とかけ離れてしまっています。

4 おわりに
「教育」というのは多様な立場や価値観が寛容されなければなりません。その「教育」を実現するのは、職員会議を中心とした教員集団でした。
どうか本件訴訟では、職務命令体制を安易に追認することなく、現場の教員に力を与える判決が出されますように、心より願うものです。

●弁護士4名の意見陳述(タイトルのみ紹介)
・H弁護士 一連の仕組みと憲法19条・憲法14条
・I弁護士 教師の教育の自由の侵害について
・TH弁護士 裁量権の逸脱・濫用について
・TS弁護士 国際人権法違反について

⑩弁護団から-6

⑬出席者から-1

◆以下の裁判の傍聴をお願いします。

★東京「君が代」裁判第四次訴訟第4回口頭弁論
(東京地裁民事11部。2010~13年処分取消請求、原告14名)
 2月20日(金)
  15時30分 傍聴希望者集合(抽選未定 裁判所前で案内あり) 
  16時 開廷 東京地裁527号(定員42名) 
  報告集会:ハロー貸会議室虎ノ門3F(案内あり)

★東京「再雇用拒否」第三次訴訟第6回口頭弁論
(東京地裁民事19部。原告3名。2011年再雇用拒否の損害賠償請求。)
 3月5日(木)
  11時 傍聴希望者集合(抽選なし・先着順) 
  11時30分 開廷  
  東京地裁527号(定員42名)

2015年2月1日日曜日

1/21 被処分者の会・原告団 都教委要請行動

1月16日の東京「君が代」裁判三次訴訟判決を受けて、昨日21日、都教委要請行動を実施しました。同行動には、28名の原告・支援者らが参加し、三次訴訟弁護団から植竹和弘弁護士も同席しました。都教委側は、上野正之教育庁総務部教育情報課長、阿部望同広聴担当係長らが対応しました。近藤徹さんからの報告です。

◆都教委要請行動 

⑩出席者からの質問

最初に、被処分者の会より、①請願書(地裁判決を受けて)、②申入書(職務命令出すな・卒業式処分をするな)の2つの文書、五者卒・入学式対策本部より要請書(職務命令出すな・卒業式処分をするな)を同課長に手交しました(いずれも、木村孟教育委員長、比留間英人教育長宛)。

▼「請願事項」は以下の通りです。

1.最高裁判決及び東京地裁判決で「裁量権の逸脱・濫用で違法」とされた減給・停職処分を行ったことを真摯に反省し、原告らに謝罪し、再発防止策を講じること。
2.10・23通達に基づく校長の職務命令違反を理由とした過去の全ての懲戒処分を即時撤回すること。
3.今後、最高裁判決で「思想及び良心の自由」を「制約する」とされた職務命令に違反したことを理由としたいかなる懲戒処分も行わないこと。
4.職務命令違反を理由に減給・停職処分などの累積加重処分を行わないこと
5.10・23通達に基づく校長の職務命令を発出しないこと。
6.10・23通達を撤回すること。
7.10・23通達に係わって懲戒処分を受けた教職員を対象とした「服務事故再発防止研修」を行わないこと。
8.問題の解決のために都教育庁関係部署(人事部職員課、指導部指導企画課、指導部高等学校教育指導課、教職員研修センター研修部教育経営課など)の責任ある職員と被処分者の会・同弁護団との話し合いの場を早期に設定すること。
9.以上を検討するにあたり、本請願書を教育委員会で配付し、判決について慎重に検討、議論し、回答すること。

●都教委の責任を徹底追及―原告らに謝罪せよ!再発防止策を講じろ!

被処分者の会からは、特に、都民の税金を湯水のように使って、最高裁でも違法とされた処分を行った都教委の責任は、重大だ。最高裁判決以降、減給・停職処分は、全ての下級審判決でも都の「裁量権の逸脱・濫用で違法」とされ都側が敗訴している。このようなことが2度と起こらないように直ちに再発防止策を講じるとともい、原告らに謝罪するのは社会的常識だ、との補足説明をしました。

三次訴訟原告団代表のOさんは、都教委は直ちに話し合いの席に着くべきだと強調しました。

植竹弁護士は、謝罪は、常識だ。請願が教育委員会に届くのか、教育委員会に報告することなく教育庁事務当局が「回答」するのは、事務当局の権限を超えている、などの追及がありました。

⑧植竹弁護Sから

上野課長は、「皆さんの要請をお聞きし、請願取扱要綱に沿って適正に処理する。所管課に伝える」とのいつもの答弁を繰り返し(注 教育委員会に報告せず、所管課の「回答」で処理するということ)、全くの不誠実な対応で参加者の怒りが爆発しました。

特に、判決後の控訴の意思決定の手続きについて明らかにするよう強い質問、要望があり、質問文書を渡し、早期の回答を求めました。懲戒処分は、教育委員会の非公開議案で決定されるのに、控訴(地裁→高裁)、上告(高裁→最高裁)については、教育委員会にかけず「教育長が決定する」ことのようです。都教委のブラック企業並みのいい加減さが、浮き彫りにないました。

私たちは、これからも機会ある毎に粘り強く都教委への要請を継続していきます。子どもたちが主人公の自由で生き生きとした学校、教育を取り戻すために。

●請願書の<請願の趣旨>より抜粋

2.2011年5月以後の一連の最高裁判決は、起立斉唱行為が、「思想及び良心の自由」の「間接的制約」であることを認めています。そして2012年1月16日の最高裁判決及び2013年9月6日の最高裁判決は、減給以上の処分について、「戒告を超えてより重い減給以上の処分を選択することについては,本件事案の性質等を踏まえた慎重な考慮が必要」「処分が重きに失し、・・・懲戒権者の裁量権の範囲を超え、違法」として減給処分・停職処分を取り消しました。最高裁が、都教委による従来の累積加重処分に歯止めをかけたのです。
一連の最高裁判決(他の訴訟を含む)により、合計32件(25名)の減給・停職処分の取り消しが確定しています。

4.さて、2015年1月16日、東京地方裁判所(民事11部佐々木宗啓裁判長)は、東京「君が代」裁判第三次訴訟において、上記最高裁判決を踏襲し、「裁量権の逸脱・濫用」として31件(26名)の減給・停職処分を取り消しました。
  東京都教育委員会が、最高裁に続き、東京地裁でも「違法」とされた減給・停職処分を行ったことは、教育行政として重大な責任が問われる許し難い行為です。今すぐ原告らに謝罪し、その責任の所在を都民に明らかにし、再発防止策を講じなければなりません

5.問題の解決のために、都教育庁の責任ある職員と被処分者の会・同弁護団との話し合いの場を早期に設定することが必要です。

6.これまで私たちの請願・要請・申し入れなどが教育委員会に報告されることなく、教育庁総務部教育情報課長名で所管課の回答をまとめた文書が送付されるだけでした。都民の請願権を踏みにじる対応を反省して、今回の請願を機に、10・23通達に係わる諸問題について同委員会で真摯かつ慎重に議論し、これまでの教育行政及び10・23通達を見直すことを強く求めます。

1/22 都教委定例会傍聴記 根津さんの報告

●1月22日(木)の都教委の傍聴記・根津公子の報告です。

0122-01

◆事務方は丁寧な提案を!教育委員はまともな論議を!

教育委員会の組織を「6人の委員」から「教育長及び5人の委員」へ改定する

来年度から首長が直接任命する教育長をトップとし、首長の権限を強化した教育委員会に衣替えすることに伴う条例の改定。                                                     教育委員会の組織を「6人の委員」から「教育長及び5人の委員」へ改定する。
教育長の給与は任命権者(首長)が決め、退職手当の支給は3年の任期ごとに行う。(略)
首長から任命されるだけでなく、給与も首長に決められ、退職金も3年ごとにもらえる新「教育長」。首長の望む教育行政に血道を上げることになるのは間違いない。

石原都知事2期目の2003年から、知事のお友達である横山教育長が東京の教育を破壊した。現行の教育
委員会制度でもこれだけの悪行をしたのだから、改定教育委員会制度ではどうなるのか。大勢が声を上げていかねば、と思う。

▼議題

議題は①一般職非常勤職員の任用等に関する規則他4件の制定について ②地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う条例改正についてが5件 ほか。報告は③平成26年度東京都教育委員会児童・生徒等表彰について ④平成27年度教育庁所管事業予算・職員定数等について。懲戒処分も報告にあがっていた。

◆根津さんの報告の最後の部分

今日の議案は1号議案から始まるのではなく、6号議案から始まって19号議案となっていた。1~5号議案はどこに行ったのか。初めてのことであり質問したかったが、それをすれば「議事妨害」とされて傍聴の権利を奪われるので、わからないままじっと我慢するしかなかった。進行役の木村委員長もしくは担当所管である教育政策課は、この理由を説明すべきであった。

 これらすべての議事にかかった時間は1時間弱。この時間で論議できるはずはなく、定例会は実態として事務方の提案を承認する機関となっている。事務方は丁寧な提案を、教育委員は事前に調べ、論議をしてもらいたい。首長の権限が無限大になる来年度からの教育委員会において、今のままの教育委員の姿勢では首長の提案・意向に意見できないのではないか。

全文
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http://www.labornetjp.org/news/2015/0122nezu