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2016年6月17日金曜日

6/15 田中聡史さんの「君が代」不起立処分の「再発防止研修」

■抗議と激励行動

6月15日(水)午前中、石神井特別支援学校の田中聡史さん(今年3月の卒業式での「君が代」不起立で減給10分の1、1ヶ月)への「再発防止研修」があり、それへの抗議・支援行動が都研修センター前で行われました。参加者は33人。
その中には、わざわざ大阪から駆けつけてくれた<大阪ネット>の2人もおりました。

渡部さんの報告です。

■抗議と激励行動

たった一人(今回は田中さんだけ)の研修に、センター前には10人の職員が立ち並び、
車道には警察・公安車両も控えるという物々しさ。これが、安倍の言う「自由で民主主義」の実態である。

毎回、「再発防止研修」に来られて、ともに闘ってくださる澤藤弁護士は、都教委に抗議して次のように述べました。

「田中さんの代理人であるだけでなく、クラスの子どもたち、校外指導の教員たちの立場で抗議する。
「日の丸・君が代」の強制は憲法違反であり、思想・良心の自由を行使した田中さんへの処分と研修は田中さんの良心を鞭打つ行為である。

「今回の研修日程(6月6日校長より、6月15日午前中と告げられる)は、授業(校外見学)に差し障るとして、田中さんは日程変更<せめて午後に>を要望した(6月10日)。
 校外での実地見学は子どもたちも楽しみにしていた。しかし、都教委はそれを無視し研修を強行した。授業より研修、子どもたちへの配慮とは無縁。
子どもたちの教育を受ける権利をないがしろにして何のための研修か。憲法をないがしろにした石原知事や、その後の前(猪瀬)知事、現(舛添)知事こそ研修を受けるのにふさわしい。

「田中さんに何のために研修をするのか。研修とは名だけで、良心に鞭打ち、反省を迫るだけだ。怒りをこめて抗議する。
「2004年の東京地裁決定でも、『繰り返し同一内容の研修を受けさせ、自己の非を認めさせようとするなど、 公務員個人の内心に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであれば、そのような研修や研修命令は合理的に許容される範囲を超えるものとして違憲違法の問題を生じる可能性があると言わなければならない』と述べている。この決定を都教委は受け止めるべきである。


澤藤弁護士の申し入れ(全文) 憲法日誌より
  ↓
http://article9.jp/wordpress/

しかし、門のところに出てきたW課長は、「ご意見は伺った。上に伝える。本日の研修は必要である。」と棒読みのように答えたので、糾弾の声があがりました。

授業への支障を考え、前もって要望した変更さえ認めず、自分たちの研修を強行する、
このようなことは誰が考えても許せるものではありません。教育委員会という名に値しない行為です。しかも、研修センターの屋上からは【めざせ!授業力向上、東京教師道場実施】などと書かれた大きな垂れ幕がかかっているのです。

抗議文の手渡しと抗議
以下の団体から抗議・要請文が都教委に渡されました。
<被処分者の会・東京「君が代」裁判原告団>
<日の丸・君が代」強制反対!不起立処分を撤回させる大阪ネットワーク>
<河原井さん、根津さんらの「君が代」解雇をさせない会>
<ひのきみ全国ネット>
<練馬教育問題交流会>(注:練馬区には石神井特別支援学校があります)

田中さんが研修中(10:00~11:00)
シュプレヒコールが行われ、それぞれの参加者が発言しました。

大阪から参加された2人の発言

●Yさん
 東京の闘いに勇気づけられている。大阪では現在13人が人事委員会闘争?裁判闘争を闘っている。河原井さん・根津さんの最高裁での勝訴確定は大きな前進だと思う。
 あれで、大阪での「3回不起立したら免職」という条例は、違法だという事が明らかになった。
大阪での研修は、1回1時間だけ。やる必要もないような研修だ。東京の研修は異常だ。
本日朝早く着いたので、8:00頃ここに来た。すでに職員が並んでいて中に入れてもくれない。警察も異常だ。研修を権力的な形でしか出来ないことが分かった。
7月23日には大阪で「全国集会」をやります。


Mさん
 東京の延べ500人に近い人々の闘いは誇りだ。裁判でも大きな成果を上げている。
 この夏、東京でやっていた「全国集会」を大阪でやる事になった。是非来て欲しい。
 これまでの成果をもとに<百万人署名>をやったらどうか、という話も出ている。
 今度の集会を新たな出発点にしたい。


■研修終了後、出てきた田中さんの発言

「スーパーへに19人の子どもたちを5人で引率して行く予定だったが、(再発防止研修で)半分は留守になった。<せめて午後に>との要望も受け入れなかった。教育委員会は現場の実態を理解していない。だから対応できない。懲罰としての研修ありきだ。こうしたことはやってはならない。
「2004年の地裁決定に反している。最高裁判決にも反している。裁判所の判断を軽視している。研修はこれまでと同じ内容だった。20分の講義と20分の振り返りシートだ。
それには、「全体の奉仕者として職務を遂行する」と書いた。


●これからの「研修」日程
7月15日「事例問題等の演習」
8月29日「研修内容の振り返り」

研修時間(共通)10時から11時まで
研修場所(共通) 都教職員研修センター407会議室


コメント
今回の研修で、都教委の体質(授業無視=子ども無視)が一層はっきりしました。
要するに彼らは教育のことなど二の次なのです。ただただ、「言われた通り命令に従え」と言うだけなのです。このようなことに対し、私たちはいつまでも黙っているわけには行きません。

2016年6月14日火曜日

6/9 都教委定例会 根津公子さんの傍聴記

■6月9日(木)、都教委定例会の根津さんの報告です。

都教委は反省のない無責任体制下にある

★公開議題は報告

①2015年度(2016年2月から3月)の都立高校入学者選抜の状況について
②教科用図書(教科書)選定審議会の答申について の2件のみ。非公開報告議題がいつもながら、教員の懲戒処分について。


















 宮崎緑教育委員の姿はなかった。東京のいくつかの区市町村で、教育委員が委員会を欠席した際にも報酬が支払われていることを見直す動きがあるというが、都教委の教育委員にはそうした意識はないのだろうか。欠席届があったことぐらいは報告すべきであろうと思う。

全文  レイバーネットをご覧ください。↓
http://www.labornetjp.org/news/2016/0609nezu


★余談を一言言わせてください。
 定例会の前に都庁前で恒例のチラシまきを行った。
チラシの1面は、「最高裁が都の上告を棄却! 根津・『君が代』不起立『停職6月処分』の 取り消しが確定しました!」の記事。「根津さんの処分が取り消しとなりました」「私への処分が取り消されました」と言いながらチラシを差し出すと、「そうですか、よかったですね」「頑張りましたね!おめでとうございます」「新聞で見ました。良かったですね」と言ってくれる人がかなりの数いた。
また、定例会を傍聴した一人は公開議題が終了し、退室したところで、「都教委は根津さんに謝罪しろ!」とどでかい声で言い続けたけれど、教育委員も事務方も、それを制止することはしなかった。制止できなかったのだろう。

2016年6月11日土曜日

舛添は即刻辞任せよ! 6/15田中さんの再発防止研修に抗議と支援を!

舛添は本当に許せない!
いくつかの事柄について、お知らせします。近藤徹さんからの情報・要請です。

■舛添騒動で東京都総合教育会議が延期になっています。

2015年4月より教育委員会制度の改定で地方自治体の教育行政の基本方針を決定
するため首長が招集する「総合教育会議」が設置され、東京都では舛添都知事が招集
して2015年6月、第1回教育総合会議が行われました。
今年は6月9日に第1回
総合教育会議行われる予定でしたが、舛添都知事の一連の疑惑騒動で6月8日、急遽
「開催延期」になると発表されています。

平成28年度第1回東京都総合教育会議の開催延期について
   ↓
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/2016/pr160608.html

「海外への大名旅行」の舛添都知事は、昨年第1回会議で偉そうに都の教育の柱は「グローバル人材の育成」等と述べ、当時教育委員だったかの破廉恥な乙竹氏がこれに賛同する発言をしています。このような人たちこそ「再発防止研修」を受けるべきです。

■6/15(水)田中さんへの再発防止研修抗議・該当者支援行動→多くの参加を!

★対象者:田中聡史さん(S特別支援学校) 呼びかけ:被処分者の会
 日時:6月15日(水) 
   9時20分 集合・行動開始 
   9時35分 弁護団申し入れ
   9時50分 該当者(受講者)入場 
   10時~11時 「研修」
   11時過ぎ 研修終了後の該当者激励行動
★場所:都教職員研修センター前(JR水道橋東口、都立工芸高校隣)


■田中さんへの新たに再発防止研修を強化―学校の仕事・教育活動を考慮せず

★田中さんに対して、さらに狙い打ちにした新たな再発防止研修の強化に乗り出しました。
 これまで都教委は、1回の処分に対して、研修Ⅰ(月1回の指導主事訪問による所属校研修)と研修Ⅱ(センターで)を科してきました。
ところが今回、田中さんに関しては、月1回の指導主事訪問研修に代えて、一方的に期日を指定して新たに月1回のセンター研修を通知してきました。
しかも、従来の所属校での指導主事訪問研修は本人の希望を事前に聞いて、授業がない時間帯等に実施していたにもかかわらず、今回は本人の希望、学校の事情は全く無視して、一方的にセンターに呼び出しての研修です。


★その内容は以下の通りです。
<研修予定日時と内容>
6月15日「地方公務員法及び適正な教育課程の実施」及び演習「振り返りシート」
7月15日「事例問題等の演習」
8月29日「研修内容の振り返り」

・研修時間(共通)10時から11時まで
・対象者(共通) 田中さん(研修受講者)、校長(指導者・同席者)
・研修場所(共通) 都教職員研修センター407会議室


■被処分者の会呼びかけの抗議・支援行動に参加を!!

このような都教委の横暴を黙って見過ごすことはできません。裁判で負ても謝罪も反省も再発防止策を講ずることもせずに居直り、被処分者イジメの「研修」を強化することを許されません。被処分者の会は6月14日、緊急に都教委に申し入れを行うと共に、6月15日には教職員研修センター前で抗議・支援行動を行います。早朝からの行動ですが、多くの皆さんの参加を訴えます。

★6月14日(火)13時15分第1庁舎1Fロビー集合
  13時30分~ 都庁第1庁舎37F総務部教育情報課


◆第3回最高裁要請行動を行います。一人でも多くの参加をお願いします。

*最高裁に入構できるのは17名です。人数がオーバーした場合は調整します。終了後、門前で報告集会を行います。
★東京「君が代」裁判第三次訴訟・第3回最高裁要請行動
*集めた署名を最高裁に提出し要請を行います。
 6月29日(水)
  13時45分 最高裁西門集合・時間厳守 
  14時~ 要請  要請者(予定):3名
    地下鉄永田町駅、半蔵門駅徒歩5分 最高裁南門から左手、国立劇場寄り


◆粘り強く闘われている「日の丸・君が代」強制反対の裁判の傍聴をお願いします。

★東京「再雇用拒否」第三次訴訟・高裁控訴審第1回弁論
(東京高裁第5民事部。2011年再雇用拒否の損害賠償請求、原告3名)
 →地裁の不当判決に反撃して逆転勝訴に向けた闘いが始まりました。
 7月25日(月)
  13時傍聴希望者集合(傍聴抽選なし・先着順)
  13時30分開廷
  東京高裁511号
  報告集会:場所未定。追って連絡。


★東京「君が代」裁判第四次訴訟第11回口頭弁論
(東京地裁民事11部。2010~13年処分取消請求、原告14名)
 7月27日(水)
  10時30分傍聴希望者集合(傍聴抽選なし・先着順)   
  11時開廷 
  東京地裁527号法廷(定員42名)
  報告集会:場所未定。追って連絡。

*毎回満席で入廷できない人が多くいます。早めにお出でください。

2016年6月9日木曜日

5/25(水)、朝鮮高校生「無償化」裁判・文科省前行動報告

■朝鮮高校生への授業料の無償化からの排除、朝鮮学校に学ぶ権利の抑圧に抗議して、2014年4月以来、裁判闘争が闘われてきました。2016年5月25日に10回目に口頭弁論が行われました。その報告が被処分者の会の岩木さんから寄せられましたのでアップします。

5/25(水)、朝鮮高校生「無償化」裁判・文科省前行動報告

 5月25日、11時から東京地裁103号室で東京朝鮮高校生の授業料「無償化」裁判の第10回口頭弁論が行われました。傍聴抽選が10時30分で、10時20分頃に裁判所に行くと、すでに傍聴者控え所は超満員、貰った傍聴抽選番号は603番、最終的には700名近い人が傍聴に並びました。ちょうどこの日は、東京朝鮮中高級学校は休校日とのことで、生徒たち400名以上が傍聴に来ていたのです。大法廷とはいえ入廷できる傍聴者は100名弱、無理だろうと思っていると案の定、抽選にはずれました。

なお、裁判は(以下、5/31付「東京朝鮮高校生の裁判を支援する会」の報告より)、
≪最初に裁判長から裁判体が変わったこと(裁判官の交代)の説明があり、原告側書証(甲79号証)の確認をして、10分ほどで終了しました。原告(高校生側)から被告(国側)に求めていた文科省の内部資料は提出されていず、次回に持ち越されました。今後は、6月末までに出されるはずの国側の開示を踏まえて高校生側が書面を作成し、次回口頭弁論に臨みます。(以下略)、≫ とのことでした。

(裁判終了後の報告集会の内容も含め詳細はhttp://mushokashien.blog.fc2.com 参照)
さて抽選にはずれて、11時から衆議院第一議員会館での「『無償化』裁判・ミニ学習会が予定されていましたが、同時間帯に、生徒たちが文部科学省前で要請・抗議行動を行うとの話があり、そちらに行くことにしました。

文科省前で訴え






文科省前に朝鮮高校生約400名が整列し、スピーチと「どれだけ叫べばいいのだろ…」の歌を交互に繰り返し、高校授業料無償化の即時適用を訴えました。卒業生で現在朝鮮大学校の学生は無償化への期待が裏切られた高校時代の無念さを語りました。
 朝鮮高校の教員3年目という若い教師は、6年前朝鮮高校3年生として卒業直前の貴重な時間にも署名活動をしたが今に至るも無償化が実現していない口惜しさを語り、文科省に即時実施を求めました。裁判終了後参加した、支援する会の佐野通夫さんは日本社会のためにも朝鮮高校の授業料無償化の一日も早い実施が不可欠だと訴えました。


11時半頃に文科省前での行動は終わりました。クラス単位で担任の先生からの連絡など受けて解散する生徒の様子に、自分の教師時代を思い出し懐かしく感じました。また、本来ならば、自宅でくつろいだり、部活に励んだり、予習・復習をしたり、あるいはデートをしたりという楽しかるべき休日の予定を措いて、法廷にまた文科省前に駆けつけた生徒の姿に接して、彼らをしてそうせざるを得なくさせているこの国の主権者、元教育労働者としての責任を改めて痛感しました。
 
次回口頭弁論は2016年8月31日(水)11時~、103号法廷にて。
是非ご都合をつけて参加して下さい。 
また、毎週金曜日の16時から17時には朝鮮大学校の学生を中心とした文科省行動も行われていますので、こちらにもご参加を。  
            (岩木 俊一)

2016年6月4日土曜日

最高裁第三小法廷が出した「決定」

包囲ネット渡部さんのコメントです。

◆最高裁第三小法廷が出した「決定」には以下のように述べてあります。
<主文> 本件上告を棄却する。
       本件を上告審として受理しない。 
       上告費用及び申し立て費用は上告人兼申立人の負担とする。
<理由>
 1、上告について
  民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは

民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告の理由は、違憲及び理由の不備・食違いをいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。

 2、上告受理申立てについて
  本件申立ての理由によれば、本件は、民訴法318条1項により受理すべきとは認められない。
  
  よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。
 
  平成28年5月31日
      最高裁判所第三小法廷
      裁判長裁判官  大 橋 正 春
                裁判官  岡 部 喜代子
                裁判官  大 谷 剛 彦
      裁判官  木 内 道 祥
      裁判官  山 崎 敏 充



◆東京高裁の判決(2015年5月28日)を、参考までに紹介しておきます。

 「本件根津停職処分において停職期間を6月とした都教委の判断は、具体的に行われた非違行為の内容や影響の程度等に鑑み、社会通念上、行為と処分との均衡を著しく失していて妥当性を欠くものであり、懲戒権者としての 都教委に与えられている裁量権の合理的な範囲を逸脱してなされたものといわざるを得ず、違法なものというべきである。」
      
 「都教委は、・・・・国歌斉唱時に起立しなかった教職員に対して、職務命令違反として、1回目は戒告、2回目は給与1月10分の1を減ずる減給、3回目は給与6月の月額10分の1を減ずる減給、4回目は停職1月、5回目は停職3月、6回目は停職6月の各処分を行っており、このような機械的な運用は、もともと機械的に一律に加重処分して処分を行うことには慎重な検討をを要請していた本件国会審議答弁における各答弁内容や本件処分量定を定めた趣旨に反するものといわざるを得ない。
しかも、このような学校における入学式、卒業式などの行事は毎年恒常的に行われる性質のものであって、しかも、通常であれば、各年に2回ずつ実施されるものであるから、仮に不起立に対して、・・戒告から減給、減給から停職へと機械的に一律にその処分を加重していくとすると、教職員は、2、3年間不起立を繰り返すだけで停職処分を受けることになってしまし、仮にその後にも不起立を繰り返すと、より長期間の停職処分を受け、ついには免職処分を受けることにならざるを得ない事態に至って自己の歴史観や世界観を含む思想等により忠実であろうとする教員にとっては、自らの思想や信条を捨てるか、それとも教職員としての身分を捨てるかの二者択一の選択を迫られることになり、そのような事態は。もともとその者が地方公務員としての教職員という地位を自ら選択したものであることを考慮しても、日本国憲法が保障している個人としての思想及び良心の自由に対する実質的な侵害につながるもであり、相当ではないというべきである。」

 「都教委において、控訴人河原井につき停職3ヶ月、控訴人根津につき停職6月としたことは、いずれも裁量権の合理的な範囲を逸脱したものとして違法というべきであり、そのような処分によって控訴人らが受けた精神的苦痛については損害賠償によって慰謝されるべきものと考えるが、・・(他方において職務命令には違反したとして)・・
 本件各処分によって控訴人らが被った精神的苦痛に対する慰謝料は、控訴人らそれぞれに対して10万円とするのが相当である。」

◆河原井さん・根津さんの闘いの意義

こうした高裁の判決が今回確定したわけです。河原井さん、根津さん、本当におめでとうございます。お二人の長い闘いが実りましたね。
「日の丸・君が代」強制に反対する者たちに大きな励ましを与えてくれました。ありがとう、河原井さん、根津さん。

根津公子です。 根津さんからの最高裁判決についてのコメントとお礼

根津公子さんからの最高裁判決についてのコメントとお礼です。

◆根津公子です。

昨年5月28日、東京高裁(須藤典明裁判長)は2007年「君が代」不起立停職6月処分取り消しと損害賠償を求めた事件で、根津・停職6月処分の取り消しと河原井さん・根津の損賠(各10万円)を認める判決を出しました。
河原井さんの停職3か月処分については地裁で処分取り消し。都は上告せず。
敗訴した都は、根津・停職6月処分と2人の損賠について、上告及び上告受理申し立てをしていましたが、
最高裁第3小法廷は、5月31日付で都の「上告を棄却」し、「上告審として受理しない」ことを「裁判官全員一致の意見で決定した」との「決定」を出しました。

今日、その決定が届きました。
2012年1月16日最高裁判決は「職務命令は違法とは言えない」として戒告を容認しましたが、
「戒告を超える重い処分は違法」とし、根津を除くすべての人たちの減給以上の処分を取り消しました。
「過去の処分歴」「不起立前後の態度等」(2つを一緒にして「過去の処分歴等」という)がある場合は「戒告を超える重い処分」も可とし、根津の停職3月処分を取り消しませんでした。
これに倣って、これ以降の裁判は、どれも同じ判決が続き、私だけは敗訴し続けました。


しかし、昨年の須藤判決は、根津について、2006年処分から2007年処分に至るまでの間に処分を加重する新たな個別具体的な事情はないとして、停職6月処分を取り消しました。
何度も同一の「過去の処分歴」を使うべきではないということばはありませんでしたが、
「過去に同様の行為が行われた際に停職処分がされていたとしても、懲戒権者において当然に前の停職処分よりも長期の停職期間を選択してよいということにはならない」
「処分の加重を必要とするような特段の事情が認められるか否かという点に加えて、停職処分を過重することによって根津が受けることになる具体的な不利益の内容も十分勘案して、慎重に検討することが必要」
と判じ、同一の「過去の処分歴」を使っての機械的累積過重処分を断罪しました。

「停職6月処分を科すことは、…根津がさらに同種の不起立行為を行った場合に残されている懲戒処分は免職だけであって、次は地方公務員である教員としての身分を失う恐れがあるとの警告を与えることとなり、その影響は、単に期間が倍になったという量的な問題にとどまるものではなく、身分喪失の可能性という著しい質的な違いを根津に対して意識させざるを得ないものであって、極めて大きな心理的圧力を加える」と、停職6月の意味することを明示したうえで、

「自己の歴史観や世界観を含む思想等により忠実であろうとする教員にとっては、自らの思想や心情を捨てるか、それとも教職員としての身分を捨てるかの二者択一の選択を迫られることとなり、…日本国憲法が保障している個人としての思想及び良心の自由に対する実質的な侵害につながる」と判じました。憲法19条の実質的侵害に踏み込んだ判決でした。

 また、損賠については、「停職期間中は授業をすることができず、児童生徒との信頼関係の維持にも悪影響が生じ、精神的な苦痛を受けるだけでなく、職場復帰後も信頼関係の再構築等で精神的な苦痛を受けるものと認められ、そのような苦痛は、本件処分の取り消しによって回復される財産的な損害の補てんをもっては十分ではない」とし、都に損害賠償金の支払いを命じたのです。

最高裁は都の上告を棄却し、須藤判決が確定して本当にうれしいです。
昨年の須藤判決が出されたときにも思いましたが、生きているうちに、しかもこんなに早くに勝訴判決を手にするとは思いもしなかったことです。
勝訴判決を手にできたのは、大勢の方が支援して下さったおかげです。
皆さん、ありがとうございました。

この判決確定で最もうれしいのは、「君が代」不起立で停職6月以上の処分が不可となったことです。
都教委は「君が代」不起立者を分限免職に持っていこうとも考えてきた向きがありますが、それも行うことはできなくなりました。
大阪府教委は2回目の不起立をした教員に「次に職務命令違反を行えば免職もあり得る」と記した「警告書」を渡しましたが、判決は「警告を与えることは」だめだと判じています。「同一の職務命令違反3回で免職」(府条例)は破たんしたも同じです。
その点で、実に安堵しました。

2016年6月1日水曜日

5/31 最高裁決定 2007年の河原井さん、根津さんの停職処分取り消し

被処分者の会の近藤徹さんからです。
「取り敢えず朗報の速報です。河原井さん、根津さん07年停職処分取消訴訟の最高裁での勝訴が確定しました。」

時事ドットコムニュース
  ↓
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016060100709&g=soc

「君が代不起立、都の敗訴確定=停職取り消しと賠償命令-最高裁 卒業式での君が代斉唱時に起立しなかったことを理由に停職処分を受けた東京都の公立学校の元教員2人が、都に処分取り消しなどを求めた訴訟で、2人の処分を取り消し、都に計20万円を支払うよう命じた二審東京高裁判決が確定した。最高裁第3小法廷(大橋正春裁判長)が、5月31日付で都側の上告を退ける決定をした。

訴えていたのは、元養護学校教員の女性(66)と、元中学校教員の女性(65)。2人は2007年3月、それぞれ停職3カ月と6カ月の懲戒処分を受けた。
二審は、不起立を繰り返した教員に対し、処分を機械的に重くする都教育委員会の運用は「自らの思想信条か教職員の身分かの二者択一を迫るもので、憲法が保障する思想・良心の自由の侵害につながる」と批判。停職3カ月の処分だけを取り消した一審東京地裁判決を変更した。(2016/06/01-17:45)

★近藤さんコメント
この事件は、東京高裁で全面勝訴(①河原井さん停職3月取消、②根津さん停職6月取消、③両名に各10万円の損害賠償命令)し都側は①については上告せず、②と③について上告及び上告受理申立をしていましたが、最高裁は、都側の上告を退け、勝訴が確定したということです。

5/27 都教委定例会 根津公子さんの傍聴記

5月27日(木)に行われた都教委定例会の、根津公子さんの傍聴記です。


78名の新規採用教員が実質クビを切られた!


◆議題は公開議題が、
①昨年度の指導力不足等教員の指導の改善に関する認定等及び条件付き採用教員の任用について 
②昨年度下半期の都民の声(教育・文化)について。

非公開議題に懲戒処分の議案と報告があった。木村教育委員の姿はなかった。

▼サミット警備の都庁入り口


①昨年度の指導力不足等教員の指導の改善に関する認定等及び条件付き採用教員の任用について

■指導力不足等教員に認定された人は7名(例年と変わらず)。うち、2名は病気休職となり、研修を中止。休職から復帰した時点で研修再開ということだ。研修を受けた5名のうち、1名は認定解除、学校復帰。4名は認定解除とならず、そのうちの2名は昨年度が指導力不足等教員認定の1年目だったために、今年度も研修継続となる。残る2名は指導力不足等教員認定2年目だったため、1名は自主退職、もう1名は行政職への転職選考を受験するという。

この7名がどういう経緯で指導力不足等教員に認定されたのか、私たちには明らかにされない。しかし、校長の申請・調書提出はあるものの、都教委の物差しによって、「都教委にとって好ましからざる教員」を指導力不足等教員に認定する危険性は大きい。

事実、私は2001年に指導力不足等教員に認定されそうになった。従軍「慰安婦」問題を授業で取り上げたことをきっかけにして始まった攻撃のなかで、2001年9月、校長は私を指導力不足等教員として調書を提出した(区市町村立学校は校長が調書を区市町村教委に挙げ、教委が申請する)。校長は、「これで私の仕事は終わった」と明言した。多摩市教委が申請をしたが、都教委の指示に従った申請であったことは間違いない。

それに対して私が黙っていたら、指導力不足等教員に認定されていたことも間違いない。メール等を通じて事実を公開し、都教委と渡り合ったことによって2002年3月、「指導力不足等教員に認定しない」の通知を手にしたのだった。だから、毎年この人数を見るにつけ、指導力不足等教員認定が「都教委にとって好ましからざる教員」の排除に使われているのではないかと疑念を持っている。

■条件付き採用教員の任用について。教員の場合、新採用1年目は条件附採用期間であって、本採用は1年後と決められている(教育公務員特例法12条)。昨年度の条件附採用教員は2982名。うち、78名(2、6%)が正式採用とならなかった。78名が実質クビを切られたということだ。その内訳は、年度途中の自主退職が63名(うち、病気が29名。「クビになるより、自主退職のほうがキズがつかない」と校長から言われる人が例年多いとのこと)、正式採用「不可」となっての年度末自主退職が12名、懲戒免職等が3名(これは説明がなく、不明)という。
年度ごとの推移を見ると3%前後の人が正式採用されない。これも、指導力不足等教員と同様、校長が判断・申請することになっている。校長の当たり外れが大きいようだ。

▼定例会の部屋に向かう


2011年に正式採用とされず、免職にされた新任教員は、その取り消しを求めて裁判に訴えたところ、昨年勝訴、職場に復帰した。この事例が示すように、条件附採用の実態は校長の恣意で一人の教員の職を奪う制度である。力量のある教員確保のための制度では断じてない。
かつての学校は、年配者が若い人を指導し、協働する職場であった。その関係性を壊したのが、昇格・人事評価に連動した昇給制度を導入した文科省であり、都教委である。
ついでに言うならば、教員免許更新制度も、力量のある教員確保のための制度ではなく、「教委にとって好ましからざる教員」を排除する制度。これらの問題に、教職員組合が闘ってこなかったつけがいかに大きいことか。

②昨年度下半期の都民の声(教育・文化)について
「苦情」が2015年度上半期よりも多くなったのは、「ハングルで書かれた都立高校入学案内をつくったことに対して」だという。都教委HPを見ると、ハングルのほかに、英語版、中国語版もある。どの国出身の保護者にも理解できる入学案内をつくるのは、行政として当然のことだ。なのに、インターネット上には、ハングル版を作ったことについて罵るHPがある。これと同じ考えを持つ人たちが組織的に「苦情」を都教委に寄せたのかと思われる。

請願・陳情で多かったものは、「都立高校定時制課程の一部(小山台、雪谷、江北、立川高校)閉課程に関するもの」と、「日の丸・君が代」強制と教職員処分について。都教委は、このどちらについても聞く耳を持たない。教育委員からの発言も全くない。かたちだけの「都民の声」の受付、集約であり、なんとむなしいことか。