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2017年12月27日水曜日

10/24都教委要請行動 教育情報課長の許せない発言 なんと! 教育情報課・教育庁は要請団体によって対応を変えている。

都教委は要請書を出す団体によって対応を変えている!!
都教委包囲ネットに対する差別的対応を許さない!!

■10月24日、都教委包囲ネット主催で、都教委への要請行動を第二庁舎10階で行いました。その報告は10月30日の包囲ネットのブログ掲載知れていますので見てください。



①その時、冒頭で、いつものように、「なぜ、所管の担当者が出てこず、教育情報課が窓口になるのか」という抗議が行われました。
「都庁の他の所では担当職員が出てくる」「文科省でも担当職員が出てくる」「他の道府県でもこんなことはやっていない」と抗議し、担当部局が出てくることを強く求めましたが、教育情報課Y課長はかたくなに拒みました。(正面左:課長 右:係長)
②そこで今回は包囲ネットの仲間が、以下の資料を示して、教育情報課に見解を求めました。他団体へは所管の係が出席して、要請と回答を行い、さらにそれを都教委の側がホームページに載せて報告しています。

◆資料は以下の通りです(一部分)。
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  東京都教育庁に対する要望書への回答説明会記録
日 時 : 平成27年 11月11日(火)13:30~14:30
場 所 : 東京都庁第一本庁舎 23階 23A 会議室
 <教育庁出席者(敬称略)>
教育庁指導部指導企画課
同 義務教育指導課
教育庁都立学校教育部特別支援教育課
教育庁人事部人事計画課
教育庁総務部教育情報課
 <東京 LD 親の会連絡会出席者>
けやき 4名
にんじん村 2名

要望書 【教育関係要望項目】
1.特別支援教室
(1)特別支援教室のガイドラインを作成してください。現状の通級制度より、支援の質の低下 をまねいたり、地域格差が生じないようにしてください。
(2)特別支援教室は平成 28 年度より小学校から順次導入となっていますが、現時点での進捗 状況をお聞かせください。※以下略
回答 特別支援教育課
(1)公立小学校における特別支援教室の導入を円滑に推進するため、 「特別支援教室導入ガイ ドライン」を策定いたしまして、本年4月に全ての公立小学校に配布しました。
(2)特別支援教室の導入の進捗状況についてですが、平成27年10月1日現在、部分的に設 置する区市町村も含めて、39の区市町村が平成28年度に導入するという見込みです。※以下略
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■資料を参考にしての教育情報課長とのやり取り(●は伏見さんはじめ包囲ネットの人たち、 ▼は教育情報課長)

●まず伏見さんが資料の提示とその説明を行いました。
「この会は毎年11月に要請に対する回答会を開いています。これは教育のことですから、これをコーディネートしているのは教育情報課だと思います。いろいろな団体が回答を求めたら、このように回答説明会がなされるのは当然じゃないですか。なぜ、われわれの団体に対しては回答説明会がなされないのかお聞きします。
このLD親の会の説明会は教育情報長、あなたが、コーディネートしているでしょ。(答えてくださいの声多数)

▼課長:はい、平成28年11月にいただいたものの説明会はやっています。
●:それは課長がしきったわけですか?
▼課長:説明会は自分が設定した。
●LD親の会に対してはこういう会を設定しているわけですね。われわれの会には設定しない。それはどういう理由ですか。これは明らかな差別とだと思うんですがいかがですか。
▼課長:(ききとれず)ほかの方でお伺いして、後日所管の方からの回答をつくって答えております。
●聞いていることに答えてください。なぜ我々には設定されないで、親の会の方には設定されたんですか。その違いはは何なんですか。
▼課長:本日については…
●本日ではないんだ、
●団体によって差別をしちゃあいけないと思うんです。東京都がこんなふうなやり方をしているんだったら、その根拠は何ですか。判断だと言いますが、その判断はどこの、誰の判断ですか。
▼課長:教育庁の…
●教育庁のどこですか?
▼課長:教育長の組織として…
●教育長のそこの組織ですか
▼課長:教育長の所管の…
●どこ? あなたが判断しているんでしょ?
●起案したのはあなたで、判断したのは教育長でしょ?
●これを所管しているのは教育情報課ですよね。教育情報課を経由して判断したんですね。この問題については教育情報課が担当部署ですね?
包み隠さず、どこでどの組織が決定したのか言ってくださいよ。あなたが直接関与しているんですか。
▼課長:教育情報課が所管されますので‥
●あなたは決定にどう関与しているんですか
▼課長:教育長の組織として判断してます。
●組織というものを具体的に言ってください。あなた起案しているんでしょ?
▼課長:所管の過程では‥
●教育庁の組織として判断しているなんてことは知ってますよ。…文書をもって、この団体はこうこうこういうのだか情報課でいいや、この団体はこういう団体だから担当の人を出そうというのを判断しているのは、つないでいるのは教育情報課でしょ。だから情報課の部長がそういう決済をしてるのか、課長か、係長が決裁をしてるのか。われわれの要望には担当がよばれないので、そういったことてを聞くってのは当然でしょう。
こんな入口のところでなく、中身のところで話したいのに、来ないからこういう入口の部分でどうしても話になるんじゃないですか。しっかり答えてくださいよ。情報課のだれがやったんですか。
▼課長:私が情報課長として判断をしました。
●その根拠はなんですか?
▼課長:事案決定規定です。
●それに書いてあるんですか、それを読み上げてください。私たちの場合は出来なくて、親の会の団体はできるということが書いてあるんですか。どういう規定なんですか?
●今日のこの質問に、回答をこういう形(回答説明会の形)でやってくれますか? 後日、説明会を開いてください。
▼課長:やれません
●その決定規定というのを私たちは知らないんですから、決定規定の何条の何項により、なになにの団体は人数が多いとか、そういう理由を言って、だからできませんとか言うのがすじじゃないんですか。なんにも言わずに、知らせもしないで「あんたのところはやらない」ってのはおかしいと思います。だから事案決定規定のどこの部分で団体を選んでいるのか教えてくださいよ。私たちはわかんないじゃないですか?
●事案決定規定というのはこういうことについては誰が起案して、それについては誰と協議して、最終的に誰が決定すると書いてあるんですか?
▼課長:事案について、決定件者が誰かと言うことを定めています。
●そうですよね。ですから、起案者が誰と言うのも決めてあるものですよね。
▼課長:起案者は書いてない。
●そんなことはないでしょう。
▼課長:事案決定規定には書いてない。事案決定規定にはどういう事案についてはなになにの職にあるものが決定するのかという概要を書いてある。
●でも、個別の事項についてはこう、あれについては誰と言うのが書いてなければ…
▼課長:規定ですから、個別に細かく書いてあるものではない。
●ということはこれについての判断は起案する者が判断するということですね。ですから、この問題については矢野課長が起案されたということ、それはさっきおっしゃいました。それは間違いないでしょ。
▼課長:…どう対応するかは-----課長が判断する…
●その組織っていうのが私たちにはわからないんですよ。組織とあなたがいってのはどういうものを指して組織って言ったるのかわからない。ですから、この組織ってのは誰と誰と誰を含む、どこで決定する、どういう組織のことを言っているですか。まさか都庁全体ではないでしょ、教育庁の中での話ですよね。都知事が関知しているわけではないでしょ。説明会をするかとどうかについて。
▼課長:そういう意味においては教育庁で
●そうですよね。教育長が最終的には了解して決定したのか、ただ承知しているかは別にして承知しているものですね。
▼課長:教育長が組織として決定している。
●そうですね。
●だからその判断を聞きたいわけなんですよ。
●窓口になって担当者を呼んでくるのは教育情報課の仕事ですが、なんで私たちの時にはやらないのか。われわれは10年以上こういう要求をしてきたんです。処分案件の場合は利害関係にかかわる人も参加してきているんですよ。処分されたんだから処分に関して聞きたい、処分が取り消された場合は担当者から一言謝罪があってもいい。なんにもいわないんだから。だから教育情報課がこの場合はどこの担当部局を呼ぶのが仕事でしょ。
矢野さんの方でこのLD親の会の回答会をやったんだっら、他の団体に対してもやるべきでしょ。答えてください。
●矢野課長の判断でやったんでしょ。だからその根拠を示していただきたいわけです。
●現在の規定の中であってもできるってことだから、やろうとすればやれるってことですね。でもわれわれに対してはやらないわけでしょ。
▼課長:教育情報課の方で対応させていただきたいと思います。
●当該の課が出てきて、できるのかできないのか、聞いているんです。あなたに。直接の当該の課長に一緒に出てきて答えるという対応の仕方をとることがあなたにできるのかどうか聞いているんだよ。
●判断の根拠をいってくださいよ。それだけですよ。なぜ、親の会はOKだけどわれわれの団体はだめなの?
●あなたが判断したんだからあなたが答えなさいといってんですよ。
▼課長:きとれず。
●それは今後の対応であって、どうしてほかの団体には担当課を呼ぶのにこの団体に呼ばないのかって聞いているのに…録音まで取っているのに、一応かみ合った回答をしましょうよ。
●理由が言えなってことですよね。あなたが明確に差別をしているってことですよ。違うんですか。
▼課長:ききとれず…対応させていただきます。
●当該の課長が一緒に出てきて、直接的にこちらの声が聞こえるように、体制的にできるのかできないのかって聞いているんですよ。
●文部科学省でも、要請すれば来ます。初等中等課の役人とか、出てくるんですよ。時間は短いけれど、来て、それなりに口頭回答をするんですよ、質問に対して。神奈川県の教育委員会はちゃんと回答するんですよ。埼玉県も同じですよ。教育長が出てきたときもある。東京都教育庁だけなんですよ。
●東京都は他の部局・課はやっていますよ。
●説明責任っていうのは重要ですよ。説明責任を果たしてないじゃないですか。
●公務員って全体の奉仕者でしょ。そのこといいですよね。だったら誰々のことは認めるけれど誰々のは認めないっていうのはあってはならないでしょ。全体に対して公平に対応するのが公務員の仕事でしょ、そうは思わないんですか。
▼課長:教育庁の組織として対応…
●みな口々に抗議する。
●今のようなやり方しかできないって言ってるわけ? 前に説明したようなやり方があるって言って、そのことについては出来ないって言ってるわけ?どっちなんだよ。
●少なくともいまのはあなたの判断ですよ。この問題に関してはあなたが起案者なんだから。
▼課長:所管に----を求める考えはありません。
●参加者が口々に抗議
●矢野課長、規則に基づいているんですか。どの規則に基づいているんですか?
▼課長:再三になりますが教育庁で対応させていただいています。
●公務員は規則に基づいて行動するんですよ。個人の考えとか指示しゃなくてね。組織ってことは法に則っとってるんじゃないですか。その法って何ですか?
●しがらみにとらわれないとか、都民ファーストとか、情報公開とかっていっているけど何なんだ。
●事案決定っていうのが決まりなんですか? 規則通りにやて下さいよ。この資料の団体、私たちの団体、規則通りにできるんじゃないですか。それとも親の会は規則外のことをやったんですか? 規則通りの行動をやってますか? 教育情報課は規則に基づいて行政をやってますか。
●あと、この件に関しての「苦情」はどこに行ったらいいんですか? 教育情報課ですか?
▼課長:ききとれず。
●(みんな笑う。)お笑いだよ。
●すいません、今のこと確認をすると、「要請に対して教育情報課しか来ないというのはおかしい」という苦情(文句)は教育情報課に言うという理解でいいですか? でもそれはおかしいと思いますよ。
行政不服審査ってあったじゃないですか。教育情報課に対しての苦情を教育情報課が受けるというのは行政不服審査法違反じゃないですか? ほかの第三者が判断するんじゃないですか。質問してるんですからききなさいよ。そう難しいことを言ってるんじゃないですから。教育情報課についての苦情を教育情報課に言うのは行政不服審査法上おかしいんじゃないですかと聞いているんだから、「おかしいです」とか、「いやおかしくないです」とかどっちか言うべきです。
▼課長:教育情報課で対応することになります。
本当にその判断でいいんですか? これは公けにもなりますが、そういうこの場での思い付きのことを言わないでちゃんと答えてくださいよ。教育情報課がおかしいということを教育情報課で判断すると課長が言ったということを書いてもいいんですか。
●話になりません。責任者は反論することが責任でしょ。黙っちゃったら責任をとってないですよ。こう言われたらこう答えると相手に納得させるのが責任でしょ。責任ないっていうこと? 課長の判断でやつたということ。親の会にはやった。ほかの団体にはやらないと、それについては答えないということですから、責任をとらないということですね、そういうことでするね。いいんですか。
●今回は(いつも)課長の判断でやった。規則上できないことではないんだ。要するに教育情報課が担当部署・所管の出席を阻んでいるってことが明確になったわけです。このことわみんなに知ってもらわないといけないと思いますね。
それでは時間もありませんから、要請に入ります。

教育情報課はあまりにひどいやり方をとっています。しかも矢野課長は真っすぐにはっきりと答えない。今後の対応は都教委包囲ネットや参加者で検討します。

2017年12月26日火曜日

2017.12.3「君が代」解雇させない会学習会 

12月3日  解雇させない会の集会が行なわれました。

「ハンセン病から考える人権教育~道徳教科化のはざまで」の報告

 河原井・根津さんの「君が代」解雇をさせない会のKさんの報告です。
させない会は「君が代・日の丸」問題や教育に関わる集会や学習会・講演会などを毎年数回行っている。けれどさまざまな教育問題が年々深刻度を深めてきているのにもかかわらず、会のメンバーのほとんどが退職後何年も経つと現職の教員や教育現場とかかわる機会が少なくなっている。そんな時に、たまたま宮澤さんの実践報告を聞く機会を得て、ぜひ私たちの会でも話して欲しいとお願いして今回の学習会が開かれた。

■宮澤さんの話
小学校教員である宮澤さんは、「道徳の教科化を考える会」を立ち上げて活動しているが、他にも平和にこだわり全生園や東京大空襲や靖国神社のガイドをしたり、インクルーシブ教育に関わっていたり、東京教組の委員長もつとめている。
 始めに話された今の学校の様子を話された。パワハラで病気になる、同僚と話はできても解決しようという力はない、組合があることすら知らない若い教員、「『平和』は思想だからそれを教室に掲げるな」という管理職、等々―に、驚きの声が上がった。



■「ハンセン病と差別・人権」の実践報告
 続いて、総合的な学習の時間を30時間ほど使った「ハンセン病と差別・人権」(6年)の実践報告に入った。
〇宮澤さんは、最初の授業でなんの説明もなくハンセン病患者をモデルとしたデッサン画を子どもたちに見せて感想を出し合うことから始める。「気持ち悪い」「怖い」「妖怪」という反応から自分の中にある差別意識に気付かせるためだ。
〇次は授業から少し離れて、私たち参加者にハンセン病について、その差別の歴史(不治の病と言われ1907年かららい予防法により隔離政策が始まり、差別が1990年代まで続いたことや皇室の「慈悲」の対象となったことなど)・病気(ライ菌)の性質や治療薬のこと(ライ菌は比較的毒性が弱いことや1947年に特効薬プロミンが日本に入ってきたにもかかわらず隔離が続いたことなど)・患者の運動(プロミン獲得や予防法改正運動)に分けて簡潔に、けれど思いを込めて説明してくれた。熱く語るその言葉に私たちも授業を受けているように深く頷きながらそうだったのかと理解した。
〇そこでまた子どもたちの授業に戻る。最初のデッサン画をみた後、子どもたちも私たち同様にハンセン病について、さまざまな資料を使い、10時間程度かけて知識を得る。それからハンセン病資料館見学と回復者のお話会(半日)・全生園史跡巡り(半日)を行う。その後グループに分かれて自分たちの関心あるテーマを決め、グループ学習(4時間)・全体での発表議論(4時間)を行う。最後にまとめとして担任からのテーマ「もし目の前に、自分にとって不利益な人が現れたとき、その人の人権を守ることはできるだろうか」を議論して、最終的に「みんなが自分勝手になったり無関心になったりしないで『もし自分だったら』と考えることでみんなの人権が守れるのではないか」という話で終わった。(結論ではなく)
〇宮澤さんは、「子どもたちは優しく柔軟です。だからこそハンセン病に限らずさまざまな社会問題を提示すると驚くほど柔軟にそして真剣に考え議論してくれます。だからデリケートな問題だと取捨選択をする必要はない。ただそれによってどんな意見が出ても評価することは絶対しません。」と言って実践報告を締めくくった。



■報告を受けての質疑
質問:その後矢継ぎ早に質問が出された。始めに総合的な学習の時間についていくつもの質問。
宮澤さんの答え:
「総合的な学習の時間は、指導要領の中で定められ、年間70時間(週2時間)程度を使い、内容は各学校で自由に決めることができる。最近は伝統的な文化がはやりであり、地域のお囃子をやったり、地元の特産を育てたりすることが行われている。たいていは学年でいっしょにやる。
今回の授業は東村山の学校だったので、ハンセン病に関してはやりやすかったと思う。学年で同じ資料・時間を使って一緒にやった。伝え方は各クラスごとに少しは違ったかもしれない。普通総合的な学習のテーマとしてハンセン病のような社会的な問題を扱うことはほとんどないと思う。
けれど、靖国神社の遊就館に見学に来ていた学校があり、それには驚いた。
また、横田基地の問題をその地域で扱うのはより難しく、必ず基地で働く保護者がいたりするので好意的に扱うのでなければできないのではないか。
ハンセン病を扱ったときは、管理職も細かい内容までチェックするわけではないので、問題はなかったが、もし保護者からのクレームなどがあれば、厳しい立場に追いやられるだろう。同じテーマを違う地区の学校でやれるかどうかはその学校で、同僚たちとどういう信頼関係が結べるかにかかってくる問題だと思う。平和についてやるのが難しいのは、教員自身が忖度してしまってやらなくなっていることも一因だと思う。
担任するクラスに掲げた「平和」の文字を校長が「外せ」という前に何人もの同僚から「大丈夫ですか?」と心配された。また、僕がどんなテーマを選ぶかについてはいろんな社会問題の中で僕と子どもたちと一緒に考えたいことを選ぶ。」など色々な例を挙げながら丁寧に答えてくれた。
質問:最後になぜ教員になったのかという質問。
宮澤さんの答え:
「高校の頃、何もしたいことがなく、お金もなくたまたま東チモールにボランティアで行った。毎日井戸掘りをし、そこで銃を突きつけられ殺されそうになった体験をした。けれどそうした人が実はこちら側の人間だったことが分かったりして正義ってなんだろうと考えさせられたし、物事を多面的に見る習慣が付いたように思う。危険が迫り、2ヶ月ほどで日本に戻った。それから引っ越し屋で働きながら7~8年かけて通信教育で教員免許を取り、教員になった。」と話してくれた。

■休憩後、道徳教育と人権教育についての話に進んでいった。
宮澤さんの話: 
宮澤さんは、「道徳は個人の心の有り様がどうなのかを考えるものであり、人権は、その人個人の心の有り様はどうでもよく、その人が人として生きていけるのかを考えることである。しかも来年からは道徳が評価の対象となる。来年度以降、人権教育を道徳でやろうとすると評価をせざるを得ない。また、ハンセン病を道徳でやろうとすると個人の内面にどんどん介入していって、こういう考え方でなければいけないとなってしまう。本来人権というのは、人が人として生きていくための権利であって、それを獲得するためにさまざまな闘いがあって獲得できるもの、獲得の対象は国家であるので道徳でやってしまうと、その視点がなくなってしまう。人権的心の有り様はこうですよで終わり、人権を守るべき対象の国家の責任が全くなくなってしまい、個人の責任ばかりが問われるようになることが怖い。」と言う。

■道徳の教科について
宮澤さん:
残念ながら来年から道徳が教科化され、もう教科書もできている。文科省は評価について数値による評価はしないと言っていたが、徳目ごとに評価をすることを考えていたらしい。ところが愛国心を評価するのかという声がネット上で話題になり、そうではなく関連するいくつかの徳目を大きなまとまりで評価してもよいとなった。
内容的にはまず教科書があることが問題。教科書があると先に結論まで読めてしまう。結論が分かっていることは、どんなに授業の工夫をしても議論にならない。私が推奨するのは「中断読み」というので、結論のでる前で中断し子どもたちと議論すると、実に柔軟で合理的に考え、さまざまな意見が出る。けれどその後最後まで読むと大多数の子が教科書の考え方に共感してしまう。子どもにとって教科書は正しいことが書いてあるものだから、内面に関しての教科書は子どもの内面を支配してしまうものとなる。評価や教え方はそれなりの工夫で何とかなるところもあるが、この教科書にはそもそも内容に誤りのものも入っている。たとえば「権利と義務」を取り上げているが、「権利」は正しいことであり、「義務」の対概念ではない。家族愛を取り上げると、1行目から「みなさん全員にお父さん、お母さんがあります。」から始まる。道徳が従順な国民を作るツールでしかなくなっている。
ぜひ一度道徳の教科書の中身を読んで欲しい、危なっかしい内容ですから。来年は中学校の道徳教科書採択の年だが、どこの教科書がいいとかましだではない、基本的に教科書ができてしまえばどこもダメだ。もちろん少しでもましな教科書を選ぶことは大事だが、最終的には道徳の教科化をひっくりかえなさければいけない。中身だけを云々するのは危険である。学問体系がしっかり確立している歴史だったら対抗する教科書を作る意味があるが、学問でもない道徳の教科書は作ってはいけない。どんな教科書であれ教科書が子どもの内面に介入することに変わらないので。
道徳の教科書の大きな問題の一つは教師の発問が「ナニナニについて考えてみましょう」という形で書かれてしまっていることである。発問が決められてしまうと授業の形が決められてしまうことになる。通知表の道徳の評価は各地区で温度差がある。道徳欄ないところや年1回の評価も少数だがある。多摩事務所からは、例を挙げて提案してくる。正しい生き方を規定されるような評価が広がるとインクルーシブ教育なんてできない。武蔵村山では道徳ではなく年間45時間の徳育科という教科を作り、その中で10時間の礼法というのがある。子どもたちは柔軟で優しいのでお互いのいいところや悪いところを多面的にみることができるが、道徳や徳育で「~はいいことだ、悪いことだ」とフィルターにかけてしまうので、一面的な見方しかできなくなる恐ろしさがあると締めくくった。
 道徳の教科化の問題も具体的な内容や子どもたちとの関連で話されたのでとてもよく分かると同時に子どもたちへの影響の大きさも実感できた。次々に質問も途切れることなくぎりぎりの時間まで話を聞くことができた。これから後のことはまた考えるとして、宮澤さんのお話をできるだけ多くの方に知って欲しいと思い、長い報告となったがまとめてみた。

2017年12月23日土曜日

お知らせ 2018.2.25に総決起集会

年が明けると2018年です。
3月からの卒業式の前に、都教委包囲ネットは例年通り、総決起集会を開きます。スケジュールに入れておいてください。

12/14 東京都教育総合会議と都教委定例会の根津公子さんの傍聴報告

12月14日(木)に行われた都総合教育会議及び都教委定例会の傍聴報告をお送ります。根津公子さんからです。
東京の教育行政はどこまでひどくなるのか、と毎回思わざるを得ません。
根津さんたちは都教委定例会が行われる日の朝、出勤する都庁職員にチラシも配っています。
チラシはhttp://kaikosasenaikai.cocolog-nifty.com/blog/cat7642526/index.html


  




















■総合教育会議の報告
 前回11月24日の定例会で「次回定例会は12月4日10時から」と予告していたのに、今回も総合会議を突然に入れてきて、午前中に総合会議、定例会は午後に繰り下げられた。小池ファーストなのだ。
エリート育成にまい進する東京の教育

■教育総合会議
「これからの東京、日本を担う人材の育成~都立高校の現状と課題~」と題して、都立高校4校の校長がそれぞれの高校の取組を紹介し、質疑応答するといった流れ。報告を受けた教育委員や都知事の発言には怒りしか覚えない。
「教育で大事なのは共生」(遠藤委員)、「グローバル化の中での人材育成には、自分の考えをしっかり伝えられるようにすること」(小池知事)という。どんなに陳情しても夜間定時制高校は潰し、朝鮮学校への補助金支給を停止し、「日の丸・君が代」を強制して国家の思想を刷り込む教育をしていながら、この発言。よくも、ことばに出せるものだ。

★「都立高校改革20年、金と人手がかかるが、多様性をつくっていく」(中井教育長)の「多様性」は、『エリート層』の人材しか頭にないということだ。
「グローバル化」という国家・資本間競争と並行して「都立高校改革」が始まり、それまでは平等に配分されていた各学校の学校予算が、「底辺校」の予算を減らして「特別進学重点校」に加配し、夜間定時制の廃校も始めた。平等性担保を壊し、「共生」ではなく、差別選別・エリート育成を教育政策の柱としたのだった。それに加えて、全ての子どもたちに「愛国心」を植え付けようとしてきたのだ。

★「平均学力が下がらないようでは、これからの日本はどうにもならないということです。つまり、できん者はできんままで結構。戦後50年の落ちこぼれの底辺を上げることばかりに注いできた労力を、できるものを限りなく伸ばすことに振り向ける。百人に一人でいい、・・・限りなくできない非才、無才には、せめて実直な精神を養ってもらえばいい」(三浦朱門・元教育課程審議会会長2000年発言)、「経済的な格差・・・は、経済活力の源であり」「経済改革は愛国心とセットになって初めて成功する」(御手洗富士夫・元日本経団連会長2006年発言)の言葉通りに。

★都立高校4校
総合教育会議が報告を求めたのは国際高校、多摩科学技術高校、白鴎高校・付属中、西高校の校長4人。どこもエリート育成を目指す高校ばかりだ。
〇国際高校校長
公立高校で初の国際バカロレアコースが開設された国際高校校長は、「多様性」を強調し、海外大学合格者数を誇る。「英語で授業ができる教員の確保・養成」が課題だと。
〇多摩技術高校校長
工業高校から改編となった多摩科学技術高校校長は、理系に特化した進学型専門高校になって国公立大学合格者が増加したことを誇り、高校大学の一層の連携を強調した。一部生徒や教員が大学の研究室に通っているのだとのこと。
これに対し、「都教委は大学に土曜授業や休業中の講義を働きかけていく」(中井教育長)と。教員養成大学に対しても、都教委は「東京都教職課程カリキュラム」(教員養成段階で大学が教えてほしいこと)を示しているが、どちらも越権行為ではないのか。
〇白鴎高校・付属中校長
「日本の伝統・文化理解教育」を掲げた白鴎高校・付属中校長は、「アイデンティティとダイバーシティ(多様性)」「異なる思想、異なる価値観」を「大事にする」と言葉きれいに言い、「中学卒業時には米スタンフォード大学へ研修旅行に行く」と言う。貧困家庭の子どもは「想定外」なのだろう。
〇西高校校長
「進学指導重点校」の西高校校長は、「進学指導重点校」に指定される前との進学状況の比較をまず紹介。ここも、海外交流や理数研究に力を入れているとのこと。「高いレベル」のためには自己決定権を持つこと、と言う。

以上のような報告の中、18歳選挙権を含め、政治的・社会的関心を持たせるという発言は、誰一人からもなかった。「共生」「多様性」「自己決定権」等々、実態と真逆のきれいな言葉を並べた発言に、気分が悪くなってしまう。誰のための総合教育会議だったのか。
 毎回そうだが、退室には順序・秩序があって、今回もまずは小池都知事とそのお付き、次に招かれた校長たち、その後が教育委員、傍聴者は最後だった。


■都教委定例会
公開議案が①「公立学校職員の標準職務遂行能力を定める規則の一部を改正する規則の制定」、公開報告は②「小学校教育の現状と今後のあり方検討委員会提言について」 ③「高校入学者選抜英語検査改善検討委員会報告書について」 ④「第Ⅱ期『スポーツ特別強化校』の指定について」 ⑤「今年度教育委員会職員表彰について」。
▼非公開議案には、教員の懲戒処分が3件。議案となっているから、停職以上の案件か。非公開報告には、「懲戒処分者数の推移及び服務事故防止に向けた主な取り組みについて」というのもあった。

「公立学校職員の標準職務遂行能力を定める規則の一部を改正する規則の制定」
 「働き方改革やライフ・ワーク・バランス推進をさらに促すため」の改正とのこと。知事部局が改正したことに準じての改正で、今回は校長・副校長が対象。これまでの規則に「効率性の意識」「学校全体への目配り」「コンプライアンスを徹底した職場管理」を追加したとのこと。
  教員の試採用期間は1年間、1年が経過する時点で校長がゴーサインを出さないと本採用にはならない。その1年間に校長からいじめ・パワーハラスメントを受け、教組に駆け込んでくる事例をかなり耳にしてきた。この改正が、こうした校長のパワハラを止めさせるコンプライアンスになるだろうか。「効率が悪い」と更にパワハラを受けることにならないか。
  そもそも、こうした規則は不要で、害悪しかもたらさない。指示命令でではなく、思考し論議して仕事に当たることが必要なのだ。
「高校入学者選抜英語検査改善検討委員会報告書について」
 15日の東京新聞は「都立高入試 話せる改革」「スピーキング20年度にも導入」との見出しで大きく報じている(他紙もNHKも報道)。一般傍聴者が退出した後、報道関係者に対して細かな説明があったようだ。
  都立高入試の英語に、これまで実施していなかった話す能力を測るスピーキングテストを入れるのだという。都道府県教委が行うのは、全国初となるとのこと。
  ここ何年も採点ミス等が問題になっていたのに、採点者によっても違いが生じやすいスピーキングを導入していいのか。慎重な検討はなされてきたのか。
「第Ⅱ期『スポーツ特別強化校』の指定」も 
「今年度教育委員会職員表彰」も、
やめてほしい。

毎回の定例会にたくさんの施策や規則があがってくるが、それによってますます学校は子どもたちが安心して学び生活できる場ではなくなっている。小学校1年生入学時から差別選別のレールに乗せられている。
事案の多さは担当者の業績評価アップのため?としか思えない。