2月6日 「2・6総決起集会」(その一)
「2・6総決起集会 ~改憲情勢下での教育の国家支配と闘おう!~」(主催:都教委包囲首都圏ネットワーク) が開かれた。
コロナ感染が心配される中だったが、77名の方が集まってくれた。私達も参加者の消毒、会場の換気に注意して集会を開いた。(報告は渡部)
◆髙嶋伸欣さんの講演
集会では、琉球大学名誉教授の髙嶋伸欣さんが、「戦争に向う時代と教育現場での闘い」と題して講演されたが、わざわざ<われわれは未来を託せる世代を見守り育む教育現場の仲間に寄り添いつづける>という副題を付けられた。
そしてまず最初に、教育への不当な政治的介入を押し返している事例として、「『是正申請』による政府見解おしつけ事件」について話された。
それは、教科書に政府見解を書くように求めた事件のことである。
しかし、これに対し教科書発行者たちが反発し、たとえば<清水書院>は、『私たちの歴史総合』で、「いわゆる従軍慰安婦」記述に注記を加筆して、両論併記の手法で、「いわゆる従軍慰安婦」の存続承認を獲得した。
<第一学習社>は、『高等学校改訂版世界史A]』『高等学校歴史総合』で、朝鮮人労務者の「強制連行」本文記述に注記の記号を付け、100字分の加筆をしたものを認めさせた。その加筆の中には、「『強制連行』とするのは不適切とする閣議決定をしたが」と明記されていた。(これらの経過を詳しく説明されたが割愛する)
そうして次のように述べられた。
「このように教科書検定の現場では、『言いなりになるものか!』という闘いが行われている。是非教科書会社や執筆者へ激励の声を届けてもらいたい。」
次に「『黄金の3年間』の改憲機運を夢想に終わらせるために」として、以下のようなことを述べた。
この間の政党・労組の取り組みは、内紛と労使協調路線の顕在化で、活力喪失状況になっている。護憲側はズタズタ、連合は労使協調だ。このままでは沖縄知事選も心配だ。
マスコミも、記者クラブによる御用機関化で憲法意識が喪失している。勉強不足だ。営利優先の本姓丸出しの堕落だ。戦時中の状況を再現中だ。特に本土のマスコミはわかっていない。
「国民投票法」をどうするか?<沖縄タイムス>は法案を全文掲載した。それだけ、危機感がある。ただ、地方自治体レベルでは住民運動などの頑張りで変わる所もある。
ベトナム戦争時、横浜市は16号線から市道の橋を通って港の桟橋に行かなければならないので、米軍車両が橋を通ることを重量違反で止めた例もある。2週間立ち往生した。
国道16号周辺には自衛隊の基地があり、16号は軍用道路用(戦車も通れる)に分厚く舗装している。
次に、「未来を託す次の主権者の底力を豊かにし、自身を強めるために」のところは時間の関係で短くなったが、会場から『はじめての防衛白書』の次の手にとして、中高生たちが記者になって自衛隊にインタビューをしたり、作文を書かせることをやろうとしているようだがどうすればいいか」という質問が出た。
これに対し髙嶋さんは、つぎのように述べた。
ただ「反対!反対!」だけではだめだ。軍事オタクの児童・生徒は兵器・装備の短所・限界も熟知している。この面で遅れているのは”戦後世代”だ。敵・味方の二元論は小学校低学年までの社会認識レベルでしかなく、高学年以上は軍事優先の歴史を学ぶことで、相対的・多角的認識の必要性にやがて気づく。彼等に学習をさせ、自衛隊をインタビューさせて、彼等が嫌がる質問をさせたらいい。そうしたら、そこにあるいろいろな問題にも気づくはずだ。
レジュメには4番目に、「教育を通じて形骸化した三権分立制度に代わる
六極構造社会の実態化を目指す」と9いう部分もあり、それは、①「立法」、②「行政」、③「司法」の三権(極)に、④<地方自治体>、⑤<マスコミ(ジャーナリズム)>、⑥<教育>を加え、三権だけの欠点を是正し、その六極を住民がとり囲んで主権在民原理の実態化を図る社会構造の構想、と記されていた。
しかし、時間の関係上、それを十分に聞くことはできなかった。
ただ、髙嶋さんは、「今の状況を他人まかせにせず、本来の主権者自身が立ち上がる必要がある」と言いたかったのだろう。
この講演を聞き、その後発言に立った根津さんは、発言の冒頭、「教科書問題でも多くの人が闘っていることを知りとても励まされた」と感想を述べた。
次回に続く。