包囲ネット・渡部さんの報告です。
11月17日の参院内閣委員会で、
井上信治・科学技術担当相は、「日本学術会議」のあり方の見直しについて、「軍民両用(デュアルユース)」の検討を学術会議に伝えたと述べた。
この間、学術会議への6名の任命拒否問題について、スガ首相はその理由を語ることを頑なに拒んできた。
しかし、任命された6名は、「戦争法」や「共謀罪」、「沖縄・辺野古基地建設」などに反対してきたことを考えれば、学術会議に「軍民両用」を認めさせることがその根底にあったと言わざるを得ない。
要するに、学術会議問題の本質は、この間一貫して「戦争する国」に邁進してきたアベ政権の「戦後レジームからの脱却」「戦前回帰」の継承であり、再び戦前同様に学術を戦争に利用しようとするためであったということだ。
そのためには、戦前科学者が戦争に協力したことを反省して、「戦争を目的とする科学の研究はこれを行わない」として創設(1950年)され、これまでその原則を堅持してきた
「日本学術会議」が邪魔になったのである。戦争に使える「御用学術会議」に変質させようとしていたのである。だから「戦争する国」になることに反対する6名の学者の任命を拒否したのである。これが今回の学区術会議問題の本質である。
井上・科学技術担当相の発言はそのことを自白したものであり、まさに「衣の下から鎧が見える」である。
スガ政権はアベを継承し憲法も「戦争できる」憲法に変えようとしている。しかし憲法前文には次のように明記されている。
「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」
私たちは長年「日の丸・君が代」の強制に一貫して反対し、「愛国心」を盛り込んだ教育基本法の改悪にも反対してきた。そのスローガンは「教え子を再び戦場に送るな!」だった。しかし、「国旗・国歌法」が作られ(1999年)、教基法が改悪され(2006年)、その後には、「特定秘密保護法」(2013年)「集団的自衛権の行使容認」(2014年)「戦争法」(2015年)「共謀罪(現代版治安維持法)」(2017年)などにより、「教え子を再び戦場に送る」ような国に変えられてきた。最近では「敵基地攻撃能力の保有」(憲法違反!)まで言われるようになった。
そして、その延長線上に今回の学術会議問題が起きた。スガ政権により、「戦争する国」に反対の立場の学者らが拒否され、学術会議に「軍民両用」の研究を要求するところまできたのである。残るのは「9条改憲」であり、そうなれば、日本はいつでも公然と戦争に突入できる国になる。
しかしこれは、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ること」に繋がるであろう。
ナチスはベルリン五輪(1936年)の3年後、ポーランドに侵入し世界戦争に突入した。
このまま行けば東京五輪も同じような道を歩まないとは限らない。
私たちは学術会議の任命拒否問題に対し、強く反対しなければならないだろう。
同時に、こうした動きの中で(しかもコロナ禍でも開かれようとしている)東京五輪にも強く反対しなければならないだろう。