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2022年9月9日金曜日

8/26都教委定例会 根津公子さんの傍聴記

 8/26都教委定例会 根津公子さんの傍聴記

 今日の議題は公開議案が

1)都立高校(中等学校後期課程、特別支援学校高等部を含む)用教科書採択について、公開報告が 

2)「第4期都教委いじめ問題対策委員会答申」について 

3)第46回全国高校総合文化祭東京大会について。

非公開議案では

「教員等の懲戒処分等」についてが6件、

非公開報告にも件数は分からないが「教員の懲戒処分」がある。「懲戒処分等」の「等」とは何を指すのだろう。

★都立高校(中等学校後期課程、特別支援学校高等部を含む)用教科書採択について

 各学校が選定した教科書を教育委員全員一致で採択した。結果はこうなのだが、昨年までと異なり、各学校が選定した各教科ごとの出版社・教科書名一覧が傍聴者には配布されなかった。その代わりなのか、「都立高校における教科書選定の流れ」が参考資料として配られ、そこには「4.校長は教科書選定結果を、具体的な選定理由とともに教育庁指導部へ報告した。5.教育庁指導部において、各学校の選定状況や選定理由について教育課程との照合など確認を行い、必要な指導を行なった。」とある。「必要な指導」とはどういうことか。まさか、学校が選定した出版社ではないものに選定し直された?と邪推してしまう。何せ、2012年からの実教出版「日本史A」を選定した学校に対して、都教委が圧力をかけ選定し直させた事実があるから。

★今回採択した教科書は、昨春、「従軍慰安婦」は「慰安婦」、「強制連行」は「徴用」と閣議決定ことに沿って訂正申請するよう萩生田文科大臣が教科書会社に圧力をかけた教科書だ。各教科書会社は、すでに1年先(=今年)の採択に合わせて見本本の作成に入った段階での圧力。萩生田文科大臣は、自民党の有村治子参議院議員の質問、日本維新の会の馬場信幸幹事長が提出した『質問主意書』を受け利用したのだったが、教科書会社の中には、以下に示すように、それを逆手にとった記述で訂正申請をした会社もあった。

▼清水書院は、『私たちの歴史総合』で「いわゆる従軍慰安婦」記述に注記を新設し、「※従来は、政府の談話なども含めてこのように表現されることも多かったが、実態を反映していない用語であるとの意見もある。現在、日本政府は、『慰安婦』という語を用いることが適切であるとしている」とした。

▼第一学習社は『高等学校改訂版世界史A』『高等学校歴史総合』において、「強制連行」本文記述に注記の記号を付け、次の加筆をした。「側注①二〇二一年四月、日本政府は、戦時中に朝鮮半島から労働者がきた経緯はさまざまであり『強制連行』とするのは不適切とする閣議決定をしたが、実質的には強制連行に当たる事例も多かったとする研究もある」とした(清水書院、第一学習社のこの記述は、高嶋伸欣さんが『わだつみのこえ』に書かれた論文を引用)。

▼188校のうち、この清水書院の教科書を選定した学校が10校、第一学習社版を選定した学校が7校あった。教員がこの2社の教科書の訂正について授業で取り上げたら、生徒たちは日本社会についての有意義な学びができるだろう。皆さんにもぜひ、読んでみてほしい。

★意味のない、「第4期都教委いじめ問題対策委員会答申」について

 都内公立学校におけるいじめ防止に係る取組の推進状況の検証、評価及びいじめの防止の対策を一層推進するための方策について、都教委は2014年から2年ごとに対策委員会に諮問し「答申」を得て来て、今回がその4回目。委員は学識経験者(4名)や区市町村教育長(2名)、警察(2名)等13名からなり、5回の審議を行なったとのこと。

★34ページからなる『答申』の前半は、「軽微ないじめも見逃さない」「教員一人で抱え込まず、学校一丸となって取り組む」「相談しやすい環境の中で、いじめから子供を守り通す」「社会全体の力を結集し、いじめに対峙する」など6項目について検証した結果、得られた「成果」と「課題」を記す。後半は、今後の方策として、「発達の段階に応じたいじめ防止等の具体的取組に係る検討」「教員が元気になるような研修等、学びの場の創出」「いじめ防止対策推進法第28条第1項に規定する重大事態に関する事例研究の実施」等7項目を挙げる。

★「教員一人で抱え込まず、学校一丸となって取り組む」では「成果」が「9割を超える学校において、『学校いじめ対策委員会』への報告、組織的対応を徹底したこと」と、「課題」が「全ての教職員が基本方針や対策委員会についての理解を深めるとともに、日常的にいじめ問題等について話し合えるような同僚性を高めることが必要」と答申。そのうえで「方策」として研修の勧め。いじめに関する研修が年に3回行われているようだ。

※根津コメント

まったく意味のない、架空の「答申」としか私には思えない。現実に、この4期においても、4期が発足して数日後に町田市の6年生がいじめにより自死に至ったのだが、5回の審議の中でこの件に関して審議した形跡は、「答申」からはうかがわれない。理由は私とは異なると思うが、教育委員からも「答申」は「抽象的」と指摘された。2年ごとに「答申」を出しても自死に至るまでのいじめがなくならないのはなぜかを、委嘱された委員の方々や都教委幹部は考えているだろうか。私には疑問だ。

 大人社会に序列・差別・いじめがあるのだから子どもたちは良くも悪くもその現実から学んでいるのだ。

★第46回全国高校総合文化祭東京大会について

 7月末からほぼ1か月をかけて行われた高校生による芸術文化の祭典で、46回目の今年は東京が開催地。演劇、合唱、吹奏楽、美術、攻撃、書道、自然科学等を競い合う。出演は3000校・30000名。

※初日におこなわれた開会式をネット上で観た。初めに秋篠宮一家の入場を会場にいる者が最大級の拍手で迎える。「皇室おことば」や「国歌斉唱」も行われる。「生徒が主体となり企画した」とのことであったが、非常に政治色の強い祭典、と思わざるを得ない。

※安倍元首相の葬儀が行われた7月12日に半旗を掲揚するよう都教委は全都立学校に通知し、複数校で掲揚したことについては、教育委員の誰からも意見や質問が出されなかった。国民の過半数が「国葬」に反対する中、岸田内閣はこれを強行しようとしており、7月にこの通知を出したことについて教育委員は質す責任があったはずと思う。