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2022年8月30日火曜日

8/25 都教委への要請と質問

    8/25 都教委への要請と質問

スピーキングテストに関する申し入れ      および質問書

      東京都教育委員会 教育長 浜 佳葉子殿

                                        都教委包囲首都圏ネット

                                        連絡先


  多くの都民、とりわけ都立高校の受験生やその保護者、中高等学校教員が疑問や懸念を抱いている都立高等学校入学者選抜へのスピーキングテストの導入を中止してください。

 現在、都立高等学校入学者選抜においては、学力検査や面接・作文などの得点及び学力検査の答案の開示を請求することができます。学力検査等得点表および学力検査における答案の写しも開示されていて入試制度の透明性に寄与しています。しかし、今回のスピーキングテストでは、採点後の成績票が開示されるだけで、どの問題で何を失点したのかなどの具体的な内容を開示しないとしています。東京新聞のインタビュー記事で、浜教育長は「公平な採点ができるかどうか疑問の声もある」、という質問に対して、「記述式試験や面接試験など点数化しにくい試験は他にもある。できる限り公平な採点方法を工夫して準備しているが、よく説明して、実績を積み重ねて信頼を得ていきたい。」と回答したとなっています。記述試験は点数化しにくい部分はありますが、答案が開示されることによって、採点の信頼性を担保しています。開示は入試の公正な手続きとして大変重要です。採点がブラックボックス化してしまえば、公平公正な入学試験の実施とは言えません。具体的な開示ができない制度は導入すべきではありません。

 また、8万人にもおよぶ受験生の採点を、公平に行うことができるのでしょうか。実際に英語を教えている教員からは、公平で客観的な採点のためには膨大な時間と手間が必要であり、採点者間の基準のすりあわせがどこまでできるのか疑問との声が起こっています。スピーキングテストの実施から、調査票が提出されるのには2か月間の猶予しかありません。基準の統一化が難しいテストの採点は非常に困難で、採点者が多くなればなるほど、統一化にも時間がかかります。採点の点検にもさらに多くの時間がとられます。8万人ものスピーキングデータを採点すると悪意的な判断や採点ミスも起こりやすくなります。開示することができないならば、テストが公正に実施されたとは言えません。

 今回スピーキングテストを請け負うベネッセコーポレーションは、教育産業に深くかかわり、入試に関する参考書や問題集なども数多く出版しています。営利を目的とした民間企業が都立入試に深くかかわることは大変大きな問題です。また、2014年に個人情報の漏洩事件を起こしたことも忘れることができません。公平性の確保は難しく、受験情報の独占化など健全な競争を阻害することにつながりかねません。民間への委託は疑問しかありません、反対します。


スピーキングテストの導入にかんしては、あまりにも多くの疑問や懸念が有りますが、特に問題になる点に絞って質問をします。具体的な回答をお願いします。

 以下質問です。

1.教育委員会の委員もしくは事務局職員は、採点基準の統一が困難なスピーキングテストの採点を複数採点者で実施するシミュレーションを事前に試みたことがありますか。

2.教育委員会の委員もしくは事務局職員は、筆記試験などの採点基準の統一が困難なテストの採点を複数採点者でシミュレートしたことがありますか。

3.スピーキングテスト実施にあたる業者選定について、どのような方法で決定し、どのような基準で選定業者を決定しましたか。

4.スピーキングテスト実施にあたっては、仕様書を特定して行ったと思いますが、仕様書の作成にあたっては、公平な採点基準の統一化や採点方法が困難な点に対して、具体的な対策や公平性の確保をするための基準を作りましたか。それは、どんな内容となっていますか。

5.スピーキングテスト実施のベネッセコーポレーションが、不当に利益を得ることなく、教育産業の  民間企業間の公正な競争が保たれるような方法を、どのように確保するのでしょうか。また、そのためにどんなことをしてますか。

6.浜教育長は「記述式試験や面接試験など点数化しにくい試験は他にもある。できる限り公平な採点方  法を工夫して準備しているが、よく説明して、実績を積み重ねて信頼を得ていきたい。」としていますが、どのように公平な採点方法を工夫をして、どのように説明を行っていますか。