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2021年2月23日火曜日

今年の卒業式・入学式での「君が代」強制の都教委の通知

 今年の卒業式・入学式での「君が代」強制の都教委の通知

渡部さんの報告です。

2020年度の卒業式が近づいてきた。

すでに1月25日付けの『東京新聞』で、「都教委、今春卒業式で都立高校に指示」として、「感染防止へ声を出しての君が代斉唱なしでも・・一同起立せよ」という文書を出したことが報じられた。

その文書はコロナ感染が拡大していた2020年12月24日に出された、「新型コロナウイルス感染症対策を施した令和2年度卒業式及び令和3年度入学式等の実施について(通知)」である。

その「通知」を見ると、式は体育館で行われることを前提に、次のようなことが書いてあった。

「2 感染防止対策」として

(1)基本的な対策

  入場者の検温や手指消毒を実施するとともに、マスク着用を徹底する。

(2)密閉の回避

  ア 式全体を1時間程度で計画する

   ・生徒表彰等は、実施しない又は簡略化して実施する。

   ・知事メーッセージ、都教育委員会挨拶の読み上げは実施せず、

           掲示又は配布する。

   ・祝電披露は、名前のみの紹介に留める。

  イ 30分を目安に、2方向の窓を5分程度開放し、会場の換気を行う。

(3)密集の回避

  ア 座席の間隔は、原則として、前後左右少なくとも1座席分程度を確保する。

  イ 保護者の参列は、…1名のみとし、…特別支援学校については2名までとする。

  ウ 在校生の参列は、代表者のみとする。(生徒会役員と2学年のクラス代表等)

  エ PTA関係者、来賓の参列者の人数は、最小限に絞る。

(4)密接の回避

  ア 飛沫拡散の可能性がある歌唱等は行わない。

   ・国歌及び校歌は、CD等に録音された歌唱入りの楽曲を、会場全体に聞こえるように再生する。

   ・ブラスバンド等の演奏は行わない。

  イ 式辞等は演台にアクリル板を設置するなど、飛沫拡散の防止策を講じた上で行う。

   ・校長式辞、卒業証書授与や送辞、答辞等は、マスクを着用したまま行うことを原則とする。

その上で、以下のような「3 感染防止対策を踏まえた実施例」というものが示されている。

●卒業式(8クラス、60分)

 1 開式

 2 国歌斉唱           2分

 3 卒業証書授与         40分

 《【換気】(2方向の窓を5分開放)》

 4 校長式辞           8分

 5 来賓紹介・祝電披露      2分

 6 送辞             3分

 7 答辞             3分

 8 校歌斉唱           2分

 9 閉式


●入学式 (略)

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この式次第は、2003年の「10・23通達」以降強制されるようになった。これは基本的には、戦前の卒業式次第を踏襲したものである。

それまで都立高校では生徒主体の多彩な卒業式が行われていたが、それをことごとくつぶして、「戦前回帰」させたのである。生徒主体ではなく「国旗・国歌」が第一になったのである。だから、CDを流して斉唱しなくても、式次第には「国歌斉唱」とウソを書く。

その後、1月7日に「緊急事態宣言」が発令され、2月7日には「緊急事態宣言」が1か月延長され、3月7日までとなった。都立高校の卒業式は3月1日から始まる。

しかし、12月24日に出された「通知」はそのままである。

ところで、都教委委は「卒業式台本」まで作り、現場におろしている。それは、以下のようなものである。

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「皆様御起立下さい。」

「ただ今より令和2年度東京都立○○高等学校○○課程第○回卒業式を挙行いたします。」

「礼」

「国歌斉唱」

「新型コロナウイルス感染症対策の観点から、飛沫の飛散防止のため、歌唱入りの国歌を流しますので、そのままお聞きください。」

放送担当者が準備室したCDを放送施設を使用して流す。

(不起立の生徒がいたら「生徒は起立してください」とアナウンスして、起立を促す。また、教職員に不起立があったら副校長がその場で起立を促す。)

「御着席ください。なおこれ以降は着席したまま式を進行させていただきます。」

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の中に、

(不起立の生徒がいたら「生徒は起立してください」とアナウンスして、起立を促す。また、教職員に不起立があったら副校長がその場で起立を促す。)と付け加えてある。

要するに生徒と教職員に起立を強制しているのである。そして従わない教職員を処分しようとしているのである。

コロナ感染状況下で「緊急事態宣言」発令中であっても、いかに彼らが体育館での卒業式にこだわり、全体での「君が代」斉唱にこだわっているかがわかるであろう。

参加者の健康・命よりも、ウソをついてまでの「国歌斉唱」が第一なのである。まるで、戦前に火事のなか校長が「御真影」なるものを取りに行き焼け死んだ、ことなどを思わせる。

これこそ日本社会の「古い体質」の最たるものである。これがなくならない限り、日本社会の「古い体質」を変えることなどできないであろう。