■天皇夫妻の「昭和天皇陵」への車列に児童を動員させた件で、抗議のチラシ撒き
6月26,27日に八王子第二小前で、28日は横山二小前で
天皇奉迎に動員させた八王子第二小学校でのチラシまきの報告
6月26日に根津が一人でチラシ撒きに行ったところ、入り口がいくつもあって、10人にしか手渡せませんでした。そこで、27日にも行きました。この日はあと2人(Iさん、Eさん)が参加してくれたので、根津一人の行動ではないことが市教委に伝わったことでしょう。
27日には12人に渡せたので、たぶん全教員が受け取ったと思います。不思議なことに受け取りを拒否した教員が一人もいませんでした。また、受け取ると、ほぼ全員が読みながら歩いていました。
私は定期的に都立高校前で生徒や教職員に向けてチラシを撒いているのですが、とりわけ若い教員の受け取りは悪く、二小の教員たちの受け取りの良さに驚きました。
26日は撒き始めて20分ほど経ったところで
「学校安全ボランティア」と大きく書いたベストを着た男性がやってきて、「なぜ、撒くのか。ここで撒くのはやめてほしい。保護者にも手渡したではないか。」と言ってきました。自分から名乗らないので聞くと、校長でした。副校長もやってきました。
私が、「先生方に考えてほしいと思い、文字にしてきました。受け取りたくない人は手を出さないでしょうし、返すでしょう。『教職員の皆様』と書いているので、保護者も要らなければ返すでしょう。」と応答すると校長は、「迷惑です。ここは学校の前です。学校管理者として、撒かれるのは困ります」。
そこで、「ここは学校の敷地ではなく、公道です。公道でのチラシまきは、日本国憲法が保障しています。」と言うと、「憲法何条ですか」と繰り返し聞くので、「おわかりでしょう、子どもたちにも憲法を教えていらっしゃるのですから。もしもおわかりにならないのなら、ご自分で憲法にあたってください。」と返し、その話は終わりました。
1ヶ月ほど前の、私が電話をした際に校長が「市教委は子どもたちを沿道に立たせろ、とは言わない。『対処(してほしい)』ということは、忖度しなさいということだ」と警戒心なく私に言ったことについて確認すると、「忖度なんて言っていない」と前言を翻そうとしました。
私は、「しっかりメモを取っていたので間違いありません。」と返すと、「そうかな」と、これまた、素直に応じました。個人的には悪い人ではないのでしょう。でも、校長職にあることで、無自覚に悪事をはたらく。
校長にその指摘をしたうえで、「市教委の顔を見て仕事をするのではなく、子どもたちを見て仕事をしてくださいね。」と言っておきました。
話の中で校長は「根津さんも長いこと教員をされてきたのだから」と言いました。
私が八王子の教員だったのは19年前まで。市教委の役職にある人たちでも、私の名前を知っている人はまずいないと思っていましたが、どこからか、わかったのですね。
それで、市教委の佐生専任指導主事は、私の質問したことに回答をよこさなかったのだと思いました。
27日にも、校長と副校長がIさん、Eさんのところへ来ました。副校長が来たところへ、私も2人に合流しました。副校長は2人の名前を聞くためにメモ帳を用意していました。
2人が「市民の名前を聞いていいと思いますか。責任者の名前はチラシに書いているというのに。」と優しく抗議すると、すぐに引っ込めましたが。「根津さんが名前を名乗ったので、お二人も名前を教えてくれると思ったんです」だって。
(中略:教員の方との話)
中から論議が起きない現状で、外から声を届けることの大事さを再確認した思いです。
◆横山二小前で
6月28日。この学校も入り口が3か所あってどこに立とうか判断に困っていたところへ、Hさん(元高校教員で「君が代」不起立被処分者)が来てくれたので、大助かり。
この学校は二小よりもさらに小規模の、各学年1~2クラス。二小の職員はバス・自転車通勤なのですべての人にチラシを手渡せたのですが、この学校はマイカー通勤者が6~7人。さらに、7時前に出勤している教員も何人かいたようで、チラシを手渡せたのは6人だけ。この学校の職員も差し出すと全員が受け取ってくれました。
校長も副校長も7時前に来ているようでしたが、顔を見せませんでした。
「横山第二小学校3年生様」と名札をつけたバスが甲州街道に停車していたので、
社会科見学なのでしょう。始業の8時半近くにHさんと合流しようと歩いていくと、
そのバスは消えていました。なんと、8時15分頃、子どもたちはバスに乗ったのだそうです。「勤務時間前から学校行事を入れるとは?!」と、Hさんも仰天していました。
来週以降になりますが、自治連合会からの要請に応じて子どもたちを沿道に動員させた浅川小の校長にも質問・意見をしようと思います。そのうえで、教職員にチラシを配ろうと思います。
■撒いたチラシ
第二小学校の教職員の皆さまへ
4月23日に天皇夫妻の出迎えに子どもたちを参加させた件で
私たちは八王子市在住の市民です。4月23日に天皇夫妻が多摩陵に来た際に、貴校では6年生を出迎えに参加させたと聞き、危機感を持ちました。先生方にご一考願えたらと思い、一筆申し上げる次第です。校長先生から話がなされた際に、先生方はどのように考え、了承されたのでしょうか。
市教委に問い合わせたところ、「天皇陛下が23日の何時頃、どこを通る」というメールを沿道の3校(第二小、横山第二小、陵南中)の校長に送った。あくまで情報提供で、沿道に立つようにと市教委は言っていない。第二小、横山第二小の校長からは、学校の判断で沿道に並ぶとの報告は事前に受けている。」とのことでした。
このうち陵南中は出迎えをしなかったのですから、市教委の言う通り、学校教育法に沿った「学校(=校長)の判断」なのでしょう。しかし、校長にしてみれば、市教委から「横山第二小の前を通るのは〇時頃」と言われれば、子どもたちを沿道に並ばせなくては、と考えるでしょう。
この20年近く都教委は、学校が職員会議で論議し決定することを禁止し、市教委を通して各学校に指示し従わせてきましたから、校長は今回の件も‟指示”と受け取ったのではないかと思います。
私たちが危機感を持ちましたのは、学校(先生方)が子どもたちを参加させることはよいことであり、当たり前、と判断された点です。先生方から反対の声はなかった、と聞いております。
憲法第1条は天皇について、「日本国および日本国民統合の象徴」と書き、6年生社会科の学習指導要領は「天皇についての理解と敬愛の念を深める」と書きます(私たちはこのこと自体を誤りと考えます)。しかし、憲法は同時に、「思想・良心の自由」「信教の自由」を定めていますから、天皇制を肯定し、「敬愛の念」を抱く人が多い一方で、天皇制はなくすべきと考える人も少数ですが、存在します。
先生方には、保護者や子どもたちの中にも肯定する人ばかりではないということに思いを馳せていただきたいと思います。少数に位置する子どもたちに心を砕くことは、いじめ防止にも繋がることだと思います。
出迎えについて、保護者には校長がメールで知らせたとのことですが、保護者は学校に「苦情」を寄せにくいのではないでしょうか。「苦情」を寄せたことで子どもがいじめを受けるということも心配するでしょうから。
また、例え保護者や子どもたちすべてが天皇に親しみを感じているとしても、天皇についての一つの考え(=政府・国家の考え)に沿って子どもたちを動かしてはならないと思います。学校がすべきことは、子どもたちが事実をもとに考え判断できるよう、資料の提供や調べ学習を行い、意見交換の場を提供することです。「思想・良心」の形成過程にある子どもたちに、憲法及び子どもの権利条約が謳う「思想・良心の自由」「信教の自由」が子どもたちにもあることを、今回の件のような現実に即して教えてほしいと思います。
私たちが先生方にこの件を訴えるのは、戦前の学校教育が異論を排し隠して、「天皇のために」「お国のために」を教え込んだ結果、進んで戦場に行く子どもたちをつくり出してしまった歴史的事実があるからです。安保関連法が成立し、自衛隊員が海外や訓練に駆り出されている中、戦争は絵空事ではなくなっていますから、今回の件を看過できなかったのです。
私たちの中には教員をしていた者もいます。都教委が2004年から卒業式・入学式で「日の丸」に正対し「君が代」起立斉唱をしない教員の処分を始めてからは、毎年処分を受けてきた者も何人かいます。
子どもたちに「日の丸・君が代」の意味や歴史を教えず、これらについて判断できない状態に子どもたちを置いたまま、これらを尊重するよう起立・斉唱させることは、国家の価値観の刷り込みであって、戦前の学校教育と同じであり、学校(教員)がしてはならないと考えたからでした。今回の件もこれと同じく、一つの価値観(=国家の価値観)の刷り込みにほかなりません。
憲法第1条に天皇条項を定めたことを私たちは誤りと考えます。敗戦後の占領時にマッカーサーは、天皇制を残すことで日本をうまく統治できると考え、また裕仁天皇(=昭和天皇)は戦争責任を問われて処刑されることを恐れ、沖縄をアメリカに差し出すことと引き換えに自身の身の安全を確保しようとしました。それが、マッカーサーと天皇との会談で合意し、憲法第1条に天皇条項が規定されたのです。
現在の沖縄の基地問題も、裕仁天皇が沖縄戦と同じく、沖縄を「捨て石」にしたために起きたことです。
どうぞ、ご一考くださいますようお願いします。
2019年6月26日
八王子市民有志 (連絡先:根津公子 以下略)