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2013年2月22日金曜日

2/7 東京都人事委員会がKさんの2010年の「君が代」不伴奏に減給処分を裁定

 

■Kさんは「君が代」」不伴奏をつづけ、何回かの不当処分を受けています。東京都人事委員会へ処分取消を提訴し、今回は2010年の処分についての裁定です。
 この件について、近藤徹さんと近藤順一さんから報告が寄せられましたので、総合してアップします。

◆経過
1. Kさん(小学校教員、音楽専科)は、2010年3月退職時の卒業式での不起立で停職1月の処分を受け、都人事委に処分取消を求めていました。
2. 2011年10月に都人事委審理が終結して、1年4ヶ月たなざらしになっていましたが、去る2月7日、都人事委員会が突然「裁決」を出しました。
3. 2012年1・16最高裁判決後初の都人事委の「君が代」処分に関する裁決として注目されていましたが、結論は、「停職1月」を「減給10分の1・1月」に修正する、というものでした。
4. 岸田さん処分歴
 2004年 5月 入学式でピアノ不伴奏により戒告→2012年10月高裁で処分容認
 2004年11月 再発防止研修未受講(職務命令違反)で減給10分の1・1月
          →2012年10月高裁で処分取消
 2005年 3月 卒業式でピアノ不伴奏により減給10分の1・6月
          →2012年10月高裁で処分取消
 2005年12月 再発防止研修でのゼッケン着用による職務専念義務違反で戒告
          →2009年6月、都人事委の審査請求を取り下げ。
 2010年 3月 卒業式でピアノ不伴奏により停職1月。同年3月31日定年退職
          →2013年2月人事委裁決で減給10分の1・1月に修正
5. 人事委の裁定
<主文> 処分者が請求人に対して平成22年3月30日付で行った停職1月間の処分を1月間給料の10分の1を減ずる処分に修正する。

<争点に対する判断>
1.憲法判断は最高裁判決を踏襲。職務命令は憲法19条、20条、21条に違反しない。23条、26条、国際条約に違反しない。
2.憲法31条の適正手続き違反はない。信用失墜行為に該当する。
3.裁量権・逸脱濫用について(処分量定について) 
  「停職処分とすることは社会観念上重きに失する」
  「懲戒処分を取り消す旨の判決がされているとはいえ、これらが懲戒処分に相当
する非違行為であることは是認することができるのであり、これらの処分歴および行
為歴を併せ考慮すると、公務の秩序の維持という懲戒処分制度の目的にかんがみ、本
件非違行為に対しては、戒告より重い1月間給料の10分の1を減ずる処分とするこ
とが相当である。」

 1・16最高裁判決(2012年)や高裁判決(2013年10月)を否定し踏み込んだ都教委擁護の裁決になっています。

★近藤徹さんのコメント
 1・16最高裁判決で河原井さんの停職1月、渡辺厚子さんの減給1月が取り消され、最高裁は一律・機械的な累積加重処分は否定しました。その後、後続訴訟では、地裁・高裁で減給・停職の取り消しが相次いでいます。Kさんも東京高裁判決で減給10分の1・1月および減給10分の1・6月が取り消されているので、人事委員会も最高裁判決・高裁判決を踏襲すると予想されていたので、この人事委員会裁決には、驚きとともに、強い怒りを禁じえません。
 なお、3人の東京都人事委員のメンバーは、関谷保夫(元副知事)、青木利晴(元NTTデータ社長)、濱崎泰生(元名古屋高裁長官)です。これで「公平審査」など期待できるでしょうか。

★近藤順一さんのコメント
 Kさん側は、職務命令の違憲性・違法性と処分の裁量権逸脱・濫用について全面展開しましたが、憲法判断は予想通り最高裁判決の引き写しでした。処分量定については最高裁の判決に基づき高裁ですでにKさんの減給6月と減給1月が取り消されているので、人事委員会も従わざるを得ないのではと思っていたので、驚きと強い怒りで一杯です。

 処分理由で、「……これらが懲戒処分に相当する非違行為であること……、これらの処分歴および行為歴を併せ考慮すると、公務の秩序の維持という懲戒処分制度の目的にかんがみ、本件非違行為に対しては、戒告より重い1月間給料の10分の1を減ずる処分とすることが相当である。」と高裁判決を否定し踏み込んだ都教委擁護の裁決になっています。これは到底認めるわけにはいきません。
 減給を是認するというウルトラ不当採決。また、根津さんに続き二人目の「過去の処分歴等」の適用ということでしょうか。