皆さん 「君が代」処分を受けた教職員の方たちが、公開質問状を出しました。賛同を募っています。賛同よろしくお願いします。
公開質問状の趣意書
黒川前検事長の訓告と公立学校教職員の「君が代」
処分を対比して
このたび安倍内閣は、黒川弘務検事長の賭けマージャン行為を、「訓告」としました。
全国の公務員は、驚きと怒りを持ってこの報道を聞いたと思います。懲戒処分ではなく極めて軽い注意にすぎない「訓告」は、私たちから見れば驚くほど軽く不公平な措置と言わざるを得ません。
私たち公務員は「全体の奉仕者」として、広く社会全体に対して責任を持って職務を果たすとされています。時の政治権力に対して奉仕する存在ではありません。しかし、今回の黒川氏に対する「訓告」は、政権との距離によって処分量定が決定されるという、公務員制度の根底を揺るがす事態だと思います。
公務員には服務事故についての通知や研修が頻繁に行われ、勤務時間外の日常生活に関しても、襟をただすよう指示されています。研修で使われるテキストには懲戒処分に当たる事例として、今回の賭博や利益関係者との金銭のやりとり、供応接待などが記載されています。法を司る法務省と検事長が、黒川検事長の行為を「訓告」相当としたことは、全国の公務員に対して、新たな規範と処分量定の基準を示したことになるのではないでしょうか。
私たちは、この国の主権者であるとともに、公務員、元公務員である立場から、疑問を持ち公開質問状を提出することにしました。公務員の規範が改定されたのかどうかを、行政の責任者である安倍首相及び私たちのそれぞれの任命権者に問いたいと思います。
私たち教育公務員には、東京・大阪などの教員、延べ約600余名に対し、「君が代」斉唱時の不起立・不伴奏等の、たった40秒間の行為が信用失墜とされ、戒告や減給、停職などの懲戒処分が出されています。これらの処分を最初に行った東京都では、一回の行為で戒告、繰り返すごとに処分を累積加重し、減給、更には停職6ケ月の処分を発し続けました。停職6ケ月の次の処分は、懲戒免職ともいわれ、その恐れを思いつつ争った裁判では、「不起立による戒告以上の処分は重過ぎる」として、減給以上の重い処分の多くは処分取り消しの判決を得ましたが、戒告は適法とされました。更に減給や停職処分が取り消されない例も複数あり、今なお係争中の裁判もあります。また、再任用を拒否された事例も多数あります。
公務員の処分量定は、公平公正が担保されるべきだと言われています。今回の黒川弘務検事長の訓告は、「君が代」斉唱時の不起立・不伴奏処分と比較して、公平公正な処分量定と言えるのでしょうか。
予防訴訟最高裁判決における裁判長反対意見(2012年)では、「教育公務員は、一般行政と異なり、教育の目標(教育基本法2条)を達成するために、教育の専門性を掛けた責任があるとともに、教育の自由が保障されており」「教育の場において教育者の精神の自由を尊重するという、自由な民主主義社会にとっては至極当然のことが維持されているものとして、希望の明かりを見る。そのことは、子どもたちの自由な精神、博愛の心、多様な想像力を育むことにつながるであろう。」と言及されています。
児童生徒の前に立つ良心と責任を覚えて、混乱のない不起立・不伴奏を行い懲戒処分を受けた教員と、賭博という犯罪を犯したのに「訓告」である検事長との間には大きな差が現存しますが、これは憲法14条が規定する「法の下の平等」に反するものと考えます。
趣意に賛同される方は、公開質問状にお名前を連ねてくださるよう呼びかけます。
◆呼びかけ人
岡田 明(東京都立高校教員) 奥野 泰孝(大阪府立支援学校教員) 木村 葉子(元都京都立高校教員) 佐藤 美和子(元東京都公立小学校教員) 根津 公子(元東京都立特別支援学校教員)伏見 忠(東京都立高校教員)
◆集約先 rlade18230@yahoo.co.jp
お名前・住まいの場所(都道府県レベル)・可能なら肩書きをお書きください。公開質問状にはお名前だけが記載されます。
※質問状は教員や公務負を想定して書かれていますが、そうでない方も大歓迎です。
◆集約締め切り
6月14日を目途に集約をして、記者会見を開きたいと思っています。
※東京・大阪の知事にも送りますが、自分のところの知事にも送りたい場合は
その旨をメールしてください。
以上
2020年6月8日
公開質問状
安倍 晋三 首相
小池 百合子 東京都知事
吉村 洋文 大阪府知事
他 各任命権者様
このたび安倍内閣は、黒川弘務検事長が賭けマージャンを行ったとして、訓告としました。菅義偉官房長官は、「法務省で必要な調査を行った上で、法務省および検事総長が訓告相当だと判断し、決定した後、法相から私に報告があり、異論がない旨を申し上げた」と記者会見で説明しています。
法を司る法務省と検事総長が、黒川検事長の行為を訓告相当と考えていることは、全国の公務員に対して、新たな規範と処分量定の基準を示したことになると考えます。
私たち公務員には、服務事故についての研修が頻繁に行われています。そこで今回の安倍内閣の決定を深く理解するために以下のことを質問します。
1.黒川検事長の常習的な賭博行為に対し、安倍内閣は懲戒処分ではなく、注意にすぎない「訓 告」としました。しかし賭博行為は、国家公務員法第98条1項あるいは地方公務員法第29 条の「全体の奉仕者としてふさわしくない非行」に該当しないのでしょうか。
2.利害関係者と金品のやり取りを行い、利害関係者が用意したハイヤーを使って帰宅した行 為は供応接待や収賄罪とはならないのでしょうか。
3.常習的賭博行為や供応接待を受けたことは、国家公務員法第99条あるいは地方公務員法33 条のいわゆる「信用失墜」行為にはあたらないのでしょうか。
4.黒川弘務険事長の「訓告」は、公務員の他の処分量定と比較して、公平公正であると言え るのでしょうか。
5.黒川氏以外の他の公務員も、「テンピン」レートの賭けマージャン等の常習的賭博行為を 行った場合は、懲戒処分ではなく、「訓告」となるのが望ましいのでしょうか。
6.全国の教育公務員に対しては、「君が代」斉唱時の不起立・不伴奏などの40秒間の行為が 「信用失墜」行為とされ、戒告や減給・停職などの懲戒処分が出されています。賭博や収 賄は通常、刑事事件に該当しますが、「君が代」斉唱時の不起立・不伴奏などの行為に対す る懲戒処分より軽い訓告が妥当と考えますか。また、その理由を答えてください。
以上質問します。回答は2週間以内に文書でお願いします。
2020年6月8日