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2024年7月26日金曜日

7/21 第14回『日の丸・君が代』問題等全国学習・交流集会」報告

 7/21 第14回『日の丸・君が代』問題等全国学習・交流集会」報告

 7月21日、大阪で「第14回『日の丸・君が代』問題等全国学習・交流集会」(実行委員会主催)が開かれ、オンライン参加を含め123名が参加した。(渡部報告)


◆最初に、関西大学法学部教授の高作正博さん(憲法学)の<内心の監視・規制と戦時体制――不起立処分が招いた日本社会の現在>と題する記念講演が行われた。詳しくは紹介できないが、レジュメにもとづいて大まかな骨子を紹介する。

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 序ー日本社会の現状

  (1)自民党の改憲論が孕む「暴力性」

  (2)日本社会における「異論」の否定

  (3)日本社会における「共生」の否定

 1思想の監視と人権の浸食

  (1)不起立訴訟における最高裁判決

  (2)テロ等準備罪と「君が代」暗記調査の影響

 2 岸田政権による憲法破毀(はき)の現在

  (1)日本の軍拡

  (2)「日米共同声明」(2024年4月10日)

            結—米国等と共に「戦争をする国」へ

  (1)思想調査・身辺調査の日常化

  (2)「国民の敵」を国内に作る;権力者+多数派 vs.                少数派

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高作さんは、力強くこれらの項目について具体例をあげ説明してくれた。

そして、最後にある「権力者+多数派 vs. 少数派」について、この「少数派」を多数派にする努力が必要だ、と述べられた。

◆次に、パネル報告・討論が

*パネラー:根津公子さん(東京)、横塚志乃さん(熊本大学准教授)、水谷麻里子キャロラインさん(京都市・保護者)、高作正博さん

*コーディネーター:寺本勉さん(「ひのきみ」大阪ネット)

で行われた。最初にそれぞれのこれまでの闘いを報告してもらい、次にそこで明らかになったこと、最後に今後の展望について語って貰うような形で進められた。

・そのなかで、今回特に「水谷麻里子キャロラインさん(京都市・保護者)」の報告が印象的だった。彼女の娘が小学校の卒業式の際に「君が代」起立斉唱を拒否すると教員と管理職から40分間も説得されたこと(それでも拒否した)や中学校の入学式での代表あいさつ文を書き換えられたことなどを報告、さらに親子で文科省に申し入れをしたことも報告された。

これらについては「はらっぱ」の記事、「週刊金曜日」の記事を添付する。

その中でも、「はらっぱ」に載っている娘さん(田花結希子(たばなゆきこ)アイリーン)

の文章はとても素晴らしい。是非読んでいただきたい。

そのなかには「このことですぐに助けてくれたのが、大阪で君が代や日の丸に反対したことで処分を受けて裁判をしている先生たちでした。何十年も、人生を懸けて闘っている

先生たちは素敵でした」などという文もあった。

・こうしたなかで母子は多くのバッシングに会い、「日本の先生も社会も、問題をよくわからないままに同調圧力でお上に従っている、しかし、先生などと話していくと、わかってくれる先生も出てきた」と述べていた。

また「娘は福島原発事故で京都に避難して来て、原発問題をなかなか口に出せないでいた生徒とも友人になった」とも述べていた。

彼女の発言はストレートで、明朗快活そのものだった。

集会はその後、<特別報告>として、

〇東京「君が代」裁判五次訴訟と新たな攻撃—時間講師不合格問題について

Webで(五次訴訟原告・川村佐和さん)

〇7月5日についた最高裁上告棄却を受けて (「君が代」不起立被処分者・奥野泰孝さん)」

の報告があった。前者では君が代」被処分者は、教員不足のなかでも、時間講師にも雇われない(生徒の教育権よりも「君が代」が大事)ことへの怒りが、後者では「原告の訴えを知ろうとしないで判決を書いた、と私には見える」最高裁への怒りが語られた。

◆次に「各地からの報告」として

*大阪「君が代」調教裁判と今後の取り組み(松田幹雄さん)

*大阪・吹田市「君が代暗記調査」等(梅原聡さん)

*神奈川からの報告(「教育と個人情報保護を考える会」外山喜久男さん)

*千葉からの報告(千葉高教組 石井泉さん)

*広島からの報告 Webで(「教科書問題を考える市民ネットワーク・ひろしま」岸直人さん)

*愛知からの報告(小野政美さん)

*神奈川・川崎市音声データ裁判勝訴 資料で(近藤順一さん)

*福岡からの報告 資料で (木田悦英さん)

この中では、「広島からの報告」(Web)が特に印象深かった。

現在、被爆地ヒロシマで、いかに平和教育が破壊されつつあるか、また「核抑止」を正当化するような教育が行われつつあるか、その中で今年の原爆の日が迎えられようとしていることの危険性、が報告された。

◆次に、「連帯報告」として

*教科書検定と中学校教科書採択をめぐる闘い(伊賀正浩さん)

*自衛隊員募集と個人情報・高槻市等における取り組み(山本博樹さん)

*久保校長処分と大阪市教育行政(「ガッツせんべい応援団」久保敬さん)

*奈良教育大附属小学校問題(「奈良教育大学附属小を守る会~みんなのねがいでつくる 学校応援団」事務局 山崎洋介さん)

*万博への学校行事による子ども動員反対(夢洲カジノの会 八木正行さん)

*「軍学共同」・学術会議等問題(「軍学共同反対連絡会」事務局長 小寺隆幸さん)

の報告がなされた。

◆ご覧のようにここでは、現在教育関係の諸問題で闘っている仲間たちがその実態を報告してくれた。いずれも困難な闘いを展開しているが、しかし、どちらが道理があるかははっきりしている。

教科書問題にしろ、奈良教育大附属小の問題にせよ、万博への子ども動員にせよ、すべて一部の支配層によるファシズム的な戦前回帰型国家主義教育の具体化であり、それに対する民主的・科学的な教育の復権を求める教育関係者や学者・勤労市民の闘いである。

◆以上のように、今回の「全国学習・交流集会」は、その幅広さ豊かさにおいて、大きな成果を上げることができたといえる。

そうした中でも、明朗快活に「君が代」強制に抗う母子の登場は、多くの参加者を改めて目覚めさせ、励ますことになったといえよう。

何度でもいうが、主権在民の日本社会で、「君が代」(その意味は、天皇主権の世の中が長く長く続きますように、である)、を主権者の民に強制することなどはあってはならないことである。

もし為政者がそうしたことをするなら、自覚した民は立ち上がってそうした為政者を代えなければならない。

そして、同調圧力に屈し精神的奴隷となっている主権者の民を解放しなければならない。

今回の「君が代」強制にあがらう母子の登場は、私たちにその事を語っているのではないだろうか。