◆2/25都庁への抗議行動の時の青木さんの発言
オリンピック強行に関かる青木茂雄さんの発言を紹介します。
オリンピック開発は東京の自然破壊だ!
★東京オリンピックは終わったけれども、オリンピックを口実とする都市開発は終わってません。今、都庁舎の壁面から、例のオリパラのマークはなく、その代わり奇妙で不格好な大きなポスターが貼ってあります。書体の異なるTOKYOという文字が2つ大書され、その間に小さな文字で「Old meets New」とあります。新宿駅を降りた後から、地下道にはそのポスターが連続した貼られていました。何やら浮世絵風のものもあり、江戸趣味のようなものもあります。東京都はいったいまた何を始めようとしているのか、いぶかりましたが、この都庁舎の前に来てみるとピンときました。古いものをどんどん新しくしようという意味のようです。
★これ、ポストオリンピックの大規模な都市開発の合言葉ではないのか、と考えてみると合点がいきました。1964年の東京オリンピックがそうであったように、2020のオリンピック招致もゼネコンなど大資本主導の東京の大規模再開発がそもそもの目的でした。発案者は言うまでもなくこの前死去した石原慎太郎元都知事です。石原慎太郎という人物は、思想内容は明らかな保守反動ですが、その人となりは根っからの新しがり屋で、古いもの、古ぼけたみすぼらしいものは容赦なく破壊し、その代わりに奇妙奇天烈な上物をつくって喜ぶというメンタリティの持ち主だろうと思われます。この人は、「伝統」traditionや「保守」conservationの意味をまったく理解しない、自己顕示欲の固まりである元祖「太陽族」がそのまま年老いていったようなものです。彼の人となりは、最近出版された「石原慎太郎短編集」を読んでみるとよく解ります。よくもこんな人物が4期もの長きにわたって都知事をつとめられたと思います。
★その石原慎太郎が都知事をつとめた間に東京都の行政に根付いたものが、上意下達・弱肉強食の行政と、古き良きものを情け容赦なく破壊する開発行政です。前者が「日の丸・君が代」の強制と進学校優先の学校再編です。後者の典型が築地市場解体であることは言うまでもありません。
都知事が代わっても、この路線は東京都の行政に構造化されてしまって、拡大再生産されるばかりでした。その集大成が2020東京五輪です。
★神宮外苑の森の一角は都営住宅とともにすでに破壊されてしまいました。ところが、それで終わらずに、さらに1000本近くの樹木の伐採が計画されていることには怒りを禁じ得ません。風致地区による高さ制限の規制を都自らが外し、そこにありきたりの商業施設を建てることは、公有地を金儲けの手段とする身売りにも等しいものです。絶対に許すことはできません。
神宮外苑だけでなく、最近、公園の整備と称して都内各地で公園の樹木が伐採されていることを目撃しました。この近くでは新宿中央公園の一角の樹林が伐採されて、そこが意味不明の芝生広場となっています。樹林があることがなぜか邪魔物扱いされています。
渋谷の山下公園も地味ながら都会の貴重な樹林地でした。しかし、そこの樹林も民間ディベロッパーの手にかかってすでに大半が失われ、そのあとがまるで遊園地のようになっています。
★以前は東京にも自然環境保護条例により厳しい規制の網がかけられ、「緑の監視委員」という制度もあったのですが、いつのころからか、それらが骨抜きになり、それだけでなく現在では自治体が積極的に自然破壊に手を貸すようになっています。
東京ではその転換は鈴木都政のころから始まりましたが、石原都政のもとで完全に骨抜きにされました。
今、自治体も国も企業も口を開けば二言目には「SDGs」ですが、 実態はこんなものです。これでは『人新世の資本論』の著者斉藤幸平によって「いちじくの葉」と言われてもしかたありません。