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2015年8月8日土曜日

8/2 「第5回『日の丸・君が代』問題等全国学習交流会」開催

8月2日(日)、「第5回『日の丸・君が代』問題等全国学習交流会」が、日比谷図書文化館で開かれました。(参加者147名)

■池田浩士氏さん(京都大学名誉教授)の講演

集会は、午前中、池田浩士さんの講演が行われました。
テーマは<戦争する国は学校から~いま教育とファシズムを考える~>。これはなかなか学ぶところの多いものでしたが、ここでは特に印象に残ったことを紹介しておきます。
それは、「国家儀礼」と「ボランティア活動」は戦争に密接に関係しているということでした
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1918年ドイツは第一次大戦に破れ、ワイマール共和国が出来た。
しかし1933年にはヒトラー政権が発足し、1935年6月にそれまでの「ボランティア労働」が法律で<義務化>された。
また同年9月にはナチ党の全国大会でユダヤ人絶滅政策が決まり、それが法制化され、1939年には第二次大戦に突入した。

日本では明治維新以降、天皇制はいちはやく軍隊と教育を掌握した。
(15年)戦争が近づくと「勤労奉仕」が<奨励>から<制度化>になった。
1937年、文部省は『農山漁村に於ける勤労奉仕』を刊行した。
1938年、夏休み5日間の勤労奉仕を実施した(「勤労動員」始まる)。
1939年、「作業」の漸次<恒久化>と<準正課>扱いになった。
1941年11月(太平洋戦争直前)、「国民勤労報国協力令」(勅令)を公布した。

ただ、日本とドイツの大きな違いは、ドイツにはワイマール憲法に基づく教育があり、そう簡単にヒトラーは学生生徒を支配できなかった。それで「ヒトラー式敬礼」、「ヒトラー青年団(ユーゲント)」とか「アドルフ・ヒトラー学校」などをつくり青年を組織化しようとした。

その点、天皇制国家の公教育による「奉仕活動」などは日本はナチスをしのいでいた。
そしていま、日本はまた同じ道を進みつつある。
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(すでに都立高校では、2003年度に「10・23通達」を出し「日の丸・君が代」の強制を行い、2007年度から教科「奉仕」が設置され、「奉仕」が義務化されています。
そうして、2013年度から自衛隊での宿泊訓練(田無工業高校)を始めました。現在の「戦争法案」は、まさにその延長線上にあると考えられます。)

■公演後、
 午前中は<東京>の「日の丸・君が代」関係の諸報告など(8人)が行われました。

○昼休みに <ジョニーHさんのミニライブ>
○午後からは
 <大阪>の「日の丸・君が代」関係の諸報告(7人)があり、


 <宮城><千葉><神奈川><愛知><兵庫><三重><福岡>からの報告。
 <学校教育にしのびよる自衛隊>、<教科書問題>、<道徳教育>、<大学問題>の報 告があり、最後に<「ひのきみ全国ネット」結成>の報告がありました。

■今回はじめての<大学問題>(青山学院女子短大・清水康幸さん)の報告を紹介します。

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最近文科省が国立大学へ「日の丸・君が代」実施を要請した。
国立大学(80校余り)で言えば、「日の丸」は70数校、「君が代」は11校で実施している。いまや大学も国家に絡め取られるようになってきた。
国立大学は10年前に独立行政法人となり、昔とは全く変わってきた。
研究費は学長の元に召し上げられ、研究を申請して認められなければもらえない。
すべて競争になるので学者たちはバラバラになる。
一方学長の権限は強化され、その学長を選ぶのも、学外者を含めた形になっている。
「日の丸・君が代」もお金欲しさでやるところが出てくるだろう。というのは、この間毎年1%ずつ予算が減らされ、この10年で1割減らされた。
そして種別化して重点配分するから。
最近では、まだ自由な私立大学に逃げてくる学者たちもいる。

しかし、安保法制が出てきて、憲法学者の役割、アカデミズムの役割が考えられるようになった。             「安全保障関連法案に反対する学者の会」には1万人以上が賛同し、「日の丸・君が代」強制反対にも3000人以上が賛同している。いろんな大学で集会なども開かれている。

大学での学問は「全てを疑う」、「常識を信じるな」というところから始まる。
学生たちに「日の丸・君が代」の意味を聞くと殆ど知らない。そこで、戦前の教科書で「君が代」がどう説明してあるかを示す。するとよくわかる。
またそこには「日の丸」⇒「君が代」⇒「靖国神社」の順に説明してある。
事実を知れば理解する。疑問が生じる。そこから学問は始まる。
ちゃんと歴史や事実を伝えることが大事だ。
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■<道徳教育>については、まもなく90歳の北村小夜さんが報告してくれた。
北村さんは戦前の「唱歌」と「道徳」の関係を述べ、常に音楽と「道徳」とは深い関係があることを指摘された。その上で次のように述べられた。

「自分は、戦後ずーと抵抗してきた、それなのにこんなことになってしまい申し訳ない、と語って来た。しかし最近は、私たちが闘ってきたからこの程度で済んでいる、現場の人が大変だ大変だと言うが、それはあなたたちが後ずさりするからじゃないの、と言うようになってきた。
権力は教師の力、教育の力を知っているから攻撃してくる。彼らが恐れていることに対して、教員たちはそれに見合うだけのことをしているだろうか。」

ここでは、それ以外の発言については紹介できませんでしたが、いずれも、国会で「戦争法案」審議中に開かれた全国集会にふさわしいものだったと思います。

■集会終了後、銀座デモ
池田浩士さんと北村小夜さんはそれにも参加して下さいました。