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2014年12月31日水曜日

都教委の防災訓練に名を借りた自衛隊隊内訓練の推進を暴くブックレット(5)

自衛隊での宿泊訓練パンフの続きです。

『高校生をリクルートする自衛隊・自衛隊の手法を取り入れる教育行政』から。
(編集委員会発行、800円+税、(株)同時代社、電話03-3261-3149、FAX03-3261-3237)

「4、都立田無工業高校二回目の自衛隊との『宿泊防災訓練』」

(「田無工業高校は、朝霞駐屯地での宿泊防災訓練につづいて、翌2014年2月3日(月)~5日(水)にも、『夢の島・東京スポーツ文化館(BumB)で、宿泊防災訓練を行いました。)

 「(2013年)7月は運動部員の34名でしたが、2月は二学年生のすべてが対象になりました。実際には155名が参加予定で、そのうち約140名ほどの参加でした。」

<半強制的な「参加同意書>
 「このBumBでの訓練の場合、保護者に向けられた『参加同意書』が特別でした。……不参加の場合にその理由を書く欄が非常に大きく枠が設けられています。
 つまり、不参加に〇をつけにくい条件になっているのです。そして『同意』が前提とされています。・・・7月の訓練では『参加申込書』となっており、不参加理由を書く欄も無いことがわかります。
 ・・それにもかかわらず十名以上が不参加であったことは、生徒・保護者の中にかなり疑問を持った人が多かったといえるのではないでしょうか。・・」

<費用はすべて都教委が負担することの疑問>
 「もう一つおおきな疑問は、生徒の食費も含めすべて都教委側が負担していることの疑問です。・・
 都教委がBumBに支払った総額は236万2720円になっています。その内訳は、施設使用料等が131万1820円であり、一般需要費として103万1220円の支払いが報告されています。そしてその総額は『教育費』の名目として処理されています。
 ところが、この一般需要費と同じ金額の『生徒食事代として』と書かれたBumB発行の領収書が存在しているのです。
 都教委は2014年度予算として、『防災訓練』の名目で8300万円を計上しています。なぜ、BumBでの防災訓練がこの費用として処理されないのかが疑問です。

<黒塗りと目隠しの防災訓練への疑問>
 「次に掲載しますのは、西田昭司さん(憲法を教育に生かす西東京jの会)のBumB(・・)の防災訓練のレポートです。
 西田さんは、都教委に取材申し込み手続きをして、BumBを取材しました。ところが、会場入口の窓には全て目隠しが貼られ、外部と完全に遮断された隠された訓練でした。・・
 ・・BumBでの防災訓練を都教委に開示請求したところ、生徒・保護者に配布された公明性の高い『しおり』は各所が黒塗りで埋められています。この黒塗りの部分を透かしてみますと『自衛隊』の文字が見えます。自衛隊の訓練は隠さなければならないことのようです。」

<夢の島・東京スポーツ文化館(BumB)の「宿泊防災訓練」レポート>
(これも詳細なレポートですので、基本的な内容に絞って紹介します。抜けているところがあるかもしれませんが、ご容赦を)

(1日目・2013年2月3日)
 ・・・・
 10時10分 BumBのメインアリーナで開校 (教育委員会、自衛隊、学校長が各挨拶、生徒代表も挨拶)
 10時30分 自衛隊の講話「自衛隊の災害派遣活動等について」 ・ガラス戸目隠し・監視の中での取材
 10時30分過ぎに、都教委職員がわれわれを受付場所からメインアリーナの観客席に案内した。観客席入       口までぴったり離れず、われわれにっくっついて「案内」した。メインアリーナ観客席入口の所に        あるガラスというガラスに全部内側から白い紙を貼り、ガムテープで留め、アリーナ内が見えない       ようにしてあった。・・・また、メインアリーナの一階、生徒や教職員の入口には、白いシーツを         張ったついたてが三枚立ててあり、中が見えないようになっていた。・・

    ・自衛官による「防災訓練」の指導
 13時から 自衛官の話が始まり、準備体操・ストレッチが行われた。・・・それから大きく二つのグループに       分かれた(・・「復命書」では、生徒は四グループに分かれたことになっている。A・Bグループが        止血法・三角巾法の実習。

 C・Dグループが応急担架搬送)
 16時から、説明指導者が交代して生徒たちに教えた。・・ 最後は生徒全員整列して座った。自衛隊員が      一列で行進し生徒達の前に並び、静止、敬礼した。前に並んだのは迷彩服を着た者が10人(全員      右腕に広報の腕章)、 背中に黄色字で「防衛省」と書かれた黒いジャンパーの者が2人の12人。
      そして脇の方にカメラを胸に提げ、迷彩服を着た隊員が1人、合計自衛隊員は13人だった。
 18時に実習終了。諸注意のあと生徒たちはカギを受け取り、宿泊室に散った。

(2日目・2月4日) ・昨日の実習の復習が行われた。(詳細は略します) 16時実習終了。
 16時30分から DVD上映
      「前のスクリーンに、『3・11』と大きな文字が映されていて、副題として『東日本大震災 激震と大      津波の記録』と書かれていた。その下に項目が3つ書かれていた。
   ①激震と大津波の記録
   ②震災後50日間の記録 復興への歩み
   ③ノーカット盤気仙沼を襲った大津波の記録映像
 17時50分 終了。 最後の頃に『制作KHB東日本放送、映像提供陸上自衛隊東北方面隊、映像協力        ABC朝日放送」と出てきた。前半部分では宮城県知事が3~4回出てきた。 真ん中後半くらいに     「仙台空港の滑走路が1500メートル確保されるようになると、米軍の大型輸送機が発着し『トモダチ     作戦』で本格的な物資輸送が始まった」 「自衛隊も・・・」として、米軍大型輸送機の発着映像が映     され、自衛隊の活動が映像で流された。

・取材しての感想
 訓練の内容は、要約すれば、①毛布を使った担架作成と、②三角巾の使い方の二つである。
 これだけのために宿泊までして、自衛隊から学ばなければならない理由などないと感じた。 
 自衛隊の宣伝、自衛隊を身近なものにすることが真の目的ではないだろうか。
 また、「リーダーの大切さ」ということに教育上の問題を感じた。
 「リーダーだけが指示を出し、他のみんなはついて行く」ということでよいのだろうか。
 ・・・・・大災害のような特殊な状態に置かれたときは・・「それぞれが、それぞれの置かれた
 状況を判断して最善の行動を選択すること」ができるようにすることが大切であり、 

 それこそが教育の課題だと思う。振り返って自分の現役(中学校教員)の頃の避難訓練を考えたとき、「マニュアルに従わせる」ものだったなあと反省させられている。

(3日目・2月5日)
 略しますが、9時30分から11時30分頃まで行われたと思われる「最終講話」は藤本一雄(千葉科学大学危険管理学部准教授)他によるもので、「内容は、①ハインリッヒの法則、②リスクマネージメントの7つのポイント、③ヒューマンエラー等、学問的な内容で、生徒にはレベルが高いものだった。」と
 述べてあります。
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この中で、<半強制的な「参加同意書>、<費用はすべて都教委が負担・・>
<黒塗りと目隠しの防災訓練・・>
などを読めば、いかに都教委が、今後多くの高校生を「自衛隊による宿泊訓練」に参加させようと力を入れているか、ということがよくわかるでしょう。しかも、でいるだけ秘密裏に事を進めようとしています。

また、<・・・「宿泊防災訓練」レポート>の「取材しての感想」にあるように、「宿泊防災訓練」の真の目的は、やはり、自衛隊の宣伝であり、自衛隊(「軍隊」)を生徒たちに身近なものにすること、でしょう。

次回は、
「5、沸き上がる自衛隊の「宿泊防災訓練」への抗議・反対運動の取り組み」