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2018年3月26日月曜日

3/22 都教委定例会 根津公子さんの都教委傍聴記

3月22日に行われた都教委定例会についての根津さんの報告です。

5歳から公民づくりに邁進する学校

公開議題《報告》は、
①研修動画の配信に向けた環境整備と今後の方向性について、
②幼小の一層の円滑な接続を測るための教育課程の研究・開発について。

①研修動画の配信に向けた環境整備と今後の方向性について
 ―効果的・効率的な研修に向けて―
 都教委は今年(17年)度から全教職員に「マイ・キャリア・ノート」(PC上に)を配り、専門性向上・目指す職層のための研修計画・報告を記入することを求めている。本人と校長が閲覧・書き込みができる。何も記入しない教員に対しては、受講計画を記入するよう校長が書き込むという。

 18年度からはこのマイ・キャリア・ノートに研修動画56本を配信し、学校でも家でも研修できるようにするのだと言う。講師は都教委・主任指導主事や文科省職員、大学教授等。
 例えば、事前に動画を視聴して受講すれば、1コマ3、5時間の研修を3、0時間にする。「校長候補研修」は今年度5日の通所研修だったところ、動画で研修すれば、通所日数を1日減とする。「学校を離れて受講するのはオーバーワークの続く教員にとって大変だから、(動画での研修は)働き方改革につながる」と、報告者はぬけぬけと放言した。
 本来、教員の研修は本人が決めるもので、強制されるものではない。なかった。現在は研修と言えば官制研修を指すが、かつては民間サークルの研修も尊重されていた。初任者研修制度の導入(1988年)に組合が反対できずにきたことが今につながる。

②幼小の一層の円滑な接続を測るための教育課程の研究・開発について
 「小学校教育の現状と今後の在り方検討委員会」の提言(17年12月14日)を受け、「5歳児から小学校低学年をひとまとまりにした教育課程の方向性を検討する」とのこと。これは文科省が出した保幼小連携の方針に呼応したもの。
  外部有識者3名+モデル地区教委2名+都教委3名の委員構成。モデル地区を荒川区に指定し、モデル校(公立幼稚園1園・公立小学校1校)で実践・検証するという。
2017年度:研究・開発委員会の設置
2018年度:モデル校の指定、検討委員会の開催(6回)、2019年度入園児募集(新3歳児)
2019年度:文科省「研究開発学校制度」申請
2020年度:教員研修、教材の開発、教室環境の整備
2021年度:モデル校での実践及び検証開始
 この報告に対し、教育委員から「モデル校に入るために、受験教育が3歳前になる不安がある」などの発言はあったが、反対の発言はなかった。不安があれば、一言感想ではなく、職責としてしっかり論議をしてほしいものだ。無責任とは思わないのか、と思う。

★「研究開発学校制度」とは、「現行の学習指導要領によらない教育課程の編成・実施を認める研究開発学校を指定し、新しい教育課程、指導方法等についての研究開発を行い、教育課程の基準の改善等に資する」もので、指定期間は原則3年、平均200万円程度が予算措置される。1976年に導入されたとのこと。こんな制度を私は知らなかったが、幼小中連携に関して新潟大付属小学校が2003年度から研究開発学校となったなどの事例があがっていた。★東京初の民間校長を採用し、区が独自に採用した教員を持つ杉並区も、「杉並区幼保小接続期カリキュラム・連携プログラム」を策定したと杉並区のHPに掲載されている。

 さて、保幼小連携は1年生がじっと着席していられないなどの「小1プロブレム」があってのことなのか。いや、もっと積極的に、昨年3月、3歳以上の幼児が「国旗・国歌に親しむ」ことを求めた、「幼稚園教育要領」及び「保育所指導指針」の改定と関係するのではないかと思った。
幼稚園教育要領は「正月や節句など我が国の伝統的な行事,国歌,唱歌,わらべうたや我が国の伝統的な遊びに親しんだり」と、保育所指導指針は「保育所内外の行事において国旗に親しむ」と謳う。どちらも、18年度から施行となる。

★教育行政は子どもを、一人ひとりが人格を持った、人格形成の途上にある存在と見ずに、国のために命を捧げる人材としか見ない。そうした人材育成を、幼小一貫した学校教育で、1年でも早くから国旗・国歌、「愛国心」を教え込み、行うというのではないのか。そう考え、ムカムカしながらこの報告を聞いた。それは、私だけではなかった。Wさんは退場時に、「子どもたちを都教委の、国のロボットにするな!」と叫び続けた。
幼小連携も「子どもたちを戦場に送る」ための教育ではないのか。「子どもたちを再び戦場に送らない」との日教組のスローガンは今も「健在」のはず。日教組や全教執行部、及びその組合員はスローガンを行動で示すべきだ。組合が大きく主張し宣伝すれば、多くの人に理解されるはずだ。「我が子が大事」と誰もが思うのだから。