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2018年3月2日金曜日

2/25 『2・25総決起集会』(主催:都教委包囲ネット)の集会開かれる

2月25日(日)東京で、卒業式を前に、<「日の丸・君が代」強制反対!「10・23通達」撤回!>のスローガンを掲げ、『2・25総決起集会』が開かれ、会場いっぱいの90名が参加し、成功することができました。
参加者の皆さん、また賛同などでご協力いただいたみなさんありがとうございました。(渡部)




















集会の内容(その一)
 ①講演:小倉利丸さん(批評家・元富山大学教授)
 ②闘いの現場からの報告
 ③行動提起

が行われました。




①小倉利丸さんは、
<明治150年」と改憲攻撃~「日の丸・君が代」強制反対の闘いの意義~>
という演題で講演されましたが、この演題は主催者が依頼した演題で、小倉さんは、講演に向け同タイトルの力作論文(A版9ページ、参加者に配布)を作成され、冒頭「与えられた宿題への回答です」と言われました。講演はそれをもとに、してくださいました。

小倉さんはまず、(その論文には出ていないのですが)現在学校現場で進行しているコンピュータ教育に関して参加者に、「ウインドウズ」のソフトをどのくらい使っているかを確認しました。すると多くの人(あるいは学校)が使用していることが明らかになり、
小倉さんは、マイクロソフト社の日本法人社長が「働き方改革」に全面的に賛同していることを紹介、現在私たちは、「多国籍企業のグローバリゼーション」と「安倍の極右ナショナリズム」が結びついている状況jの中に置かれていることを述べられました。

その上で、以下のような内容の事を話されました。
<近代150年の断絶と継続>
 「明治150年」はいかがわしい。だから、「現行憲法が出来た1945年の重要性をチャラにするものだ」「戦後と戦前を一貫したものとしてとらえ、戦前へ戻そうとする」などと言われる。しかし、ことはそう単純ではない。
 経済的な観点から見ると、日本資本主義にとっては大きな区分にはならない。むしろ、第一次大戦から第二次大戦の間の時期の方が大きい。それは1917年にロシア革命が起こり、社会主義が成立し、同時にファシズムも生まれてきた。世界不況の下でケインズは、財政政策を重視し、国家による経済への介入を正当化し、社会主義でなくとも自分の理論でうまく行くとし、「ドイツのナチス政権がそれである」と言っている。
 戦後日米欧などがやってきたのはそのケインズ経済理論だった。ドイツは反省し、日本は反省しなかったというが、国家利益を計算しながらやっているだけだ。だからナショナリズムを煽る言説が、どちらにも生まれている。「日本人は優秀、他は優秀でない」などという言説だ。












<憲法とナショナリズム>
 国民という枠で主権の主体を作る。国民主義としてのナショナリズムがある。憲法はその歯止めになるか。ならないだろう。トランプは繰り返しアメリカ憲法は素晴らしいと言い、だから「銃を保持する」と言っている「国民国家」は争いを作る基本的な構造だ。これが火種ともなり戦争になる。だから「自国ファースト」の支配者たちに利用される。

<憲法はナショナリズムとどのような関係をもつのか>
 憲法第1条から8条まで天皇のことについて書いてある。その中(第1条)で天皇の地位は「主権の有する日本国民の総意に基く」と述べてある。しかし、その「総意」の確認方法が規定されていない。
 「代替わり」は、次の天皇を承認しなければならないが、その規定がない。象徴天皇は国民の総意というが「総意」とは何か。
 権力者が国民に「総意」の一員であることを強制・義務づけているのが実態だ。これは憲法違反である。しかし、あいまいな「総意」で強制・義務を憲法が下支えしているのではないか。
 これに関連して「国民国家と戦争」について。
 9条は形骸化されている。戦争放棄を宣言していても戦争できる体制ができてくる。これは「国民国家」の体制の枠内では戦争放棄ができない。それを乗り越えていく世界にならなければならない。

<日の丸・君が代とオリンピックをめぐるナショナリズムの攻勢>
 スポーツと戦争は心情的には同じナショナリズムであう。1968年ごろは国別イベントに対する異論が出た。国家と文化・スポーツの関係は厳しい目で見られた。(ちなみに、オリンピック憲章には、「オリンピック競技大会は、・・選手間の競争であり、国家間の競争ではない」と書かれている。:渡部)
 スポーツでは「速ければ速いほど良い」と言われる。これは近代社会の機械の発達の表れでもある。軍隊も同じだ。
★時間(50分)の関係で、小倉さんは十分論文の内容を紹介できなかったようですので、この部分に関する論文の記述を二つほど紹介しておきます。
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〇2020年の東京オリンピックに向けて、日の丸・君が代が日常的な風景のなかで繰り返し登場するようになるだろう。オリンピックに先立って行われる天皇代替わりの行事は象徴天皇制の継続の具体的な制度化の一環としての新元号の制定と即位儀礼によって、象徴天皇制の国家としての「日本」というこの国の近代国家としての枠組みとイデオロギーが露出することになり、ここ数年を通じて、ナショナリズムを再構築する時間に入ることになる。そしてこうした時期が同時に改憲と重ねあわせるように政治のタイムスケジュールが組まれている。
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 戦争放棄という重要な私たちにとっての課題は、武器や兵器を廃棄するだけでなく、
戦争の心情を形成する国家や国民へと収斂(しゅうれん)するアイデンティティ形成の文化的なイデオロギー装置をいかにして打ち砕くか、という課題をも含むものでなければならない。

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小倉さんは講演で、
・グローバリズムとナショナリズムの共存、
・「明治150年」というもののとらえ方
 (特に戦前戦後を通して資本主義が続いていること)、
・「国民国家」の存在とナショナリズムのきっても切れない関係
・象徴天皇を決める「国民の総意」を権力者が勝手に決め、「国民」をそれに一方的に従 わせていること。
・スポーツと戦争とナショナリズムの関係
などについて明らかにされたと思います。
小倉さん、短い時間で申し訳ありませんでした。また、大変ありがとうございました。