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2018年2月8日木曜日

2/7 「君が代」四次訴訟控訴審 弁論1回で結審 4月18日判決へ


◆弁論継続の要求を退け結審

2月7日(水)に東京「君が代」第四次訴訟・控訴審第一回口頭弁論控訴審が行われたが、1回で結審してしまった。近藤徹さんの報告です。

傍聴を希望して70数名が東京高裁824号法廷に駆けつけましたが、法廷が狭いため20数名が入廷できませんでした。傍聴支援に心から御礼申し上げると共に、入廷できなかった人にはお詫び申し上げます。これからも大きな支援をお願いいたします。

本日の法廷で、東京高裁(第12民事部 杉原則彦裁判長)は、最高裁判例に係わる島薗進さん(宗教学 上智大学大学院教授、東京大学名簿教授)の意見書)に基く同氏の証人採用と弁論継続を求める弁護団の要請を退け、原告2名、弁護士2名の意見陳述だけのたったの1回で弁論を終結・結審し、4月18日に判決期日を指定しました。
審理を尽くして公正な判決をすべき裁判所が、高裁とは言え、一審ではなかった島薗氏の証人採用を意見書のみで事足りるとして認めず、弁論を終結・結審するというのは、司法の責務を軽視するものです。
これまでの最高裁判決の枠組み(職務命令の「間接的制約」を認め減給・停職などの累積加重処分に歯止めをかけつつも、「違憲とは言えない」と戒告処分を容認)を踏襲した一審東京地裁判決を取り消すか変更するには、当方の主張・立証に十分耳を傾ける必要があります。これを行わなかったので、4月18日にどのような判決になるかは全く予断を許しません。

<東京「君が代」裁判四次訴訟の経過と控訴内容>
2010~13年の卒業式、入学式で「君が代」斉唱時に起立せず処分された都立学校教員14名(8名が現職教員)が2014年3月に提訴。
東京地裁で10・23通達がもたらした教育の荒廃などを告発しながら違憲判断、戒告を含む全ての処分の取消、損害賠償を目指して闘ってきました。
●地裁判決の内容 2017年9月15日、東京地裁判決は、「裁量権の逸脱・濫用で違法」として6名・7件の減給・停職処分を取り消し、原告らが一部勝訴しました。中でも連続不起立4回目・5回目の減給処分(1名・2件)を取り消したのは貴重な成果です。
●双方の控訴内容
都側は上記不起立4回目以上の減給処分取消に対してのみ控訴(5名・5件の減給・停職処分取消は確定)。
一審原告らは、戒告を含む全ての処分取り消し、損害賠償を求めて13名が控訴。
<参考> 島薗進さんの論考の紹介。世界平和アピール7人委員会のWEBサイトより
2018年1月24日 日の丸・君が代の強制と思想・良心の自由 島薗 進
   ↓
http://worldpeace7.jp/?p=1075

◆控訴人2名の意見陳述からの抜粋 
控訴審第1回弁論では控訴人2名(現職の都立学校教員)、代理人弁護士2名が意見陳述しました。ここでは、控訴人2名の意見陳述の一部を抜粋して紹介しますのでお読みください。
●控訴人TSさん(2回の減給1ヶ月処分 都立特別支援学校教員)
・起立斉唱できない理由 「かつての日本政府による近隣諸国に対する侵略戦争と植民地支配の歴史は大きな過ちで、深く反省しなければならない、と考えるから」「「日の丸・君が代」は、侵略戦争と植民地支配を推進した「国」や、国の基本政策のシンボル」「「日の丸」に向かって起立し、「君が代」を斉唱することは、侵略戦争の歴史を肯定する行為」「民族差別など戦前の日本において公然となされた差別に対する反省を欠く行為」
・起立斉唱できないもう一つの理由 「「教員としての良心」から・・・児童・生徒に一方的な価値観を刷り込んではならない」「起立斉唱することで敬意をあらわす姿を児童・生徒に見せることは、教員としての良心が痛む」
・再発防止研修 「2013年度には18回」「起立するよう圧力をかけられていると感じ、思想の転向を迫られているよう」「私の「思想及び良心」は一つのものであり、不起立を理由として何度処分を受けても何度再発防止研修を受けても反省のしようがありません」

●控訴人OKさん(戒告処分 都立高校教員)
・10.23通達」発出後、校門の前で人権は立ち止まる (大阪の女子高生が)「黒染め強要裁判を起こしました。一連の指導と対応は学習権の侵害であり人権侵害という他ありません。」「「地毛証明書」が取り沙汰されたように、都立高校も無縁ではありません。」
・「かつて都立高校には自由がありました。」「先生方は、なんの教養もない私でも、一人の人間として尊重してくれました。」「それが変わったのは、「10.23通達」と前後して都教委が都立高校改革に乗り出してからです」「職務命令に従わなかった者に処分が科されるのを見て、職員室の空気は凍り付きました。職員会議の補助機関化や、校長の学校経営計画を基準とした業績評価制度の導入と相俟って、教員たちは沈黙していきました。服従に順応していく教員は、生徒への管理強化も当然視するようになります。」「90年代末、都教委の強力な指導の下に、一律に「日の丸・君が代」が導入されたときに、入学式・卒業式の前に「内心の自由」を説明することで、ギリギリのところで国歌を歌えない生徒を守る配慮がなされました。「10.23通達」はそれさえも奪いました。」
・都教委は判決の“趣旨”を汲み取らない 「多くの最高裁判決で当事者同士の話し合いによる解決を求める補足意見が付されました。私たち原告団は毎年何度も何度も話し合いを求めて要請を繰り返してきましたが、(都教委は)会ってもくれません。」「減給処分が取消された現職教員に対して、都教委は再処分をしてきました。四次訴訟の地裁判決によって減給処分が取り消され、都教委自らが控訴を断念した現職者に対しても、再処分を前提とした事情聴取が行われました。都教委がこうした対応を取れるのは、戒告処分が認められているからです。」「この控訴審で、ぜひ戒告を取り消していただき、東京都の学校を処分という脅しから解放してください。」
・最後に 「この法廷で私たちが問うているのは、教師としての倫理の問題なのです。学校が、子どもたちの心を守り、人権を学ぶ場として再生するために、裁判官の賢明なご判断を願います。」

◆弁護士2名の意見陳述のうち、澤藤弁護士の意見陳述全文とコメントを以下のブログでご覧になれます。
澤藤藤一郎の憲法日記 2018年2月7日
「国旗・国歌」と「日の丸・君が代」と ― 違憲論における異なる位置づけ。
   ↓

http://article9.jp/wordpress/
◆東京「君が代」裁判第四次訴訟・控訴審判決
~いよいよ判決です。こぞって傍聴に来てください。
 4月18日(水)13時15分 東京高裁824号法廷
 *当日の行動の詳細は追って連絡。
 *判決結果はすぐ分かりますので、入廷できない人も裁判所前でお待ちください。