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2016年7月29日金曜日

7/14 都教委定例会 根津公子さんの傍聴記

7月14日に行われた都教委定例会についての根津公子の都教委傍聴記です。

■公開報告事項4点のうちから報告します。

●都立高校補欠募集の一層の活用・推進〔生徒の進路変更の希望に応え、再チャレンジを支援する仕組みの強化〕に向けて
 補欠募集について各学校の対応がバラバラなため、都民から様々な苦情が寄せられていることや、今年2月に出された不登校・中途退学対策検討委員会報告を受けて、「都立高等学校補欠募集の実施に関するガイドライン~中途退学防止のサポートネットの強化に向けて~」を策定するとともに、補欠募集要綱の一部改正を行い、それに基づく補欠募集を今年2学期より行うとの報告であった。
 新たに加えた理念は、「欠員を補充することだけでなく、高校入学後に、将来の目標が変わり他の高校で勉強したいなどの進路変更希望にも応えることで、中途退学を未然に防ぎ、教育の機会を確保すること」という。

根津コメント
都立高校の不登校3500人余、中途退学2700人余(2014年度)が生じることの原因がいまの学校の在り方、東京の教育の在り方にありはしないかと検証す
る視点が、教育委員には全くない。
都教委事務方、教育長と同じような考えを持ち、事務方の提案・報告を追認するだけの教育委員たちでは、不登校・中途退学が減ることも、補欠募集が「生徒の再チャレンジを支援する」ことにもならないだろう。本気で議論し解決したいのならば、都教委とは全く異なる教育感を持つ教育委員が必要なのだ。
 小学校入学時から子どもたちは差別選別教育の中に置かれ、学ぶ楽しさを奪われていく。また、自分の頭で考えるのではなく、指示に従うことを教え込まれ、それらによって自己の確立ができず、自己肯定感が育たない。日本の子どもたちの自己肯定感は世界的に見て非常に低い。その大きな原因は、学校教育にあると言っていい。都教委が教員を管理支配しないことが、不登校・中途退学についての一番の解決策であることは間違いない。
 私が教員であった時の体験でも、教員集団が校長や教育員会から管理支配されず、生徒たちを管理支配しない学校をつくったときには、生徒たちは皆、学校が大好きだった。生徒たちの手で学校生活をつくり、学校に生徒みんなの居場所があったからだ。そうした事実を都教委及び教育委員は知るべきなのだ。

■他に、「高校生元気アップスポーツ交流事業(地方創生事業)について」「東京オリンピック・パラリンピック教育フェスティバルの開催について」の報告があった。どちらも「2020年オリンピック・パラリンピックへの機運を高めることを目的としたオリンピック・パラリンピック教育。国威発揚、「愛国心」育成を意図した、生徒を使った“やらせ”だ。

■報告事項の議題に「『いじめ防止対策推進法』第30条1項に基づく報告について」というのが上がっていたが、この件は非公開議題とされた。そこで、この条文に当たってみたところ、『いじめ防止対策推進法』第30条1項は次のように記す。
 「いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき」には、「地方公共団体が設置する学校は、当該地方公共団体の教育委員会を通じて、重大事態が発生した旨を、当該地方公共団体の長に報告しなければならない。
 そして、同条2項及び3項で、「報告を受けた地方公共団体の長は、当該報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、附属機関を設けて調査を行う等の方法により、調査を行うことができる。」「地方公共団体の長は、前項の規定による調査を行ったときは、その結果を議会に報告しなければならない。」と記す。
 極めて重大ないじめの報告が議題になるということだ。

 非公開議題に移るところで傍聴者が退室させられるときに、傍聴者の一人が「○○小の子どもが殺されたのを知ってるか!」と声を上げた。この非公開議題と関連あるからのことばだったに違いない。しかし、教育長はその人に、「退場命令」(次回の傍聴は禁止され、それ以降の傍聴からは宣誓書を書かないと傍聴させてもらえない)を出した。どういう思いから声をあげたのかを、教育長たちが考えることはないのだろうな。

全文はレイバーネットを見てください。

http://www.labornetjp.org/news/2016/0714nezu