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2024年2月21日水曜日

2.12集会(2)

 2.12   総決起集会プログラム

    ・開会あいさつ

  ・講演 大内裕和さん(武蔵大学教授)

      「21世紀ファシズムと戦争にどう立ち向かうのか 」

   質疑

    ・現場からの問題提起 

   教育現場からの問題 宮澤弘道さん( 多摩教組委員長)

  ・現場からの報告

  「日の丸・君が代」 裁判の現状  第5次訴訟原告

   最高裁までの闘い 根津公子

   スピーキングテストの現状 義務制教員

   学習支援員裁判から 元千葉義務制教員

   埼玉でのミサイル訓練反対の闘い  埼玉義務制教員 

   改憲反対・軍拡反対 共同行動総行動 (共闘団体) 

  ・行動提起

  ・閉会挨拶 団結がんばろう   


宮澤さんの講演  渡部さんまとめ

大内さんの講演の後、「教育現場からの問題提起」として、公立小学校教員で多摩島嶼地区教職員組合執行委員長の宮沢弘道さんから、「憲法と教育・教育現場~教職員組合の現状と仲間づくり~」という報告があった(パワーポイントで30コマ)。

30分という短い時間だったので、宮沢さんはその全部を説明することはできなかったが、

それでも現在の教育現場がいかに過酷なものになっているかが参加者には伝わった。










■宮沢さんの報告を紹介する。

1、教員の現状

<階層化される職員室>

 現在、教員は上から順に 

①統括校長 ②校長(=部長にあたる)③副校長(=課長)④主幹教諭・指導教諭(=課長補佐)⑤主任教諭(=係長)⑥教諭(=係長補佐)

 とピラミッド型に階層化されている。

そのため、職場のつながりがなくなり、バラバラになり、殺伐とした雰囲気になっている(責任をおしつけたり)。

<働き方改革がもたらすもの>

 ・本当に忙しい教員

 (会議・各種調査・土曜授業・学校公開・研究授・・)

 ・月の残業時間は平均で123時間

 これに対し、「改革」として「スクールスタッフ」として     パートの方が入ってくる。

 かえって危ない。改革と言えば下からやらなければならな     いのに。

<教員不足の原因は・・②>(①は略)

 教職員の管理強化

  ・教職員の階層化により、競争と不公平感による疲弊

  ・人事考課制度の強化により、常に評価の目にさらされ          る緊張感による疲弊

  ・職員会議の形骸化により、自分の意見不在の「やらさ          れる仕事」蓄積による疲弊

  ・減らないパワハラ。管理職等、上司による非常識なパ           ワハラによる疲弊

<分析すると・・>

   ・2005年度までは不採用率(新規採用教員が1年で不採用       になる率)は1%前後

    それが、パワハラ相談増加とリンクする不採用率の上昇      (2022年度は4.4%に)

  ・補欠合格制度の廃止と期限付き任用職員制度の導入

  ・「非常勤講師ー産休・育休代替ー期限付任用ー条件付         採用など、幾重もの採用制度の完成

  ・「三楽病院(指定医)受診⇒病気休暇⇒90日条項によ          りクビ」

<教員不足の原因は・・③>

 組合の弱体化

 ・労使の関係性崩壊による「指示待ち教員」の増加

  それにより、働き方改革すらもトップダウンで進む現実

 ・改善の機会、相談場所が喪失している(締め付けへとつ       ながる)

 ・官製研修(つまらない)しか知らないことによる学ぶ意       欲の減退(年々減退する意欲)がある。

<教員不足の原因は・・④>

 特殊な学校文化  整列、挨拶、一人称、校則(ルール

   ・・etc

  ・管理的な文化への違和感を感じる若者は、受け入れて疲弊するか、反発して退職・   転職する ことになる。

<教員不足解消のためには・・・>

 (教育現場)

 ・組合を中心に民主的な職場を取り戻し教育内容・賃金

 ・労働条件の向上を図ること。

 (大学教育)

 ・学校に合わせる学生を生み出すのではなく、学校の常識に染まらない確固たる教育哲学を習得した学生の育成を目指すこと。つまり、現場から教育、労働運動を展開することで、待遇・魅力の向上を勝ち取ることが、教員不足解消につながる。


2、憲法・人権・道徳と教育

 <現在、私たちは心も体も国家の管理下にあります>

  2002年「健康増進法」が施行された。しかし、「憲法25条」には、「健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有する」と述べてあるのに、「健康増進法2条」には、「国民は・・・自分が健康であるようにする責務がある」と述べてあり、さらに、10条、16条では厚労大臣や知事に調査権の行使を認める、ことになっている。

 つまり、今病気でなくても予防的観点から人々の生活を管 理下に置き、修正要求を要求できることになる。

  そして、道徳の教科化により・・身体も「評価対象」になる。

<政治に無関心な教員>

 ・選挙活動制限の勘違い、として、中には、選挙に行くこ         とができないと思っている教員もいる。

 ・バランス至上主義が支配している。

 ・職員室の会話では政治の話が出ない

 ・主権者の役割を果たしていない先生による主権者教育を    やっている。

 ・自己責任を声高に叫ぶ学校になっている。

「子どもと人権」には(1)(2)(3)がありましたが、ここでは、その中から宮沢さ んが話した内容に絞って紹介します。)

<子どもの権利条約第12条「意見意見表明権」とは>

・「自己の意見を形成する能力のある子ども」は誤訳で、正しくは「子どもは自己の意見 を表明する能力があり・・」だ。それを受け止め、改善するのが大人の役目である。

 コロナ禍で弱者(子ども)は我慢の連続だ。声もあげられない。

<人権と道徳は別物>

 人権はあくまでも「人」としての権利の保障だ。これに対して道徳は国家体制を維持す るためのもので、個人にまなざしが向けられるという特質がある。

 (個人が悪者に)

<道徳教科化のねらい>

 キーワードは「自己責任論」である。戦前の「修身」は筆頭科目で、各教科ではその中 に道徳的な 内容を入れなければならなかった。その結果暗黒時代になった。

 今の「特別の教科・道徳」は、各教科の扇の要と言っている。しかし、本来、<各教科の科学的内容が優先されなければならない>。

<愛国心教育と近代憲法>

 前者は、真ん中に「私」がおり、その周りを「国・公」が取り囲んでいる。後者は、「多くの私」と「国・公」は対等な立場だ。


3、教職員組合の現状

 ・組織率は…極めて低くなってきており、厳しい状態だ。

 ・組合員の高齢化も進んでいる。

 ・疲弊した新規加入者の存在。

 ・メリットデメリット論による組合不要論がある。

 ・政治とか連合とかは、ここだけの話になってしまう。

 <組織力向上のポイント>

 ・まず寄り添うことがはじめの一歩だ。オルガナイザーは誰でもできる。

 ・身近な労働条件闘争を!

 ・職場会の充実 まずは「聞く」こと。若い職員の声から運動の方向性が見える。

 ・総論賛成でリベラル勢力の結集を!


宮沢さんは

「終りに」(教育を取り戻すために確認したい事)として

  ①誰がやってもよい仕事

  ②理想を語れる仕事

  ③半径1mが大切な仕事

 をあげていた。

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宮沢さんの話が終わった後、98歳という高齢をおして参加してくれた北村小夜さんが、「話したい」と手をあげ、次のようなことを話してくれた。

北村

 戦前に教育を受けた自分にとって、宮沢さんの話は大変良かった。戦後の1947年、教育基本法ができたが、そこでは「道徳」ではなく、「科学」的なことを優先することになった。また、当時は、教員になるとみんな日教組に入った。

「国家権力」が現場を支配するというのは「国家」の在り様と関係しているということだ。

「科学」的な内容をきちんと教えなければならない。

●また、アンケートには、

・宮沢さんの「教員の実情」についての話は、あまりに絶望的な状況に子供たちの将来が心配です。教育にお金をかけない日本の政治を何とかしなければと思います。

 学校は利益を目的とする会社とは違うのだから、教師に上下をつけるのは間違いだ。

・宮沢さんのお話は教育現場の予想以上に深刻な実態がよくわかりました。15年ほど前に退職しましたが(当時も職場状況は悪くなっていましたが)はるかに大変な状況と感じました。組合活動を支えている方の苦労・困難を改めて知りました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー今回の第20回「総決起集会」は、私たちがどういう時代に生きており、その中でどう闘っていけばよいかが問われた集会だったと思います。

全国の皆さん、共に連帯して闘って行きましょう。