■大阪市の高校教科書採択に関する動向が、「大阪の会」の伊賀さんから寄せられましたのでアップします。。
◆大阪市教委「採択の基本方針、採択の仕組みを確認」
7月23日、高校教科書採択に関わって、大阪市教育委員会議が開催され、採択の基本方針、採択の仕組みを確認した後、各高校からの「答申書」が教育委員に手渡されました。最終的な採択は、7月30日に行われることになりました。
審議の中では、橋下市長の肝いりの公募教育委員である大森不二雄委員は、「選定調査会、答申は文科省の出している法令には規定されていない。」「従って、答申の法的性格から言えば、教育委員会が答申に縛られることはない。」「答申は教育委員会が適切な判断をするための補助。答申とは違う判断をすることに問題はない。」と何度も、教育委員会が「答申」に縛られないことを確認していました。
7月上旬に行われた教育委員協議会(教育委員による闇会議)の場では、ある教育委員から実教出版の問題点を指摘する発言があったと言われていますので、今回の大森委員の発言は、7月30日の教育委員会議で実教出版を選定した「答申」を教育委員会の判断で覆すための布石だと考えられます。
また、今年の大阪市立高校の教科書採択は、橋下市長の意向もあり以下の3点で採択制度の変更が行われました。①各学校での調査研究で保護者・生徒の意見を取り入れる。②学校協議会の意見も取り入れる。③昨年まで「答申」では選定した教科書1社を明記していたが、今年度は次点の教科書も記載し、選定した教科書との比較を記述する。
特に③は、教育委員会が各学校の「答申」を無視して採択変更をしやすく方向に作用するものです。
戦後、高校の教科書採択において、学校で選定した教科書が教育委員会議で覆されたのは1度しかありません。昨年、横浜市教委で実教出版が採択変更され大きな問題となったのでした。
なぜ、戦後一貫して高校では、学校採択(学校が選定した教科書を教育委員会で採択)が行われてきたのでしょうか。高校は、教育目標や教育課程、生徒の実態などが小中学校以上に各学校ごとに違い、教科内容も専門性が高い。従って、教科書採択には専門性を有する学校現場の声が優先されることは教育の条理から言っても当然のことです。
教育委員会が、現場から上がってきた「答申」を覆すのであれば、それぞれの学校の状況を踏えた相当の理由が必要なことは明らかです。しかし、教育委員は、約200冊ある全ての高校教科書を読んで、どれがその学校に最も適しているのか検討し、採択することなど現実的に不可能です。教育委員に全ての教科書が手わたされることさへ出来ていないのが実態なのではないでしょうか。そのような状況で、教育委員が現場からの「答申」を否定することなど、出来るはずがありません。
教育条理から言っても、教育委員による教科書調査研究の実態から言っても、これまで学校採択が行われてきたのです。
大阪市教育委員会は、7月30日教育委員会議で、各学校からの「答申」を覆し、採択変更するならば、戦後高校教科書採択で定着していた教育条理を完全に覆す暴挙と言うほかありません。是非とも、7月30日までに、大阪市教育委員会に対して、各学校からの「答申」を尊重して採択を行うように要求してください。
要請先
大阪市教育委員会 総務部総務課 企画グループ
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