■7月25日(木)、都庁ビラ撒きと都教委定例会傍聴行動がありました。渡部さんの報告です。
◆7/25チラシ撒き
<河原井さん根津さんらの「君が代」解雇をさせない会>の都庁前早朝チラシ撒き(9名参加) ※チラシの内容は、・実教出版教科書排除が大阪でも/ ・7月11日の都教委定例会傍聴記
★都庁職員の受け取りが悪くなっていることでした。最近、板橋特別支援学校などでも校長が職員に対し、「チラシを受け取るな」というような事を言っていますが、そのようなことが都庁でも起きているのかと感じるほどでした。或いは、無関心、自己規制、それとも批判者に対する敵対でしょうか。
★最近読んだ『ルポ 貧困大国アメリカⅡ』(堤未果著)という本には、次のような部分がありました。それは、アメリカ社会の後追いをしている日本社会の私たちに対する警告かもしれません。
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医療破産したある女性は、取材の中で私に言った。 「一番こわいものはテロリストでも大不況でもなく、
いつの間にか私たちがいろいろなことに疑問を持つのをやめ、 気づいた時には声すら自由に出せない社会が作られてしまうことの方かもしれません。」
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◆都教委定例委員会を傍聴
★本日の傍聴者は、来年度の教科書採択(・都立の中学校、・中等教育学校、・特別支援学校(小、中)の)があったせいか、普段より多く19名でした。
傍聴券配布のときに小さな番号札を渡され、その順番に名前などを書かされました。
傍聴席には全て大きな番号札(初めて)が置いてあり、そこに座らされました。(誰がどこに座ったかがわかるように)しかも私たち傍聴人(10名づつ2列)の後ろには監視の職員が10名陣取っていました。
★定例会開始早々、木村孟教育委員長は、7月11日のときにAさんが都教委を批判したことで退場を命じたことをあげ、そういうことをした場合には、注意2回目には退場させると言いました。 当然、何人かが、「都教委がおかしなことをやるからそうなるんだ」と声を上げました。木村委員長はさっそく「静かにしなさい!」と大声を上げました。
★教科書の採択については、
・都立中学校及び中等学校の「社会(歴史的分野)(公民的分野)」は全て<育鵬社>
・特別支援学校(中)も、(聴覚障害)(肢体不自由・病弱)の学校については、「社会(歴史的分野)」は<育鵬社>でした。
全く「自由主義史観」に偏った採択です。しかも都教委はこの事務局提案を全く論議もないまま決定しました。 傍聴席からは不満の声が上がりました。すると木村委員長は又しても「静かにしなさい!」と大声。
★その後、「報告事項」に移り、
・都立高校入学者選抜制度の改善の検討
・学校におけるアレルギー疾患対策対策
などが報告され、最後に「請願について」と「回答」という文書が示されました。
「請願について」というのは、都教委が実教出版を排除する「見解」(6月27日)を決議したことに対して出されたこの間の「請願など」をまとめたものでした。
それによると、<陳情等(団体要請)>は26件 (いずれも「見解」の議決に抗議し撤回を求めるもの)(7/24提出の「抗議声明」もこの中に入っていると情報課の係長が私たちに言いました)
<都民の声>は73件 うち、70件が「見解」への反対意見、3件が「見解」への賛成意見
要するに、圧倒的に反対意見が多いのです!!
★そのうちから、
(1)都教委の高校教科書採択妨害を許さない実行委員会(7月9日)
(2)都立高校のいまを考える全都連絡会(7月11日)
のものが全文紹介され、その要約が以下のようにまとめてありました。
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<請願事項>
教科書の採択においては、現場の教員の意見が最大限、尊重されるべきである。都立高校でも、従来、学校での選定結果に沿った採択がなされてきた。議決した見解によらず、従来の採択をしてもらいたい。
(1)2013年6月27日に議決した「平成26年度使用都立高等学校用教科書についての見解」を撤回すること。
(2)東京都教育委員会ならびに教育委員各位は、当該議決の誤りを認め、都民ならびに関係者に謝罪し、同様の誤りを二度と繰り返さない意思を表明すること。
(3)この請願について、直近の教育委員会において協議し、都教委および教育委員各位の見解を文書で示すこと。
<請願の理由>
(1)教育委員会という教育行政機関が自らの考え方と異なるからとして特定教科書を排除することは、検定制度の趣旨に反する。
また、行政機関の考え方と異なる考え方を小供に触れさせないようにすることは、学習権の侵害である。
(2)扶桑社等の教科書採択の際に、都教育委員は「検定に合格した教科書は全て採択の対象となる」と説明してきた。今回の「見解」は従来の都教育委員会の考え方と異なるものである。
(3)実教出版の教科書は、検定に合格し、合法的に教科書として出版されている。一地方教育委員会が自らの考え方と異なるからとして、採択を排除する法的根拠は存在しない。これは出版・言論の自由の侵害である。
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次に、都教委の「回答」は以下のようなものでした。
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都立学校の教科書の採択権は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第23条第6号の規定により東京都教育委員会(以下「都教育委員会という。)にあります。
都教育委員会は、各都立学校において、最も適切な教科書が使用されるようにしなければならない責任を有しており、教科書の採択は、採択権者である都教育委員会が、その責任と権限において、適正かつ公正に行う必要があります。
平成24年1月16日の最高裁判決において、国歌斉唱時の起立斉唱等を教員に求めた校長の職務命令は合憲と認められており、実教出版株式会社の「高校日本史A]及び「高校日本史B」にある「一部の自治体で公務員への強制の動きがある。」との記述は、国旗掲揚・国歌斉唱は、児童・生徒の模範となるべき教員の責務であるとする都教育委員会の考え方と異なるものであり、都立高等学校で使用する教科書としては適切でないと考えます。
こうしたことから、平成25年6月27日、採択権者である都教育委員会は、委員総意の下、「平成26年度使用都立高等学校(都立中等学校の後期課程及び都立特別支援学校の高等部を含む。)用教科書についての見解」を議決したものです。
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★これを木村孟教育委員長が読み上げ、教育委員たちに「異論ございませんね」というようなことを言い、確認しました。
これが「報告事項」として取り扱われた事自体おかしなことです。
★そこで、傍聴者のBさんは、「論議してないじゃないか!」、「委員は意見を出せ!」、
「最高裁判決(「一部の自治体で公務員への強制の事実がある」と述べている)を無視するものではないか!」、というように抗議すると、木村委員長は彼に対し「退場」を命じ、彼は退場させられました。
また、傍聴者のCさんも、この回答のいい加減さに業を煮やし、「(実教出版教科書に書いてあることは)事実だ!」と大声で抗議しました。すると木村委員長は今度はCさんにも「退場」を命じ、Cさんも退場させられました。
★その後、竹花委員は、そこにいたマスコミ各社に向けて(?)、「マスコミでは都教委が『介入』したと書いているところもあるが、採択権は都教委にあるのだから、介入には当たらない」というようなことを述べました。しかし、介入より何より、多くの人々は特定の教科書を権力的を笠に着て排除したことを問題にしているのです。
★会議終了、退出時、「実教社出版の教科書排除はやってはならないことを都教委はやった。都教委は生徒たちに事実・真実を知られるのが怖いのだ。これのどこが公正なのだ。あなたたちは生徒たちをどこに連れて行こうとしているのだ。恥を知れ!恥を知れ!恥を知れ!」と抗議の声がでました。
職員らは私それを制止しようとしましたが、傍聴者の多くもそれぞれ声を上げ抗議しました。
根津さんは、昨日都教委に出した抗議声明などを教育委員(とりわけ山口委員と乙武委員)に示し、「ここに置いておくので読んでください」と強く要求しました。
この「騒ぎ」は、部屋を出されてからもしばらく続きました。
いくら、傍聴のあり方を規制しようと、傍聴者を退場をさせようと、警備体制を強化しようと、都教委がおかしなことをやればやるほど、人々の反発は収まらず、強まるだけなのです。(退場者は前回の1名から2名に増えたのです)
また、今回指導課から「請願について」が出され、件数、請願内容が直接会議に提出されました。これは初めてです。今までは、年に2回くらい、まとめて件数だけが教育委員に知らされるだけでした。
ようやく私たちの声が少し反映されるようになったのでしょうか。これが新たな反撃の一歩になればと思います。