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2015年5月31日日曜日

5.28 根津・河原井さん勝訴






5月28日の裁判の勝利判決について、渡部さんのコメントです。



▼記者会見 





今回の判決について
一方では確かに「職務命令」と原則的には「戒告」処分まで認め、かつ根津さんに関しては停職3ヶ月まで認めているのですが、内容的には河原井・根津さんらの大きな勝利と言って良いでしょう。

本日(5月28日)東京高裁(須藤典明裁判長)で、河原井純子さん、根津公子さんに対する画期的な「逆転勝訴」判決(都教委の裁量権逸脱で違法、損害賠償も認める)が出されました。
この裁判は、2007年3月の卒業式で「君が代」不起立により、河原井さんには3ヶ月、根津さんには6ヶ月の停職処分が出されたことに対し二人が訴えたものです。

■判決文からいくつかの要点を紹介

★まず、根津さん対してなされた「停職6月」が妥当かどうかについての高裁の判断
「停職処分は、・・処分それ自体によって一定の期間における教員としての職務の停止及び給与の全額不支給という直接的な職務上及び給与上の大きな不利益を与える処分であって、将来の昇給等にも相応の影響が及ぶだけではなく、職員の懲戒に関する条例によれば、停職期間の上限は6月とされていて、停職期間を6月とする本件根津停職処分を科すことは、控訴人根津が更に同種の不起立行為を行った場合に残されている懲戒処分は免職だけであって、次は地方公務員である教員としての身分を失うおそれがあるとの警告を与えることとなり、その影響は、単に期間が倍になったという量的な問題にとどまるものではなく、身分喪失の可能性という著しい質的な違いを控訴人根津に対して意識させざるを得ないものであって、極めて大きな心理的圧力を加える結果になるものであるから、十分な根拠をもって慎重に行われなければならないものというべきである。そして、控訴人根津において過去に懲戒処分や文書訓告の対象となったいくつかの行為は、既に前回根津停職処分において考慮されている上、本件根津不起立は、以前に行われた掲揚された国旗を下ろすなどの積極的な式典の妨害行為ではなく、国歌斉唱の際に着席したという消極的な行為であって、気分を害した参加者がいることは否定できないものの、その限度にとどまるもので、特に式典が混乱したこともないから、停職期間3月という前回根津停職処分を
更に加重しなければならない個別具体的な事情は見当たらないというべきであって、控訴人根津がこれまでにも同種の行為を繰り返していることを考慮したとしても、前回根津停職処分の3月の停職期間を超える処分を科すことを正当なものとすることはできないというべきである。」
 
 「以上によれば、本件根津停職処分において停職期間を6月とした都教委の判断は、具体的に行われた非違行為の内容や影響の程度等に鑑み、社会通念上、行為と処分との均衡を著しく失していて妥当性を欠くものであり、懲戒権者としての都教委に与えられている裁量権の合理的な範囲を逸脱してなされたものといわざるを得ず、違法なものというべきである。」
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以上のようにここでは「停職期間6月」は「違法なもの」として都教委は断罪されています。またこの中には「次は地方公務員である教員としての身分を失うおそれがあるとの警告を与えることとなり」とも述べられていますが、大阪の奥野さんへの<警告書>などはとんでもない大阪府教委の裁量権逸脱と言えるでしょう。

★都教委の機械的な加重処分と思想信条の自由の問題
「都教委は、・・・・国歌斉唱時に起立しなかった教職員に対して、職務命令違反として、1回目は戒告、2回目は給与1月10分の1を減ずる減給、3回目は給与6月の月額10分の1を減ずる減給、4回目は停職1月、5回目は停職3月、6回目は停職6月の各処分を行っており、
l.このような機械的な運用は、もともと機械的に一律に加重処分して処分を行うことには慎重な検討をを要請していた本件国会審議答弁における各答弁内容や本件処分量定を定めた趣旨に反するものといわざるを得ない。しかも、このような学校における入学式、卒業式などの行事は毎年恒常的に行われる性質のものであって、しかも、通常であれば、各年に2回ずつ実施されるものであるから、仮に不起立に対して、・・戒告から減給、減給から停職へと機械的に一律にその処分を加重していくとすると、教職員は、2、3年間不起立を繰り返すだけで停職処分を受けることになってしまし、仮にその後にも不起立を繰り返すと、より長期間の停職処分を受け、ついには免職処分を受けることにならざるを得ない事態に至って、自己の歴史観や世界観を含む思想等により忠実であろうとする教員にとっては、自らの思想や信条を捨てるか、それとも教職員としての身分を捨てるかの二者択一の選択を迫られることになり、そのような事態は。もともとその者が地方公務員としての教職員という地位を自ら選択したものであることを考慮しても、日本国憲法が保障している個人としての思想及び良心の自由に対する実質的な侵害につながるもであり、相当ではないというべきである。」
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ここでは最後に、機械的な加重処分は、「日本国憲法が保障している個人としての思想及び良心の自由に対する実質的な侵害につながる」と述べています。
要するに、都教委は(実質的に)憲法違反を犯していると述べているのです。
また、田中聡史さんへの「再発防止研修」や大阪市の不起立3回で免職などという条例はまさに憲法違反と言えるでしょう。

★さらに損害賠償に関しては次のように述べている
「停職処分は、減給とは異なって、単に経済的な不利益があるだけではなく、一定の期間、その職務が停止されるという職務上の不利益を伴い、しかも、戒告や減給と比較すると、処分を受けたことが外部からも認識することができるものであることや、教員の場合は、停職期間中は教室等で授業をすることができず、教壇に立てないことによって、児童生徒との継続的な人格的触れ合いをすることもできなくなり、ひいては教育活動に欠かすことができない児童生徒との信頼関係の維持にも悪影響を及ぼすおそれがあり、長くなれば なるほど影響も大きくなることを考えると、本件各処分を受けたことにより控訴人らは精神的な苦痛も受けているものというべきである。しかも、控訴人らは、本件各処分による
 停職期間経過後に復職しても、児童生徒との間で当然に信頼関係が回復されるわけではなく、控訴人らにおいて児童生徒との信頼関係を再構築して、再び円滑に人格的な接触を図ることができるようになるまでには、やはり精神的な苦痛を受け、相応の努力を要するものと考えられることなどの事情を総合的に考慮するならば、本件各処分によって控訴人らが被った上記のような精神的苦痛は、本件各処分が取り消されたことによって図られる財産的な損害の回復によって当然に慰謝されて回復することになるものではないというべきである。」

「都教委において、控訴人河原井につき停職3ヶ月、控訴人根津につき停職6月としたことは、いずれも裁量権の合理的な範囲を逸脱したものとして違法というべきであり、そのような処分によって控訴人らが受けた精神的苦痛については損害賠償によって慰謝されるべきものと考えるが、・・(他方において職務命令には違反したとして)・・本件各処分によって控訴人らが被った精神的苦痛に対する慰謝料は、控訴人らそれぞれに対して10万円とするのが相当である。」
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ここでは、教育活動との関係において、「精神的苦痛」を認め、それは「財産的な損害の回復」だけでは慰謝されず、「慰謝料」を払うべきだと述べています。

以上のように、今回の判決は、一方では確かに「職務命令」と原則的には「戒告」処分まで認め、かつ根津さんに関しては停職3ヶ月まで認めているのですが、内容的には河原井・根津さんらの大きな勝利と言って良いでしょう。

■この勝利判決を受けた報告集会で、
★河原井さんは、「すべての処分が取り消されないと完全勝利はない。しかし、一歩一歩階段を上っていると思っている。判決を生かさなければならない」と述べました。
★根津さんは、「まさかこんな判決が出るとは思わなかった。良かった。これで田中さんも救われる。『10・23通達』が根本から覆る、最高裁判決も覆る可能性がある」と述べました。
二人には「河原井さん根津さんらの『君が代』解雇を許さない会」から、抵抗の「白バラ」が贈られました。

全国の仲間のみなさん!
日本が急速に「戦争する国」に向かおうとしている現在、今回の判決は私たちに<大きな希望と勇気>を与えてくれたと思います。
また、「諦めず闘うことの大切さ」を教えてくれたと思います。<希望もて丘越え行けば花ざかり>です。
ともに連帯して闘いを堅持して行きましょう!!

5/28控訴審の報告はレイバーネットにもでていますので、ご覧ください。
http://www.labornetjp.org/

5月25日、再雇用拒否撤回を求める第2次訴訟

5月25日、再雇用拒否撤回を求める第2次訴訟において東京地裁(民事36部吉田徹裁判長)で判決があった。
判決では、「君が代」斉唱時の不起立「のみ」を理由に、東京都が定年退職後の再雇用職員、非常勤教員等の採用を拒否したのは、「期待権を侵害」し「裁量権の逸脱・濫用で違法」として、東京都に原告22名の元都立高校教員に211万円~260万円の損害賠償を命じる判決を言い渡した。報告はすでにブログにアップしたが、写真を添付します。

▼弁護士会館前で


▼原告団を先頭に、地裁へ向かう。

▼勝訴した!




▼判決についての弁護士から説明

▼記者会見



2015年5月30日土曜日

5/28 河原井・根津裁判 高裁で逆転勝訴

5月28日に根津・河原井さんの停職裁判の判決がありました。勝訴!!
近藤徹さんの報告です。

◆都教委にダブルパンチ 河原井・根津裁判 高裁で逆転勝訴!
5月28日、2007年卒業式での「君が代」斉唱時の不起立による職務命令違反を理由とした河原井さん(都立八王子東養護学校・当時)の停職3月、根津さん(町田市立鶴川二中・当時)の停職6月の処分取消訴訟において東京高裁(第14民事部須藤典明裁判長)は機械的な累積加重処分を明確に否定して「裁量権の逸脱・濫用」で「違法」として、両処分の取り消し、さらに精神的苦痛に対する慰謝料各10万円の支払いを命じ、一審地裁判決を変更して逆転勝訴の画期的な判決を出しました。

■判決について
一審東京地裁では、河原井さんの停職3月の処分を取り消したものの、根津さんの停職6月の処分を適法とし、両人の損害賠償請求を棄却していました。また、根津さんは最高裁で減給6月、停職1月、停職3月の取消請求がを棄却されており、東京高裁での逆転勝訴は無理だと思われていました。

須藤裁判長は、主文」を読み上げた後、「判決要旨を述べます」といい、普通は用意したペーパーを読むだけですが、ペーパーを見ることもなく傍聴席に向かって抑揚をつけ語りかける調子で約10分も(驚きです!)判決要旨を述べました。

これにより都教委は、10・23通達(2003年)関連の事件で、25日の再雇用拒否撤回第二次訴訟に続いて敗訴し、再び断罪され、今週だけで司法より痛烈なダブルパンチを浴びせられられました。また、東京「君が代」裁判三次訴訟の31件・26名の減給・停職処分取り消しを除いても、都教委が係わる事件で6連敗(再発防止研修未受講事件(原告福嶋さん)、再任用更新拒否事件(原告杉浦さん)、条件付き採用免職事件(Yさん)、Oさん免職事件の執行停止申立、再雇用拒否撤回二次訴訟、今日の河原井・根津停職事件)となり、都教委の異常性を際だたせる結果となりました。

<判決 主文(抜粋)> (  )内は近藤の注
1 控訴人ら(河原井さん・根津さん)の控訴にに基づき、原判決中、控訴人らの敗訴部分を取り消す。
2 東京都教育委員会が控訴人根津に二対してした平成19年3月30日付け懲戒処分を取り消す。
3 被控訴人(東京都)は、控訴人河原井に対し、10万円及びこれに対する平成19年3月30日から支払い済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。
4 被控訴人は、控訴人根津に対し、10万円及びこれに対する平成19年3月30日から支払い済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。
5 控訴人らのその余の請求を棄却する。
6 被控訴人の控訴を棄却する。
7,8 略

<判決文より抜粋 印象的なところ>

★処分量定について
 
(停職出勤などに言及した上で)これらの行為は,前回根津停職処分が間違っているとの控訴人根津の意思を表明する行為であって,・・・上記の行為を勤務時間中に勤務場所で行ったのではなく,・・・具体的に学校の運営が妨害されたような事実はなく,「日の丸」「君が代」が戦前の軍国主義等との関係で一定の役割を果たしていたとする控訴人・・・の歴史観や世界観に基づく思想等の表現活動の一環としてなされたものというべきであるから。・・・本件根津停職処分における停職期間の加重を基礎づける具体的な事情として大きく評価することは,思想及び良心の自由や表現の自由を保障する日本国憲嬢の精神に抵触する可籠性があり,相当ではないというべきである。
 
・・・停職処分は,・・・処分それ自体によって一定の期間における教員としての職務の停止及び給与の全額不支給という直接的な職務上及び給与上の大きな不利益を与える処分であって,将来の昇給等にも相応の影響が及ぶだけではなく,・・・条例によれば,停職期間の上限は6月とされていて,停職期間を6月とする本件根津停職処分を科すことは,・・・更に同種の不起立行為を行った場合に残されている懲戒処分は免職だけであって,次は地方公務員である教員としての身分を失うおそれがあるとの警告を与えることとなり。その影響は。単に期間が倍になったという量的な問題にとどまるものではなく,身分喪失の可能性という著しい質的な違いを・・・意識させざるを得ないものであって,極めて大きな心理的圧力を加える結果になるものであるから十分な根拠をもって慎重に行われなければならない・・・。

★本件各処分の違法性及び都教委の過失の有無について
本件各処分が懲戒権者としての裁量権の範囲を逸脱してなされたものとして違法であることは、上記説示の通りであるが、・・・都教育庁指導部は,平成14年11月に本件指導資料を作成し,国旗・国歌の法制化に当たり,主要国会審議における内閣総理大臣,文部大臣及び政府委員からの答弁・・・を掲載したが,その中には,学校における国旗・国歌の指導と,児童・生徒の内心の自由との関係についての答弁として,「学習指導要領に基づいて,校長,教員は,児童生徒に対し国旗・国歌の指導をするものであります。このことは,児童生徒の内心にまで立ち至って強制しようとする趣旨のものでない」との内閣総理大臣の答弁,「単に従わなかった,あるいは単に起立をしなかった,あるいは歌わなかったといったようなことのみをもって,何らかの不利益をこうむるようなことが学校内で行われたり,あるいは児童生徒に心理的な強制力が働くような方法でその後の指導等が行われるということはあってはならない」との政府委員の答弁が掲載されていることが認められ,上記答弁をみると,国旗国歌法制定に至る国会審議の過程においても,国旗国歌に対する起立及び国歌斉唱には,日本国憲法が保障している思想及び良心の自由との関係で微妙な問題を含むものであること・・・「個人の歴史観ないし世界観に由来する行動(敬意の表明の拒否)と異なる外部的行為(敬意の表明の要素を含む行為)を求められることとなり,その限りにおいて,その者の思想及び良心の自由についての間接的な制約となる面があること」・・・が意識されていたことが認められる。したがって,国旗国歌法制定に当たって,外部的行為は,思想及び良心の自由との関係で微妙な問題を含むものであることにも配慮して,起立斉唱行為を命ずる職務命令に従わず,殊更に着席するなどして起立しなかった者について懲戒処分を行う際にも、その不起立の理由等を考慮に入れてはならないことが要請されているものというべきである。

・・・また,・・・処分量定はあくまで標準であり,個別の事案の内容や処分の加重につい・ては,表に掲げる処分量定以外とすることもあり得るものと定められていることを考慮すると,本件処分量定が定めている「処分量定の加重」ということは,必ず加重しなければならないという意味での必要的な加重を定めているものではないと解される。しかも,上記認定のとおり,本件指導資料に掲載された本件国会審議答弁には,国旗・国歌の指導に関する教職員への職務命令や処分についての答弁として,「職務命令というのは最後のことでありまして,その前に,さまざまな努力ということはしていかなきゃならないと思っています。」との文部大臣の答弁,「実際の処分を行うかどうか,処分を行う場合にどの程度の処分とするかにつきましては,基本的には任命権者でございます都道府県教育委員会の裁量にゆだねられているものでございまして,任命権者である都道府県におきまして,個々の事案に応じ,問題となる行為の性質,対応(ママ),結果影響等を総合的に考慮して適切に判断すべきものでございます。・・・なお,処分につきましては,その裁量権が乱用されることがあってはならない」との政府委員の答弁,「教育の現場というのは信頼関係でございますので,・・・処分であるとかそういうものはもう本当に最終段階,万やむを得ないときというふうに考えております。このことは,国旗・国歌が法制化されたときにも全く同じ考えでございます。」との文部大臣の答弁が掲載されていることが認められるのであって,このような上記答弁の趣旨は,国旗国歌法制定に当たり,国旗の掲揚や国歌の斉唱に関する指示や職務命令等に従わない教職員に対する懲戒処分を発令する場
合には,問題となる行為の性質,態様,結果,影響等を総合的に考慮して適切に判断すべきであることや、園発令が合理的な裁量嫌悪範囲を逸脱したり、裁量権を濫用してなされるものであってははならない・・・。

★(体罰の事案との比較で 累積加重処分について)
都教委は,体罰に至る背景事情,体罰等の態様,傷害の有無・程度,児童・生徒への影響,過去の処分等を総合的に判断し,.量定を決定しており,個別の事案ごとに処分を決定し,あらかじめ体罰の回数に応じて機械的に一律に処分を加重していくという運用はしていないことが認められる。

そうすると,本件処分量定においても,本件国会審議答弁においても,機械的に一律に処分を加重して行うことには,もともと慎重な検討が要
請されていたものということができる。しかるに,都教委は,上記認定のとおり,平成15年11月から12月にかけて行われた都立学校の周年記念式典以降,入学式,卒業式又は周年記念式典において,校長から起立斉唱行為を命ずる職務命令が発せられていたにもかかわらず,国歌斉唱時に起立しなかった教職員に対して,職務命令違反として,1回目は戒告,2回目は給与1月の月額10分の1を減ずる減給,3回目は給与6月の月額10分の1を減ずる減給,4回目は停職1月,5回目は停職3月,6回目は停職6月の各処分を行っており,このような機械的な運用は,もともと機械的に一律に加重して処分を行うことには慎重な検討を要請していた本件国会審議答弁における各答弁内容や本件処分量定を定めた趣旨に反するものといわざるを得ない。しかも,このような学校における入学式,卒業式などの行事は毎年恒常的に行われる性質のものであって,しかも,通常であれば,各年に2回ずつ実施されるものであるから,仮に不起立に対して,上記のように戒告から減給,減給から停職へと機械的に一律にその処分を加重していくととすると,教職員は,2,3年間不起立を繰り返すだけで停職処分を受けることになってしまい,仮にその後にも不起立を繰り返すと,より長期間の停職処分を受け,ついには免職処分を受けることにならざるを得ない事態に至って,自己の歴史観や世界観を含む思想等により忠実であろうとする教員にとっては,自らの思想や信条を捨てるか,それとも教職員としての身分を捨てるかの二者択一の選択を迫られることとなり,・・・日本国憲法が保障している個人としての思想及び良心の自由に対する実質的な侵害につながるものであり,相当ではないというべきである。

★(累積加重処分の否定)

上記のところを考慮するならば,被控訴人においては,起立斉唱の職務命令に反して起立して斉唱しなかった控訴人らに対して不利益処分を科す際には,その処分が控訴人らの個人的な思想及び良心の自由に対しても影響を与えるものであることを十分に考慮した上,不起立の回数によって機械的かつ一律に加重して処分を行うのではなく,本件各処分の対象となった不起立等の態様や,不起立によって式典にどのような影響が生じたのか等を個別具体的に認定し,想定される処分がなされた場合に生ずる個人的な影響や社会的な影響等をも慎重に検討した上で,それぞれの非違行為にふさわしい処分をすべきものであった。

しかるに,本件では,都教委が控訴人らに対して本件各処分を行うに当たり,本件各不起立の性質,実質的影響,本件各処分によって控訴人らが受けることになる不利益,社会的影響等についても十分に考慮した上で慎重に検討されたことを認めるに足りる的確な証拠はない。そうである以上,本件各処分には懲戒権者に与えられている合理的な裁量権の範囲を逸脱した違法があるものといわざるを得ず,しかも,上記認定のとおり,本件指導資料に掲載された本件国会審議答弁の内容やその趣旨は、都教委関係者は当然い理解しておくべきであって、・・・機械的かつ一律に処分を加重することを許容すべき者ではないことは明らかで・・・都教委には本件各処分に際して過失があったものと言わざるを得ず、国賠法上も違法性が認められるというべきである。

5/29東京新聞報道 「君が代不起立逆転勝訴」


2015年5月27日水曜日

5/25 再雇用拒否二次訴訟 勝訴、都教委を断罪! 損害賠償を命じる

 5月25日、再雇用拒否撤回を求める第2次訴訟において東京地裁(民事36部吉田徹裁判長)、「君が代」斉唱時の不起立「のみ」を理由に、東京都が定年退職後の再雇用職員、非常勤教員等の採用を拒否した事案について、「期待権を侵害」し「裁量権の逸脱・濫用で違法」として、都に原告22名の元都立高校教員に211万円~260万円の損害賠償を命じる判決を言い渡しました。近藤徹さんの報告です。

本件訴訟は、2007年度~2009年度に再雇用を拒否された原告(元都立高校教員25名・当時。現在の原告数22名)が2009年9月東京地裁に提訴して、「君が代」斉唱時の不起立を理由とした再雇用拒否等が違憲であり、かつ東京都・都教委の「裁量権の逸脱・濫用」であることを争点として「損害賠償」を求めて争ってきた事案です。この間お亡くなりになった2名の原告も今日の勝訴を待ちわびていたと思うと残念でなりません。

判決内容は、都教委の主張をことごとく斥け不当な採用拒否を断罪しています。以下長いですが、裁判所発行の判決骨子(全文)をお読みください。

<骨子>


平成27年5月25日午後1時30分判決言渡103号法廷
平成21年(ワ)第34395号損害賠償請求事件
東京地裁民事第36部 吉田徹裁判長松田敦子吉川健治

判決骨子

1 当事者
原告○○ほか2 1 名  被告東京都

2 事案の概要
本件は,東京都立高等学校の教職員であった原告らが,東京都教育委員会(以下「都教委」という。)が平成18年度,平成19年度及び平成20年
度に実施した東京都公立学校再雇用職員採用選考又は非常勤職員採用選考等において,卒業式又は入学式の式典会場で国旗に向かって起立して国歌を斉唱することを命ずる旨の職務命令(以下「本件職務命令」という。)に違反したことを理由として,原告らを不合格とし,又は合格を取り消した(以下,これらの選考結果等を「本件不合格等」という。)のは,違憲,違法な措置であるなどとして,都教委の設置者である被告に対し,国家賠償法1条1項に基づき損害賠償金の支払を求めた事案である。

3 主文
(1)被告は,原告○○ほか6名に対し,それぞれ211万1670円及びこれに対する平成19年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2)被告は,原告○○ほか7名に対し,それぞれ259万8420円及びこれに対する平成20年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を払え。
(3)被告は,原告○○ほか6名に対し,それぞれ259万6440円及びこれに対する平成21年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(4)原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

4 理由の骨子
(1)再雇用制度等の意義やその運用実態等からすると,再雇用職員等の採用候補者選考に申込みをした原告らが,再雇用職員等として採用されることを期待するのは合理性があるというべきであって,当該期待は一定の法的保護に値すると認めるのが相当であり,採用候補者選考の合否等の判断に当たっての都教委の裁量権は広範なものではあっても一定の制限を受け,不合格等の判断が客観的合理性や社会的相当性を著しく欠く場合には,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用として違法と評価され,原告らが有する期待権を侵害するものとしてその損害を賠償すべき責任を生じさせる。

(2)原告らに対する不合格等は,他の具体的な事情を考慮することなく,本件職務命令に違反したとの裏実のみをもってエ重大な非違行為に当たり勤務成績が良好であるとの要件を欠くとの判断により行われたものであるが,このような判断は,本件職務命令に違反する行為の非違性を不当に重く扱う一方で,原告らの従前の勤務成績を判定する際に考慮されるべき多種多様な要素,原告らが教職員として長年培った知識や技能,経験,学校教育に対する意欲等を全く考慮しないものであるから,定年退職者の生活保障並びに教職を長く経験してきた者の知識及び経験等の活用という再雇用制度,非常勤教員制度等の趣旨にも反し,また,平成15年10月に教育長から国旗掲揚・国歌斉唱に関する通達が発出される以前の再雇用制度等の運用実態とも大きく異なるものであり,法的保護の対象となる原告らの合理的な期待を,大きく侵害するものと評価するのが相当である。

したがって,本件不合格等に係る都教委の判断は,客観的合理性及び社会的相当性を欠くものであり,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たる。よって,都教委は,その裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用して,再雇用職員等として採用されることに対する原告らの合理的な期待を違法に侵害したと認めるのが相当であるから,他の争点について検討するまでもなく,都教委の設置者である被告は,国家賠償法に基づき,期待権を侵害したことによる損害を賠償すべき法的責任がある。

(3)再雇用職員等の運用実態,雇用期間等を考慮すると,原告らが再雇用職員等に採用されて1年間稼働した場合に得られる報酬額の範囲内に限り,都教委の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用による原告らの期待権侵害と相当因果関係にある損害と認めるのが相当である。

5/25 東京地裁の「再雇用拒否」判決 「裁量権の乱用で違法」

 5月25日、東京地裁(吉田徹裁判長)で、「君が代」不起立で再雇用を拒否された元教職員ら22人に対し、都に損害賠償(総額約5370万円)を命じる判決が出されました。理由は都教委の「裁量権の乱用で違法」です。これはある意味画期的な勝訴判決だったと思います。渡部さんのコメントです。

◆判決文から

判決文の中には次のような部分があります。
 「本件不起立等の態様が、他の教職員や生徒らに不起立を促すものでも、卒業式等の進行を阻害し、又は混乱させるようなものでもなく、厳粛な雰囲気の中で行われるべき前記の卒業式等(儀式的行事)の狙いを大きく阻害するなどの影響を与えたとまでは認められない ことを考慮すれば、原告らの本件職務命令違反の非違性の程度が特に重いものであるとは認められないというべきであり、・・」
ここで、書かれていることは、これまでのすべての不起立者に当てはまることです。

また、次のような部分もありました。
 「原告らの本件不起立等の動機、原因は、その歴史館又は世界観等に由来する君が代や日の丸に対する否定的評価等のゆえに、本件職務命令により求められる行為と自らの歴史館又は世界観に由来する外部的行動とが相違することにあり、個人の歴史観又は世界観等に起因するものであると認められるところ(弁論の全趣旨)、本件職務命令が原告らのこうした歴史観又は世界観等を含む思想及び良心の自由についての間接的な制約となる面が
 あることは否定できず、その思想信条等に従ってされた行為を理由に大きな不利益を課すことには取り分け慎重な考慮を要するのであって、上記の点は非違行為の重大性を根拠に付ける理由としては不十分というべきである(最高裁平成23年5月30日第二小法廷判決・民集 65巻4号1780頁等、最高裁平成24年1月16日第一小法廷判決・裁判集民事239号1頁等参照)。
これも、ほとんどの不起立者に共通したものではないでしょうか。
今回の判決はここまで明確に、「歴史観又は世界観等を含む思想及び良心の自由」
について述べています。
この判決に従えば、東京の田中聡史さんへの減給処分と<再発防止研修>や大阪の奥野さんへの戒告処分と<警告書>などは、あってはならないものです。
また、戒告となった大阪の松田さんはここに述べてあることを正面から問題にしています。

さらに次のようにも述べています。
 「原告らが被った精神的損害の主たる原因は、原告らがそれぞれの思想信条、すなわち、多様な価値観の尊重やそれを教育の場で実践することを重視する考え、日の丸及び君が代の歴史的意義に対する考え、国旗掲揚・国歌斉唱を一律に強制することに反対する考え等に基づいて本件職務命令に従わなかったことにより、戒告処分等の懲戒処分のみならず、最終的には、本件不合格等とされ、再雇用職員等として都立高校の教壇に再び立つ機会を
不当に奪われた(期待を裏切られた)という点にあると認めるのが相当であり、本件不合格等に至るまでの過程における本件通達その他都教委の対応に係る原告らの個々具体的な心情等を、上記の精神的損害とは切り離して別途の損害として認めることは相当でないというべきである。」このようにして損害賠償が認められました。
ところで、ここに述べられていることは、停職6ヶ月まで多くの処分を受け、多大の賃金カットを被り、繰り返し教壇に立つ機会を奪われ、かつその度に転勤を強要された根津公子さんこそが、もっともよく当てはまる事例だと言えるでしょう。
都教委は、ひどい処分を根津さんに繰り返し、減給処分でさえその多くが取り消されているにも関わらず、6ヶ月停職処分をいまだ撤回せず、根津さんと裁判で争っているのです。

しかし、今回の判決はそうした根津さんへの「過酷な見せしめ処分」を浮き上がらせることにもなりました。都教委の外堀は次第に埋められつつあると思います。

世の中の危険な動きが、これまで多くの被処分者たちが訴えてきた「日の丸・君が代」強制の本質を浮き彫りにし、裁判官も感じるところがあったのではないでしょうか。

2015年5月26日火曜日

5/25東京新聞報道「再雇用拒否 都に賠償命令」

 5月25日(月)に、「君が代」不起立・処分に基づく「再雇用拒否第二次訴訟」の東京地裁判決がありました。地裁吉田徹裁判長は「再雇用拒否」は都教委の「裁量権の逸脱・濫用で違法」・損害賠償を命じる判決を下しました。

▼東京新聞

Image2判決

▼毎日新聞

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2015年5月25日月曜日

5/21 都教委定例会の傍聴報告 根津公子さん

 5月21日(木)、都教委の定例会がありました。根津さんの報告を送ります。

052122

この日は体罰問題   教育委員の体罰に対する認識は甘いのではないか?!

◆定例会の報告

議案は校長の任命について、教員等の懲戒処分2件でともに非公開議案。
報告が①昨年度の体罰実態把握の報告 ②市ヶ谷地区特別支援学校(仮称)の設置場所の変更について ③教員の懲戒処分(非公開)。①②について以下、報告する。

 ①2012年度から調査を始めて、体罰の3年間の推移と昨年度の傾向や事例の報告であった。報告は、
ア.「体罰を受けた・目撃したとの報告数は、教職員本人からが267件、他の教員からが134件、児童・生徒本人からが494件、他の児童・生徒からが305件、保護者からが101件、地域住民からが1件(1事案につき複数の報告あり)。
イ.体罰」をしたのは68人(うち、常勤教員が61人)。前年度比マイナス54人。2012年度と比較すると3分の1に減少した。「不適切な行為(行き過ぎた指導や暴言)」は324人。前年度比マイナス451人。「指導の範囲内(短時間正座させるなど極軽微な有形力の行使)」は261人。前年度比マイナス126人。
.5カ月間の間に5回の体罰を振るったり、傷害を負わせたりするなどの体罰が18件。
.「感情的になってしまった」「言葉で伝えきれなかった」ことから体罰に至った者が、45人(74%)。
.体罰により処分を受けた者で、再び体罰を行った者は4人。前年度の12人より減少。

 報告を受けて遠藤委員のした質問が、気になった。「調査することでのマイナス面はないか。『それは体罰じゃないか』と教員が子どもたちから糾弾されるということを耳にする。教員が委縮しないか。」との発言だった。その発言を聞いて、私は2つの発言を思い出した。

  一つは2013年4月11日の定例会での竹花発言だ。「(部活動での:筆者補足)死ね、殺す、出ていけ、という強い発言、…今くらいのことは精査しなくていい。こんなのは指導の範ちゅうだ。」(この発言は私と一緒に傍聴していた友人3人も聞いているが、議事録にはない。議事録の改ざんについて都教委に質問書を出したが、「竹花委員の発言は、ホームページに掲載されている通り」との回答。傍聴した私たちは議事録が改ざんされたと確信している。)
 もう一つは、同年9月12日の定例会での山口委員の発言。「(体罰の)報告書はよくまとまっていると思う。しかし、これによって教員が萎縮してしまうのではないかと危惧する。暴言は今までの習慣なので、いっぺんに正すのは難しい。徐々に正していくことだろう。」

なぜか、教育委員の発言には体罰を必要悪ととらえる傾向がある。確かに子どもたちの中
には、弱い者いじめの行動をとる子もいることは否定できないが、多くは大人の暴力・力による支配を見て学習してのことなのだ。

全文

http://www.labornetjp.org/news/2015/0521nezu

2015年5月24日日曜日

5/21 「君が代」処分取消を求めて都人事委員会に不服審査請求

 5月21日(木)、3月卒業式、4月入学式での「君が代」不起立を理由にして減給処分を受けた都立特別支援学校の教員1名及び東京地裁判決で減給処分を取り消され都教委が控訴を断念したにもかかわらず戒告の再処分を受けた都立高校教員9名の計10名は、処分取消を求めて東京都人事委員会に不服審査請求を行い、都庁記者クラブで記者会見を行いました。近藤徹さんから報告です。

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◆都人事委員会への不服審査請求の内訳
<卒業式・入学式に係わる処分取消請求> 2件・1名(卒業式・入学式とも同一人)
 卒業式 1名(都立板橋特別支援学校・当時) 減給10分の1・1月 3/30発令
 入学式 1名(都立石神井特別支援学校)   減給10分の1・1月 4/28発令

<再処分に係わる処分取消請求> 9件・9名 いずれも戒告処分
東京「君が代」裁判第三次訴訟の東京地裁判決(本年1月16日)で減給処分取り消し。都教委が控訴を断念して判決が確定。しかし都教委は、現職の教員に改めて戒告処分を発令(以下再処分という)。

(発令月日)(人数)(学校名・当時) (取り消された処分) (同発令年月) 
(備考)
3月30日 1名 都立蔵前工業高校 減給10分の1・1月 2008年3月 本年3月退職

4月28日 8名 都立農芸高校   減給10分の1・1月 2007年3月
         同 昭和高校       同上      2007年3月
         同 工芸高校       同上      2007年5月
         同 日本橋高校   減給10分の1・6月 2007年5月
         同 東大和高校   減給10分の1・1月 2007年5月
         同 多摩工業高校    同上      2008年3月
         同 永山高校   同上      2008年3月
         同 武蔵丘高校   減給10分の1・6月 2009年3月

◆許せますか? ストーカー的処分 6~8年前の事案で

上記のように、地裁で減給以上の処分は違法であるとして敗訴し、自ら控訴を断念して「降伏」したのに、原告・都民らに謝罪し、二度と同じことが起こらないよう再発防止策を講じるどころか居直って6~8年前の事案で再処分。こんなストーカー的処分をする非常識な都教委を許せますか? 教職員をイジメ、処分という「暴力」で押さえ込む都教委に「イジメ」を語る資格はありません。
 なお、問題の発端である「日の丸・君が代」を強制する10・23通達(2003年)発出に係わった教育委員、教育長らは今や一人もいないのです。10・23通達を見直すいい機会だというのに。

◆被処分者の会は記者会見で下記の声明を発表しました。問題点、現状がよくわかり
ますのでお読みください。
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報道関係者各位

「君が代」処分取消を求める都人事委員会不服審査請求にあたっての声明

 東京都教育委員会(都教委)は、卒業式・入学式での「君が代」斉唱時の不起立を理由に都立特別支援学校の教員1名に減給1月の処分を発令し(2015年3月30日付及び4月28日付)、また2015年1月の東京地裁判決で減給1月・減給6月の懲戒処分を取り消された現職の都立高校教員9名に対して、新たに戒告処分(以下再処分という)を発令しました(同年3月30日付及び4月28日付)。
 これに対して、本日、当事者10名は、被処分者の会弁護団を代理人に同処分の取り消しを求め都人事委員会に不服審査請求を行いました。
 卒業式、入学式などで「日の丸・君が代」を強制する10・23通達(2003年)に基づく懲戒処分の数は延べ474名にのぼります(再処分16名を含む)。この数字は、東京の教育行政の異常さを雄弁に物語っています。

 周知のように、最高裁判決(2012年1月16日及び2013年9月6日)は、起立斉唱・ピアノ伴奏を命ずる職務命令が「思想及び良心の自由」の「間接的制約」であることを認め、「戒告を超えてより重い減給以上の処分を選択することについては,本件事案の性質等を踏まえた慎重な考慮が必要」で「処分が重きに失し、社会観念上著しく妥当を欠き、懲戒権者の裁量権の範囲を超え、違法」として、減給・停職の懲戒処分を取り消しました。
 しかし都教委は、減給処分を違法とした最高裁判決を謙虚に受け止めず、その趣旨を無視して、卒業式、入学式で減給処分を出し続けています。それどころか、本年1月16日の東京地裁判決で自ら控訴を断念して減給処分取り消しが確定した現職の都立高校教員全員に再処分を科すという前代未聞の暴挙を行っているのです。 これらは、処分を振りかざして教職員を萎縮させ屈服させようとする都教委の「暴力的体質」を露呈しています。

 今都教委のなすべきことは、最高裁判決を謙虚に受け止め、違法な処分により筆舌に尽くしがたい精神的、経済的損害を被った被処分者への謝罪と名誉回復・権利回復を早急に行うことです。また、司法により違法とされた処分を行った組織の在り方を点検し、責任の所在を明らかにし、再発防止策を講ずることです。そして10・23通達から12年経ち、通達発出当時の教育委員がすべて交代しているこの機会に、10・23通達に基づく「日の丸・君が代」強制の一連の施策を抜本的に見直すことです。

 私たち被処分者の会・原告団と弁護団は、これまで何度となく、都教育委員会及び教育庁関係部署との話し合いを求めてきました。にもかかわらず都教委は、「話し合い」を拒否して問題解決のための努力を放棄する不誠実な対応に終始しています。

 請求人らは、人事委員会審理を通じて、東京都教育委員会(都教委)の「暴走」を告発し、教職員や生徒らの「思想・良心の自由」を守り、自由で民主的な教育を甦らせ、生徒が主人公の学校を取り戻すために、教職員・生徒・保護者・市民と手を携えて、「日の丸・君が代」強制に反対し、不当処分撤回まで闘い抜く決意です。ご理解を心から訴えるものです。
                    2015年5月21日
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会・東京「君が代」裁判原告団

◆裁判ウイーク 再雇用拒否撤回第二次訴訟は25日に判決 傍聴・支援を!

 5月22日の東京「君が代」裁判第四次訴訟第5回口頭弁論を皮切りに、来週にかけて「日の丸・君が代」強制反対の裁判が続きます。

再雇用拒否撤回第二次訴訟(私近藤も原告です)は、提訴以来5年8月。この間無念にも2人の原告がお亡くなりになりました。そしていよいよ来週25日(月)に東京地裁で判決があります。

都教委は、これまで卒・入学式などで「日の丸・君が代」を強制する「10.23通達」で処分された教職員の再雇用(嘱託・再任用・非常勤教員など)を拒否してきました。採用を拒否された人の数は70名を越えています。

そもそも東京都職員の再雇用制度は、東京都労働組合連合会(都労連)と東京都の交渉で、退職後の年金支給開始までの生活を維持するために制度化したものです。

2005年度・2006年度に採用を拒否された人たちが「採用拒否撤回・損害賠償」を求めた訴訟(第1次訴訟)は、残念ながら2011年6月に最高裁で敗訴しました。

本訴訟(第2次訴訟)は、2007年度~2009年度に再雇用を拒否された原告(元都立高校教員25名・当時。現在の原告数22名)が2009年9月東京地裁に提訴して、「君が代」斉唱時の不起立を理由とした再雇用拒否等が違憲であり、かつ東京都・都教委の「裁量権の逸脱・濫用」であることを争点として「損害賠償」を求めて東京地裁民事36部で争ってきました。

この間、国・東京都の再雇用制度も改定され、定年後の継続雇用が制度化されています。こうした動向を踏まえて東京地裁がどのような判断をするか注目されます。また、本判決は、東京都職員、とりわけ公立学校の教職員の退職後の継続雇用にも大きな影響を及ぼすものと思われます。

皆さんの傍聴・支援を心から訴えます。

★再雇用拒否撤回第二次訴訟・地裁判決→いよいよ判決です!
(東京地裁民事36部。07・08・09年再雇用拒否の損害賠償請求、原告22名)
5月25日(月)
 12時50分 原告・弁護団行進(弁護士会館→裁判所)
 13時 傍聴希望者裁判所前集合(傍聴抽選なし・先着順)
     →早めに来て更新を迎えてください。
 13時30分 開廷 
 東京地裁103号(大法廷・定員98名)
 報告集会:ハロー貸会議室虎ノ門3F(案内あり) 
 *早めにお出で下さい。旗出しがあるので入れなかった方も裁判所前でお待ちください

◆三次訴訟 いよいよ高裁控訴審の闘いが始まる 再処分を許すな!

現職の都立高校教員9名の再処分の不当性も争点になります。第1回弁論では三次訴訟地裁判決で減給処分を取り消され、二次訴訟に続き都教委による不当極まりない2回目の再処分を受けたIさんが意見陳述します。

★東京「君が代」裁判第三次訴訟・控訴審第1回口頭弁論
(東京高裁第21民事部。2007~09年処分取消請求、原告50名)
東京地裁で一部勝訴(減給・停職処分31件取り消し、戒告処分容認、損害賠償請求棄却)。双方が控訴し、いよいよ高裁での闘いが始まりました。
 5月26日(火)
  15時10分(予定)傍聴整理券交付〆切
           (抽選があるので遅れないでください。)
  15時30分 開廷 
  東京高裁101号(大法廷 定員98名)
  内容:原告(2回目の再処分該当者)・弁護士の意見陳述
  報告集会&再処分抗議集会:ハロー貸会議室虎ノ門3F(案内あり)

2015年5月14日木曜日

5/13 入学式「不起立」で再発防止研修~田中聡史さん動ぜず

5月13日朝9時から12時30分まで、入学式での「君が代」不起立で処分されたたなか諭しさんへの再発防止研修が行われました。その報告です。

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◆再発防止研修に抗議
「この研修をすぐにやめて下さい。田中さんを学校に戻してください」の声がひびきわたった。5月13日、水道橋の東京都教職員研修センターの前には約50名の市民や元教員が集まり、今春の入学式で10回目の「君が代」不起立をした田中聡史さん(都立石神井特別支援学校教員)に対する再発防止研修に抗議した。
 澤藤・東京「君が代」裁判副弁護団長は、「東京都は、400年前のキリシタン弾圧や特高警察がやっていたと同じ思想・良心に対する弾圧をやっている。都知事や教育長は変わっているのに、10・23(2003年「君が代」強制の通達が出された日)体制を続けることは非常に不自然だ」と都教委に抗議した。

051307

レイバーネットにも報告があります。
全文→http://www.labornetjp.org/news/2015/0513tanaka

2015年5月13日水曜日

5/11 河原井さんと根津さんの08年09年の「君が代」不起立処分裁判

◆5月11日(月)東京地裁で、河原井さんと根津さんの08年、09年の「君が代」不起立処分(ともに停職6ヶ月処分)に関する裁判がありました。渡部報告。
中身は前回口頭弁論での被告(都教委)主張に対する<反論その1>でした。

■都教委の主張に対する岩井弁護士の反論
主に以下の項目について、岩井弁護士からかいつまんでの紹介がなされました。
(1)憲法19条違反について
(2)教育の自由について(憲法23、26条、教育基本法16条違反
(3)損害賠償請求について

そのうち(1)については、特に、「日の丸・君が代」の歴史性について不問にしたまま、
 特定の形式での敬意の表明を、懲戒処分によって一律に強制することの問題」、「論争的主題である『日・君』に関し、一方的見解の教授を強制することの問題」
が指摘されました。

(2)については、都教委が教師は「職務権限」にもとづいて教育活動を行う、ということに対し、「最近の学説では『教師が国家権力と向き合う場面』では『職務権限としての側面と、人権としての側面を併せ持つ」という併存説が有力」と指摘されました。

(3)については、「最高裁判決でも「停職処分」は特段の配慮が必要とされている。
 慎重な配慮が必要なのになぜ出されたのか。都教委の機械的適用がその本質にある」
と指摘されました。

■裁判所に行く地下鉄の中で私は『フランス革命期の公教育論』(岩波文庫)の中の<公教育の全般的組織についての報告と法案>(コンドルセ、1792年4月20、21日)を読んでいました。そこには次のような部分がありました。

 「あらゆる教育の第一条件は真理のみを教えることにあるから、公権力が教育にあてる諸機関は、あらゆる政治的権威から可能なかぎり独立していなければならない。」(13ページ)

 「いかなる公権力も、新しい真理の展開を妨げたり、個々の政策や一時的な利害に反する理論の教育を妨げたりするほどの権威や影響力を持ってはならない。」(15ページ)

 「公権力が教育に適した書物を指定しなければならない。しかし科学全体が教えられねばならないリセ(高校:渡部注)では、教える方法の選択は教授に任せられる。
 そのことから、このうえなく貴重な利点が生じる。
 すなわち教育の堕落を完全に防ぐことができること、政治状況と結びついて、教科書が危険な学説に汚染された場合でも、リセでの自由な教育によってこの歪曲から生じる結果が防止されること、真理の表明が抑圧されるおそれがないこと、である。」(70ページ)
これらのことを読むと、教育基本法改悪後の日本の教育は、フランス革命以前に逆戻りしたのかと思わざるを得ません。なんと情けないことでしょうか。
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◆裁判終了後、都教委と、都立高校生の防災訓練を自衛隊駐屯地でやる問題について、質問と申し入れをする場に参加しました。

 この質問・申し入れは、パンフ『高校生をリクルートする自衛隊・自衛隊の手法を取り入れている教育行政』編集委員会のメンバーが行いました。
<都立高校の自衛隊施設での防災訓練等の自衛隊体験入隊に対しての質問>書の提出。

●都教委は、相変わらず教育情報課が出てきて話にならず。参加者(12人)から、こうした都教委のシステムに対する強い怒りが出されました。
「石原都知事の前にはこうしたシステムはなかった。すでに石原はやめているのだから、こうしたシステムもやめるべきだ。」との声も上がりました。

●質問項目の具体的な内容は省略しますが、要は、都教委は繰り返し「あくまでも防災訓練である」と言っていますが、防衛省は「隊内生活体験のことを向こう(教育庁)は防災訓練と言っている。うちは(地本)隊内生活体験だ」と述べているのです。
また、都教委の防災要項には「上級救命講習を受ける」と示されていますが、防衛省は、それは行っていず、また「防災訓練のプログラムはない」としています。

つまり、都教委のやっていることは、「防災訓練」に名を借りた、自衛隊での「隊内生活体験」(体験入隊)です。安倍首相が「軍隊」と言うなら「軍事訓練体験」に他なりません。

●昨年7月、集団的自衛権での武力行使が閣議決定で容認されました。この4月、日米ガイドラインが改定されました。こうして、今、全世界的規模で紛争地への自衛隊派遣がなされようとしています。こうした情勢下では、戦前のような「軍事教練」が、今後、高校生たちに実施される可能性は十分にあります。
ちなみに、千葉県の長生高校では、いわゆる15年戦争開始の年の1931年(「満州事変」勃発の年)に、「軍事教官排斥運動」ということが起きています(結局潰されましたが)。

●都教委は嘘に嘘を塗り固め、いつかきた道を歩み始めました。私たちは、こうした動きに対し、反対の大きな声を上げる必要があります。
次回(6月頃)は、もっと多くの参加者で都教委に迫る必要があると思います。また、「7月半ばには集会を開こう」ということになりました。

2015年5月7日木曜日

5/7 被処分者の会の都教委要請行動の報告

5月7日(木)、被市余分者の会等は、卒入学式処分及び再処分撤回、再発防止研修の中止を求めて、都教委要請行動を行いました。近藤徹さんからの報告をアップします。

◆卒入学式処分及び再処分撤回、再発防止研修の中止を求める―都教委要請行動報告

大型連休明けの5月7日、被処分者の会・東京「君が代」裁判原告団は、「卒業式・入学式の処分及び再処分の撤回、再発防止研修の中止」を求めて都教委要請行動を実施しました。この行動には、原告ら15名が参加し、都教委側は、教育庁総務部教育情報課長など3名が対応しました。

都教委は、3月20日の私たちの申し入れに回答することなく、卒業式での不起立で特別支援学校の教員1名減給処分及び都立高校教員1名の「再処分」(戒告処分)を発令(3月30日)し、更に特別支援学校教員の「再発防止研修」を強行しました(4月3日)。

これに続いて、4月28日、入学式での「君が代」斉唱時の職務命令違反を理由に特別支援学校の教員1名の減給処分及び本年1月の東京地裁判決で都教委が控訴を断念して減給処分取消が確定した都立高校の現職教員8名の「再処分」を強行しました。

私たちの度重なる申し入れを無視して、卒業式処分、再発防止研修、入学式処分及び9名の再処分を強行したことに対し改めて厳重に抗議しました。

また、都教委が最高裁判決の趣旨を踏まえず、減給を含む処分を乱発していることを糾弾し、直ちに違法な処分の撤回を求めました。

更に、東京地裁判決(2015年1月16日)で都教委が控訴を断念して減給処分取消が確定した原告らに謝罪し、二度と違法な処分をすることがないように再発防止策を講じるよう繰り返し求めてきたにもかかわらず、都教委は、要請に正対せず、的外れで不誠実な回答に終始するばかりか、都立高校の現職教員9名に対して報復とも言うべき再処分を強行(3月30日、4月28日)しました。このような居直りを許さず再処分の撤回を強く求めました。

そして都教委が東京地裁決定(2004年7月)にも反して強行しようとしている憲法違反の再発防止研修の即時中止を要求しました。

<申し入れ事項>
1 特別支援学校教員に対する卒業式、入学式に係わる懲戒処分を撤回すること。
2 同教員に対する「服務事故再発防止研修」を行わないこと。
3 研修対象者(同教員)に受講前報告書の作成を強要しないこと。
4.東京地裁判決(2015年1月16日)で減給処分取消が確定した原告9名に対する再処分(戒告処分)を撤回すること。
5 都教育庁関係部署(人事部職員課、指導部指導企画課、指導部高校教育指導課、教職員研修センター研修センター研修部教育経営課など)の責任ある職員と該当者及び被処分者の会・同弁護団との話し合いの場を研修実施予定日(5月13日)の前に設定すること。

◆都教委の不誠実な対応を徹底追及―追加質問及び要請(抜粋)

(宛先)東京都教育委員会教育長 中井敬三殿

1.3月20日付「申し入れ」(要請)への回答に関してその期限を東京都教育委員会定例会の前日3月25日としたが、回答が4月14日と20日も遅れた経緯と理由の釈明を求める。

2.3月20日付「申し入れ」で、「要請書」(2月26日付)に対する「回答」(3月13日付)で「要請項目に答えていないので再回答を求める。」として再度申し入れをしたにもかかわらず、4月14日付「回答」(所管:人事部職員課)では、「前回の要請事項とほぼ同様の内容であり、改めて回答する必要性を認めません。」と居直
り、前回の回答を繰り返している。
 このような不誠実な対応は、信頼関係は根底から失わせる。直接所管課に要請することができず、教育情報課を通じて回答を受け取るというシステムそれ自体の有効性が問われる。私たちの指摘を真摯に受け止め、最低限、項目ごとに誠意ある回答をするよう、改めて要求する。
 この間の私たちの要請・申し入れに対して都教委は内容・形式ともに不誠実かつ権力的な回答を繰り返している。「窓口」として要請・申入れの趣旨を各所管課に正確に伝え、回答内容を「取りまとめ、整理」して回答すべき教育情報課の責任も極めて大きい。教育情報課の見解を伺いたい。

3.東京地裁判決(2015年1月16日)で減給処分取消が確定した原告(21名)の内、再処分をされた現職教員(9名)を除く退職者12名の「給与等の是正措置」及び「「遅延損害金」等の実損回復の手続きがなされていない。退職者の実損回復の手続きが遅れている経緯と理由の釈明を求める。

4.都立高校教員への再処分についての都教委のホームページ公表の文書(3月30日付)では、「本件服務事故については、平成27年1月の東京地方裁判所判決により、東京都教育委員会が発令した減給処分が取り消され、同処分の取消し が確定したことから、判決を踏まえて懲戒処分の程度を検討し、改めて戒告処分を行った。」としている。しかし都立学校教職員向けのパソコン端末(タイムス)の「服務事故のお知らせ」の添付文書では、この部分が全面的に削除されていた。7年前の事案で戒告処分を科した事由を教職員に意図的に知らせない対応を行った理由を明らかにすること。

<2つの要請書の回答期限> 2015年5月12日(火)

◆被処分者イジメ、思想転向を強要する再発防止研修をやめろ!―抗議行動に参加しよう!

都教委は、入学式で処分された特別支援学校教員に「服務事故再発防止研修」(5月13日)の受講を命令しました。

2012年から質量ともに強化した服務事故再発防止研修は、被処分者(受講者)を精神的・物理的に圧迫し、執拗に追い詰め「思想改造=転向」を迫るもので、まさに「イジメ研修」です。

これは、「繰り返し同一内容の研修を受けさせ、自己の非を認めさせようとするなど、公務員個人の内心の自由に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであれば、そのような研修や研修命令は合理的に許容される範囲を超えるものとして違憲違法の問題を生じる可能性がある」とした東京地裁決定(2004年7月)に反しています。

早朝からの行動となりますが、被処分者の会は下記の行動に多くの皆さんの参加を呼びかけます!

★再発防止研修抗議・該当者支援行動
*早朝からの行動ですが、ご協力を!
*報道関係者の取材歓迎。
 5月13日(水)東京都教職員研修センター前
        (JR水道橋東口、地下鉄水道橋 都立工芸高校隣)
  8時20分支援者集合・行動開始
  8時35分弁護団申し入れ
  8時50分該当者(受講者)入場、激励行動
  12時30分頃(予定) 研修終了後、該当者激励行動 
  *呼びかけ:被処分者の会

◆粘り強く闘われている「日の丸・君が代」強制反対の裁判の傍聴を!

★東京「君が代」裁判第四次訴訟第5回口頭弁論
(東京地裁民事11部。2010~13年処分取消請求、原告14名)
 5月22日(金)
  15時30分 傍聴希望者集合(傍聴抽選なし・先着順 裁判所前で案内あり)
  16時 開廷 
  東京地裁527号(定員42名) 
  報告集会:ハロー貸会議室虎ノ門3F(案内あり)

★再雇用拒否撤回第二次訴訟・地裁判決→いよいよ判決です!
(東京地裁民事36部。07・08・09年再雇用拒否の損害賠償請求、原告22名)
 5月25日(月)
  12時50分 原告・弁護団行進(弁護士会館→裁判所)
  13時 傍聴希望者集合(傍聴抽選なし・先着順 裁判所前で案内あり)
  13時30分 開廷 
  東京地裁103号(大法廷・定員98名)
  報告集会:ハロー貸会議室虎ノ門(案内あり) 
 *早めにお出で下さい。旗出しがあるので入れなかった方も裁判所前でお待ちください

★東京「君が代」裁判第三次訴訟・控訴審第1回口頭弁論→いよいよ控訴審です。
(東京高裁第21民事部。2007~09年処分取消請求、原告50名)
東京地裁で一部勝訴(減給・停職処分31件取り消し、戒告処分容認、損害賠償請求
棄却)。双方が控訴し、いよいよ高裁での闘いが始まりました。
 5月26日(火)
  15時10分(予定)傍聴整理券交付〆切
            (抽選があるので遅れないでください。)
  15時30分 開廷 
  東京高裁101号(大法廷 定員98名) 
  報告集会:ハロー貸会議室虎ノ門(案内あり)

2015年4月28日火曜日

入学式で「君が代」不起立の田中さんが4/28に不当処分 都教委に抗議を

■田中聡史さんからのアピールです。

4月から都立石神井特別支援学校に異動になった田中聡史です。

本日4月28日、午前11時頃、石神井特別支援学校び管理主事2名が来校し、校長室で、私の入学式不起立に対する処分が発令されました。

減給10分の1、1ヶ月。併せて5月13日の水曜日に教職員研修センターで再発防止研修を9時から行う、という内容でした。

私はこれで9回目の不起立処分ですが、3回目までは戒告処分、4回目から9回目は減給10分の1・1ヶ月となりました。

不当な処分であることには変わりないですが、処分内容をより重いものにできなかったのは、多くの方が「不当処分をするな」との声を都教委に届けてくださったからだと思います。ご支援ありがとうございました。

石神井特別支援学校教員 田中聡史

追伸

重ねてのお願いで恐縮ですが、「不当処分を撤回しろ」との声を、ぜひ都教委に届けてください。

■抗議・要請先
東京都教育庁(=東京都教育委員会)〒163-8001東京都新宿区西新宿2-8-1
総務部教育情報課(都民の声を聞く担当) :電話 03-5320-6733  
                     FAX 03-5388-1726
人事部職員課服務係(処分を発令する担当) :電話 03-5320-6792

4/23 都教委定例会(処分事案他)傍聴制限・弾圧について

一)早朝、都庁前で二つの団体のビラまきがありました。(総数約20名)
①<河原井さん・根津さんらの『君が代』解雇をさせない会>
 【「入学式『君が代』処分の作業をやめよ!」と都教委に声を届けてください。
  都教委の中から声をあげてください】というビラ。
②<「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会・東京「君が代」裁判原告団>
 【教育委員会は、「君が代」処分をしないでください】
 【裁判に負け続けているのは都教委。潔く謝って!再処分なんてあり得ない!!】
 【内心に踏み込む再発防止研修は憲法違反です】というビラ。

二)その後定例会傍聴に行ったら誓約書を書かされたが…
①前回(4月9日)、私(=渡部)は(騒がないという)「誓約書」を書かされました。(当ブログ参照)
そこで、本日(4月23日)、私は「その誓約書のコピーが欲しい」と職員Aさんに要求しました。職員Aさんは「それでは後で」と言いました。
 他方、その日傍聴者にきた藤田さんは、過去に「誓約書」を書かされたのでか、職員Bさんにさらに厳しい内容の『誓約書』を書くことを要求されていました。
それで、藤田さんが職員Bさんにその『誓約書』の用紙を要求すると、職員Bさんは「読み上げるだけで書いてもらい渡すことはできない」というようなことを言ってます。

②そのうち、私のコピーも雲行きが怪しくなったので、二人で抗議しました。
私は「それではまるで悪徳商法のようなものではないか。誓約書はお互いの約束のようなものだ。コピーも出せないというのでは都教委がいくらでも悪用できるではないか。」と言いました。
藤田さんは、「先ほど読んでもらったらとんでもないことを誓約させられそうだ。しかもその用紙さえ渡せない。欲しければ情報公開でとってくれと言っている」と言っています。

なかなかラチが開きませんでしたが、二人の抗議は続きました。
ようやく彼らは自分たちが不当な拒絶をしているということがわかったらしく、私にはコピーを、Fさんには『誓約書』の用紙を渡しました。

そこで改めて二つを見比べてみました。
私が4月9日に書かされた「誓約書」には次のように書かれていました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 私(〇〇〇〇:私の署名です)は、教育委員会の傍聴に当たって、下記の事項を遵守することを、ここに誓います。
            記
1 発声により議事を妨害しません(質問・意見表明も含む)。
2 プラカード、のぼり等を掲示しません。
3 委員長の承認を受けずに、録音機、写真機、撮影機等を持ち込み、
  録音・撮影等しません。
4 その他東京都教育委員会傍聴人に違反する行為をしません。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

それに対し、藤田さんが要求された新たな『誓約書』は次のようなものでした。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 私(      )は、平成26年1月23日開催の第2回東京都教育委員会定例会において、東京都教育委員会傍聴人第5条に反して、議事を妨害いたしました。
 今後は、教育委員会の傍聴に当たって、下記の事項を遵守し、決して再び議事を妨害しないことを、ここに誓います。
              記
        (上記と同じ 省略します)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

●議事の妨害をしていないのに
まず、二人とも議事などを妨害していません。藤田さんは、会議が始まる前、入場の際に、
都教委の委員を批判することを何回か述べただけであり、
渡部は、会議が非公開に移るための傍聴人退場の際に、「都教委は田中聡史さんを処分するな!! 石原元知事は自分は『君が代』を歌わないと言っている。なぜ、田中さんが処分されなかればならないのだ!! 田中さんこそ東京の教育を守っているのだ!!」
と述べたのです。

議事など一切妨害していません。静かに聞いていました。しかし、元・木村委員長は、勝手に「入場・退場の際も適用する」とし、「誓約書」なるものを書かせたのです。

次に、藤田さんの新たな『誓約書』を読めば、いかにひどいことを要求しているかがわかると思います。そこには、「私(    )は・・・・・議事を妨害いたしました。…決して再び議事を妨害しないことを、ここに誓います。」などと書いてあります。

明らかに、藤田さんが議事を妨害したことを一方的に認めさせようとしています。一種の自白による冤罪づくりのようなものです。藤田さんがこれに署名できるわけはありません。

結局、渡部はそのまま傍聴に入り、藤田さんは「このような『誓約書』には署名できない」と拒み、傍聴には入りませんでした。

傍聴席(10席×2列)の後ろには都教委職員(10人)がズラッと陣取り傍聴者の一挙手一投足を監視しチェックしています。
「開かれた都政」などというスローガンとは裏腹に都教委がいかに恣意的・閉鎖的・抑圧的な会議運営をしているかがわかると思います。

●「朝日新聞」記事(4/24)には
<市民と議会 欧米は>(上)「英国市民、議場で訴える」という記事。

これには、「傍聴人に15分の質問タイム」、「住民の参加進まない日本」などのことも書かれていました。
その記事には、「ロンドンなどの大都市の一部を除く議会で傍聴人が発言できる。」「米独でも請願者や傍聴人の発言や議員同士の討論は一般的だ。」とありました。

いずれも傍聴者の発言までも認めているのです。しかし、都教委は、入退場の際の小さなヤジのようなものにまでも目くじらをたて、「誓約書」や『誓約書』まで書かせているのです。
(また、これまでの木村教育委員長宛のへの「請願書」や「要請書」も、「彼には届きません」と前の教育情報課課長が公然と言う始末でした。)

この「誓約書」や『誓約書』を巡る問題は、いかに都教委が非民主的でかつ時代遅れであるかをよく表していると思います。
また、小さなことにも目くじらを立てるということは彼らがいかに自信がないかをも表していると思います。

会議の中身は大した論議もなかったので省略します。

根津公子さんの都教委傍聴記(2015.4.23)です。


理不尽な傍聴者排除を詫びよ! 教育委員は予習をして定例会に臨んでもらいたい

 入学式「君が代」不起立処分、そして、減給以上の不起立処分が取り消された人に対し、都教委が再処分をする案件(または報告)が今日の定例会の議題に上がる(のではないか)ということで、朝のチラシまきは私たち、河原井・根津らの「君が代」解雇をさせない会だけでなく、都立学校の被処分者の会も行い、傍聴も19人に上った。

 議題は、港特別支援学校に「職能開発科」を設置することに伴う規則の制定のみ。報告は①第1回東京都教科用図書選定審議会の答申について ②昨年度の指導力不足等教員の指導の改善の程度に関する認定等及び条件附採用教員の任用について。非公開の報告が教員の懲戒処分について。

詳しい報告はレイバーネットをご覧ください。

http://www.labornetjp.org/news/2015/0423nezu

2015年4月19日日曜日

4/9 4/9 根津公子の都教委傍聴記(2015.4.9)

教育委員の皆さん、市民の声を真摯に受け止めよ

040902

傍聴受付で渡される「傍聴許可書」には、「教育長 中井敬三」の名前が記載されていた。委員長経験が長い木村委員長がなぜ、教育長に抜擢されなかったのか。石原都知事に優遇されたと噂のあった比留間教育長はなぜ、辞任したのか。改定された制度では、首長が教育長を直接選び任命することになっている。ならば、舛添知事は木村、比留間両氏を外して中井氏を選定したのか。中井教育長になって、都教委の暴走は減速されるのか。
そんなことをチラチラと思いながら傍聴席に着いた。

全文はレイバーネットに載っています。↓
http://www.labornetjp.org/news/2015/0409nezu

4/9 都庁前で<解雇させない会>ビラ撒き 処分するなの申し入れ行動 教育委員会の傍聴

<河原井さん・根津さんらの「君が代」解雇を許さない会>は「卒業式『君が代』不起立処分に抗議する」というビラをまきました。参加者は約10名。

その後、「解雇させない会」が田中聡史さんを処分しないで下さいという要請文を都教委・人事部に届けようとしましたが、「ここでは受けとれない。教育情報課に行ってくれ」と拒絶され、少し言い合いになり、結局、情報課に届けることになりました。

◆教育委員会定例会

その後、都教委定例会の傍聴に向かうと、渡部さんが止められ、「前回退場処分を受けたので、(騒がないという)誓約書を書かなければ入れません」と言われました。
それは、田中さんの処分が決まる3月26日の定例会の時のことで、公開の定例会から非公開の会議に移るため、傍聴者が部屋から退場させられる際、私が、6人の教育委員にしっかり聞こえるよう大声で、
 「都教委は田中聡史さんを処分するな!!
 石原元都知事は自分は『君が代』を歌わないと言っている。
 なぜ、田中さんが処分されなければならないのだ!!
 田中さんこそ東京の教育を守っているのだ!!」
と述べたため、当時の木村委員長が私に対して、「退場!」と言ったためらしいのです。
しかし、私はそもそも退場しながら述べていたので、聞こえませんでした。
それでも、「こんなもので人々を黙らせようとしても人々は黙らないよ」と言いながら、「誓約書」を書いて傍聴に入りました。

▼当日の議事は、全て「報告事項」で、
①都立多摩図書館の移転について
②来年度使用都立高校用教科書の採択について
③都民の声(教育・文化)について〔平成26年度下半期(10月~3月)〕
④都公立学校教員の懲戒処分について
で、④は非公開でした。

②は採択にあたっての基本的な方針・手続きに関するものでした。
それで、強調されていたのは
<採択は、採択権者である東京都教育委員会が自らの責任と権限において、適正かつ公正に行う><校長の責任と権限の下、教科書の選定を行うよう指導する>
というようなことでした。
要するに現場教員には何らの責任と権限もないというわけです。ここには民主主義のかけらもありません。まさにファシズムです。

③は見るべきものがありました。まず、柱建ては以下のとおりでした。
<1 都民の声>
 (1)受付件数の推移
 (2)性質別 件数内訳
 (3)分野別 件数内訳
 (4)多数を占めたテーマ・特徴的なテーマの件数及び内容 
<2 請願>
 (1)分野別 件数内訳
 (2)分野別の事例 
<3 陳情等(団体要請)
 (1)分野別 件数内訳
 (2)分野別の事例
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<2>(2)の「教職員」は、以下のような記述でした。
【国旗掲揚・国歌斉唱と教員の処分について】2件あり。
〇「10・23通達」の撤回。一切の懲戒処分・厳重注意等を取り消すこと。
 最高裁判決で「違法」とされた減給・停職処分を行った責任を取り、原告らに謝罪すること。再処分を撤回すること。
 「服務事故再発防止研修」を行わないこと。
 非常勤教員等の合格取消、採用拒否等を撤回すること。
 3・13通達を撤回すること。
 教育委員会において本請願書及び関係資料を配布し、慎重に審議して回答すること。(1件)
〇2015年1月16日東京地方裁判所は、「裁量権の逸脱・濫用」として減給・停職処分を取り消しました。「違法」とされた減給・停職処分を行ったことは、教育行政として重大な責任が問われる許し難い行為です。
今すぐ原告らに謝罪し、その責任を都民に明らかにし、再発防止策を講じなければなりません。
 10・23通達に係わる諸問題について教育委員会で真摯かつ慎重に議論し、これまでの教育行政及び10・23通達を見直すことを強く求めます。(1件)

同じく<2>(2)の「生徒指導」は、以下のような記述でした。
【都立高校宿泊防災訓練について】
〇国の集団的自衛権行使容認という新たな情勢を考慮するなら、2012年2月に作成された「都立高校改革推進計画第一次実施計画」で自衛隊を連携先に加えたことは将来にわたり、大きな禍根を残すことになり、これを早急に外すことをあらためて要求し、あわせて11月の大島高校による防災訓練の中止を求めます。私たちはあくまで教育と軍事の一体化に反対します。

【中学校歴史・公民教科書採択について】2件
 (これについては、「〇総合教育会議」の意義を十分に生かし、…首長(都知事)の意図を能く体され、意思の統一を図ることにより、首長・教育委員会の主体性が倍旧に確保され、先に改正された教育基本法の本旨を内容的に、具体的に遵守した教科書が採択される態勢(システム)が構築されるよう、準備をお進め下さることを要請します。」というようなことが述べてあります。)
 要するに、新しい教育委員会制度のもとで、上意下達の採択システムを構築しろという請願です。

さらに「その他」では【新教育委員会制度について】とあり、
「〇首長と教育委員会が対等な執行機関として十分に協議を尽くし、それぞれの権限(・・)を相互に発揮して学校教育と社会教育の充実のために教育行政を推進することができる制度となるよう真摯な検討が行われることを求めます。」
と紹介されています。これは明らかに、教科書採択同様、新教育委員会制度を軌道に乗せようとする勢力による請願です。

また、<3 陳情等(団体要請)>の(2)分野別の事例では「教職員」の欄に、
【国旗掲揚・国歌斉唱の教員の処分について】28件
とあり、前の【国旗掲揚・国歌斉唱と教員の処分について】2件
のところで紹介されていたことが述べられていました。

「生徒指導」の欄には、以下のように記述されていました。
【都立高校生宿泊防災訓練について】5件
〇都立高校性が陸上自衛隊駐屯地で宿泊防災訓練を予定しています。地元住民などから反対の声が上がっていると聞きます。
 集団的自衛権の閣議決定の実施を下支えする若年層の自衛隊員づくり、愛国青年つくりにつながり、決して許されるものではありません。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
以上のように、<声>や<請願>や<陳情>は、そのままゴミ箱には行っていないようです。是非、多くの<声>や<請願>や<要請>を、都教委に上げて下さい。

なお、本日傍聴に入ると、新教育長には中井敬三氏が就任しており、これまで、木村氏が議長席に一人で座っていたところに二人並んで座っていました。
木村氏は委員長職がなくなり、委員(教育長代理ですが)に降格したので不満顔でした。
若い中井氏は木村氏に睨まれているようで戸惑い顔でした。また、いつもいろいろ発言する竹花委員は欠席でした。

2015年4月17日金曜日

都教委 「君が代」第3次訴訟者の一人に対して、3/30に不当にも再処分を発令

◆新年度早々、再処分を前提にした事情聴取を強行!

既報の通り、東京「君が代」裁判三次訴訟(原告50名)で、不当にも戒告処分は容認したものの、減給・停職処分31件(26名)が東京都の「裁量権の逸脱・濫用」で違法として、取り消されました。それに対して都教委は、8件(5名 減給・停職処分)のみ控訴し、23件(21名 減給処分)については自ら控訴を断念して、処分取消が確定しました。近藤徹さんからの報告です。

ところが、都教委は、違法な減給・停職処分を行ったことを反省し、該当者に謝罪し再発防止策を講じるするどころか、減給処分を取り消された現職の都立高校教員(9名 再任用2名を含む)のみ先行して「給与等の是正措置」の手続きを進めてきました。これにより9名の再処分(6~8年前の事案で改めて戒告処分を科すこと)を企んでいることが明らかになりました。「減給処分がダメならば戒告処分ならいいだろう」という理不尽かつ狡猾な企みです。

被処分者の会は、2月26日に都教委要請を行い、「再処分をするな」等を申し入れました。ところが、都教委は、「個別の教職員の人事に関する事項については、お答えできません」などと事実上回答を拒否したので、処分を決定する都教委定例会(3月26日)の前の3月20日に「卒業式処分・再発防止研修をするな」などと併せて、再度都教委に申し入れをしました。

しかし、都教委は、申し入れに回答することなく(回答が届いたのは本日4月14日 下記参照)、3月31日付で退職する1名の教員を切り離して3月23日に事情聴取を強行し、26日の都教委定例会で再処分(戒告処分)を決めて、退職予定日前日の30日に処分を発令しました(卒業式不起立での減給処分1名も同日発令)。

更に、4月新年度早々、4月2日、8日、9日に残る8名の現職教員の事情聴取を強行しました。該当者8名の中には、異動して2日目に事情聴取された人、新入生の担任で入学式の翌々日に呼ばれた人もいます。始業式、入学式、新年度授業(準備)など学校が多忙を極める時期に「事情聴取」をするなど「教育よりも事情聴取・処分が大事」という都教委の逆立ちした異常な姿勢を象徴しています。

処分権者たる教育委員会が発令した処分(減給・停職)が裁判によって違法とされたことを教育委員会に報告もせず、自ら控訴を断念したにも拘わらず、該当者が所属する被処分者の会の申し入れにも回答せず無視して、教育庁職員課は「事情聴取」を強行したのです。

◆暴力的体質を露呈した都教委

都教委は、「事情聴取」で「東京地裁判決であなたの平成20年3月の処分が取り消されたが、新たに処分を検討するための弁明の機会です。」と述べ、再処分(処分の出し直し)を前提に「事情聴取」を行いした。何ということでしょう!違法な処分を行ったことを謝罪して、「弁明」しなければならないのは都教委ではありませんか。
さらに、6~8年前の処分時の都教委の「処分説明書」を読み上げて、「この事実に相違ないか」との質問があり、「今どのような思いでいますか」「最後に言いたいことがありますか」などと続きます。裁判で違法な処分が取り消された事実に関する該当者の質問や謝罪の要求には、口をつぐみ、一切答えません。

今回の事態は、司法の判断を無視して、再処分を画策する都教委の「暴力的な体質」を改めて露呈しました。都教委は、4月23日の定例会で再処分を決定しようとしています(同日に入学式不起立での処分も決定の恐れ)。

被処分者の会は、判決を真摯に受け止めず、「処分の出し直し」という都教委の理不尽極まりない暴挙を許さず断固として闘い抜きます。

◆都教委の居直りを許すな―その不誠実な「回答」

3月20日の要請に対して、回答期限の3月25日(都教委定例会前日)に遅れること20日、本日4月14日やっと都教委回答がありました。。この間3回に亘って回答を督促しました。回答は各所管課のものを教育情報課がまとめるだけですが、回答内容は、①これまでと同じ文言、②一層悪質化した回答、③要請事項に全く向きあわないもの、④回答せず、等に大別できます。とにかく「ふざけた」代物で、要請を敵視しているかのごとく挑戦的ですらあります。

<申し入れ事項と回答>

 東京都教育委員会が2003年10月23日に発出したいわゆる「10.23通達」を撤回すること、また同通達に基づく一切の懲戒処分・厳重注意等を取消すこと。
(回答) これまでに出された裁判所の判断において、東京都教育委員会が平成15年10月23日付けで発出した「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について(通達)」は、旧教育基本法第10条第1項にいう「不当な支配」には該当しないとされています。本通達を撤回する考えはありません。(所管:指導部指導企画課)
懲戒処分等の取消しは、考えておりません。(所管:人事部職員課)

 3月26日に予定されている第5回東京都教育委員会定例会で卒業式に係わり10.23通達に基づく新たな懲戒処分を決定しないこと。
(回答) 個別の教職員の人事に関する事項については、お答えできません。(所管:人事部職員課)

 卒業式で処分を受けた教職員を対象とした「服務事故再発防止研修」を行わないこと。
(回答) 懲戒処分の原因となった服務事故の再発を防止するため、関係規定に基づき、懲戒処分を受けた者に対し、服務事故再発防止研修を実施します。(所管:人事部職員課)

 最高裁判決に反して減給処分を行わないこと。
(回答) 卒業式等の式典において国歌斉唱時の起立斉唱等を教員に求めた校長の職務命令が合憲であることは、最高裁判決で繰り返し認められているところであり、職務命令違反があった場合には、個々の事案の状況に応じて厳正に対処します。(所管:人事部職員課)

 「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱について」(平成24年1月24日)の都教委の「議決」を撤回すること。
(回答) 国歌斉唱時の起立斉唱等を教員に求めた職務命令が合憲であることは平成24年1月16日の最高裁判決でも改めて認められたところである。この判決を受け平成24年1月24日の臨時教育委員会において、「一人一人の教員が、教育における国旗掲揚及び国歌斉唱の意義と教育者としての責務を認識し、学習指導要領に基づき、各学校の入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱が適正に実施されるよう、万全を期していく」ことを委員総意の下に確認し、「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱について」が議決された。本議決を撤回する考えはない。

 2月26日付の「要請書」に対する「回答」(3月13日付)で要請項目に答えていないので再回答を求める。
①処分取消が確定した21名の原告に謝罪するのか。再び「違法な」処分をすることがないように再発防止策を講じるのか。また誰が「違法行為」責任を取るのか(今回追加)。
②処分取消に伴う「給与等の是正措置」を一括して処理せず、現職者9名(再任用2名を含む)を先行させた理由を明らかにすること。
③履歴カードからの「処分履歴」抹消は行われたのか。
④都教委ホームページでの処分取消の公表は行うのか。
⑤永年勤続表彰に伴うリフレッシュ休暇、退職時感謝状その他に関わる名誉・権利回復措置を講じるのか。
⑥再処分を 行わないこと、また、再処分に向けた事情聴取を行わないこと。
以上は、原告らが所属する原告団の再回答の要請であり、「個別の教職員の人事に関する事項については、お答えできません。」と繰り返すことなく、誠実に回答すること。2013年12月17日の現職教職員7名に対する戒告という再処分を撤回し、該当者に謝罪すること。また、新たな再処分を行わないこと。
(回答) 前回の要請事項とほぼ同様の内容であり、改めて回答する必要性を認めません。
なお、念のため、前回の回答を以下に記載します。
「卒業式等の式典において国歌斉唱時の起立斉唱等を教員に求めた校長の職務命令が合憲であることは、最高裁判決で繰り返し認められているところであり、職務命令違反があった場合には、個々の事案の状況に応じて厳正に対処します。
また、控訴の取下げは、考えておりませんし、判決の内容が確定した事案については、当該各事案に係るその内容に応じて必要な対応を行います。
なお、個別の教職員の人事に関する事項については、お答えできません。(所管:人事部職員課)

7 卒業式被処分者対象の再発防止研修予定日の前に、都教育庁関係部署(人事部職員課、指導部指導企画課、指導部高等学校教育指導課、教職員研修センター研修部教育経営課など)の責任ある職員と該当者及び被処分者の会・同弁護団との話し合いの場を設定すること。
(回答)団体からの要請等については、総務部教育情報課を通じて御意見等をお聞きするとともに、必要に応じて回答をしているところであり、話し合いの場を設定する考えはありません。(所管:指導部高等学校教育指導課・人事部職員課・教職員研修センター研修部)

◆学校に自由と人権を取り戻すため、粘り強く闘われている「日の丸・君が代」強制反対の裁判の傍聴・支援を!

★東京「君が代」裁判第四次訴訟第5回口頭弁論
(東京地裁民事11部。2010~13年処分取消請求、原告14名)
 5月22日(金)
  15時30分 傍聴希望者集合(傍聴抽選なし・先着順 裁判所前で案内あり)
  16時 開廷 
  東京地裁527号(定員42名) 
  報告集会:ハロー貸会議室虎ノ門3F(案内あり)

★再雇用拒否撤回第二次訴訟・地裁判決→いよいよ判決です!
(東京地裁民事36部。07・08・09年再雇用拒否の損害賠償請求、原告22名)
 5月25日(月)
  13時傍聴希望者集合(傍聴抽選なし・先着順 裁判所前で案内あり)
  13時30分開廷 
  東京地裁103号(大法廷・定員98名)
  報告集会:場所未定、追って連絡
 *早めにお出で下さい。旗出しがあるので傍聴抽選に外れた方も裁判所前でお待ちください

★東京「君が代」裁判第三次訴訟・控訴審第1回口頭弁論→いよいよ控訴審です。
(東京高裁第21民事部。2007~09年処分取消請求、原告50名)
東京地裁で一部勝訴(減給・停職処分31件取り消し、戒告処分容認、損害賠償請求棄却)。双方が控訴し、いよいよ高裁での闘いが始まりました。
 5月26日(火)
  15時10分(予定)傍聴整理券交付〆切(裁判所前で案内あり) 
  15時30分 開廷 
  東京高裁101号(大法廷 定員98名) 
  報告集会&再処分抗議集会:ハロー貸会議室虎ノ門3F(案内あり)

2015年4月9日木曜日

4/7 田中聡史さん、入学式で不起立

■田中聡史さんの報告です。

田中さんは石神井特別支援学校に移動になりました。4月7日に入学式があり、田中さんは「君が代」斉唱時に不起立をしたとして、「現認」されました。

入学式が始まる前(7:20~9:30)、石神井特別支援学校の正門前で、田中さんを支援する人たちがビラまきをやりました。冷たい小雨が降る中でのビラまきでしたが、14人が参加しました。

ビラは、以下の二つの団体のものでした。
①<河原井さん・根津さんらの「君が代」解雇をさせない会>
②<学校と地域をむすぶ板橋の会>
ビラまきには、学校がある練馬区の市民の方々も参加しました。

正門前には黒服の都教委職員4人と副校長・2学年主任らが出てきて、「敷地内に入らないでください」「通行の邪魔にならないでください」と言ってきました。
これに対して、こちらも、「そもそもの原因を作ったのは石原慎太郎元都知事や都教委だ」と抗議しました。
警察は来ませんでしたが、時々正門前の道路をパトカーが通りました。

4月8日午後2時15分から、都庁第二本庁舎にて「事情聴取」がありました。

都教委は、今回も、不当処分発令に向けて動き出しています。ぜひとも、不当処分を出すな、との声を、都教委にお届けください。

■抗議・要請先
東京都教育庁(=東京都教育委員会)〒163-8001東京都新宿区西新宿2-8-1
総務部教育情報課(都民の声を聞く担当)
  :電話 03-5320-6733  FAX 03-5388-1726
人事部職員課服務係(処分を発令する担当) :電話 03-5320-6792

2015年4月5日日曜日

4/3 「君が代」不起立で処分された田中聡史さんへの「再発防止研修」

■4月3日(金)、田中聡史さんの「再発防止研修」が行なわれました。これに対する抗議・支援行動が都教職員研修センター前で行われ、約65名が集まりました。

◆「研修」抗議
田中さんがセンターに入る前からシュプレヒコールが繰り返され、会では被処分者の会の星野さんが、センター前に居並ぶ都教委の職員(10人)に対し次のようなことを述べました。
「安倍首相は『戦争する国』に向かって5月にも戦争立法を国会に提出する。『日の丸・君が代』の強制はこの国をモノも言えない危険な国にする。
田中さんへの再発防止研修もそれと一体のものであり、イジメ、嫌がらせ、人権侵害以外の何物でもない。教育破壊の先頭に立っている都教委に対し私たちは最後まで闘う。」

センターへの申し入れは、「被処分者の会」、「解雇させない会」、平松弁護士が行いました。
平松弁護士は、次のようなことを述べました。
「最高裁判決で減給以上の処分取り消しは数十件になっている。田中さんの減給も取り消されることになろう。係争中の件で、なぜ田中さんに再発防止研修をするのか。レッテル貼りである。不当な研修を即刻中止せよ。内心を問う違憲違法な研修をなぜ強行するのか。」

これに対し、センター課長は、全く答えず、
 「予定通り実施する。議論をするつもりはない。」との答え。
参加者からは、
「官僚的・権力的対応で、一片の誠意も見られない。恥ずかしくないのか!」
「センターには<教師が伸びる子供が伸びる  東京都教職員研修センター>という大きな垂れ幕が掛かっているが、やっていることは、全く反対のことだ!」
という声が上がりました。

また、都立高校の現場の実態を暴露する次のような声も上がりました。
「生徒が軍隊みたいな学校で辞めたいと言っていた。生徒指導部長は、生徒たちを怒鳴り散らしていた。担任もちょっとしたことで生徒の胸ぐらをつかんで怒鳴っていた。
今の学校は荒廃している。生徒の人権侵害、暴言暴力が横行している。
そのことを校長に訴えても『生徒から苦情が来ていないので、何の問題もない』と言う。
教員の人権も踏みにじられている。今の都立学校に言論の自由、民主主義はない。
全部上意下達で、教員をロボットのようにこき使っている。意味のない事務仕事で朝の7時ころから夜の10時ころまでパソコンに向かって事務作業が強いられる。
その象徴が『日の丸・君が代』だ。間違っている。研修はイジメだ。」

◆「研修」後
田中さんの研修は9時から12時過ぎまで行なわれました。
センターから出てきた田中さんは次のように述べました。
「研修の内容は例年と同じだった。これは2004年の地裁決定に反している。地裁決定では、『行政はこういうこと(同じ様に転向をせまるようなことを繰り返すこと)はしてはならない』と述べている。
<振り返りシート>が書かされたが、『地方公務員法にしたがって全体の奉仕者としてやっていく』と書いた。『日の丸・君が代』で侵略戦争が行われ多くの犠牲者が出た。起立ができないのは、公共の福祉から当然です。」
田中さんは気負いもせずに、あくまでも自然体でした。

集会には山谷の労働者の人たちも数名駆けつけ、
「8回も処分されながら闘っている田中さんに、私たちも大きく励まされています」
と述べていました。

今回表面上は全都で「たった一人の反乱」になった田中さんですが、田中さんは孤立していないことが本日も証明されました。これからも再発防止研修は続きますが、その度ごとに都教委や管理職の嫌がる抗議行動は続けられます。私たちは持久戦を闘っています。

2015年4月3日金曜日

お知らせ 4/21道徳の教科化に反対する討論集会

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3/31 卒業式処分の抗議集会


◆卒業式処分、再処分に怒り―卒業式処分抗議集会開かれる

昨日3月31日、被処分者の会などで構成する五者卒入学式対策本部が主催して「卒業式処分発令抗議・該当者支援総決起集会」が都内水道橋の全水道会館で行われました。近藤徹さんからの報告をアップします。

集会には、会場からあふれるほどの70名を超える原告・支援者らが結集しました。今次卒業式で「君が代」斉唱時に起立せず減給1月の処分を受けたTSさん、東京地裁判決(1月16日)で減給処分が取り消され、都教委控訴を断念し判決が確定したのに改めて戒告処分(再処分)を受けたTさん、4月にも再処分の恐れがある現職教員8名、と思いを共有して怒りと共に闘う決意に満ちあふれる集会となりました。

④該当者から-1

主催者の五者卒入学式対策本部からは、今年の卒業式を巡る状況の報告があり、都教委は「(在校生・卒業生の)送辞・答辞は管理職が事前に確認すること」(校長説明会文書)など事細かにの校長に指示して指導と称して締め付けを強めていること、校長が被処分者を担任にさせない都立高校の現状、などが述べられ、最後に「日の丸・君が代」強制反対の闘いは、「戦争する国」への流れを食い止める闘いである、と結びました。

参加したS弁護士からは、「10・23通達発出時の石原都知事、横山教育長、米長・鳥海らの教育委員も皆いなくなったのに東京の教育行政が相変わらず異常な現状をなんとか変えていきたい」との発言もありました。

卒業式被処分者のTさんは、「処分自体不当であるけれども、8回目の処分で減給1月に止まったのは、裁判で減給処分が取り消されたこと、皆さんの闘いがこれ以上重い処分を許さなかったこと、などにある」と述べました。

⑤該当者から-2

再処分該当者からは、10・23通達から12年経ち、「日の丸・君が代」強制問題が風化しつつあるとき、この問題が大事であることを(若い教員らに)伝えていきたい、など職場の状況を踏まえた発言がありました。

◆都立高校教員8名の再処分に向けた事情聴取を許さない!

この集会で、H弁護士は、都教委が裁判で減給処分を取り消され敗訴したのに謝罪するどころか、31日付退職の前日30日に、再処分(戒告)処分をしたことを「先ず再処分ありきの暴挙」であると、厳しく糾弾しました。

さて、処分撤回を求めて(344)で既報の通り、被処分者の会・東京「君が代」裁判原告団は、3月20日、「卒業式処分をするな!再発防止研修やめよ!再処分をするな!」を求めて都教委への要請を行いましたが、回答期限の3月25日以降現在に至るまで回答もなく、3月30日卒業式処分及び再処分を強行し、更に4月3日に卒業式被処分者に対し「再発防止研修」の受講命令を発令しました。このような不誠実で非常識極まりない都教委の対応を断じて許すわけにはいきません。

⑨行動提起

また、他の再処分該当者8名(再任用を含む現職の都立高校教員)に対して、都教委は、4月早々にも再処分のための「事情聴取」を強行する恐れがあります。新年度で始業式、入学しも控えて学校が多忙を極める時期に「事情聴取」をするなど許されませんが、都教委は「教育よりも事情聴取・処分が大事」という異常な姿勢で臨むことが予想され、警戒しなければなりません。

3/30 「君が代」不起立で、都立板橋特別支援学校教員・田中聡史さんが不当処分される

都教委は、3月30日に都立板橋特別支援学校教員・田中聡史さん(写真)を卒業式での「君が代」不起立を理由に懲戒処分をしました。 田中さん自身のメールです。

◆田中さんのメール
「田中聡史です。本日、処分の発令がありました。
本日、3月30日月曜日、午前10時50分から、板橋特別支援学校校長室で田中の卒業式での「君が代」斉唱時不起立に対する処分の発令がありました。

内容は、減給10分の1・1ヶ月と、4月3日金曜日に研修センターで9時から12時半まで研修、というものでした。

私はこれで8回目の不起立処分ですが、4回目までは戒告処分、5回目から8回目は減給10分の1・1ヶ月となりました。

不当な処分であることには変わりないですが、処分内容をより重いものにできなかったのは、多くの方が「不当処分をするな」との声を都教委に届けてくださったからだと思います。ご支援ありがとうございました。

板橋特別支援学校教員 田中聡史

追伸

重ねてのお願いで恐縮ですが、「不当処分を撤回しろ」との声を、ぜひ都教委に届け
てください。

■抗議・要請先
東京都教育庁(=東京都教育委員会)〒163-8001東京都新宿区西新宿2-8-1
総務部教育情報課(都民の声を聞く担当) :電話 03-5320-6733  
                     FAX 03-5388-1726
人事部職員課服務係(処分を発令する担当) :電話 03-5320-6792

◆レイバーネットにも報告が出ています。
全文→http://www.labornetjp.org/news/2015/0331tanaka