5月21日(木)、3月卒業式、4月入学式での「君が代」不起立を理由にして減給処分を受けた都立特別支援学校の教員1名及び東京地裁判決で減給処分を取り消され都教委が控訴を断念したにもかかわらず戒告の再処分を受けた都立高校教員9名の計10名は、処分取消を求めて東京都人事委員会に不服審査請求を行い、都庁記者クラブで記者会見を行いました。近藤徹さんから報告です。
◆都人事委員会への不服審査請求の内訳
<卒業式・入学式に係わる処分取消請求> 2件・1名(卒業式・入学式とも同一人)
卒業式 1名(都立板橋特別支援学校・当時) 減給10分の1・1月 3/30発令
入学式 1名(都立石神井特別支援学校) 減給10分の1・1月 4/28発令
<再処分に係わる処分取消請求> 9件・9名 いずれも戒告処分
東京「君が代」裁判第三次訴訟の東京地裁判決(本年1月16日)で減給処分取り消し。都教委が控訴を断念して判決が確定。しかし都教委は、現職の教員に改めて戒告処分を発令(以下再処分という)。
(発令月日)(人数)(学校名・当時) (取り消された処分) (同発令年月)
(備考)
3月30日 1名 都立蔵前工業高校 減給10分の1・1月 2008年3月 本年3月退職
4月28日 8名 都立農芸高校 減給10分の1・1月 2007年3月
同 昭和高校 同上 2007年3月
同 工芸高校 同上 2007年5月
同 日本橋高校 減給10分の1・6月 2007年5月
同 東大和高校 減給10分の1・1月 2007年5月
同 多摩工業高校 同上 2008年3月
同 永山高校 同上 2008年3月
同 武蔵丘高校 減給10分の1・6月 2009年3月
◆許せますか? ストーカー的処分 6~8年前の事案で
上記のように、地裁で減給以上の処分は違法であるとして敗訴し、自ら控訴を断念して「降伏」したのに、原告・都民らに謝罪し、二度と同じことが起こらないよう再発防止策を講じるどころか居直って6~8年前の事案で再処分。こんなストーカー的処分をする非常識な都教委を許せますか? 教職員をイジメ、処分という「暴力」で押さえ込む都教委に「イジメ」を語る資格はありません。
なお、問題の発端である「日の丸・君が代」を強制する10・23通達(2003年)発出に係わった教育委員、教育長らは今や一人もいないのです。10・23通達を見直すいい機会だというのに。
◆被処分者の会は記者会見で下記の声明を発表しました。問題点、現状がよくわかり
ますのでお読みください。
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報道関係者各位
「君が代」処分取消を求める都人事委員会不服審査請求にあたっての声明
東京都教育委員会(都教委)は、卒業式・入学式での「君が代」斉唱時の不起立を理由に都立特別支援学校の教員1名に減給1月の処分を発令し(2015年3月30日付及び4月28日付)、また2015年1月の東京地裁判決で減給1月・減給6月の懲戒処分を取り消された現職の都立高校教員9名に対して、新たに戒告処分(以下再処分という)を発令しました(同年3月30日付及び4月28日付)。
これに対して、本日、当事者10名は、被処分者の会弁護団を代理人に同処分の取り消しを求め都人事委員会に不服審査請求を行いました。
卒業式、入学式などで「日の丸・君が代」を強制する10・23通達(2003年)に基づく懲戒処分の数は延べ474名にのぼります(再処分16名を含む)。この数字は、東京の教育行政の異常さを雄弁に物語っています。
周知のように、最高裁判決(2012年1月16日及び2013年9月6日)は、起立斉唱・ピアノ伴奏を命ずる職務命令が「思想及び良心の自由」の「間接的制約」であることを認め、「戒告を超えてより重い減給以上の処分を選択することについては,本件事案の性質等を踏まえた慎重な考慮が必要」で「処分が重きに失し、社会観念上著しく妥当を欠き、懲戒権者の裁量権の範囲を超え、違法」として、減給・停職の懲戒処分を取り消しました。
しかし都教委は、減給処分を違法とした最高裁判決を謙虚に受け止めず、その趣旨を無視して、卒業式、入学式で減給処分を出し続けています。それどころか、本年1月16日の東京地裁判決で自ら控訴を断念して減給処分取り消しが確定した現職の都立高校教員全員に再処分を科すという前代未聞の暴挙を行っているのです。 これらは、処分を振りかざして教職員を萎縮させ屈服させようとする都教委の「暴力的体質」を露呈しています。
今都教委のなすべきことは、最高裁判決を謙虚に受け止め、違法な処分により筆舌に尽くしがたい精神的、経済的損害を被った被処分者への謝罪と名誉回復・権利回復を早急に行うことです。また、司法により違法とされた処分を行った組織の在り方を点検し、責任の所在を明らかにし、再発防止策を講ずることです。そして10・23通達から12年経ち、通達発出当時の教育委員がすべて交代しているこの機会に、10・23通達に基づく「日の丸・君が代」強制の一連の施策を抜本的に見直すことです。
私たち被処分者の会・原告団と弁護団は、これまで何度となく、都教育委員会及び教育庁関係部署との話し合いを求めてきました。にもかかわらず都教委は、「話し合い」を拒否して問題解決のための努力を放棄する不誠実な対応に終始しています。
請求人らは、人事委員会審理を通じて、東京都教育委員会(都教委)の「暴走」を告発し、教職員や生徒らの「思想・良心の自由」を守り、自由で民主的な教育を甦らせ、生徒が主人公の学校を取り戻すために、教職員・生徒・保護者・市民と手を携えて、「日の丸・君が代」強制に反対し、不当処分撤回まで闘い抜く決意です。ご理解を心から訴えるものです。
2015年5月21日
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会・東京「君が代」裁判原告団
◆裁判ウイーク 再雇用拒否撤回第二次訴訟は25日に判決 傍聴・支援を!
5月22日の東京「君が代」裁判第四次訴訟第5回口頭弁論を皮切りに、来週にかけて「日の丸・君が代」強制反対の裁判が続きます。
再雇用拒否撤回第二次訴訟(私近藤も原告です)は、提訴以来5年8月。この間無念にも2人の原告がお亡くなりになりました。そしていよいよ来週25日(月)に東京地裁で判決があります。
都教委は、これまで卒・入学式などで「日の丸・君が代」を強制する「10.23通達」で処分された教職員の再雇用(嘱託・再任用・非常勤教員など)を拒否してきました。採用を拒否された人の数は70名を越えています。
そもそも東京都職員の再雇用制度は、東京都労働組合連合会(都労連)と東京都の交渉で、退職後の年金支給開始までの生活を維持するために制度化したものです。
2005年度・2006年度に採用を拒否された人たちが「採用拒否撤回・損害賠償」を求めた訴訟(第1次訴訟)は、残念ながら2011年6月に最高裁で敗訴しました。
本訴訟(第2次訴訟)は、2007年度~2009年度に再雇用を拒否された原告(元都立高校教員25名・当時。現在の原告数22名)が2009年9月東京地裁に提訴して、「君が代」斉唱時の不起立を理由とした再雇用拒否等が違憲であり、かつ東京都・都教委の「裁量権の逸脱・濫用」であることを争点として「損害賠償」を求めて東京地裁民事36部で争ってきました。
この間、国・東京都の再雇用制度も改定され、定年後の継続雇用が制度化されています。こうした動向を踏まえて東京地裁がどのような判断をするか注目されます。また、本判決は、東京都職員、とりわけ公立学校の教職員の退職後の継続雇用にも大きな影響を及ぼすものと思われます。
皆さんの傍聴・支援を心から訴えます。
★再雇用拒否撤回第二次訴訟・地裁判決→いよいよ判決です!
(東京地裁民事36部。07・08・09年再雇用拒否の損害賠償請求、原告22名)
5月25日(月)
12時50分 原告・弁護団行進(弁護士会館→裁判所)
13時 傍聴希望者裁判所前集合(傍聴抽選なし・先着順)
→早めに来て更新を迎えてください。
13時30分 開廷
東京地裁103号(大法廷・定員98名)
報告集会:ハロー貸会議室虎ノ門3F(案内あり)
*早めにお出で下さい。旗出しがあるので入れなかった方も裁判所前でお待ちください
◆三次訴訟 いよいよ高裁控訴審の闘いが始まる 再処分を許すな!
現職の都立高校教員9名の再処分の不当性も争点になります。第1回弁論では三次訴訟地裁判決で減給処分を取り消され、二次訴訟に続き都教委による不当極まりない2回目の再処分を受けたIさんが意見陳述します。
★東京「君が代」裁判第三次訴訟・控訴審第1回口頭弁論
(東京高裁第21民事部。2007~09年処分取消請求、原告50名)
東京地裁で一部勝訴(減給・停職処分31件取り消し、戒告処分容認、損害賠償請求棄却)。双方が控訴し、いよいよ高裁での闘いが始まりました。
5月26日(火)
15時10分(予定)傍聴整理券交付〆切
(抽選があるので遅れないでください。)
15時30分 開廷
東京高裁101号(大法廷 定員98名)
内容:原告(2回目の再処分該当者)・弁護士の意見陳述
報告集会&再処分抗議集会:ハロー貸会議室虎ノ門3F(案内あり)