◆新年度早々、再処分を前提にした事情聴取を強行!
既報の通り、東京「君が代」裁判三次訴訟(原告50名)で、不当にも戒告処分は容認したものの、減給・停職処分31件(26名)が東京都の「裁量権の逸脱・濫用」で違法として、取り消されました。それに対して都教委は、8件(5名 減給・停職処分)のみ控訴し、23件(21名 減給処分)については自ら控訴を断念して、処分取消が確定しました。近藤徹さんからの報告です。
ところが、都教委は、違法な減給・停職処分を行ったことを反省し、該当者に謝罪し再発防止策を講じるするどころか、減給処分を取り消された現職の都立高校教員(9名 再任用2名を含む)のみ先行して「給与等の是正措置」の手続きを進めてきました。これにより9名の再処分(6~8年前の事案で改めて戒告処分を科すこと)を企んでいることが明らかになりました。「減給処分がダメならば戒告処分ならいいだろう」という理不尽かつ狡猾な企みです。
被処分者の会は、2月26日に都教委要請を行い、「再処分をするな」等を申し入れました。ところが、都教委は、「個別の教職員の人事に関する事項については、お答えできません」などと事実上回答を拒否したので、処分を決定する都教委定例会(3月26日)の前の3月20日に「卒業式処分・再発防止研修をするな」などと併せて、再度都教委に申し入れをしました。
しかし、都教委は、申し入れに回答することなく(回答が届いたのは本日4月14日 下記参照)、3月31日付で退職する1名の教員を切り離して3月23日に事情聴取を強行し、26日の都教委定例会で再処分(戒告処分)を決めて、退職予定日前日の30日に処分を発令しました(卒業式不起立での減給処分1名も同日発令)。
更に、4月新年度早々、4月2日、8日、9日に残る8名の現職教員の事情聴取を強行しました。該当者8名の中には、異動して2日目に事情聴取された人、新入生の担任で入学式の翌々日に呼ばれた人もいます。始業式、入学式、新年度授業(準備)など学校が多忙を極める時期に「事情聴取」をするなど「教育よりも事情聴取・処分が大事」という都教委の逆立ちした異常な姿勢を象徴しています。
処分権者たる教育委員会が発令した処分(減給・停職)が裁判によって違法とされたことを教育委員会に報告もせず、自ら控訴を断念したにも拘わらず、該当者が所属する被処分者の会の申し入れにも回答せず無視して、教育庁職員課は「事情聴取」を強行したのです。
◆暴力的体質を露呈した都教委
都教委は、「事情聴取」で「東京地裁判決であなたの平成20年3月の処分が取り消されたが、新たに処分を検討するための弁明の機会です。」と述べ、再処分(処分の出し直し)を前提に「事情聴取」を行いした。何ということでしょう!違法な処分を行ったことを謝罪して、「弁明」しなければならないのは都教委ではありませんか。
さらに、6~8年前の処分時の都教委の「処分説明書」を読み上げて、「この事実に相違ないか」との質問があり、「今どのような思いでいますか」「最後に言いたいことがありますか」などと続きます。裁判で違法な処分が取り消された事実に関する該当者の質問や謝罪の要求には、口をつぐみ、一切答えません。
今回の事態は、司法の判断を無視して、再処分を画策する都教委の「暴力的な体質」を改めて露呈しました。都教委は、4月23日の定例会で再処分を決定しようとしています(同日に入学式不起立での処分も決定の恐れ)。
被処分者の会は、判決を真摯に受け止めず、「処分の出し直し」という都教委の理不尽極まりない暴挙を許さず断固として闘い抜きます。
◆都教委の居直りを許すな―その不誠実な「回答」
3月20日の要請に対して、回答期限の3月25日(都教委定例会前日)に遅れること20日、本日4月14日やっと都教委回答がありました。。この間3回に亘って回答を督促しました。回答は各所管課のものを教育情報課がまとめるだけですが、回答内容は、①これまでと同じ文言、②一層悪質化した回答、③要請事項に全く向きあわないもの、④回答せず、等に大別できます。とにかく「ふざけた」代物で、要請を敵視しているかのごとく挑戦的ですらあります。
<申し入れ事項と回答>
1 東京都教育委員会が2003年10月23日に発出したいわゆる「10.23通達」を撤回すること、また同通達に基づく一切の懲戒処分・厳重注意等を取消すこと。
(回答) これまでに出された裁判所の判断において、東京都教育委員会が平成15年10月23日付けで発出した「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について(通達)」は、旧教育基本法第10条第1項にいう「不当な支配」には該当しないとされています。本通達を撤回する考えはありません。(所管:指導部指導企画課)
懲戒処分等の取消しは、考えておりません。(所管:人事部職員課)
2 3月26日に予定されている第5回東京都教育委員会定例会で卒業式に係わり10.23通達に基づく新たな懲戒処分を決定しないこと。
(回答) 個別の教職員の人事に関する事項については、お答えできません。(所管:人事部職員課)
3 卒業式で処分を受けた教職員を対象とした「服務事故再発防止研修」を行わないこと。
(回答) 懲戒処分の原因となった服務事故の再発を防止するため、関係規定に基づき、懲戒処分を受けた者に対し、服務事故再発防止研修を実施します。(所管:人事部職員課)
4 最高裁判決に反して減給処分を行わないこと。
(回答) 卒業式等の式典において国歌斉唱時の起立斉唱等を教員に求めた校長の職務命令が合憲であることは、最高裁判決で繰り返し認められているところであり、職務命令違反があった場合には、個々の事案の状況に応じて厳正に対処します。(所管:人事部職員課)
5 「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱について」(平成24年1月24日)の都教委の「議決」を撤回すること。
(回答) 国歌斉唱時の起立斉唱等を教員に求めた職務命令が合憲であることは平成24年1月16日の最高裁判決でも改めて認められたところである。この判決を受け平成24年1月24日の臨時教育委員会において、「一人一人の教員が、教育における国旗掲揚及び国歌斉唱の意義と教育者としての責務を認識し、学習指導要領に基づき、各学校の入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱が適正に実施されるよう、万全を期していく」ことを委員総意の下に確認し、「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱について」が議決された。本議決を撤回する考えはない。
6 2月26日付の「要請書」に対する「回答」(3月13日付)で要請項目に答えていないので再回答を求める。
①処分取消が確定した21名の原告に謝罪するのか。再び「違法な」処分をすることがないように再発防止策を講じるのか。また誰が「違法行為」責任を取るのか(今回追加)。
②処分取消に伴う「給与等の是正措置」を一括して処理せず、現職者9名(再任用2名を含む)を先行させた理由を明らかにすること。
③履歴カードからの「処分履歴」抹消は行われたのか。
④都教委ホームページでの処分取消の公表は行うのか。
⑤永年勤続表彰に伴うリフレッシュ休暇、退職時感謝状その他に関わる名誉・権利回復措置を講じるのか。
⑥再処分を 行わないこと、また、再処分に向けた事情聴取を行わないこと。
以上は、原告らが所属する原告団の再回答の要請であり、「個別の教職員の人事に関する事項については、お答えできません。」と繰り返すことなく、誠実に回答すること。2013年12月17日の現職教職員7名に対する戒告という再処分を撤回し、該当者に謝罪すること。また、新たな再処分を行わないこと。
(回答) 前回の要請事項とほぼ同様の内容であり、改めて回答する必要性を認めません。
なお、念のため、前回の回答を以下に記載します。
「卒業式等の式典において国歌斉唱時の起立斉唱等を教員に求めた校長の職務命令が合憲であることは、最高裁判決で繰り返し認められているところであり、職務命令違反があった場合には、個々の事案の状況に応じて厳正に対処します。
また、控訴の取下げは、考えておりませんし、判決の内容が確定した事案については、当該各事案に係るその内容に応じて必要な対応を行います。
なお、個別の教職員の人事に関する事項については、お答えできません。(所管:人事部職員課)
7 卒業式被処分者対象の再発防止研修予定日の前に、都教育庁関係部署(人事部職員課、指導部指導企画課、指導部高等学校教育指導課、教職員研修センター研修部教育経営課など)の責任ある職員と該当者及び被処分者の会・同弁護団との話し合いの場を設定すること。
(回答)団体からの要請等については、総務部教育情報課を通じて御意見等をお聞きするとともに、必要に応じて回答をしているところであり、話し合いの場を設定する考えはありません。(所管:指導部高等学校教育指導課・人事部職員課・教職員研修センター研修部)
◆学校に自由と人権を取り戻すため、粘り強く闘われている「日の丸・君が代」強制反対の裁判の傍聴・支援を!
★東京「君が代」裁判第四次訴訟第5回口頭弁論
(東京地裁民事11部。2010~13年処分取消請求、原告14名)
5月22日(金)
15時30分 傍聴希望者集合(傍聴抽選なし・先着順 裁判所前で案内あり)
16時 開廷
東京地裁527号(定員42名)
報告集会:ハロー貸会議室虎ノ門3F(案内あり)
★再雇用拒否撤回第二次訴訟・地裁判決→いよいよ判決です!
(東京地裁民事36部。07・08・09年再雇用拒否の損害賠償請求、原告22名)
5月25日(月)
13時傍聴希望者集合(傍聴抽選なし・先着順 裁判所前で案内あり)
13時30分開廷
東京地裁103号(大法廷・定員98名)
報告集会:場所未定、追って連絡
*早めにお出で下さい。旗出しがあるので傍聴抽選に外れた方も裁判所前でお待ちください
★東京「君が代」裁判第三次訴訟・控訴審第1回口頭弁論→いよいよ控訴審です。
(東京高裁第21民事部。2007~09年処分取消請求、原告50名)
東京地裁で一部勝訴(減給・停職処分31件取り消し、戒告処分容認、損害賠償請求棄却)。双方が控訴し、いよいよ高裁での闘いが始まりました。
5月26日(火)
15時10分(予定)傍聴整理券交付〆切(裁判所前で案内あり)
15時30分 開廷
東京高裁101号(大法廷 定員98名)
報告集会&再処分抗議集会:ハロー貸会議室虎ノ門3F(案内あり)