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2013年9月17日火曜日

9/12 東京都教育委員会定例会傍聴報告 体罰に甘い委員の体質

■9月12日の定例会を傍聴した。委員会は木村委員長の、「議事妨害があれば、退場を命じる。法的措置をとる」との宣言で始まった。根津さんからの報告です。

◆会議の内容 (ここでは特に体罰問題を報告)
★議題には懲戒処分案件が教職員12件、都教委職員1件と記載。この件数の多さは何なんだろうと思っていたら、今朝の東京新聞が「体罰60回、昼食抜き40キロ走 … 153教職員を処分」の見出しで報じた。

 報告事項は東京教師養成塾に「特別支援学校コース」を新設、江東地区第二養護学校(仮称)の開港予定年度の延期(有害物資地や悪臭の発生のため)、「体罰根絶に向けた総合的な対策について」等7件の報告がなされた。最後の「体罰根絶に向けた総合的な対策について」を紹介する。

★大阪桜ノ宮高校で顧問教員から体罰を受け、生徒が自殺した事件を受け、都教委は実態調査を行った。4月11日に「体罰の実態把握(第一次報告)」、5月23日にその最終報告があって、今回、部活動等のあり方検討委員会報告が示された。昨日の処分もその結果だとのこと(東京新聞)。

★報告は、「体罰を行った教員の約60%が一時的な感情により、約40%が体罰を指導の手段とする誤った認識により、体罰を行った」という(実態把握調査より)。これに対し、「教員の意識改革」を最大の課題と位置づけ、どういう行為が体罰なのか、あるいは行き過ぎた指導なのかのガイドラインを示し、「暴力・暴言しない、させない、許さない」取り組みをあげている。「校長のマネジメントの強化」「Good Coach賞の創設」には頷くことはできないが、全体としては是認できるものであった。 

★さて、ガイドラインを巡って2人の委員から発言があった(竹花委員は欠席、乙武委員はこの件では発言なし)。内館委員:「私のところに教員から手紙が来た。教育委員会にわかってほしいことがある。生徒の態度があまりにひどい。何かあれば、『教育委員会に言いつけてやる』と生徒は言う。唾を吐く生徒を教員が蹴る。授業のチャイムが鳴っても教室に入らない生徒の首根っこをつかむ。これがいけないというなら、教員はどうしどうしたらいいのか、という手紙に、私は何も言えなかった。」 山口委員:「報告書はよくまとまっていると思う。しかし、これによって教員が萎縮してしまうのではないかと危惧する。暴言は今までの習慣なので、いっぺんにただすのは難しい。徐々にただしていくことだろう。また、上級生、下級生という部員同士の指導による暴言等についても今後検討してほしい。」(いずれも趣旨)

「私は何も言えなかった」「教員が萎縮してしまうのではないか」との2人の発言を聞いて、何と甘いこと、体罰容認に通ずる意識ではないかと思った。現状是認では、体罰根絶は不可能だ。学校教育法11条は体罰禁止を謳っているが、体罰が無くならない現実は、それを如実に物語る。当の教員も、体罰容認の中で教育を受け、生活してきたのだから、根絶のためには意識して、一切の体罰・暴力をしない、させない、許さないことに尽きる。体罰・暴力は、理を尽くしての指導放棄であることを認識すべきだ。

★私は長いこと中学校教員をしてきて、体罰という暴力を受けた子どもたちが、身体が大きくなった時に暴力を再生産する現実を目の当たりにしてきた。山口委員が言う「部員同士の…暴言」もその一つである。教員による体罰・暴力が一掃されたら、社会の暴力は極端に減るはずだ。さらに、力による支配から脱却し、論議して決定する社会になると思うのだ。

★なお、今日は定例会に先立ち、4月11日の竹花発言が議事録にないことについての質問書を教育情報課に提出してきた。

「体罰の実態把握(第一次報告)」の折、竹花委員が「(部活動での:筆者補足)死ね、殺す、出て行け、という強い発言、…今くらいのことは精査しなくていい。こんなのは指導の範疇だ」と発言したのを、傍聴していた私は聞いたのだった。あまりに驚き、すぐにメモを取り、閉会後、一緒に傍聴した3人の友人に確かめて、3人とも「間違いない」ということだった。この発言の最中、山口委員が大きく頷いた姿が脳裏に焼き付いている8月になって、この日の議事録が都教委のホームページにアップされていることに気づき、読んだところ、この発言がない。これはいったいどういうことか。それを知りたくて、質問書を教育委員長、教育長、総務部定例会担当者宛に、1週間以内に回答をほしい旨伝え、提出してきた。