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2013年9月13日金曜日

9/9 最高裁判決を受けての都教委要請行動の報告「違法」な処分に対して反省・謝罪、都教委での審議、回答を要求

■9月9日、被処分者の会・東京「君が代」裁判原告団は、9月6日の最高裁判決を受けて早速都教委要請行動を実施しました。要請には被処分者の会・原告団の当事者・原告、弁護士2名、支援者等26名が参加しました。都教委側は、教育庁総務部教育情報課長が対応しました。被処分者の会の近藤徹さんの報告です。

◆都教委への要請行動
 まず、被処分者の会・原告団から都教委への請願書を手交し(資料として最高裁判決全文、原告団・弁護団声明も渡す)、請願の趣旨を補足説明し、弁護団からの発言がありました。この中で最高裁判決を受けての新しい要求として、「最高裁が『違法』とした減給・停職処分を行ったことの責任の所在を明らかにして、謝罪せよ」「教育委員会で請願書を配付し、審議の上回答せよ」と強く迫りました。弁護団からは、鬼丸かおる最高裁裁判官の補足意見をも踏まえて、「戒告処分も無条件で認めた判決ではない」「鬼丸裁判官の補足意見は都教委に反省・改善を求めている」「違法行為の責任を取れ」など厳しい追及がありました。

◆教育情報課長 都教委定例会で審議どころか請願書の配付すら明言せず
 不誠実な対応に怒り爆発
 これに対して教育情報課長は、「請願処理規則に基づいて適正に処理する」「所管課にメモを付して伝える」「教育委員会には半年に1回報告する」と繰り返すだけで、9月12日、9月26日に予定されている都教委定例会での「審議」の約束をしないばかりか、請願文・資料を配付して「報告する」ことすら明言せず、憲法で保障された請願権の侵害に対して参加した原告らの怒りが爆発し、要請時間は予定を大きく超えてしまいました。

私たちは、これからも「違法行為」を働いた都教委の責任を厳しく追及し、あくまでも謝罪を求めます。そのため都議会などへの働きかけも強めて、「日の丸・君が代」強制が象徴する東京の異常な教育行政を変えるために闘います。

東京オリンピックを契機にナショナリズムを煽り、自民党の憲法草案での「国旗・国歌の尊重義務」の明記とも相まって、「日の丸・君が代」強制が強化されることが懸念されます。このような流れを許さず、頑張ります。

◆本日都教委に提出した被処分者の会・原告団の請願書
請 願 書         2013年9月9日
東京都教育委員会  教育委員長 木村孟 殿/ 教育長  比留間英人 殿
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会/ 東京「君が代」裁判原告団
 代表者 岩木 俊一

<請願事項>

1.最高裁判決で「懲戒権者の裁量権の範囲を超え、違法」とされた減給・停職処分を行ったことを真摯に反省し、原告らに謝罪すること。
2.10・23通達に基づく校長の職務命令違反を理由とした過去の全ての懲戒分を即時撤回すること。
3.今後、最高裁判決で「思想及び良心の自由」を「制約する」とされた職務命令違反を理由としたいかなる懲戒処分も行わないこと。
4.職務命令違反を理由に減給・停職処分などの累積加重処分を行わないこと
5.10・23通達に基づく校長の職務命令を発出しないこと。
6.10・23通達を撤回すること。
7.10・23通達に係わって懲戒処分を受けた教職員を対象とした「服務事故再発防止研修」を行わないこと。
8.問題の解決のために都教育庁関係部署(人事部職員課、指導部指導企画課、指導部高等学校教育指導課、教職員研修センター研修部教育経営課など)の責任ある職員と被処分者の会・同弁護団との話し合いの場を早期に設定すること。
9.以上を検討するにあたり、本請願書及び2012年1月16日及び2013年9月6日の最高裁判決全文を教育委員会で配付し、判決について慎重に検討、議論し、回答すること。

<請願の趣旨>

1.卒業式・入学式等で「日の丸・君が代」を強制する東京都教育委員会の10・23通達(2003年)とそれに基づく校長の職務命令により、2013年4月までに懲戒処分を受けた教職員は延べ450名にのぼります。

2.2011年5月以後の一連の最高裁判決は、起立斉唱行為が、「思想及び良心の自由」の「間接的制約」であることを認め、それを踏まえた2012年1月16日の最高裁判決は、減給以上の処分については、「戒告を超えてより重い減給以上の処分を選択することについては,本件事案の性質等を踏まえた慎重な考慮が必要」「処分が重きに失し、社会観念上著しく妥当を欠き、懲戒権者の裁量権の範囲を超え、違法」として減給1ヶ月の懲戒処分を取り消しました。最高裁が、都教委による従来の累積加重処分に一定の歯止めをかけたのです。
また、1・16最高裁判決は決して無条件で戒告処分を認めたものではなく、「裁量権の範囲内における当不当の問題として論ずる余地がある」と述べており、宮川光治裁判官は反対意見で「戒告処分でも重きに過ぎ、社会通念上著しく妥当性を欠き、裁量権の逸脱・濫用にあたる」としています。

3.ところが、都教委は、2013年3月の卒業式、4月の入学式で1名(特別支援学校教員)に減給10分の1・1月の懲戒処分を発令しました。これは、最高裁判決の趣旨をねじ曲げ、ないがしろにするもので断じて許すことはできません。

4.2013年9月6日の最高裁判決(第2小法廷 鬼丸かおる裁判長)は、上告人らの請求を棄却したものの、鬼丸かおる裁判官は補足意見において、「個人の思想及び良心の自由は憲法19条の保障するところであるから、その命令の不服従が国旗国歌に関する個人の歴史観や世界観に基づき真摯になされている場合には、命令不服従に対する不利益処分は、慎重な衡量的配慮が求められるというべきである」として,「当該不利益処分を課することが裁量権の濫用あるいは逸脱となることもあり得る」と判断して、戒告処分であっても「裁量権の逸脱濫用」として取り消される場合があることを示しています。
 また、同裁判官は、都教委に対し「謙抑的な対応が教育現場における状況の改善に資するものというべき」とも述べており、教育行政による硬直的な処分に対して反省と改善を求めています。(別紙「平成25年(行ツ)第140号 判決」参照)

5.上記最高裁判決(9月6日)に先立ち、都側の上告受理申立が不受理となったことで減給処分21件、停職処分1件を取り消した東京高裁判決が確定しています。他の訴訟を含めると30件もの減給処分・停職処分の取り消しが確定しています。また、都立障害児学校(当時)教員の停職1月の懲戒処分取り消しに伴い東京高裁に差し戻しになっていた国賠請求事件でも都側の上告が棄却になり損害賠償を認めた東京高裁判決が確定しています。

6.東京都教育委員会が、最高裁判決で「懲戒権者の裁量権の範囲を超え、違法」とされた減給・停職処分を行ったことは、教育行政として重大な責任が問われる許し難い行為です。その責任の所在を都民に明らかにして、謝罪しなければなりません。

7.鬼丸かおる裁判官の補足意見にもあるように、今、「教育現場における状況の改善」が求められています。問題の解決のために、都教育庁の責任ある職員と被処分者の会・同弁護団との話し合いの場を早期に設定することが必要です。

8.これまで私たちの請願・要請・申し入れなどが教育委員全員に伝わることがありませんでした。今回の請願を期に、10・23通達に係わる諸問題について同委員会で真摯かつ慎重に議論し、これまでの教育行政及び10・23通達を見直すことを強く求めます。