■8月30日(金)午前9時から大阪府教育委員会議が開かれ、そこでは高校教科書採択が行われました。
大阪の教職員たちは急きょ、朝8時から大阪府庁別館前に集まって、要請行動をしました。約30名の人たちが集まりました。数名は傍聴することができました。
行動への参加者たちは炎天下にもかかわらず、終始集会とシュプレヒコールで傍聴者を励まし、府教委に対しては抗議と要請を繰り返しました。
審議中、中原教育長の横暴ぶりに対して傍聴者は強く怒りの抗議をしました。ところが、府教委は傍聴者に退場を命ずるという暴挙もおこないました。
大阪の伊賀さんからの報告です。
◆府教委での教科書採択にかかわる審議の内容
★府教委は当初高校教科書の採択にかかわる審議には30分しかかけない予定でしたが、実際には審議が紛糾し、休憩をはさんで2時間あまりの時間をかけました。
中原教育長は「府教委に採択権がある」ことを何度も強調し、実教出版の日本史教科書を選定した9校の決定を強引に覆そうとしましたが、教育委員から「現場の選定を覆すことは大変ハードルが高い」とか「現場の意見を尊重したい」などの意見があいつぎ、結果的には実教出版もふくめ、学校の選定どおりに採択されることになりました。
★しかし、実教教科書の使用にあたっては「条件」がつけられました。
これは実教教科書の「日の君」に関する記述を実質上覆すための措置です。今後実教を採択した学校に対して、府教委の「日の君」強制や処分を正当化するための補助教材を強制したり、教員の授業内容を監視したりすることを前提にしているということです。
今後、実教を採択した学校に対しては、維新の会をはじめとする右派勢力によるいやがらせ、介入などが激しくなることも予想されます。
★また、昨年、今回の実教を採択した高校が5校ありました。
そこでは、すでに今年から実教が使用されています。今回の教育委員会議配付資料には「課題のある教科書のうち、昨年度以前に採択されており、現在使われている教科書の扱いについて」検討課題にあがっています。
8月21日に大阪の会で府教委と「応接」したときにも、それらの学校への対応を考えているとの回答でした。
今後、昨年実教を採択した学校への圧力に対しても監視をしていく必要があります。
★また中原教育長は、実教を選定した学校は他にもあったが、府教委の指導によって他社の教科書に変更した高校が複数あったことを明らかにし、今後はますます学校をしめつけ、来年は実教の採択をゼロにする意向を示しました。
具体的には、昨年実教を採択し、今年も実教を続けて採択しようとしていた学校に対して、校長が教科会に圧力をかけ実教を外させたとい言う事例もありました。このような事例がどれぐらいあったのか、どのような圧力がかけられたのか、調べていく必要もあります。
■もう一つ、重大な事態の進行
教科書問題で、もうひとつ重大な事態が進行しています。
★大阪の進学校1校の3年で旧課程の明成社版が採択されていました。
この明成社版は、2002年に検定合格したもので、それ以降多少内容の追加がされているようですがここ10年くらいの新しい情報が、極めて薄い教科書です。年表さえついていないものです。
3年生は来年度から新課程の教科書を採択しますので、この明成社版を使用できるのは1年だけでになります。極めて政治的な採択としか思えません。今後採択の経過等を調べ、何ができるのか知恵を絞りたいと思います。