■8月3日 【子どもたちにふさわしい教科書を! 公正な採択を求める県民集会】が開かれました。
◆【子どもたちにふさわしい教科書を! 公正な採択を求める県民集会】
<主催>・公正な教科書を求める県民の会/ ・「日の丸・君が代」強制に反対し、
学校に「思想・良心の自由」を実現する会が緊急に持たれた。
★7月30日に決まった緊急集会ではあったが、80数名の参加者で会場は超満員となった。集会で報告されたこの間の経過と今後の動きは以下の通りである。
▼この間の動き
★神奈川県では7月10日までが高校の「学校希望教科書」の提出期限であった。ところが、7月16日、「教育を良くする神奈川県民の会・A氏」から実教出版教科書採択を「慎重に」という<請願>が出された。
★それを受けて神奈川県教委は、7月23日、臨時教育委員会を開催し、そこでA氏が意見陳述した。
<請願>は継続審議になったが、その後に開かれた「教育委員協議会」(非公式の学習会)で、藤井教育長らは、学校が希望しても不採択になる可能性が高いと判断し、学校側に使用希望教科書の見直しを求めることを決定、6委員全員が了解した。
(要するに非公式の場の決定である。)
★そして翌24日に開かれた「県立学校・学校経営研究協議会」終了後、該当28校の校長を残させ、「公開の教育委員会で不採択になる可能性もあり、学校名が公になって混乱を招く」として、右翼による街宣活動の可能性も説明しながら、「再考」を強要することになった。(再提出期限は7月31日)まさに麻生副総理ではないが、騒がれる前に権力的に決着をつけようとしたのである。
★(ちなみに、教科書検定見直しを検討している自民党の部会は、5月28日には、「東京書籍」・「実教出版」・「教育出版」の社長や編集責任者らを呼び、圧力をかけており、
6月25日には、教科書の記述や検定制度の在り方を包括的に示す『教科書法』(仮)の制定を盛り込んだ「中間まとめ」を提言している。)
★それを受け、翌25日、各校で校長が、社会科教員に「お願い」をはじめ、受け入れないと、一方的に書き換えをはじめた。
それに対し、26日以降、多くのところから抗議の声が上げられ、これまで<請願(4件)>も上げられている。
▼今後、
★・8月6日に開かれる県教委定例会で、それらの<請願(4件)>の陳述、
・8月20日の臨時教育委員会で教科書採択、の予定である。
したがって、8月6日に開かれる県教委定例会が重要になってきている。
しかし、その時点ではすでに「再提出」は終わっており、東京都の例を見ても、彼らは権力を背景に押し切る可能性が高い
東京都の例 <都の「見解」に、反対する陳情(73件)、反対する意見(70件)
賛成する意見(3件)にもかかわらず、都教委は定例会で議論もなく押し切った>
それでも、このような姑息な事までして、子どもたちを危険な方向に導こうとしている県教委に対し強い反対の意思表示をすることが重要である。
★集会では、「県教委による各学校への介入とその情況について」という資料が配布され、現場からの報告が多く出された。それによると、多くの高校で職員から反対の声が上がった。
▼たとえばある高校では次のようだったようである。
校長より、実教出版の日本史の教科書を変更せよと県教委から 言われたとのこと。 職員会議で、社会科の教師を含めた多くの教師から、「変更することは納得できない。 実教出版はうちの生徒に相応しい内容で分かりやすい良い教科書である。変える必要 はない。」との声が出された。
しかし、校長は、「よくあるが、周りから変えなかったとき、保護者からもあるか もしれない。学校が難しい立場になり、外圧を避けたい。何故、うちの学校だけか、 と言われる。最後に、管理職で考える。2番手の教科書を挙げて考える。」との発言が あり、県教委の言うとおりにしなければならないと言っている。
社会科からは、反対であるとの意思表示が出された。
▼別の高校では次のようだった。
社会科は反対し、7月26日から毎日、議論してきた。教科書調査委員会でどうなるのかわからないのに、校長は、「7月31日までに変更しろ」と言っていた。
多くの反対があるにもかかわらず、校長は、7月31日の職員会議で、最終的に変更することを宣言した。校長同士が相互に連絡し合っている。
★ところで、今回の実教出版教科書排除について、都教委はその「見解」の中で、最高裁判決(2012年1月16日)の彼らに都合のいい部分(職務命令は合憲)という部分を持ち出しているが、神奈川県教委も同じようなことを言っている。
それは7月30日、「実現する会」+自由法曹団で県教委高校教育指導課に抗議・要請に行った時のことである。
K副課長は次のように述べている。
春に(個人情報保護の氏名収集裁判の)最高裁の判決が出て最終的に私どもの姿勢 が認められたものと考えております。
そうした中で、私ども従来から言っているのは国旗掲揚・国歌斉唱に際して起立する ことというのは、当然それを子供たちに指導する教員にとって責務である、といった ところで、(実教出版の)ああいう「強制」という表現を使われるのは、私どもの考 えと合わない、ということです。
どこの、とは確かに書かれていないが、少なくとも神奈川では、神奈川でやってい ることを「強制」と書かれるのは相容れないと、(実教出版は神奈川県のことをかい ているんだと、)そう取る人がいるんじゃないかと。神奈川県のことを書いていると は断定しておりません。
神奈川県の方針とは相容れない。最高裁の方でいうと、不起立の問題、氏名収集の 問題、いろいろありましたけれでも、基本的にはこちらの主張が認められたのかなと。
★ここに来て最高裁が「日の丸・君が代」強制による処分や氏名収集を合憲としたことの重大さが、明らかになってきたと言える。
たとえ最高裁が「減給」以上は違法とし、「一部自治体の強制」を批判したとしても、権力者たちはそんなことにはお構いなくどんどん強制を強め、今回の実教出版教科書排除に到っている。
★要するに子どもたちから、政府や権力がやることに対する反対意見を覆い隠し、戦前同様、子どもたちを「愛国心」あふれる人間に洗脳しようとしているのである。だから彼らは、子どもたちに本当の事を知られるのが一番怖いのである。
これに反撃するには、人々の中(とくに若者たち)に、現在起きていることの問題点を広く宣伝し、その危険性を訴える、全国的な大衆運動を作り上げていくことであろう。
また、第三次教科書裁判が起きれば良いとも思う。