■8月22日(木)の都教育委員会の傍聴報告が根津さんからも寄せられましたのでアップします。
◆教育委員会の「会議」の様子 意見表明をしない教育委員たち
★高校教科書採択が議題にあがっていたからであろう、傍聴希望者は定員の20人を上回る25人。「場所はあるのだから、全員傍聴させてほしい」と何人もが要求したが、都教委の担当者はそれを無視し、25枚の番号カードから20枚を選んで張り出し、そこから外れた5人には資料を渡さず、必然的に傍聴から外した。
★定例会の冒頭、木村教育委員長は、「前回、前々回、議事を妨害する行為が行われ、私から退場を命じた。今日もそういうことがあったら、退場を命じ、法的措置をとります」と言った。
▼題の①は、
「都立小中高一貫教育校基本構造検討委員会まとめについて」の中間報告。「理数を中心に、世界に伍して活躍できる人間を育成するため」に、6・3・3制ではなく4・4・4制の都立小中校一貫校を2017年に1校作る。入学と進学の際には選抜を実施し、進学の際には、他校からの募集もするのだという。
エリートをつくるために、激しい競争に勝ち残る子どもと落伍する子どもを作り続ける学校。考えただけでも背筋が寒くなる。東京新聞によると、これも、猪瀬都知事の提唱とのこと。
★この報告については、各教育委員から疑問が多数出された。「理数の授業時間を多くするために、どこを削るのか」(内館教育委員)、「法令との関係で難しいのでは」(竹花教育委員)、「小学生の段階で理数系を選んでも、進路変更が出る可能性がある。そういう子どもへの配慮はあるのか」(山口教育委員)、「教員免許の問題は大丈夫なのか」(乙武教育委員)、「義務教育9年との関係は説明が必要だろう」(木村教育委員長)。
★こうした疑問には頷けたが、竹花委員の次のメリット発言には、唖然とした。
「現状では小中学校は区市町村教委があるので都教委が直接手を出すことはできなかったが、都立小中高一貫校ならば、それができる」(趣旨)。
以前の定例会で2回ほど、例えば、都教委主催の会議への出席状況が悪い、都教委の思うように動かない区市町村教委がある、という発言を竹花教育委員がしたのを私は思い出していた。私たちから見れば、都教委の言いなりの区市町村教委なのに、竹花委員から見れば、都教委への忠誠度が足りないということか。どこまで求めても、気が済まないのだろうか。
▼議題の②は、高校教科書採択について
実教出版「高校日本史A」「高校日本史B」の、国旗国歌に関する記述は、「都教委の方針と異なるものであり、都立高校で使用する教科書としては適切ではない」と都教委「見解」を出したことで、各学校が「選定」した日本史に、実教出版のそれはゼロ。これを採択するという。
★この議題の中で、「見解」の撤回と謝罪を求める請願が、前回の定例会以降、101
件も出されたことが報告された。全国から出されている。そして、その請願に対し、前回と同じように、撤回も謝罪もせずに、「都教委の考え方と異なるものであり、…教科書としては適切ではない」。だから、「『見解』を議決した」のだと居直るだけの回答をすると木村委員長。
それに対し竹花委員、「この通り出してもらって結構」と言った。その言葉を受けて木村委員長、「ではいいですね」で議事終了とするつもりのようだった。
★冗談じゃない! 私は、「委員の皆さん、意見を表明すべきでしょう。それが教育委員の仕事でしょう。意見を聞かせてください」「竹花委員は結構と発言したけれど、理由の説明がまだです」と叫んだ。しかし、一人として発言はしない。木村委員長は、「退場」「法的措置」を繰り返す。挙句、傍聴者の監視役の総務部職員によって私は退場させられた。
★私は教育委員の人たちに、「見解」に反対しろと言っているのではない。教育委員は定例会で論議し、議決することを職務とするのであるから、その任を果たせと言っているのだ。黙っていては、任が果たせないと言っているのだ。司会進行役を兼ねる木村委員長の議事運営が間違っていると言っているのだ。
★6月7日付「週刊金曜日」(946号)の、「抵抗人名録」は山口香さんを取り上げている。そこに、「週刊金曜日」2008年8月1日号に掲載されたという、山口さんの次のことばがあり、目を奪われた。
「発言しちゃいけないのかなと思っている方はたくさんいると思います。モノを言わない流れが、そのことが戦争になってしまったり、独裁者をつくったりします。そう考えると、発言しないことは罪なんです。」と。まったく、その通りだ。
ならば、山口委員、教育委員会定例会では、どうしてモノを言わないのですか。それは罪ではないのですか。答えてほしい。この件で、山口さんにメールを出そう。4月に出した時のように、返事はなくても。
都教委及び教育委員たちの暴走を監視し、暴いていく必要性を、毎回の傍聴で痛感す
る。
★退場させられて廊下にいると、会場から「こんな教育委員会はいらないよ」など、何人かの大きな声が聞こえてきた。
◆教科書採択についての渡部さんの補足
<(教科書採択の)議題の中で、「見解」の撤回と謝罪を求める請願が、前回の定例会以降、101件も出されたことが報告された。全国から出されている。>の個所
★これについて今回の定例会には、101件の<請願者住所>、<請願者氏名>、<収受(日)>、<請願書(数)>、の一覧表と、その中から、
〇中野の教育を考える草の根の会
〇都立高校のいまを考える全都連絡会
〇静岡県高等学校障害児学校教職員組合
〇岐阜県教職員組合
〇南河内地区教職員組合
の五つの請願が全文紹介されていました。
また、表紙に使われた『請願の要旨』には次のようにまとめてありました。
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1 請願の趣旨
(1)東京都教育委員会(以下「都教委」)は、2013年6月27日に議決した「平成26年度使用都立高校用教科書についての見解」(以下「見解」)を撤回すること。
(2)都教委ならびに教育委員各位は、当該議決の誤りを認め、都民ならびに関係者に謝罪し、同様の誤りを二度と繰り返さない意思を表明すること。
2 請願の理由
(1)教育委員会という教育行政機関が自らの考え方と異なるからとして特定教科書を排除することは、検定制度の趣旨に反する。また、行政機関の考え方と異なる考え方を子供に触れさせないようにすることは、学習権の侵害である。
(2)扶桑社等の教科書採択の際に、都教委はこれまで検定に合格した教科書はすべて採択の対象だとしてきた。「見解」は従来の都教委の言明に反する。
(3)当該教科書は、現行法制のもとで検定に合格し合法的に教科書として出版し使用することが認められたものである。一地方教育委員会が自らの考え方と異なるからとして、その採択を排除する法的根拠は存在しない。行政による思想統制、言論出版の自由の侵害であり、明白な憲法19条、21条違反である。
(4)都教委のこのような行為は、教科書法制定など政府がすすめようとしている教科書への全面的な統制強化の先取りではないか。全国各地で各種の教科書に対し同様のことが起こりかねない。
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★請願を紹介するこは前回から行われるようになってきたものです。私たちが、10年間も繰り返し繰り返し教育情報課に、「私たちの声が教育委員に届いていないではないか!」と叫び続けてきた成果でしょうか? それとも教育情報課が一応届けているという姿勢を示すためでしょうか?
いずれにせよ、どんどん声を上げて行きましょう。
包囲ネットでは秋に都教委に対し要請行動を予定しています。
明日から『8・25全国学習交流会』が開かれます。多くの方々の参加を期待しています。