■8月2日(金)午前中、東京地裁で、<東京「君が代」裁判・三次訴訟>の第13回口頭弁論がありました。この日は学者の意見書提出の確認と今後の日程調整が主でした。渡部報告です。
◆巻美矢紀・千葉大学教授(憲法学)の意見書としては、『国歌起立斉唱訴訟における問題の本質~公教育における公権力の内在的限界~』というものが提出されました。
▼巻教授はその中で、「職務命令」によって<炙り出された真の目的>として、次のように述べています。
「……起立斉唱を式次第に組み入れることは、生徒との関係では強制ではないとして も、生徒に同調圧力を生じさせる。さらに学校生活における「指導」者である教師が 一律に起立斉唱することは、同調圧力を高める。
それは「指導」ではなく、生徒の判断を介在させない「刷り込み」である。
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「……この真の目的から、それに付随する目的も炙り出される。それは刷り込み式愛 国心教育を阻害する教員を炙り出す「踏み絵」であり、定期的に行われる入学式によ り処分の累積が予測されることから、最終的には阻害教員の排除をも狙うシステムで あり、裏を返せば、教師に教育行政の単なる手足として盲目的服従を迫り、公権力の 内在的限界の逸脱に対する歯止めを掘り下げるシステムとして、まさに合理的なので ある。
▼そして、<「教育者としての思想・良心」の本質>として次のように述べています。 「刷り込み式愛国心教育は、公教育における公権力の内在的限界を超えるものと解さ れることから、教師は、公権力の媒介となることを不作為により拒否し、内在的限界を超える公権力の行使に歯止めをかけようとしたものである。
○この意見書は、最高裁判決(職務命令は間接的制約はあるが合法)を批判し、明確に「日の丸・君が代」強制の真の目的とそれに抵抗する教師たちの闘いを明らかにしたものとして画期的なものと言えるでしょう。
報告会では、原告をはじめ参加者からも、この間の「実教社版日本史教科書排除」、「麻生副総理のナチス発言」、「憲法改悪での「日・君」尊重義務」、などが語られ、「日の丸・君が代」強制がいまや日本社会全体の問題になりつつあることが明らかになったと思います。
次回は10月11日(金)15:00~ 527号
■8/2午後、衆議院第二議員会館にて、『緊急院内集会、安倍内閣の改憲暴走を許さない!』(主催:2013年5・3憲法集会実行委員会)が開かれました。
★会場は70名くらいの部屋でしたが、国会議員12人(共産、社民)、参加者150人で
超満員となりました。(入れない人もいました)
国会議員では、参議院選挙で当選した若い辰巳浩太郎議員(共産、大阪選挙区)、吉良佳子議員(共産、東京選挙区)も参加しました。なかなか新鮮でした。
★集会では、改憲の動きと結びついて起きている諸問題、つまり、
・麻生副首相ナチス発言、
・内閣法制局長官に集団的自衛権容認派(小松一郎駐仏大使)の起用、
・「秘密保全法案」、
・「国家安全保障基本法案」、などなど
の危険性が議員や参加者から指摘され、参院選後、安倍政権が暴走を始めていることが確認されました。
★一方、「選挙でねじれ解消」などと言われているが、この間の世論調査などでは、憲法改悪に反対の声が過半数を超えており、むしろ「国会と国民の世論のねじれ」が
はっきりしてきていることも確認されました。
また、本屋での憲法関係本の売れ行き増、ネットでの若い人の憲法論議の高まりなど、
人々は「改憲」について意識を高めている状況も出されました。
★そこから、現在重要なことは、「いかに多くの人々に改憲の中身を訴えて行くか」、
であることが共有されたと思います。
すでに、駅頭などでの宣伝、パンフ・リーフ作成配布、新聞意見広告等に取り組んでいる市民団体、宗教団体からの活動報告もありました。