■高校門前チラシ撒きから様々なことが見えてきます。門前ではともかく、当の先生たちは、実際にとのように働き、教えているのだろうかと考えさせられる場面が多いです。
<M高校>
8:40ごろから始めましたが、生徒の受け取りは悪く、せいぜい10%ぐらいの生徒しか受け取ってくれません。在校生も参加するようですが、とにかく受け取ってくれません。
保護者は比較的受け取ってくれます。40~50%ぐらいでしょうか。おおよそ10時まで、約220枚渡すことが出来ました。
配り始めて5~10分ぐらい立ったとき、管理職とおぼしき人が出てきて、「配ってほしくない。道路が狭いので通行の邪魔にならないように」と言われました。
約10人、教員が立っていましたが、私の方には無関心でしたが、年配の教員が来て、ビラを1枚ほしいと言ったので渡しました。
<K高校>
校舎の建て替えで、卒業式は地域センターで行う。生徒は9時に建物に入った。暖かい日で、生徒は外でたむろする形で待機していたので、そこでチラシを渡す。みな取った。一人の教師が飛んできて「生徒に渡すな。こんなこと関係ない」と激しく言い、何人かからチラシを取り上げた。
私が「生徒に撒きに来たんですよ。そんなことしない方がいいでいすよ。」と言った。
結局、数人からしか取り上げることはできなかった。取り上げたチラシをその教員は丸めた。
副校長が建物の中から出てきて、「入り口で撒かないでください。」という。私が「ここは公道でから撒くなということは出来ません。全体が公共のものですから」というと
副校長「それはそうですが…。端の方でさりげなくお願いします」と。
先生たちは「ご苦労さん」言って取る人がわりと多かった。
工事中の学校では広い空間がなく、予行が出来なかったので、生徒は、予行と本番をするという。保護者が出席した卒業式は11時からなので、保護者へのチラシ撒きは断念した。教員と生徒に170枚くらい撒いた。
<HT高校>
3部制の高校なので、7:30~8:30に教職員を対象に、11:30~14:00に卒業生・保護者を対象に配った。
正門は閉め、そこには3本の「2020年オリンピック 日本で!」の旗と「日の丸」、そして、「卒業証書授与式会場」の縦看板が立てられていた。オリンピック招致の旗は毎日立てっ放しのよう。縦に長いこの3本の旗の中に「日の丸」が一段も二段も低く立てられている。「日の丸・君が代」で頭がパンクするほどの校長たちが、このことに違和感はないのか、不思議だ。
それにしても、正門は旗のためにあり、人間は正門横の通用門を通る。変だとは誰も思わないのだろうか。晴れの卒業式くらい、正門を通らせよう、そういう声も上がらないのだろうか。
7時50分、副校長を名乗る男性がやってきて、「敷地に入らないでください。通行の妨害にならないように」と、マニュアル通りに言った。こちらは、「ご心配なく」「心得ています」。副校長は都教委から指示された「仕事」を終えて去って行った。
8時、今度は出勤してきた男性が、副校長を名乗り、前の副校長と同じことを言って、やはり仕事を終えたとばかりに中に入って行った。
教員たちは、総じて若い人が多く、受け取りはかなり悪かった。50代と思われる男性が「ご苦労様です」と言ってくれ、60代の男性がビラを撒いているFさんと知り合い、その他2~3人が会釈を返してくれた。
11時半、再び。出入り口(「在校生入り口」と表示された)が他にもあることに気付き、一人はそちらに回った。副校長は、そちらの入り口にもやってきて、注意を発したそうだ。保護者も生徒も、まあまあの受け取り。
途中、副校長の一人がやってきて、「公的行事なので、チラシを撒かれては迷惑です。お引き取りください」と言った。
その時ちょうど、私たちのもうひとりが、この様子をカメラに収めたところ、「個人情報に引っかかります」と副校長。「公務員は対象外です」とこちらが答えると、中に入って行ったが、次に、その副校長は男性を伴ってやってきた。
男性は「写真を消しなさい」。私たちが先ほどと同じように、「公務員は仕事の中では、撮影は個人情報の漏えいに当たりません。肖像権もありません。」と言うと、その男性、「警察を呼ぶ。警察に相談したんだ」と声を荒げた。私たち、「どうぞ」。
副校長は横にいるだけで一言も発しないので、上下関係が明らか。「あなたは校長ですか」と聞いたけれど、返事はなく、中に引き返して行った。
その後40分くらい私たちはそこにいたけれど、警察は来なかった。当然だけれど。校長らしき人物は、口から出まかせを言ったんだろう。こういう校長がかなり多い。
<FS高校>
「教育を考える多摩西部市民の会」の人と計2名で、市民の会で用意したビラ200枚を、その後包囲ネットのビラ約100枚くらいを配布する。
8:20くらいに門で配り始めると中から管理職と覚しき人が来て、「ビラを撒かないようお願いする」「公道の使用許可を取っているのか」などの言いがかりをつけてきたので「表現の自由にもとづいて配ります」「許可が必要なことではありません」「警察に問い合わせていただければわかります」と言ったところそのまま中に入っていき、それ以後は管理職は出てきませんでした。
そのやりとりを遠くから近づきながら見ていた教員が「やめろと言った?お願いだった?」と訊いてきたので、「お願いとは言っていた」と応えました。生徒・保護者の受け取りは中の上といったところか。
<HK高校>
8時、50歳くらいの男性が出てきて、「チラシをくれ」とばかりに手を出したので渡した。訊くと、「副校長だ」と言い、「ここで配るな。(式を)妨害するな」と怒鳴った。
ちょうど登校してきた生徒10人ほどが、その様子を横目で見ながら通る時、副校長はすぐ横を通り過ぎようとした生徒の手からチラシを奪い取った。別の生徒は、もらったチラシを副校長に差し出した。
「没収などしていいわけがないでしょ」と、私たちが少し大きい声で言うと、副校長はそこでやめはしたが、しかし、都教委に反対するものについては何をしてもいい、私は権力、という感覚になっていると思った。
さらにしつこく私たちに言ってきた。「私はこの学校を守っているのだ。何でうちの学校に(あなたたちは)来るのか」。そして、「敷地に入るな」と。私が、「ここは公道でしょ」と返事をすると、「違う。旧内務省の土地だ」と副校長。
半月前にここでチラシを配った時に、校長は副校長と連れ立ってきて、歩道を「内務省、旧内務省の土地です」と言ったのだった。校長の出まかせを、この副校長は真に受けたんだろうか?有り得ないことだけれど。
教職員は7時以降、50人ほどが通ったが、チラシを受け取った教職員はたったの4人。そのうちの一人は、先の副校長であったことが、あとでわかったから、実質受け取った人は3人。
都教委と異なった意見には耳を塞ぎ、目を閉ざす教員が、生徒に何を語るのだろうか。どんな助言をするのだろうか。教員が自ら進んで国家のエージェントになっている中、異なる意見があることを生徒たちに積極的に示していくことをしたい、しなければと考えている。
<MB高校>
8時からチラシを撒き始めると副校長が出てきた。「交通も多いので事故に気をつけてください。」と言うので、「わかりました。私も事故が起きないように見ていますよ。日本社会も危なくなってきましたね。生徒たちが心配です。」と言ってチラシを撒いていた。生徒たち(卒業生240名、在校生は自主参加)の受け取りは良い。
しばらくして、私のチラシを受け取った生徒のうち一人が出てきて、「ここで撒くな。」と言ってきた。そうして私の手からチラシをひったくり破いた。
私が「どうしていけないのか。私はチラシをまく権利があるし、ここは公道だ。」というと、「日本は大昔から天皇が治めてきたんだ。」と言うので、「戦前はそうだが戦後は変わったのだ」と言うと、「変わっていない。戦後も象徴としてずーっと天皇がいるのだ。」と言う。
さらに、別のチラシもひったくり破ろうとした。そこに警備の教員や副校長も出てきて、彼を止めようとした。すると彼は、警備の教員にも「お前は日教組だろう。こんなことをしているから投票率が下がるんだ」と文句を言い、チラシをひったくり、破り、靴で踏みつけて、校舎の中に入っていった。
しかし、その後も生徒や保護者たちの受け取りはよく、計290枚撒いた。
警察はパトカーが一台通り過ぎて行っただけだった。
戦前、大人より若者の方が戦争に熱狂していった。その挙句多くの若者が犠牲になった。その大きな理由は教育にあった。今また同じような状況に日本社会は近づいている