卒業式での「君が代」不起立4教員に28日、処分が発令されたことに対し、私たち(河原井・根津らの「君が代」解雇をさせない会、都教委包囲ネット、板橋区の市民団体や組合4団体)は昨31日、抗議行動を行いました。
◆田中さん処分に抗議! 板橋特別支援学校でチラシまきと抗議要請
7時15分、田中聡史さんが勤務する板橋特別支援学校校門前でチラシ配り。
春休み中の年休をとりやすい時期なので、出勤する人は半数ほど。不起立連続6回目の田中さんが受けた経済的・精神的不利益、及び、今後さらに処分が累積加重されかねない危険があることについて、同じ職場で働く者として思いを馳せてほしいと念じながら、出勤する教職員にチラシを手渡しました。「田中さんに処分が出されました」と言うと、「そうなんですか」と表情を曇らせる方が何人かいたり、「ご苦労様です」と言ってくれる人もいました。
★出勤してきた校長は大きなマスクをしており、目元で校長と判断し、「真下校長ですね。」と訊いたのですが、目を合わさず、歩を緩めることもしないので、「真下校長が田中さんの処分に手を貸したことに抗議します。この後、校長に申し入れに行きます」と背後から伝えました。
★8時半過ぎ、それぞれの会の7人が抗議要請文を手に受付の経営企画室を訪ねると、企画室長は「校長は会わないと言っています」と言います。会わない理由の説明もありません。「そういう趣旨の人とは会わない」「追い返せと、受け取られても仕方ない」と言うのでそれを確かめると、「校長が言ったのではなく、私の考えです」と室長の返事。
私たちは、「校長には、やったことに対する説明責任があります」「真下氏個人に面会を求めているのではなく、校長職にある公人としての真下校長に面会を求めているのですから、『理由もなく会わない』はしてはならないこと。少なくとも、会わない理由ははっきりさせてほしい。」「私たち訪問者が言ったことを校長に伝え、校長の返事を聞くことは最低限してほしい。」と繰り返すこと1時間。
やっとのこと、室長は隣室の校長室に電話をし、「校長は、『会わない理由を答える必要はない』と言っています」と私たちに伝えたので、私たちは校長に手渡すつもりだった抗議要請文を、手渡せないので玄関に掲示し、校長室の窓に近づいて校長に声をかけ、学校を後にしました。
★次に私たちが向かったのは、都庁です。都教委教育情報課に行き、受付の電話で情報課波田課長に面会したい旨を伝えたところ、課長はついたての向こうでテレビ(「朝まで生テレビ」の録画)を観ていました。私たちはそこに駆け寄り、抗議、要請に来たことを告げました。
課長は「アポを取らずに来た、ルールを守らない団体とは会わない」としか言いません。私たちは、「緊急かつ重大な件での抗議要請であり、1ヶ月先には送れない。波田課長が勝手に作ったルールには縛られない。波田課長はこれまで、アポを取っても面会に姿を現さなかったではないか。それまでの課長は面会を求めると面会に応じた。それが、『都民の声を聴く』教育情報課の仕事であり、ルールだ」「テレビを観ている時間があるのだから、今、ここで私たちの抗議要請に応じてほしい」と言い、それぞれの団体の抗議要請文を、都教委で働く人たちに聴いてほしいと思い、大きな声で読み上げました。「教育長、教育委員長に手渡してほしい」と告げて課長に手渡しました。
★私たちは予定したことが済んだので、次の行動に移るべく退出を始めると、波田課長は「逃げるんですか」と、びっくりする言葉を何度も吐きました。よくぞ、恥ずかしげもなく言えたものです。上からの指示に考えずに従い、悪に加担して反省しない輩に、罪を自覚させることは可能なんだろうか…、と思わざるを得ません。
こんな人たちによって、「君が代」不起立処分がなされ、とりわけ、田中聡史さんは職を奪われはしまいかという不安の中に置かれ続けているのです。(以上・根津)
◆卒業式処分発令抗議・該当者支援総決起集会に参加
集会は13:30から開かれました。高校の卒入学式対策本部長の川村さんから、今年の卒業式をめぐる状況についての報告がありました。そのうち、とくに注目すべき点として以下の話がありました。報告文を引用します。
★「5.今年の卒業式の状況
1月14日の校長連絡会では昨年も配布された「教育課程の適正な実施について」
(・卒業式、入学式等における職務命令違反による懲戒処分の考え方 ・年次有給休暇の申請等について)という管理職止まりの文書が配られ、最高裁判決の内容をうけ、「不起立行為等に対する懲戒においては、当該処分を選択することの相当性を基礎付ける『具体的な事情』が認められる場合は、戒告を超えて減給以上の処分を選択することが許容される」として、職員会議での発言や同僚への働きかけの状況、個別的職務命令受け取りの状況も記録し報告するようにという指示がなされました。
「送辞・答辞は管理職が事前に確認すること」「式場外の国旗は掲揚塔になどに掲揚し、見えにくければ校門にも掲揚するように」「来賓の人選は確認すること。旧職員に招待状を出すときは、その学校の校長に連絡し、本人の指導をさせること」という口頭指示も出されました。
また、時季変更権について「時季変更権を巡る判例」が配布され、「事前に年休を出した場合には、やむを得ない理由かどうか本人に確認すること。年休の理由を聞いた時の応答の状況も克明に記録すること。当日申請した時も、やむを得ない事情かどうか確認すること。やむを得ない事情とは、例えば、本人及び家族の急病。判断がつかない場合は、都教委に問い合わせること。年休申請した者は式典に出られないと伝えること。」という説明がありました。
被処分者がいる学校に対しては、被処分者を式場外の勤務にさせるにあたって理由をはっきりさせるよう指示があり、不自然でないような配置になるよう何度も役割分担を差し戻されるということもありました。
昨年に続いて今年度も全員に個別職務命令を渡すまで、毎日しつこく支援センターの支援主事が副校長に電話やメールをしてきました。都議についても各会派の都議の出席確認ができるまで毎日副校長に電話がかかってきました。
▼当該・鈴木さん、加藤弁護士、当該・田中さん
★3月11日の校長連絡会では、今年の卒業式の状況が報告されました。今年は、国歌斉唱時に起立した際、気分が悪かったため前屈みになってしまったことについて副校長が事故報告をあげたため事情聴取がなされるというケースまでありました。都教委の締め付け異常ぶりはどんどんエスカレートしています。
(中略)
★極右的な安倍内閣のもと、集団的自衛権容認・行使に向けた動きが加速し、平和憲法が危機にさらされています。都立高校では来年度から学力スタンダードが全校実施され、生徒への管理教育の強化や、教育内容への都教委の介入・教職員の多忙化がすすむことが危惧されます。「戦争をする国」へと突き進もうとする流れを食い止めるため、生徒のための卒業式を取り戻すために、10.23通達を撤回させる取り組みを今後大きく展開していく必要があります。」
★4月4日(金) 朝8時20分からの再発防止研修の抗議と被処分者の激励に集まってください。