■都知事選の告示を前にした11月28日(水)、都議会文教委で「10・23通達の強化を求める陳情」というとんでもない陳情を多数で採択しました。
近藤徹さんからの報告をアップします。
◆東京都議会第4定例会(12月議会)の文教委員会
★11月28日(水)、東京都議会第4定例会(12月議会)の文教委員会が開かれ、8月31日付けで、文教委員会に付託されていた「10・23通達の強化を求める陳情」が、生活者ネット(1名)の反対、民主(5名)、自民(4名)、公明(2名)、無所属(東京幸志会 1名)の計12名の賛成で残念ながら採択(趣旨採択)となりました。(共産1名は文教委員長のため採決には加われない)。
★陳情を出していた「あきる野市 鈴木 剛」という人物は、「10・23通達」関連で、都内の多くの区市町村に同じ陳情を繰り返していましたが、これまで採択された議会はありませんでした。今後の影響が懸念されます。
★<陳情の(願意)>
都において、入学式、卒業式における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について、次のことを実現していただきたい。
1 通達違反の累犯者、悪質違反者を厳罰に処すること。
2 再発防止研修の内容を強化すること。
3 不起立が予想される教職員に対しては、式に出席させないこと。
→第3項は取り下げ(本人曰く「古賀先生(自民党古賀俊昭議員)のご助言による」とのこと)。
(理由)生徒が主役の卒・入学式に、自己のイデオロギーで国歌斉唱時に不起立をし、処分を受けても何とも思わない教職員は多い。さらに、大阪では国歌斉唱中にあぐらをかいていた者までいたと聞く。これらの行動は、教職員として不適格であるばかりか、公務員としても不適格であり、累犯の教職員も多い。
★被処分者の会は、このとんでもない悪質な「陳情」に対して、減給以上の累積加重処分を取り消した1・16最高裁判決に違反すること、再発防止研修は思想良心の自由に対する侵害であること、教職員を犯罪者扱いにする陳情であること等を明らかにして、「不採択」とすべく文教委員への要請、働きかけ、当日の委員会の傍聴に取り組みました。しかし、自民、公明の賛成は予想されましたが、民主党都議団が党議拘束をかけて賛成に回り、東京幸志会も賛成し、採択という残念な結果となりました。
★当日は、東京「君が代」裁判原告を始め21名が「不採択」の立場から文教委員会を傍聴しました(他に相手側の傍聴者2名)。
★委員会での発言は3名(自民党古賀俊昭、生活者ネット山内れい子、無所属・東京幸
志会(民主党を脱退)野上ゆきえの各委員でした。主な発言内容は以下の通りです。
1)自民党古賀委員(採択に賛成)
鈴木氏陳情の「理由」部分は「正鵠を射ている」
と称えて、ノーベル賞受賞の山中哲弥教授の言葉をも自説に都合よく引用しながら、10.23通達の必要性その他自説を都教委との打ち合わせどおり質疑応答。
2)生活者ネット山内れい子委員(採択に反対)
学校の主人公・主役は生徒であり、卒・入学式への都教委の通達・監視は生徒主体の式を損なうものであること、国旗国歌法制定時の「強制するものではない」という政府答弁、いじめなど解決すべき課題の山積する教育現場で威圧的処分を行う都教委のやり方は教育の目的・本旨に反すること、など明快な反対の論旨を展開。
3)無所属・東京幸志会(民主党を脱退)野上ゆきえ委員(採択に賛成)
全体に論旨は不明瞭で発言の趣旨は判然とせず。陳情に賛成の結論が先にありき。都教委の反動的な答弁を引き出す質問をダラダラと続け、認識の低さを露呈。
◆「陳情」の実働化、処分の強化を許さず取り組みをすすめます。
1・16最高裁判決によって、都教委は累積加重処分ができなくなり、12年3月卒業式、4月入学式での4名の被処分者は、いずれも2回以上の不起立でしたが、戒告処分に止まっています。
しかし、1・16最高裁判決後やや劣勢だった都教委が、この陳情の採択で「都民の意思」と言いくるめて処分を強化して累積加重処分を「復活」する反転攻勢に出ることが懸念されます。また、同陳情が「継続審議」になっている江戸川区等での採択も心配です。私たちは、こうした動きを阻止するため監視と運動を一層強めていきます。