お知らせ

拡大表示の方法: キーボードの「Ctrl」キーを押しながら「+」キーを押します。
縮小表示の方法: キーボードの「Ctrl」キーを押しながら「-」キーを押します。

2016年3月19日土曜日

3・15都教委要請行動報告/都知事の記者会見での発言」

3月15日(火)、都教委要請行動報告が行われました。また、同日、都知事の記者会見があり、その中で都立高校に関する事柄についての質問と発言がありました。
被処分者の会の近藤徹さんからの報告です。
*今回のニュースは長くなりますが、最後までお読みください。

既報の通り、10・23通達(2003年)から13回目の卒業式が都立高校で行われています。毎年良心的な教職員は、卒入学式の度に葛藤し、苦しみ喘いできました。今年は、その中で、「君が代」斉唱時に起立しなかったり、式場に入場せず不服従を貫き、都教委に呼び出され、事情聴取を強要された人が複数出ています。

◆3・15都教委要請行動の報告

こうした状況を受けて、昨日15日、被処分者の会、同弁護団、五者卒入学式対策本部は、3月24日に予定される都教委定例会を前に、不服従を貫いた該当者を支援し、再発防止研修中止を要求して「卒業式処分・再発防止研修強行を許すな!都教委要請行動」を行いました。要請には、原告・支援者・弁護士ら22名が参加しました。都教委は、上野正之教育庁総務部教育情報課長らが対応しました。



★まず、被処分者の会及び五者卒・入学式対策本部から要請書を手交し、要請の趣旨を補足説明し、弁護団からの発言・要請がありました。この中で澤藤弁護士は、「私たちの要請が教育情報課にブロックされて、教育委員に届かない。裁判で11連敗して謝罪もせず、再発防止策も講じないことを教育委員は知っているのか」と追及しました。また、加藤弁護士は、「日弁連の意見書にも耳を傾けず教職員・生徒を過度に管理している都教委は、国際人権条約などに照らしも異常だ」との指摘しました。上野課長は、「要請、ご意見を所管に伝える」と繰り返すだけで、事実上「教育委員には報告しない」というこれまでの対応に固執しました。

★参加者からは、3月8日の不起立の疑いでの都教委の事情聴取に関して、「卒業式に係わり事情聴取を行う際に、当該の教員が弁護士の同席を求めたのに対し、入口で対応した都教委職員が、弁護士及び当該の教員に職氏名も名乗らず、問いにも答えようとしないなど社会常識に反する非礼な態度であった。このことに関して職員課長の見解を求める。」との意見がありました。都教委が上告を断念して(降参して)、減給処分が取り消しになった三次訴訟原告から「実損回復のお金を払えばいい。謝罪はしない。」など反省のない都教委の態度に怒りの声が上がりました。
以下、被処分者の会の要請書をお読みください。
(ホームページに掲載済みでダウンロードできます。)
    ↓
http://www7a.biglobe.ne.jp/~hishobunshanokai/
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
要 請 書
2016年3月15日
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会
東京「君が代」裁判原告団  共同代表 岩木 俊一  星野 直之
東京都教育委員会教育長 中井 敬三 殿

<要請の趣旨>

1.東京都教育委員会は、本会の本年1月26日付「要請書」の「6 卒業式、入学式で10.23通達に基づく新たな懲戒処分を行わないこと」との要請に対して「卒業式等の式典において国歌斉唱時の起立斉唱を教員に求めた校長の職務命令が合憲であることは、最高裁判決で繰り返し認められているところであり、職務命令達反があった場合には、個々の事案の状況に応じて厳正に対処します。(所管:人事部職員課)」と回答し(2月9日付)、今次卒業式・入学式でも新たな懲戒処分を行う姿勢を示しています。

 また同「要請書」の「7 同通達に係わり懲戒処分を受けた教職員に対する『服務事故再発防止研修』を行わないこと」との要請に対する回答(2月9日付)では、「懲戒処分の原因となった服務事故の再発を防止するため、関係規定に基づき、懲戒処分を受けた者に対し、服務事故再発防止研修を実施します。(所管:人事部職員課)」とし、卒業式・入学式の被処分者に対する再発防止研修を強行しようとしています。

2.10・23通達とそれに基づく職務命令違反を理由とした処分は、起立斉唱行為が、「思想及び良心の自由」の「間接的制約」であることを認めた最高裁判決・・・略・・・、教育環境の悪化を危惧して、「教育の現場において…自由で闊達な教育が実施されていくことが切に望まれるところであり、全ての関係者によってそのための具体的な方策と努力が真摯かつ速やかに尽くされていく必要がある」という補足意見(櫻井龍子裁判官 2012年1月16日最高裁判決)、「謙抑的な対応が教育現場における状況の改善に資するものというべき」と述べ、教育行政による硬直的な処分に対して反省と改善を求めている補足意見(鬼丸かおる裁判官 2013年9月6日最高裁判決)などをないがしろにするものです。

3.都教委は、昨年、卒業式及び入学式で「君が代」斉唱時に起立しなかったとして特別支援学校教員にそれぞれ減給10分の1・1月の懲戒処分を発令しました。
 これは、「戒告を超えてより重い減給以上の処分を選択することについては,本件事案の性質等を踏まえた慎重な考慮が必要」「処分の選択が重きに失し、社会観念上著しく妥当を欠き、・・・懲戒権者の裁量権の範囲を超え・・・、違法」として減給以上の処分を取り消し都教委による従来の累積加重処分に歯止めをかけた最高裁判決(2012年1月及び2013年9月)などの趣旨に反するものです。
  
4.卒業式・入学式の被処分者に対する「服務事故再発防止研修」は、2012年度より質量ともに強化され、「繰り返し同一内容の研修を受けさせ、自己の非を認めさせようとするなど、公務員個人の内心の自由に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであれば、そのような研修や研修命令は合理的に許容されている範囲を超えるものとして違憲違法の問題を生じる可能性があるといわなければならない」(東京地裁民事19部決定 2004年7月23日)に反しています。
 特に、「研修」に先立って課された「受講前報告書」の内容は、①服務事故を起こすに至った状況を振り返り、その原因・理由について記述する、②服務事故を起こしたときの気持ちはどのようであったか、その時の気持ちを記述する、③起こした服務事故に対して、現在の気持ちや考えを記述する、というものです。
 事前課題を含む「研修」は、明らかに受講者に内心の表白を迫り、「思想改造」を企図しており、上記東京地裁決定(2004年7月)に反して「思想・良心の自由」を真っ向から踏みにじるものです。

5.最高裁、東京高裁、東京地裁で確定した処分取消の総数は、65件・55名に上ります。東京都教育委員会が、最高裁・東京地裁・東京高裁で「違法」とされた処分を行ったことは、教育行政として重大な責任が問われる行為です。私たちは、処分取消が確定した原告らに謝罪し、再発防止策を講じるよう繰り返し求めてきました。しかし、都教委は、要請に正対せず、的外れで不誠実な回答に終始しています。私たちの要請に真摯に向き合い、回答することを強く求めます。
  
6.私たちは、これまで「都教育庁の責任ある職員と被処分者の会・同弁護団との話し合いの場を設定すること」「(要請書等を)教育委員会で配付し、慎重に検討、議論し、回答すること」を繰り返し要請してきました。しかるに都教委は、「そのような考えはありません。なお、団体からの要請等については、総務部教育情報課を通じて御意見等をお聞きするとともに、必要に応じて回答をしているところです。」(2月9日付)、「教育委員会への配付及び教育委員会での検討、議論は行いません」(2月9日付」)と「回答」しています。
 これでは、教育情報課を隠れ蓑にして、都教委の各所管の責任を曖昧にし、担当部署への直接の要請を拒む都民不在のシステムといわざるを得ません。一方 で「最高裁判決に、本件の紛争の特性に鑑みて付言された補足意見があったことは承知しています」(2月9日付、回答)としながら、他方で「教育委員会への配付及び教育委員会での検討、議論は行いません」というに至っては、教育委員会事務局である教育庁の独断専行であり、教育委員を主体とした教育委員会総体としての問題解決の努力を放棄するものです。
以上の趣旨から、以下の諸点を要請します。

<申し入れ事項>

 東京都教育委員会が2003年10月23日に発出したいわゆる「10.23通達」を撤回すること、また同通達に基づく一切の懲戒処分・厳重注意等を取り消すこと。
 3月24日に予定されている第5回東京都教育委員会定例会で卒業式に係わり10.23通達に基づく新たな懲戒処分を決定しないこと。
3 最高裁判決に反して減給処分を行わないこと。
 「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱について」(平成24年1月24日)の都教委の「議決」を撤回すること。
 卒業式で処分を受けた教職員を対象とした「服務事故再発防止研修」を行わないこと。
6 同研修対象者に受講前報告書の作成を強要しないこと。
 卒業式被処分者対象の再発防止研修予定日の前に、都教育庁関係部署(人事部職員課、指導部指導企画課、指導部高校教育指導課、教職員研修センター研修部教育経営課など)の責任ある職員と該当者及び被処分者の会・同弁護団との話し合いの場を設定すること。
 本要請書を教育委員会で配布し、慎重に検討・審議し、回答すること。
<連絡先> 同会・同原告団事務局長 近藤 徹
<回答期限> 2016年3月23日(水)。上記近藤までFAX及び文書で回答すること。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<今後の予定> 多くの参加を!
●卒業式処分を決定する都教委定例会への行動 都教委は、3月24日の都教委定例会で卒業式処分を決定することが見込まれます。当日、早朝ビラまき、都教委定例会の傍聴を行います。
 3月24日(木)→例年通りですとこの日程ですが、まだ確定ではありません。
  卒業式処分をするな!早朝都庁前ビラまき(予定)8時
  都教委定例会(卒業式処分決定)傍聴行動(予定)
●卒業式処分発令抗議・該当者支援総決起集会
*記者会見を行います。報道関係者の取材をお願いします。
 3月31日(木)13時30分 全水道会館
  主催:五者卒入学式対策本部

◆舛添知事、記者会見で支離滅裂な発言
15日の都教委要請行動の2時間前の午後2時より、舛添都知事の定例記者会見がありました。その中で、週刊金曜日のフリージャーナリストの永尾さんが、①夜間定時制4校の廃校問題、②再発防止研修、について知事に質問をして、知事が答えていますので紹介します。知事の無知蒙昧振りを示しています。もしかしたら「再発防止研修」のことを知らなかったと思われます。
知事の部屋 記者会見 後ろの方に出ています。
  ↓
http://www.metro.tokyo.jp/GOVERNOR/KAIKEN/TEXT/2016/160315.htm

<質疑応答>

【記者】週刊金曜日の取材をしております、フリーの記者の永尾です。知事の人権認識について2点伺いたいと思います。知事は昨年10月のヒューマンライツ・フェスタという人権を考えるシンポジウムに出席されまして、人権尊重都市東京とか、価値観の多元性の大切さということを説かれたのですけれども、この記者会見の席でも同じ趣旨のことを何回か言われていると思います。それを踏まえて伺うのですけれども、まず1点目なのですが、都立の4校の定時制を廃止するという問題なのですが、昨日、都立の小山台高校定時制を廃止しないでくださいという卒業生たちが、この都庁で記者会見をしまして、それで、小山台の定時制というのは文部科学省やこの東京都の人権推進教育の指定校だったのだと。それで、非常にユニークな、ヘイトスピーチを考えたり、いじめを考えるような多彩な授業が行われていまして、それで、地域の人たちとか、あるいは大学の支援を受けまして、非常にユニークな教育をしていると。
  いわば、都の無形文化財といいますか、あるいは都民の財産のような、そういう重さがある、かけがえのない学校だということだと思うのです。それから、あと、立川高校でありますとか、小山台もそうですが、交通が便利で、夜間の定時制の生徒は夜が遅くなるというのは非常に交通の便で問題があった。そこにしか通えないと訴えていまして、それで、やはり、現役の生徒とか卒業生とか、あるいは教師などから話を聞いて、実態を調査するというおつもりがないかどうかということが一つ。
  それからあともう一つ、長くなって恐縮なのですけれど。都立学校の卒業式、入学式の問題なのですが、不起立などの職務命令に違反した教職員に、再発防止研修というものが行われていまして、これは何で不起立だったのかということを反省させるような研修でございまして、2015年度の場合は6回も行われているのです。これはいじめのような、人権を侵害するものではないかと思うのですけれども。それで、このことについて2004年には東京地裁が、繰り返し何回も自分の非を認めさせるような研修を受けさせるのは違憲の可能性があるという決定を出しておりまして、やはりこういう再発防止研修も、人権という観点から実態を調査していただいて、例えば、処分された先生に話を聞くというような、そういうお考えはないかという、以上2点をお願いします。

【知事】定時制高校の問題は、前からいろいろな意見も聞いておりますし、議会での議論でもお答えをしておりますけれど、我々が全体的に考えて、4校を廃止すると。
しかし、そのことによって不利益をこうむることのないようにという様々な観点から手当てをしていますので、一応、その方針で行きたいと思っています。
  これも詳細、教育庁に確認してもらいたいと思います。それから。

【記者】受け皿を作ればいいというような、そういう問題ではないということなのです。

【知事】ただ、一つひとつ、個々の学校について言うと、全体を見て判断をしないといけないので、それぞれの思い入れがあったりとか、いろいろあることはよく分かりますけれど、これは全体の東京都の定時制高校の教育体制をどうするかという大きな判断だと思ってください。
  それからもう一つの国旗・国歌の問題なのですけれども、これもいつもお話ししていますように、日本国憲法のもとにおいてきちんと制定された国旗・国歌の法律があります。したがって、それは法律違反をしていいということにはならないと思います。そこから先、どういう形でそれをやるかというのは、教育庁を含めての大きな方針だと思いますので、そこは、私は教育庁の方針でしっかりやってもらって、やはり教育の場にいる者が法律を平気で違反するというのはどうなのかと思うので。

【記者】そこをいつもおっしゃるのですが、国旗・国歌法というのは、起立しなければいけないとか、歌わなければいけないということは一切決めていないのです。単に日の丸を国旗にします、君が代を国歌にします、ということしか決まっていなくて、要するに法的な根拠はないのです、強制するという。それで伺いたいのは、何回も何回も同じようなことを繰り返して、反省させるというあり方が、教育の場にふさわしくない、教師へのいじめではないかということなのです。

【知事】そこを何回やっているのかというのは私はつまびらかに知りませんので、それは事実を少しまず調べてみたいと思います。

**速報**
都議会文教委、定時制高校4校の存続を求める請願、陳情を不採択

本日16日、13時から18時20分まで長時間にわたり、都議会文教委員会が開かれました(私も傍聴しました)。議題の中心は、定時制高校4校(小山台、雪谷、江北、立川の各高校の夜間定時制)の存続を求める請願1件、陳情9件、計10件の審査でした。結果は、共産党、生活者ネットの賛成少数で不採択となりました。2万3千筆を超える存続を求める署名、映画監督の山田洋次さん、ノーベル医学・生理学賞受賞者の大村智さんなど学者、文化人の反対声明などに背を向け、採択に反対し、都教委の「改革推進計画」のもと、定時制つぶしに手を貸した自民、公明、民主、維新の各党は、歴史に汚点を残しました。

◆学校に自由と人権を!―粘り強く闘われている「日の丸・君が代」強制反対の裁判に絶大なご支援を!

★東京「君が代」裁判第三次訴訟・第1回最高裁要請行動
*集めた署名を最高裁に提出、要請を行います。
 4月4日(月)
  10時30分 最高裁西門集合・時間厳守 
  10時45分~要請 
 <行き方> 地下鉄永田町駅、半蔵門駅徒歩5分 最高裁正門から左手、国立劇場寄り

★再雇用拒否撤回第三次訴訟・地裁判決
(東京地裁民事19部。2011年再雇用拒否の損害賠償請求、原告3名)
 4月18日(月)
  12時30分弁護士会館集合 
  12時40分弁護士会館より裁判所へ向けて行進
  12時45分傍聴希望者集合(傍聴抽選なし・先着順)
  13時15分開廷 
  東京地裁527号(定員42名)
  報告集会:場所未定。追って連絡。

★東京「君が代」裁判第四次訴訟第10回口頭弁論
(東京地裁民事11部。2010~13年処分取消請求、原告14名)
 5月6日(金)
  15時30分 傍聴希望者集合(抽選なし・先着順 裁判所前で案内) 
  16時 開廷 
  東京地裁527号(定員42名)
  報告集会:場所未定。追って連絡。