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2013年10月3日木曜日

10/2 都立田無工業高校校長への都教委包囲ネットの公開質問書 自衛隊朝霞駐屯地での防災訓練について

■去る7月26日から28日にかけて都立田無工業高校の生徒33名が自衛隊朝霞駐屯地で宿泊防災訓練を実施したことを、都教委包囲ネットは重大視しています。
9月17日には田無工業高校を訪れ、抗議の申し入れを行ってきました。
10月2日には以下の質問書を、自衛隊朝霞駐屯地で宿泊防災訓練を強行した田無工業校長宛に送りました。包囲ネットでは、近日中の校長との会見を要請しています。

◆公開質問書                                                                                  2013年10月2日

   東京都立田無工業高等学校  校長 池上信幸 様
                                                                      都教委包囲・首都圏ネットワーク

        「防衛省と連携した宿泊防災訓練」に関する公開質問書

 2013年7月26日から28日までの間に自衛隊朝霞駐屯地で行われた「防衛省と連携した宿泊防災訓練」について、当会は去る9月17日に抗議申し入れを行いました。その際にお伝えしておいた通り、公開質問書を提出いたします。以下の質問にご回答願います。回答は、項目別に具体的にお願いします。

1.「宿泊防災訓練」の意義について
(1)貴校ではこれまでに「宿泊防災訓練」としてどのようなことを行ってきましたか。それに対するどのような反省の上に、今回の「防衛省と連携した宿泊防災訓練」(以下「本件宿泊防災訓練」と略)の計画がつくられたのですか。

(2)宿泊防災訓練を自衛隊駐屯地で行うことの教育的意味をどのように考えていますか。「災害時の総合防災技術訓練」の場所が「防衛省の関係施設」、特に「防衛省(自衛隊)」でなければならない理由は何ですか。「更なる救急救命に係わる技術向上を目指そう」(6月20日「参加者募集」)とのことですが、そのためなら日本赤十字社でも15歳以上を対象にした災害で必要とされる救急法の講習が受講できます。なぜ「防衛省(自衛隊)」でなければならないのでしょうか。

(3)「本件宿泊防災訓練」の教育課程上の位置付けは何ですか。

(4)「本件宿泊防災訓練」は都立田無工業高校の学校行事として行われたそうですが、学校の教育目標とどのような関連があると考えていますか。

(5)自衛隊は「我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする」(自衛隊法3条「自衛隊の任務」)ものです。その組織は「災害救助」のために編成されたものではなく、防衛予算は世界5位の、事実上の「軍隊」に相当するものです。
 日本国憲法は9条において「戦力(つまり軍隊)の不保持」を定めており、自衛隊が合憲か否かについては諸説のあるところです。また、教育基本法1条は、「平和で民主的な国家及び社会の形成者」としての国民の育成を教育の目的と定めています。
 以上の条規と事実に照らして考えるならば、公立の学校で、自衛隊駐屯地内で「防災訓練」だけでなく事実上の「軍隊」としての「隊内生活」の行われる「本件宿泊防災訓練」を計画・実施することは、違憲・違法の疑いが生じる可能性も十分に考えられますが、この点についてはどう考えていますか。

2.「本件宿泊防災訓練」の計画について
(6)「本件宿泊防災訓練」は2013年4月時点での「年間行事計画」の中に記載されていましたか。記載されていなかったとすれば、どのような理由で年度途中に新たに加えられたのですか。
 また、学校内(教員・生徒・保護者)での理解は得られているのですか。教育課程の変更であるから、事前に生徒・保護者にも知らせるべきではないのですか。

(7)池上信幸校長ご自身にお尋ねします。自衛隊施設での「宿泊防災訓練」の実施の構想と計画は、誰がどこで立てたものですか。伝え聞くところによると、2013年1月ころから、防衛省に対して自衛隊施設での「宿泊防災訓練」の打診が教育庁からあったとのことです。池上校長はこのことを知っていましたか。
 池上校長は前任の部所が教育庁内の「防災担当」であったと聞いていますが、校長ご自身、教育庁内でこの計画立案に携わったのですか。
 「本件宿泊防災訓練」を学校が最終責任を負うべき学校行事と考えているのですか。それとも都教委の事業の一環と考えているのですか。

(8)6月28日付けの指導部からの校長宛通知文「平成25年度防災教育推進校にの宿泊防災訓練について」は、「訓練」の「連携機関」・「対象期間」・「対象学年」について教育庁指導部からの「決定」の通知ですが、これについてお尋ねします。
①「連携機関」・「対象期間」・「対象学年」については学校が希望したのですか、それとも指導部から指定されたのですか。
②「対象学年」を2学年としたのはどのような理由からですか。
③「対象学年」2学年とは、2学年全員が対象となることですか。
④ 「次回の説明会及びオリエンテーション等については個別に連絡します」とありますが、自衛隊施設での「宿泊防災訓練」に関する都教委指導部からの事前の「説明会」及び「オリエンテーション」は前回はいつ行われたのですか。それはどのような内容のものだったのですか。
⑤ また、「次回の説明会及びオリエンテーション等」についての「連絡」は受けたのですか。

3.「本件宿泊防災訓練」の実施について
(9)「防衛省と連携した宿泊防災訓練サマーキャンプ しおり」に掲載されている「日程 行動計画」は学校が独自に作成したものですか。それとも自衛隊側から提供されたものに基づいて作成されたものですか。

(10)「しおり」の「Ⅳ 生活上で特に注意すること」に記載されている「非常呼集」は軍隊用語です。このような行動が予定されていることは、教育の場としての「宿泊防災訓練」にはふさわしくないと考えませんか。

(11)「しおり」の「日程 行動計画」に記載されている、「防災講話」や「グループ学習」は誰が担当し、誰の責任において行われたものですか。その内容を把握していますか。また、防災技術の指導の実態をどれだけ把握していますか。訓練とは直接に関係のない「集合・行進」がもっぱら行われたという情報も入っています。「訓練」とは謳っていますが、生徒を自衛隊での「隊内生活」に丸投げしたことになりませんか。「訓練」行動の最中にもし事故や不具合が生じた場合は、責任は学校にあるのですか、自衛隊にあるのですか。

(12)訓練は「日程 行動計画」の通りに行われたのですか。所定の起床時間よりも早く(28日の午前5時に)起床させられたという情報もあります。また、訓練当夜は猛暑の中で、宿泊施設には冷房装置もありません。生徒の睡眠時間など健康面での状態把握はきちんと行われたのですか。

(13)「日程 行動計画」によれば、自衛隊独自のメニューである「ロープワーク」に要した時間は全体でわずか110分です。「応急救護訓練」に多くの時間が割かれていますが、それは自衛隊ではむしろ専門外のことです。ことさら自衛隊駐屯地で「宿泊防災訓練」を設定する理由がわかりません。「本件宿泊防災訓練」の本当の目的は何だったのですか。

(14)6月20日付けの「参加者募集“防災訓練in夏”では「更なる救急救命に係わる技術向上を目指そう」と参加生徒によびかけながら、「しおり」では、「目的」の第一に「共同で自衛隊内の施設で規律正しい生活を送り」と記載し、「訓練」の目的のすり替えが行われています。これは、参加生徒や保護者に嘘を伝えていたことになりませんか。「訓練」の目的を生徒・保護者にどのように説明したのですか。

(15)「本件宿泊防災訓練」は書類上は「文化的行事」としての「学校行事」ということになっていますが、ラグビー部のブログでは「部活動」として扱われています。両者が混同されているのではないか。

(16)学校行事は受益者負担が原則です。「参加費無料」は学校行事としては異例なのではないですか。「参加費用」はどこがが負担したのですか。このように、「本件宿泊防災訓練」は学校行事としては適切さを欠くと思われますが、これについてどのように考えていますか。

(17)参加者の数に比して、引率者が6名の教員です。通常の学校行事にしては引率者が異例に多くなっています。どういう理由でこれだけの数の引率者にしたのですか。

(18)都教委の職員が多数(6名)参加していますがそれはどういう理由からですか。何のために来たのですか。引率ではないとすれば、都教委職員はどういう名目で「隊内生活を体験」したのですか。

(19)「陸上自衛隊隊内生活体験申込書」(平成25年7月11日付)には隊内生活体験者として35名の生徒の名簿が添付されています。この名簿はその後どのように自衛隊内で処理されたかを把握していますか。また、今後入隊の勧誘等に使用されないという保障はありますか。

(20)上記申込書には「7 その他」として、①②の項目が付されていますが、これについては生徒に確かめたのですか。

(21)以上見て来た通り、問題点の多く指摘されている自衛隊朝霞駐屯地での「宿泊防災訓練」を2014年2月にも再度実施するのですか。

                                                                        以上

 上記の質問に対して文書及び口頭で回答することを要請します。
 当質問は回答を含めて報道機関その他に公開の上で行われています。