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2018年4月10日火曜日

3/31「卒業式総決起集会」開催される

3/31「卒業式総決起集会」開催される

  3月31日の午後に池袋の豊島区生活産業プラザで「卒業式・入学式対策本部」主催の「卒業式総決起集会」が開催され、55名が参加した。
 都立高校の教職員が中心になって運営している「卒業式・入学式対策本部」は毎年2月3月の時期に、現場で取り組んでいる現職の教職員に対して、宣伝・啓発活動を継続的に行ってきた。対策本部は、被処分者の会と連携して毎年、新たな不起立者・被処分者との連絡・調整を行ってきた。今年は15回目を迎える。これまでに被処分者の累計は延べで482名にのぼっている。これは大変な数だ。裁判は現在も進行中である。この482名の中には、18名の「再処分者」も含まれている。
 
今回都教委は、第4次訴訟で減給処分が取り消された2名の現職教員に対して、こともあろうに同一案件で再度の処分(戒告)を新たに2月21日に発令した。


 対策本部は、現場の教職員向けの啓発ビラ・パンフを作成し本部委員会などで全員向けに配布し、1月26日と3月12日の2回にわたって、被処分者の会と共同で都教委に対して要請行動を行った。
2003年の10・23通達から15年、強制反対を闘った先行する世代が次々に退職し現場から離れているという状況の中で、学校現場の中では通達そのものについて知らない教員も多くなり、「日の丸・君が代」強制の意味そのものが次第に忘れ去られようとしている。そういう中で対策本部を中心とする少数の現職教員が孤軍奮闘しているのが現状である。
 問題を風化させず、継承させていくことが今ほど必要な時はあるまい。10・23通達以来、毎年不起立者が出たが、今年はこれまでのところ表立って出ていない。従って、例年の「卒業式処分抗議集会」が今回は「卒業式総決起集会」となった。
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  集会は、開会挨拶の後、対策本部のKさんが、2017年から18年にかけての卒・入学式をめぐる全体状況を報告した。その要点は以下の通りである。
1.被処分者に対する再発防止研修は2012年から強化され、研修の内容が単に服務規律に関することだけではなく、「国旗・国歌」の意味についてまで言及されるようになった。「日の丸・君が代」強制の意味が教職員に対してだけでなく生徒保護者ら対しても向かっていることを意味している。しかし、再発防止研修そのものは、取り組みによって形骸化させている。
2.都教委は校長連絡会・副校長連絡会において「教育課程の適正な実施」という文書を配布し、今年も、卒業式にいたるまでの管理職の行動を事細かく規制している。例えば、(問題のある教員の)職員会議での発言や同僚教員への働きかけの様子や、個別的職務命令の受け取り状況などを事細かく記載し、報告することを要求している。教員の思想行動の監視を管理職に要求している。また、当日の年休行使にも「時季変更権」の活用についても言及している。
3.生徒の不起立を認めず、式次第の中に「起立をうながす」旨の記載を要求している。
4.昨年の入学式から都立看護専門学校でも「君が代」の斉唱が始まった。「日の丸・君が代」の強制は、どんどん拡大している。
5.改定学習指導要領の「公共」にさきがけて、“高校版道徳”の「人間と社会」がすでに都立高校では行われている。
  Kさんは、「『戦争をする国』へと突き進もうとしている流れを食い止めるため、生徒のための卒業式を取り戻すために、10・23通達を撤回させる取り組みを今後大きく展開していく必要があります」と結んだ。
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弁護団から澤藤弁護士が挨拶した。澤藤弁護士は韓国の運動団体との交流から帰ったばかりで、韓国の長い粘り強い闘いに触れつつ、「日の丸・君が代」強制反対の15年にもわたる闘いは、何よりも、国という抽象的な何かがあるのではなく、国をつくっているのは一人一人の国民であり、その国民こそが主権者であるということの意味をつきつけたものであることを力強く述べた。
  続いて、会場からの発言の時間は、最近の学校の現場の状況の話や、高校新学習指導要領のとくに新科目「公共」の危険な問題点などについての活発な意見が出された。現職の教員からは、10・23通達そのものが忘れられようとしており、「日の丸・君が代」の強制の意味すら理解されないという危機感が叫ばれた。都教委包囲ネットから、今年の卒業式へのビラまき報告もなされた。3時間にわたる集会はあっという間に終わった。
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 毎年必ず1名以上の不起立者が出現し、15年にもわたって裁判闘争が続けられてきた。このことは特筆されるべきことである。今年は、現在までのところ不起立による被処分者は確認されていない。しかし、これで終了したわけでは決してない。10・23通達による「日の丸・君が代」の強制が続く限り、闘いは継続されていく。    (青木茂雄)