3月8日に開かれた都教委定例会の根津さんの傍聴記です。
「国際理解教育」は英語だけ
公開議題は、
①来年度使用都立高校用附則9条本の採択について、公開報告が
②都独自英語教材「Welcome to Tokyo」Beginner及び日本語版について。
①来年度使用都立高校用附則9条本の採択について
附則9条本とは、学校教育附則第9条が規定する教科用図書のこと。一般には文科省検定済教科書を使用するが、フランス語や中国語等の外国語科目や工業等の専門科目で使用する図書、特別支援学校(知的)で使用する図書をいう。
附則9条本の採択については「都教委の考え」が支配することはなく、今回も各学校が選定した図書がそのまま採択された。
②都独自英語教材「Welcome to Tokyo」Beginner及び日本語版について
2016年度より都教委作成の「Welcome to Tokyo」(小学5,6年生用、中学生用、高校生用)を使った授業が各学校で行われている。新学習指導要領は2020年度から小学校で、21年度から中学校で、22年度から高校で本格実施となる。ただし、安倍政権が目玉とした教科「道徳」は前倒し実施で、小学校は2018年度からとされた(1989年からの「日の丸・君が代」の強制も、前倒し実施だった)。本格実施前2年間は移行期間とされるが、小学校英語は移行を急がされている。それに乗じてか、都教委は小学3,4年生用の「Welcome to Tokyo」を作ったとのこと。子どもには冊子を、教員には指導書とDVDを3月中に配り、新年度からそれを使った授業を各学校に課すという。また、3,4年生用以上の「Welcome to Tokyo」の日本語版を作り、姉妹校や国際交流を行う学校、海外から来た子どもにも配るという。小学校英語が、子どもたちの負担になるだろうことが気になるが、都教委はこうした「都教委、やってます」的なことには、金をふんだんに使う。
都独自英語教材「Welcome to Tokyo」を使った授業の狙いは、次の3つ。
ア.日本・東京の文化、歴史等の理解の促進
イ.英語によるコミュニケーション能力の伸長
ウ.オリンピック・パラリンピックに向けた国際理解教育の推進
小池都知事は、毎年9月1日に市民団体等で構成する実行委員会が行ってきた「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式」への追悼文の送付を昨年、やめた。歴代都知事ではじめてのことだった。歴史修正主義者であることをもろに見せつけたこの人が言う「国際理解」とは何ぞや。この人の言う「文化、歴史」とは何ぞや。きれいなことばを表看板に、近隣諸国条項を撤廃した如くの、「日本ファースト」の差別意識・歴史歪曲の刷り込みが、ここでも進むのではないかと考えるのは、考え過ぎか。すくなくとも、英語=国際理解は止めてもらいたい。
非公開議案
詳細は後日都教委HPに掲示される「服務事故」を見なければわからないが、今回も停職・免職の懲戒処分案件が7件。またも、性的行為や窃盗が続出するのか。子どもに被害を及ぼすことには我慢ならない。