10月23日、「学校に自由と人権を!10・23集会 憲法を変えさせない!誰も戦場に送らせない!―『日の丸・君が代』強制反対!10・23通達撤回―」が都内日比谷図書文化館で行われました。近藤徹さんからの報告です。
この集会は、被処分者の会など10・23通達(2003年)関連裁判の訴訟団・元訴訟団14団体が大同団結して毎年10月に行われてきました。今年の集会は、「命懸けで憲法を破る」と公言した石原都知事の下、東京都教育委員会が10・23通達を発出して丁度13年目の日に開催されました。集会には、約200名が参加し、満員の会場には闘いの熱気あふれ、内容も好評で、大きく成功しました。主催14団体に加えて、30団体、196名の個人が賛同を寄せてくれました(10月22日現在)。集会成功のために力を貸してくれた皆さんに心から御礼申し上げます。
集会の様子
●東京の教育を都民の手に取り戻すための「希望」の闘い―実行委員会あいさつ
冒頭、実行委員会として被処分者の会・近藤があいさつしました。「今年の集会は、参議院選挙の結果、衆参両院で改憲勢力が2/3を超え、また11月にも南スーダンへの自衛隊の派兵が迫っている中で行われ、『憲法を変えさせない!誰も戦場に遅らせない!』という本集会のスローガンが、差し迫った課題となっている」と述べ、「本日の集会は小池新都政発足後初の訴訟団・元訴訟団主催の集会」で「『都民ファースト』『情報公開』を標榜するなら、都教委は私たちの真摯な思いに正面から応えねばならない」と求めました。そして「粘り強く闘われている『日の丸・君が代』強制反対の裁判は荒廃した東京の教育を都民の手に取り戻すための『希望』の闘い」であり、「私たちの粘り強い闘いは、都教委を確実に追い詰めており、みんなの力でこの闘いを支えていこう」と呼びかけました。「『安倍政権の暴走ストップ・自衛隊を戦地に送るな』の国民各層の闘いと合流して、東京の学校と教育の危機的状況を打ち破り、憲法・平和・民主主義・教育の自由を守るために運動の輪を広げ、勝利するために最後まで奮闘しよう」と訴えました。
●市民的自由が機能する憲法へ―青井未帆さん講演「戦争ができる国と教育」
青井未帆さん(憲法学 学習院大学大学院教授)が「戦争ができる国と教育」と題して講演し、安倍政権の下での憲法を巡る状況を「タガが外れている状況」と断じ、国家権力が個人・家族の領域にも踏み込み、「市民的自由」が危機に瀕していることに警鐘を乱打しました。立憲主義、民主主義の根本的理念を提示しながら、「機能する憲法」となるように闘うのが私たちの責務であると述べました。その上で、「戦争と教育」の不可分な関係にも言及しました。「戦争は教室から始まる」という歴史の教訓を再認識しました。また、「君が代」訴訟について最高裁判決の到達点を踏まえ、減給処分以上が「裁量権の逸脱・濫用」で違法とされ取り消されたことに「光明」を見いだすと述べました。大学での講義を彷彿とさせるような語り口に魅せられました。憲法の危機に対峙する闘いのあり方にもヒントを与えられました。
●「君が代」訴訟の新しい動きと勝利への展望―澤藤統一郎弁護士
澤藤統一郎弁護士(東京「君が代」裁判弁護団副団長)が、「『君が代』訴訟の新しい動きと勝利への展望」と題して特別報告をしました。冒頭「"We shall overcome someday." 13年間闘い続けていることの意味を再確認しよう」と述べ、13年間の「君が代」訴訟の流れを整理しました。「君が代」訴訟を、高揚期(予防訴訟提訴から難波判決=2006年9月全面勝訴)→受難期(最高裁ピアノ判決 2007年2月)→回復期(東京高裁大橋判決=戒告を含む全ての処分を取り消し=2011年3月以降)→再高揚期(福嶋さん事件=2013年12月以降)と4つの段階に分けて整理してくれました。そして、最高裁判決の枠組み(職務命令の「間接的制約」論による戒告処分の容認)を突破するため、最高裁の「(職務命令は)儀式的行事におけ得る慣例上の儀礼的所作」という論理が誤りであること明らかにする論理構築の必要性にも言及しました。
●「思いを語る―18歳選挙権。広島、沖縄、憲法」東京高校生平和ゼミナール
最後に、東京高校生平和ゼミナールの高校生2人による特別報告「思いを語る―18歳選挙権。広島、沖縄、憲法」がありました。昨年の戦争法反対の国会前行動に参加した経験から「民主主義とは一人一人が声を上げるということだと学んだ」こと、沖縄平和学習旅行・広島平和学習旅行、全国高校生平和集会などに参加して学んだこと、参議院選挙費向けての「18歳選挙権」についての学習などを報告しました。高校生も平和の危機=戦争への動きに無関心ではいられない」と述べ大きな拍手を受けました。
集会は最後に「集会アピール」を採択して散会となりました。