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2016年6月4日土曜日

最高裁第三小法廷が出した「決定」

包囲ネット渡部さんのコメントです。

◆最高裁第三小法廷が出した「決定」には以下のように述べてあります。
<主文> 本件上告を棄却する。
       本件を上告審として受理しない。 
       上告費用及び申し立て費用は上告人兼申立人の負担とする。
<理由>
 1、上告について
  民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは

民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告の理由は、違憲及び理由の不備・食違いをいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。

 2、上告受理申立てについて
  本件申立ての理由によれば、本件は、民訴法318条1項により受理すべきとは認められない。
  
  よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。
 
  平成28年5月31日
      最高裁判所第三小法廷
      裁判長裁判官  大 橋 正 春
                裁判官  岡 部 喜代子
                裁判官  大 谷 剛 彦
      裁判官  木 内 道 祥
      裁判官  山 崎 敏 充



◆東京高裁の判決(2015年5月28日)を、参考までに紹介しておきます。

 「本件根津停職処分において停職期間を6月とした都教委の判断は、具体的に行われた非違行為の内容や影響の程度等に鑑み、社会通念上、行為と処分との均衡を著しく失していて妥当性を欠くものであり、懲戒権者としての 都教委に与えられている裁量権の合理的な範囲を逸脱してなされたものといわざるを得ず、違法なものというべきである。」
      
 「都教委は、・・・・国歌斉唱時に起立しなかった教職員に対して、職務命令違反として、1回目は戒告、2回目は給与1月10分の1を減ずる減給、3回目は給与6月の月額10分の1を減ずる減給、4回目は停職1月、5回目は停職3月、6回目は停職6月の各処分を行っており、このような機械的な運用は、もともと機械的に一律に加重処分して処分を行うことには慎重な検討をを要請していた本件国会審議答弁における各答弁内容や本件処分量定を定めた趣旨に反するものといわざるを得ない。
しかも、このような学校における入学式、卒業式などの行事は毎年恒常的に行われる性質のものであって、しかも、通常であれば、各年に2回ずつ実施されるものであるから、仮に不起立に対して、・・戒告から減給、減給から停職へと機械的に一律にその処分を加重していくとすると、教職員は、2、3年間不起立を繰り返すだけで停職処分を受けることになってしまし、仮にその後にも不起立を繰り返すと、より長期間の停職処分を受け、ついには免職処分を受けることにならざるを得ない事態に至って自己の歴史観や世界観を含む思想等により忠実であろうとする教員にとっては、自らの思想や信条を捨てるか、それとも教職員としての身分を捨てるかの二者択一の選択を迫られることになり、そのような事態は。もともとその者が地方公務員としての教職員という地位を自ら選択したものであることを考慮しても、日本国憲法が保障している個人としての思想及び良心の自由に対する実質的な侵害につながるもであり、相当ではないというべきである。」

 「都教委において、控訴人河原井につき停職3ヶ月、控訴人根津につき停職6月としたことは、いずれも裁量権の合理的な範囲を逸脱したものとして違法というべきであり、そのような処分によって控訴人らが受けた精神的苦痛については損害賠償によって慰謝されるべきものと考えるが、・・(他方において職務命令には違反したとして)・・
 本件各処分によって控訴人らが被った精神的苦痛に対する慰謝料は、控訴人らそれぞれに対して10万円とするのが相当である。」

◆河原井さん・根津さんの闘いの意義

こうした高裁の判決が今回確定したわけです。河原井さん、根津さん、本当におめでとうございます。お二人の長い闘いが実りましたね。
「日の丸・君が代」強制に反対する者たちに大きな励ましを与えてくれました。ありがとう、河原井さん、根津さん。