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2014年12月29日月曜日

都教委の防災訓練に名を借りた自衛隊隊内訓練の推進を暴くブックレット(2)

  『高校生をリクルートする自衛隊・自衛隊の手法を取り入れる教育行政』
(編集委員会発行、800円+税、(株)同時代社、電話03-3261-3149、FAX03-3261-3237)
から、「1、高校生に届く自衛隊からの手紙」の紹介です。
  (写真、資料などもありますが割愛させていただきます)

<全国の71%の自治体が住民基本台帳を(の?)提供に協力>という項目があり、
その中では、
 「2014年10月6日付けの『東京新聞』一面は、自衛官募集の個人情報について、
 『全国の1742市町村・特別区のうち、約71%にあたる1229市町村・特別区が積極的に情報提供していたことがわかった』と伝えています」と述べられ、
 「一般企業の社員募集活動で自治体の協力を得て募集活動を行うことはありえないことです。・・・特に、まだ在学中の高校生に自衛官募集のパンフがダイレクトメールされるのは、教育の立場からするならば許されないことです」と指摘されています。

<自衛隊と教育との連携が進んでいる>という項目では、
 「2014年の東京大学五月祭で自衛隊のブースがだされました。公然とした自衛官の募集が東京大学構内で行われているのです。……自衛隊のブースが出されるということは、大学当局や学生自治会に許可を得なければなりません。
 つまり、それを教授会や学生自治会が許可をしたという事実が重要だと思います。・・……特に東京大学が、暴力的で政治的な価値観を体現する自衛隊をその構内に受け入れたのは、『学問の府』の放棄といえます。それは同時に政治的な圧力が大学や教育の場に強まっているという側面の反映でもあります。」 
と述べられています。

<自衛隊では現場体験のプログラムを準備>という項目では、
 「自衛隊駐屯地(陸軍)は全国に156ヶ所もあります。
 その駐屯地で小・中学生の『職場体験』が頻繁に行われています。名目は『総合学習』の一環としての『職場体験授業』です。このために、防衛省は、総合学習の案内を出しています。これは『「総合的な学習の時間」(文部科学省所管)への協力の内容』という文書です。」
 そこには、自衛隊で実施する以下のようなプログラムの内容が示されています。
 「部隊見学、隊内生活体験」
 「防衛問題・自衛隊に関する説明」
 「手旗、結索(ロープワーキング)」
 「隊内見学及び装備品などの見学」
 「訓練の見学、艦艇見学(体験航海を含む)」
 「自衛隊車両等の体験搭乗」
 「防衛省・自衛隊に関するビデオの上映、隊員との懇談」
そして、「この自衛隊のプログラムは自衛隊の広報・宣伝でしかないことです」と指摘されています。

<全国で実施されている自衛隊への「職場体験」>という項目では、
 「この『職場体験』は2000年より全国の小中学校で実施されてきています。
 ……現在では累計で数千件を超えていると推定されます。……自衛隊を応援し取材しているあるHPでは、『職場体験』のレポートとして、自衛隊員と中学生が格闘の練習をし、ナイフで人を刺す方法までも体験させる画像が掲載されています(ナイフはゴム製だとしていますが)。などのことが紹介されています。

<職場体験の実際>という項目では、
 「2014年6月に自衛隊駐屯地に中学生7人を引率した東京の中学校の先生によれば、駐屯地の室内でNBC(核・生物・化学)兵器対応防毒マスクの装着や行軍の訓練を実施したとのことでした。そして東条英機の写真のある資料館を見学し、最後に、自衛隊のパンフレットを渡されたとのことでした。」
 「2013年6月では、中学生が陸上自衛隊三宿駐屯地へ4名、多摩地区の中学校の生徒4名が練馬駐屯地へ、同じく文京区の中学生5名が練馬駐屯地へ職場体験を行いました。
……12月には都立町田総合高校生40人も職場体験しています。」

そして<自衛隊「職場体験」に対する抗議行動とその影響>という項目もあり、
そこでは次のような例が紹介されています。
 「2008年には、富山市内の中学校が砺波市の陸上自衛隊駐屯地で職場体験を実施したことに対して、県内で市民運動がおこり、教育委員会に対して抗議活動を行っています。」
 「2014年7月15日、広島県尾道市で寺本真一、魚谷さとる、岡野長寿の三人の市議が 教育長に対して、……自衛隊の『職場体験』中止の申し入れをしました。」
 「2014年10月には、長野県で県の憲法擁護連合や教職員組合が県教育委員会に
 対して中学生の『職場体験』に対して抗議活動を行っています。」
さらに、
 「ここで特に取り上げたいのは、2013年11月26日に、新潟県上越市の労組などの三団体が直江津市の中学校を訪れ校長に抗議文(・・)を手渡した件についてです。
 ……これを報じたタウン紙のHPには空前のアクセスがありました。
 一時期いわゆる『炎上』の状態になったのです。……その書き込みの内容を見てみますと同じ人物が何度も何度も同じ文面を送信している様子をうかがい知ることができます。
……(書き込みの内容は略)……これらの書き込みを見てみますと、第一に自衛隊に異議を唱える人物を『反日思想だ』とか『在日だ』『帰化人だ』などと排外的な言辞で中傷していることです。・・・ 
 第二に、自衛隊への『職場体験』が職業選択の自由にあたるかどうかです。……自衛隊が、命を賭す職業であることが全く伝えられることなく、美化された職業としてだけ注入されるならば、これは『職業選択の自由』の範疇には入らないのではないでしょうか。

……教育が戦争や自衛隊が何であるかを正しく教えることなしに、美化された自衛隊観を抱き、自ら望んで戦場に行く人格を育てるならば、戦前の軍国主義教員と何ら変わるものではないといえます。」

次回は、「2、『防災訓練』の名のもとに、教育現場に入り込む自衛隊」です。