『高校生をリクルートする自衛隊・自衛隊の手法を取り入れる教育行政』
(編集委員会発行、800円+税、(株)同時代社、
電話03-3261-3149、FAX03-3261-3237)
このパンフレットには、
現在の日本社会と日本の教育がどういうところまで来ているのか、がわかりやすく具体的にまとめてある。
そこで、今回から何回かに分けてその内容を紹介していきたい。
<全体の目次>
はじめに
1、高校生に届く自衛隊からの手紙
2、「防災訓練」の名のもとに、教育現場に入り込む自衛隊
3、自衛隊駐屯地で行われた高校生の「防災訓練」
4、都立田無工業高校二回目の自衛隊との「宿泊防災訓練」
5、沸き上がる自衛隊の「宿泊防災訓練」への抗議・反対運動の取り組み
6、都立大島高校の「宿泊防災訓練」
7、東京都総合防災訓練とこれへの児童・生徒の参加
8、銃剣道による自衛隊への子どもたちの取り組みは許されない!
今回はそのうち、「はじめに」の内容を簡単に紹介する。
ここでは、前後平和教育運動の出発点ともなった「教え子を再び戦場に送るな!」というスローガンから見た、現在の教育状況が簡潔に述べられている。そこからいつくか抜粋する。
*「日本が敗戦まもない1951年、日教組は第18回中央委員会で 不朽のスローガンとい われる『教え子を再び戦場に送るな』を採択しました。
・・・戦後70年を経過しようとする今日、教育現場では平和についての意識が
希薄となり、むしろ戦争に向かう教育がためらいもなく現場に入り込んできています。 ・・・そして自衛隊への職場体験など、むしろ教育現場から自衛隊に児童・生徒を
送り込んでいるのです。・・
*今日の状況を見ますと3・11の東日本大震災が教育現場を大きく変える誘因となっています。
為政者は、防災訓練の必要性を強調し、教育課題の中心におこうとしています。
もちろん自然災害に備える教育は必要ですが、しかし実態は『被災地で活躍する自衛隊』を美化して、児童・生徒に刷り込ませる教育が進められているのです。・・・
・・・平和に対して最も敏感であった教育現場は、今や、戦前のように『軍人さんは偉いのだ』という意識を児童・生徒に刷り込む場となっているのです。
・・・2014年7月1日、安倍内閣は『集団的自衛権』行使についての閣議決定を行いました。
ところがその翌日の2日に、全国の高校三年生(一部で中学三年生)に自衛官募集のパンフレットがダイレクトメールで届けられました。このことは、『集団的自衛権』の実体化が教育現場に向けられていることを示しています。・・
・・・特に、全国で幅広く行われている小・中学生の自衛隊への職場体験は、むしろ教育現場から積極的に要望が出され実施されてきています。
ある自衛隊駐屯地の職場体験では、中学生に護身用だという建前でゴム製のナイフで人の殺し方まで教えているのです。・・
・・・擬似「戦争体験」というべきものです。また、全国各地の自衛隊地方協力本部の
HPでは、子どもたちが戦車に乗った写真などで溢れています。・・・
・・・私たちはこうした状況に警鐘を鳴らすものです。・・・」
※次回は、「1、高校生に届く自衛隊からの手紙」である。