■2月2日(日)午後、都教委包囲・首都圏ネットワーク主催で、卒業式を前にした恒例の「総決起集会」を開きました。主催者の「予想を超える130名}が参加しました。
主催者仲間と「これは情勢に対する人々の危機感の反映ではないか」と話し合いました。
◆集会の内容
午後1時開催の集会では、まず<基調報告>として包囲ネットの永井栄俊さんから「都教委『改革』における新たな段階(教育改革の流れと問題点)」が報告されました。
この中で、都立高校の教育が、現在いかに民主教育と程遠いものになっているかを「宿泊防災訓練と自衛隊の連携問題」「生徒指導統一基準(規律規範・道徳の徹底→生徒処分の厳罰主義)、「学力スタンダードの導入」、「教科書の統制」「学習指導要領の改定」等を示して明らかにしました。また、それを貫徹するために、都教委は教職員の管理支配を強化し、超過勤務、働く権利のはく奪等々を行っているも指摘しました。
つまり、教職員から生徒まで、教育内容を含めすべてがんじがらめに統制され、まさに「ブラック企業化する教育現場」になっているのです。
■ついで、埼玉大学准教授の高橋哲(さとし)さんによる講演が行われました。
タイトルは「憲法『改正』と安倍政権の教育政策の流れ」でした。
この講演は、大変わかりやすく、かつ全面的で、内容豊かなものでした。
とてもここでは紹介しきれませんが、概要のみ以下に紹介します。
★まず、「はじめに―安倍政権のめざす教育改革とは―」として、その主軸は「新自由主義」にあると述べられ、それはこれまでの「生きる力」から「行き抜く力」という言葉にも表れていると述べられました。そうして、「改革」の狙いとして、
①エリートの早期選別・教育財政の重点投資
②新自由主義教育改革を実行するための支配体制作り
③新自由主義に伴う社会病理への治安対策としての保守主義・復古主義教育が挙げら れると述べられました。
★次に、「Ⅰ憲法改正の狙い―復古主義と支配体制の強化―」として、参加者全員に配布された自民党の「日本国憲法改正草案」の条文に沿いながら、具体的に説明されました。
ここはこの講演の圧巻でしたが、次のような柱建てで説明されました。
(1)復古的・保守的国家への回帰
ここでは、「天皇」「国旗国歌」「国防軍」「靖国国家神道」「家族」「外国人参政権」 などの扱いについて、具体的にどうなっているかが説明されました。
(2)国民支配の国家体制づくり ー統治機構(ガバナンス)の改革ー
ここでは、「立憲主義の形骸化」(改正手続、国民の憲法尊重義務)「人権制約 の強化」(「公共の福祉」から「公益、公の秩序」へ)、「統治機構の改革」(内閣 総理大臣の権限強化、緊急事態宣言、道州制)などが説明されました。
(3)国民の支配体制としての教育―憲法26条新3項の意味―
ここでは、3項に「国は、教育が国の未来を切り拓く上で欠くことのできない ものであることに鑑み、教育環境の整備に努めなければならない」という文言が 付け加えられ、「国民の権利としての教育」から「国家の道具としての教育」へ、
したがって「条件整備」ではなく、自由主義教育改革を遂行するための「環境整 備」となっている、ことなどが説明されました。
★次に、「Ⅱ安倍政権の教育改革」として、次のような柱建てで説明されました。
0、安倍政権の教育改革案の策定主体 ここでは、実質的には、自民党の「教育再生 実行本部」が担い、そこが打ち出したものが具体化されていると説明されました。 1、新自由主義教育改革の展開―エリートの早期選抜と重点投資―
ここでは、「6・3・3・4制」の見直し、大学改革が説明されました。
2、新自由主義教育改革を推進する支配体制の形成
ここでは、<教育委員会の諮問機関化と首長による教育長任命><教員統制の強 化>、<教科書検定・採択制度の改定>などが説明されました。
3、治安対策としての国家主義・復古主義―道徳教育の強化―
ここでは、<道徳の教科化と教科全体の道徳化>、<治安対策としての「いじめ 対策」>が説明されましたが、「いじめ」は新自由主義的教育改革による病理であ り、それはこどもたちの「社会的反乱」のようなもので、これに対する治安維持と しての「いじめ防止対策」であると指摘されました。
★おわりにー安倍政権の何が問題かー
ここでは、<「イデオロギー」の問題ではなく、「教育の支配」の問題><教育を まもる親・市民とのつながりの重要性><「ハードルの低い」政治課題での共闘を >ということが強調されました。
高橋哲さんの話はかなり頭を整理させるものでした。つづく。