■2月15日(金)、「教育再生実行会議」第二回会合が開かれ、いじめ対策として、規範意識を醸成するため、小中学校で「道徳」を<教科>にするということで一致したという。(渡部コメント)
★一方で、統廃合などで教育条件を悪化させておきながら、他方では、上から目線で子どもたちの「規範意識」を強めようとしている。これは戦前の「修身科」の復活に他ならない。
★行き詰った日本社会を打開するには、現在、「科学的批判的な思考」と「明朗快活な精神」こそが求められている。しかし、「道徳」の教科化では、行き詰った社会で、枠にはまった「規範意識」を持った従順な人間になれ、と言っているようなものである。
★戦前を見てもわかるように「道徳」を強調した教員ほど、天皇(「日の丸・君が代」)に対しては忠実だったが、生徒に対しては「体罰」を振るい「非道徳的」な人間だった。
(今も?)
また、あれだけ「修身科」をやらされた日本兵が、戦争中他国民にどれほどひどい「非道徳的」なことをしたことか。
(さらに日本軍の中でもいかに酷いことが行われていたかは、野間宏の『真空地帯』などに描かれている。)
★現在でも、「道徳」を重視している千葉県の森田知事は、自民党でありながら「完全無所属」とウソをついて知事になった。また、「道徳」を強調する石原前都知事や橋下大阪市長らの、見聞きに耐えない言動を見ても、彼らの「非道徳さ」は明らかである。
★子どもたちを取り巻く物質的・精神的状況はさらに悪化(貧困化)していると言わざるを得ない。
私たちは、こんなつまらない「道徳科」に対しては、子どもたちと一緒になって、「キレイごと!バカバカしい!」と笑い飛ばし、子どもたち(大きな視点から見れば<学友>である)と共に、「科学的批判的な思考」を強めなければならないだろう。